取締役の裏側:そのデメリットと意外な責任とは?

取締役とは何か

取締役の定義と役割

取締役とは、会社法に基づいて会社の意思決定や方針を策定する役職です。いわば、企業の舵取りを担う重要な立場と言えます。その役割には、会社全体の戦略を考え適切な方向性を示すことが含まれます。また、代表取締役が選任されていれば、会社を代表して契約の締結などを行う責任も取締役にあります。しかし、これほど重要なポジションであるがゆえに、その責任は非常に大きく、しばしば「取締役になるとデメリットしかないのでは?」とさえ思われる一因になっています。

取締役の選任方法と仕組み

取締役は、株主総会で選任されるのが一般的です。この選任過程では、株主たちが多数決を行い、会社の経営を託すに足る人材を選びます。選任された取締役は、従業員とは異なり労働契約ではなく委任契約という立場で会社に仕えることになります。これにより、昇進が単なる肩書きの変化にとどまらず、従業員としての権利を失うという現実が伴うため、慎重に検討する人も多いのが現状です。また、取締役の任期は原則として2年で、その後更新が必要となります。この更新のたびに、会社との信頼関係を再確認する機会が訪れるのも一つの特徴です。

取締役会の有無による違い

会社によっては「取締役会」を設ける場合もあれば設けない場合もあります。取締役会が設けられていない場合、取締役自身が直接業務執行を行うことが多く、小規模な会社ではこの方式が一般的です。一方、取締役会を設けている企業では、取締役間で定期的に会議を行い、重要事項の決定や経営方針の議論を行います。この違いによって、取締役の役割や業務の進め方が大きく異なります。ただし、取締役会があるからといって責任が軽くなるわけではなく、むしろ多くの目が自分の判断をチェックするため、プレッシャーが増す場面もあります。責任の重圧が大きいことを考えると、取締役の立場にはデメリットも少なくないと言えるでしょう。

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取締役の責任範囲とリスク

法的責任とその範囲

取締役は「会社法」に基づく厳格な責任を負う立場にあります。具体的には、忠実義務や善管注意義務といった法的責務が課されており、その行動が会社の利益に反すると判断された場合、株主や第三者から損害賠償請求を受ける可能性があります。たとえ意図的ではなかったとしても、その結果に対して責任を負わなければならないため、取締役には慎重な判断が求められます。デメリットしかないと感じる人もいるのは、この責任の重さが理由の一つです。

経営判断とその重圧

取締役は会社の方針を決定する重要な役割を担います。そのため、日々の経営判断が会社全体に与える影響は計り知れません。一つの誤った判断によって、会社の経営が傾き、最悪の場合は倒産の危機に直面する可能性もあります。このプレッシャーは、従業員の立場では想像しにくいほど大きなものであり、心理的な負担も相当なものになります。それだけに経営判断の瞬間ごとの責任は大きく、昇進としての価値を行使する一方で、多くの重圧を背負うことになります。

連帯保証人としてのリスク

取締役は会社の経営に深く関わるため、ときには会社の借入金や重要な契約において連帯保証人としての役割を求められる場合があります。特に中小企業では、取締役が個人資産を担保にすることも少なくありません。もし会社が債務不履行に陥った場合、連帯保証人となった取締役は自らの財産で借金をカバーしなければならないリスクがあります。このような財政的なリスクが伴うため、取締役に昇進することは必ずしもメリットばかりではありません。

ステークホルダーへの説明義務

取締役は、株主や取引先、従業員など、さまざまなステークホルダーに対して会社の決定や結果について説明を行う重要な責任を負います。特に、経営状態が悪化した場合や方針を転換する際には、説明不足が不信感を招き、会社全体の信用問題に発展するリスクがあります。こうした場面で的確に説明を果たすには、専門知識や迅速な問題解決能力が求められます。しかし、この責務は多くの時間とエネルギーを消費し、孤独感やストレスを感じる原因にもつながるため、取締役のデメリットと感じる人も少なくありません。

