<中編>非連続な経営改革に挑む少数精鋭グローバルファーム、タフでも最高に刺激的なアリックスパートナーズの実像に迫る。

※こちらは、2022年10月5日放送のコトラTV(ウェビナー)の内容を記事化したものです。

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グローバル企業に迫る非連続な経営改革の波、
そこに挑む少数精鋭グローバルファーム「アリックス」とは?

ゲストのご経歴

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー
アジア共同代表 日本代

野田 努 様

[ 経歴 ]
30年以上に渡り日本企業の事業成長・トランスフォーメーション・再生にかかる支援を主導。
特に、コングロマリットの事業ポートフォリオ再編、日本企業による海外企業の買収・事業統合・買収後の企業価値向上、業績不振事業のターンアラウンド、組織の抜本的改革などの取り組みにおいて主導的な役割を果たしている。
ハーバード・ビジネス・スクールにてMBA取得。著書「プロフェッショナルリーダー~難局を突破する9つのスキル」(ダイアモンド社)他。

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー
マネージングディレクター

熊谷 孝史

[ 経歴 ]
ハイテク産業で豊富な経験を有す。グローバル化に向けた戦略立案・実行、クロスボーダーPMI、BtoBマーケティング、プロダクトマネジメントの分野でコンサルティングを提供している。
アリックスパートナーズ入社前は、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、製造業を中心とした新規事業戦略、調達やサプライチェーンのコスト最適化、マーケティング・営業改革、M&A支援等のプロジェクトに従事。
マサチューセッツ工科大学のスローンビジネススクールにてMBA取得(Sloan Fellow)。


インタビュアー

株式会社コトラ
代表取締役

大西 利佳子

[ 経歴 ]
慶應義塾大学経済学部卒業。大学卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。長銀証券に出向しマーケット業務従事後、事業法人担当として、融資、金融商品アレンジ業務などを担当。新生銀行になってからは、事業法人本部にて営業企画業務に従事。2002年10月株式会社コトラ設立、代表取締役就任。

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アリックスが非連続の経営改革に関わったプラクティス・ケーススタディ(クライアント(A社)の事例)

大西:
ここからは、熊谷様に、ケーススタディをお話いただきたいと思います。

改革の全体像

熊谷様:
クライアント(A社)は伝統的な日本企業で、複数の事業を抱えるコングロマリットでした。
コロナの影響など様々な要因で、祖業でありかつ一番売上規模の大きいX事業の業績が低迷して赤字に転落し、ターンアラウンドが求められている状況でした。一方では、収益を確保して成長している事業もありました。

こうしたポートフォリオの状況を踏まえ、株式市場やアクティビスト株主からは、根本的なターンアラウンドと事業ポートフォリオの見直しが必要ではないか、とのプレッシャーが強くなっていました。

そんな状況の中、アリックスパートナーズはマネジメントから、共に経営変革を実行してほしいという依頼を受けました。
この案件において我々は、大きく2つのフェーズでプロジェクトを実行しました。
フェーズ1では、X事業のターンアラウンドの計画策定・実行を行い、インパクトを出すところまでやり切っています。これに9ヵ月かかりました。この後、ターンアラウンドの実績を踏まえて、A社のマネジメントはX事業の売却を決断しました。

この段階で、フェーズ2としてカーブアウトと売却のサポートを行いました。
どういうことかと言いますと、X事業部門は、組織やインフラを他の事業部門と共有していたために、カーブアウトと売却が非常に複雑なオペレーションになりました。そのために、われわれはカーブアウトPMOとして、X事業部門を独立した事業体とし、売却を完了するというミッションを10ヵ月以内にやり切るという課題に取り組みました。

この2つのフェーズに1.5年かかったのですが、結果として、ターンアラウンドフェーズでは、年間100億円のキャッシュフロー改善を実現しています。それを踏まえて、カーブアウト・売却フェーズでは、事業売却をタイムリーに完了しました。
最終的には、X事業部門は独立した事業体として、スムーズなオペレーションを続けています。

