知って得する!会社役員が確定申告で受けられる税制メリット

会社役員が確定申告を行う意義

確定申告は役員にも必要?義務と例外を解説

会社役員が確定申告を行う意義を考える前に、まず確定申告が役員にも必要かどうかを押さえることが重要です。一般的に、役員報酬は給与所得として源泉徴収や年末調整が行われており、これらの手続きを経ていれば確定申告が不要となる場合も多いです。しかし、以下の条件に該当する場合は、取締役をはじめ会社役員にも確定申告が必要となります。

– 年間給与収入が2,000万円を超える場合

  • 他の報酬や副収入が年間20万円を超える場合
  • 2ヶ所以上から役員報酬や給与を受けており、年末調整の対象外となる収入がある場合

また、たとえ確定申告の義務がなくても、雑損控除や医療費控除、寄附金控除などの各種控除を受けるために申告を行うことで、税金を軽減できる場合もあります。そのため、会社役員は自身の所得状況や控除の可能性をしっかりと確認することが重要です。

確定申告を行うことで得られる主なメリット

確定申告を行うことで、会社役員にはさまざまなメリットが得られます。特に、各種控除の適用や税金の還付を受けることが大きなポイントです。たとえば、医療費が一定額を超えた場合に利用できる医療費控除や、特定の寄附金を支払った場合の寄附金控除を活用することで、納税額を軽減することが可能です。

また、繰越控除を活用することで、赤字を翌年以降の所得と相殺し、節税につなげることもできます。役員報酬を受け取る一方で副収入がある場合でも、確定申告を行うことで税制上の優遇措置を最大限活用できる点が、役員にとって大きなメリットといえます。これらを適切に利用するためには、自身の収入や税務状況を正確に把握することが欠かせません。

役員報酬に関する税制の特例とは?

役員報酬に関する税制には、一般の給与所得者とは異なる特例や制限が存在します。例えば、役員報酬も「給与所得控除」の適用対象となりますが、個人事業主のように全額を経費として計上することはできません。これは、役員報酬が会社の経営判断に基づき設定されるため、税務上の取り扱いが厳格化されていることが理由です。

さらに、同族会社の役員の場合、給与所得以外に例えば貸付金や不動産賃貸収入などがある場合、それらも20万円以下であっても申告が必要になるという特例があります。このようなポイントを押さえておくことで、必要以上の税負担を避け、適切な申告が可能となります。

確定申告を怠るリスクとは?

確定申告を行わない、または遅れることで生じるリスクは非常に大きいといえます。主なリスクとして、ペナルティとしての延滞税や無申告加算税の発生があります。特に会社役員は不動産収入や配当金など複数の収入源を持つことが多いため、それらを適切に申告しない場合、高額な追徴課税が科される可能性があります。

また、確定申告を怠ることで節税の機会を逃すだけでなく、税務調査の対象になるリスクも高まります。一度指摘を受けると、今後数年間にわたり税務署の監視下に置かれる可能性もあるため、役員報酬を受けている取締役の方々は特に注意が必要です。適正かつタイムリーな申告を行うことで、これらのリスクを回避することができます。

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会社役員が活用できる節税制度

ふるさと納税で税額を軽減するコツ

会社役員であっても、ふるさと納税を活用して税額を軽減することが可能です。ふるさと納税は、指定した地方自治体に寄付を行うことで、住民税や所得税が控除される仕組みです。役員報酬を得ている取締役の場合、寄付金控除の対象となる所得額が高くなることが多く、その分控除の恩恵を多く受ける可能性があります。

節税効果を最大限に得るためには、ご自身の年間所得額や住民税の計算基準を確認し、最適な寄付金額を算出する必要があります。また、ふるさと納税の申込みには確定申告が必要なケースがあるため、寄附先が複数にわたる場合は漏れなく手続きを行いましょう。

住宅ローン控除を最大限に活用する方法

住宅ローン控除は、住宅を購入してローンを組んでいる場合に、一定の条件に基づいて所得税および住民税が還付・軽減される制度です。役員報酬を得ている会社役員の場合でも、この控除を活用することで効果的に税額を減らすことが可能です。