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取締役のデメリット

労働者としての権利を失うこと

取締役になると、労働契約が解消され、労働者としての法律上の権利が失われます。これにより、残業代や年次有給休暇といった基本的な労働者の権利に基づく待遇を受けられなくなるのです。また、取締役は会社法に基づきその役割と責任が定義されているため、労働者の立場から一線を画す存在として取り扱われます。そのため、立場の変化に伴うリスクを十分認識し、慎重に判断する必要があります。

雇用保険や福利厚生の適用外

取締役になると、雇用保険や労災保険の対象外となります。これにより、失業時の給付金を受け取ることはできず、業務中に負傷しても健康保険の自己負担が大きくなる場合があります。社員として得られる福利厚生が取り除かれることは、特に解任や会社の経営状況が悪化した際に重大なデメリットとなる可能性があります。このような仕組みを知らないまま昇進を承諾すると、後々後悔することにもつながりかねません。

経営状況が悪化した際の責任

取締役には会社の経営状況に対する責任があります。たとえ個別の経営判断が間違っていなくても、会社が赤字や経営破綻に陥れば、その責任を一定程度負わされる立場になります。特に、連帯保証人として会社の借入に関与する場合、個人資産が危険にさらされるリスクもあります。このような状況下では、「取締役はデメリットしかない」と感じるのも無理はありません。

業務における孤立感

取締役になると、意思決定を行う立場であるため、労働者との関係性に一定以上の距離が生まれることがあります。また、自身の判断が大きな責任を伴う場合も多く、相談できる相手が限られることから孤立を感じやすくなることも少なくありません。さらに、会社の経営状況が厳しい場合や難しい決断を迫られる場面では、その重圧や孤独感が増すとも言えます。このような点で取締役ならではの心理的な負担も大きなデメリットとして挙げられるでしょう。

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知っておきたい取締役の意外な側面

個人資産への影響

取締役として責任を果たす立場になると、個人資産にも大きな影響を受ける可能性があります。たとえば、もし会社が債務不履行に陥ったり、法的トラブルに巻き込まれたりすると、取締役自身が個人保証を求められるケースもあります。特に中小企業で取締役を務める場合、会社と個人の資産が密接に関連しやすいため、一度トラブルが発生すると自己資金を投じて解決を図らなければならない場面も想定されます。このようなリスクは、会社が順調なときには見えづらい点でもあり、取締役には意外なデメリットが潜んでいるのです。

家族や周囲への影響

取締役としての立場は、個人だけでなく家族や周囲にも影響を及ぼします。経営判断におけるストレスや長時間労働は取締役特有であり、家庭生活に支障をきたす場合があります。また、万が一会社の経営が行き詰まった場合、取締役の個人的な信用に影響を及ぼす可能性も十分にあります。そのため、取締役は家族や周囲のサポートのもとで就任を検討する必要があるでしょう。特に「取締役 デメリットしかない」と感じる人にとっては、このような側面が一層重荷となりがちです。

取締役が経験できるやりがいの一方

一方で、取締役として経験できるやりがいも無視することはできません。取締役は会社の方針や将来のビジョンを自らの手で形にできる立場にあります。特に規模の小さな企業では、意思決定がダイレクトに会社の成長に結びつくため、それに比例して達成感を感じられることが特徴です。また、取締役らしいスキルや責任感を身につけることで、個人としての成長も体感できるポジションです。しかし、こうしたやりがいがあるからこそ、そのリスクと向き合う覚悟が求められることを忘れてはいけません。

専門知識が求められる領域とは

取締役が携わる業務は、一般的な従業員よりも専門的な知識が必要とされる場面が多いです。企業の法務や財務、経営戦略など、多岐にわたる知識が求められ、それを適切に運用するスキルが不可欠です。特に取締役会が存在する企業では、自身の提案や意見を論理的かつ説得力を持って伝える能力が問われます。そのため、取締役には自己研鑽の姿勢が欠かせません。これらの専門知識を磨くことで取締役としての役割を全うできる一方、知らない領域が多ければ多いほど困難を感じることも理由の一つとして挙げられます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。