フェーズ1:ターンアラウンド

それぞれのフェーズで何をやったか、もう少し深掘りしてお伝えします。

まずターンアラウンドフェーズでは、我々が入ったときには、社内での危機感が不足している状況でした。シクリカルで市況に影響されるビジネスだったため、社内には、市況が改善すれば業績は戻る、過去にもそういうことはあった、という楽観的な見方が広がっていました。日本の伝統的な企業によくあるパターンです。ただ、マネジメントは、今回はより危機的な状況であるという認識を持っていました。

アリックスパートナーズのアプローチとしては、事業計画の前提条件の徹底的な精査を行って、希望的観測を排除した現実的なキャッシュフローシナリオを策定しました。つまり本当の事業の実力を、いったん数字に落としてみたということです。そうすると、市況が回復しても業績は浮上しないということが明確に見えてきた。こうして危機感の醸成を図りました。

次のポイントとして、社内でターンアラウンドの様々な施策が検討はされていましたが、具体性に欠けていてお題目だけになっていたり、表面的なものだったりしました。それを踏まえて我々としては、社内での検討状況は活用しつつも、さらに追加的な施策を加えて、包括的なターンアラウンド施策を立案しました。

計画の主な柱としては、1つはゼロベースでの組織と業務の見直しです。
2つめは商品構成の見直しとプライシング。収益の低い商品がありましたので、その商品をラインナップから落とす、あるいはプライシングを見直すなどで、プロダクトミックスを変えていきました。
3つめはサプライチェーンの再構築です。調達、製造、出荷、デリバリーまで、サプライチェーンをエンド・ツー・エンドで見た場合、様々な無駄が散見されました。エンド・ツー・エンドのサプライチェーンを再構築していって、物流網を再編したり、お客様へのデリバリーや調達のやり方を変えたりしました。

こういった包括的な施策を立案すると、どうしても痛みを伴う施策が出てきます。例えば組織変革ですが、個々の従業員のかたに影響する施策ですから抵抗があります。
総論賛成・各論反対になって、「私の部署でドラスティックな施策をやられると困る」という声が出てきます。一方で、各論反対をすべて受け入れてしまうと結局なにも起こらないので、痛みを伴う施策に踏み込んでいかなければならない。そこで我々がやったことは、現場での丁寧なコミュニケーションです。ひとつひとつの施策の必要性を丁寧に説明していきました。

一方で、1000人くらいの組織なので、すべての人が変革の方向性に100%満足・合意するということはありえない。最後の最後は、トップダウンの決断がないと組織は動かない。
この会社の場合素晴らしかったのは、社長が「アリックスパートナーズの方針通りやる。現場で中途半端に計画を歪めてマイルドにするのはやめてくれ」と言い切りました。そこで現場も肚をくくって退路がないことを認識しました。社長との間で信頼関係を構築できたというのが、ひとつの成功だと思います。

最後のポイントとして、これも日本企業でよくある話なのですが、計画は作るのだけれど、やり切る力が不足している。実行過程がトラッキングできていない。
これに関しては、すべての施策の進捗をアリックスパートナーズが週次でトラッキングして、問題が起きたら現場に入り込んで丁寧に問題を解決することによって、実行を担保しました。

フェーズ2:事業売却・カーブアウト

次は、カーブアウト・売却の局面です。この局面では経営課題がまったく変わってきます。
1つは従業員移管です。1000人くらいの組織を新会社に移管する必要があります。
日本の法制度では、一部の従業員の移管には本人の同意が必要になるので、対象となる人には、なぜ新会社に移っていただきたいのか、新会社でどういう未来があるのか、丁寧に説明するコミュニケーションプランを実行しました。それによって従業員のモラルの維持も実現できました。10ヵ月のカーブアウトフェーズが終わる頃には、新会社で新たにやっていこうという気運が生まれました。

2番目の資産移管ですが、生産拠点や建屋ごとに資産が混在していて、設備ごとに売却対象か、元の会社に残すものかが違っているという状況でした。両者にとってベストな形で資産を切り分ける、共通に利用するものの運用ルールを決めるなど、大変複雑なオペレーションでした。

3つめが、新会社になりますので、組織とオペレーションをまったくのゼロベースで設計しなければならない部分がありました。これまでは本社が担っていて事業部門にはなかった機能で、新会社として持たなければならないものもありました。
新会社としてどういう組織、どういうオペレーションにするかを、ゼロベースで設計しました。旧親会社との間で、共通の業務プロセスもありましたので、親会社と切り離す新会社との間でサービス契約を結ぶ必要があり、サービス契約の設計と契約交渉もやりました。