ポイントは、控除の適用条件を満たしているかどうかを確認することです。具体的には、住居の居住年やローンの返済期間、借入金の残高などが関係します。特に、取締役として高額の役員報酬を得ている場合、余った控除額が住民税に適用されるため、より多くの節税効果が期待できます。ただし、控除を受けるためには確定申告が必須となるため、申告書類の提出を忘れないよう注意が必要です。

医療費控除を利用した節税術

医療費控除は、一定額を超える医療費を支出した場合に適用される制度で、会社役員も対象となります。この控除を受けることで、課税所得が減り、結果的に税負担が軽減されます。家族全員が医療費控除の対象となるため、一世帯の医療費を合算することでより大きな控除を受けることが可能です。

節税効果を高めるには、領収書や証明書をしっかり保管し、事前に医療費の記録を整理しておくことが重要です。また、保険金で補填された部分は控除の対象外となるため、その点も注意しましょう。確定申告の際には、必要書類を適切に準備することで、スムーズに控除を受けられます。

生命保険料控除とその手続き

生命保険料控除は、支払った生命保険料に応じて所得税や住民税が軽減される制度です。役員報酬を得ている会社役員もこの控除を利用することで、税負担を軽減することができます。生命保険料控除は、「一般生命保険」「個人年金保険」「介護医療保険」の3つの区分に分かれ、それぞれに上限額が設定されています。

控除額を正確に計算し、適切に申告するためには、保険会社から送付される控除証明書を確定申告書に添付する必要があります。また、既に年末調整を済ませた場合でも、更に控除を受けたい保険料がある場合には、自身で確定申告を行うことで追加申請が可能です。このような控除制度を積極的に活用することで、役員としての所得税を最小限に抑えることが期待できます。

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役員報酬における税金計算の基礎知識

源泉徴収の仕組みと役員報酬

役員報酬は、「給与所得」として税法上取り扱われます。そのため、一般の給与と同様に、支給時には「源泉徴収」が行われます。源泉徴収とは、支給額から所得税を差し引き、会社が国に納める仕組みです。取締役を含む会社役員に支払われる報酬もこの制度の対象となり、年末調整によって、その年の税金の過不足が調整されます。

しかし、年間給与収入が2,000万円を超える場合や、複数の収入源を持つ場合には、年末調整だけでは完了せず、確定申告が必要です。このようなケースでは、確定申告を通じて正確に税額を計算し、追加納税や還付の手続きを行います。

給与所得控除の計算方法をわかりやすく解説

役員報酬には給与所得控除が適用されます。給与所得控除とは、収入の全額に課税されるのではなく、収入に基づいて一定の控除額が差し引かれる仕組みです。ただし、控除額の計算方法は収入額に応じて異なります。

たとえば、年間給与収入が850万円以下の場合、控除額は「収入 × 40% + 10万円」です。一方で、収入が850万円を超えると控除額の算定方法が変わるため、高収入の役員が確定申告を行う場合は、この点に注意が必要です。給与所得控除によって課税所得が減少するため、役員報酬における適切な控除の適用により、節税効果が得られます。

同族会社の特例と申告での留意点

同族会社の場合、役員報酬に関連する税金計算では特例が適用され、確定申告の精度を高める必要があります。同族会社とは、一族や親しい間柄の人々で構成される企業を指します。このような会社の取締役が確定申告を行う場合、給与とは別の収入源(たとえば、会社への貸付金の利子収入や会社名義の賃貸収入)にも注意を払う必要があります。

同族会社の役員は、自身の役員報酬以外の収入も含めて確定申告を行わなければなりません。特に、貸付や不動産収入などがある場合は、これらの金額が20万円以下であっても申告が必要となる場合があります。同時に、申告にあたっては利益操作とみなされないよう、適正な計算を行うことが重要です。

分配金や配当金の扱いについて

会社役員が受け取る分配金や配当金は、給与所得とは別に「配当所得」として扱われます。この配当所得は、役員報酬のように源泉徴収されるのではなく、原則として確定申告で申告する必要があります。ただし、上場企業の株式の配当金など一定の条件を満たすものは、申告不要制度を選択することも可能です。