最後に、このカーブアウトの細かいタスクが完了していることが、売却契約成立要件でした。つまり買い手から見ると、きちんとした事業運営が行われ、独立した事業体になっていることが担保されている必要性があるということです。
すべての売却契約成立要件が満たされないと事業売却そのものが成立しないという厳しいものでしたが、プロジェクトの最後には、売却契約成立要件の完了を買い手との間で確認して、成功裏に終えることができました。

プロジェクトからの学び

1.5年にわたり、この会社に伴走したわけですが、そのなかで学んだことがあります。

1つは企業変革の可能性です。1.5年で、会社の形が全く変わりました。非常に売上が大きく複数の事業部門を抱える大企業だったのが、半分くらいの売上の、しかし高成長・高収益の企業に生まれ変わりました。その変革を、会社のメンバーと一緒に当事者となって取り組めた、これが我々としてのやりがいでした。

もう1つの学びはマインドセットです。プロジェクトを開始した頃は、危機感のない典型的な日本の大企業だったのですが、1.5年を経て、変革を機会と捉えて実行するというようにメンバーのマインドセットが大きく変わったことを実感しました。

日本企業はなかなか変わらないとよく言われるけれど、機会があれば日本の大企業でもマインドセットが変わるのだと思いました。

最後に、私にとってのやりがいということで言うと、一番大きかったのはクライアントからの評価でした。プロジェクトの最後に、「アリックスパートナーズと一緒でなかったらこれだけの変革は絶対に実行できなかった。
あなた方はコンサルタントやアドバイザーではなく、変革の同志だ」と言ってもらえて、非常に大きなやりがいを感じました。

難易度の高いプロジェクトに挑むためのチーム構成

大西:
幅広く、そして深く実績を上げられたわけですが、どういうメンバーで成し遂げられたのでしょうか。

熊谷様:
非常に難易度の高いプロジェクトだったため、異なる強みを持つ複数のメンバーでプロジェクトチームを組成しました。

具体的には、まずコンサルティング経験が豊富で、複雑な課題を複数の視点で分析して本質的な課題を見出すという、問題解決スキルに長けたメンバーに入ってもらいました。
2つめには、組織改革とかコスト削減の実行経験の豊富なメンバーです。
3つめは、カーブアウトが非常に重要なテーマでしたので、カーブアウト支援の経験のあるメンバーに入ってもらいました。また、このインダストリーで、実務に携わっていたメンバーにも入ってもらいました。
このメンバーには、一番難しかった工場のオペレーションの対応をしてもらったのですが、業界のことがよくわかっているので、仲間として認めてもらえて、一緒に課題を解決してくれる人と評価されて、最後は工場長の右腕という感じになりました。

こういった複数のメンバーが入り、多様性のあるチームを組成できたことが、成功に繋がったと思います。

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■求人:
経営戦略/企業・事業再生コンサルタント(SVP、Director)

■仕事内容:
●ファームの概要
当社は外資系上流戦略コンサルファームで、ターンアラウンド案件を得意としています。クライアントはグローバル企業で、自動車、TMT、コンシューマーなど幅広く対応。ハンズオンが特徴。

●経営改善
 −全社改革プログラム
 −DD、カーブアウト、M&A、PMI
 −売上向上、商品・価格最適化
 −オペレーション全般における収益改善
 −運転資金マネジメント
 −設備投資リターン最大化   等
                 
●企業再生(予防型、再建型、バリューアップ型)
 −診断
 −マネジメントサポート
 −暫定経営代行(暫定経営陣に就任するケースも多数あり)

●経営統合

■必要スキル:
●コンサルファーム(戦略系、FAS系、BPR系)でのプロジェクトマネージャー経験(4年程度以上)
●上記経験に加え、事業会社(マネジメント層)、PEファンドでの経験等
●オペレーション志向が強く、現場で力を発揮し結果を出せる方
●何らかの専門領域(業種、サービスライン等)を有す方
●ビジネスレベル以上の英語力
●国内外一流大学卒業(理数系尚可)

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)