また、分配金や配当金には「配当控除」が適用されるケースもあります。これは、二重課税を防ぐために設定されたもので、確定申告を行うことにより、配当所得の一部について税金が軽減されます。会社役員である取締役は、この制度を活用することで税負担を抑えられる可能性があるため、収入内容に応じた適切な申告が欠かせません。

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効果的な確定申告の準備と手順

確定申告に必要な書類とその収集方法

会社役員が確定申告を行う際に必要な書類は、正確な申告を行うための基盤となります。基本的に準備すべき書類として、源泉徴収票があります。この書類は勤務先から役員報酬の支払い内容や源泉徴収された税額が記載されたもので、毎年1月下旬頃に発行されます。そのほか、医療費控除を活用する場合は医療機関からの領収書、また寄附金控除を受ける際には「寄附金受領証明書」が必要です。同時に、副収入がある場合はそれらを証明する収支内訳書も求められることがあります。

これらの書類を適切に収集するには、早期からの準備が肝要です。特に、領収書や必要な証明書は普段から整理し、見つけやすい状態を保つことを心がけましょう。また、不足がある場合は事前に金融機関や関係機関へ再発行を依頼することで、スムーズに申告準備を進めることが可能です。

申告書類の作成を効率化するツール活用法

確定申告の手続きを効率化するためには、デジタルツールの活用が効果的です。近年では、国税庁の「e-Tax」や会計ソフトが広く利用されています。これらのツールを使用することで、面倒な計算作業を自動化し、正確な申告書を作成することができます。

例えば、e-Taxではインターネットを通じて確定申告書を提出できるため、税務署へ出向く手間を省けます。また、会計ソフトには銀行口座やクレジットカードとのデータ連携機能が備わっているものが多く、日々の収支を自動的に分類することも可能です。会社役員として時間が限られている場合でも、このようなツールを活用することで効率よく申告準備を進められるでしょう。

期限や手続きにおける注意点

確定申告を行う際は、期限を守ることが最も重要です。基本的に、確定申告の提出期間は毎年2月16日から3月15日までとされています。この期間内に提出しない場合、延滞税や加算税が課される恐れがありますので注意が必要です。

さらに、取締役のような会社役員の場合、給与収入以外に副収入がある場合も多いため、それぞれの収入に応じた申告が求められます。また、誤った内容での提出は修正申告を行う手間がかかるため、事前の準備や確認を怠らないことが大切です。時間の確保が難しい場合は、早めに顧問税理士に相談することをおすすめします。

顧問税理士の選び方と依頼のポイント

確定申告が複雑な場合、顧問税理士のサポートを受けることで負担を大幅に軽減できます。特に、取締役などの会社役員は役員報酬や副収入、さらには控除の多岐にわたる手続きが必要となるため、経験豊富な税理士を選ぶことがポイントです。

顧問税理士を選ぶ際は、まずその税理士が確定申告に関する実績を豊富に持っているか確認しましょう。また、定期的な面談やコミュニケーションが可能かどうかも重要です。さらに、料金体系が明確で、顧客に合わせた柔軟なサポートが得られる税理士を選ぶことで長期的な信頼関係を築けます。

税理士に依頼する際は、早めの相談が功を奏します。資料を余裕をもって共有することで、適切なアドバイスや対策が得られるだけでなく、税制メリットを最大限に活用できる可能性が高まります。

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会社役員が知っておきたいよくある質問

確定申告が必要なケースと不要なケース

会社役員が確定申告をする必要があるかどうかは、所得の状況や収入源の数によって異なります。一般的に、役員報酬を1か所の会社から受け取っている場合は、年末調整で手続きが完了するため確定申告は不要です。しかし、年収が2,000万円を超える場合や、副収入として20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要となります。

また、2か所以上の会社から役員報酬や給与を受け取っている場合、年末調整の対象外となる収入が20万円を超えた場合にも確定申告が求められます。同族会社の役員で、給与以外の貸付金利子や賃貸収入を得ている場合も、金額に関わらず申告が必要となる点に注意が必要です。

なお、確定申告が不要な場合でも、医療費控除やふるさと納税などの控除を活用すると節税に繋がるため、積極的に申告を行う意義があります。

今からでも間に合う青色申告の導入方法

青色申告は、適正な会計処理を行うことで税制上のメリットを享受できる制度です。会社役員として個人事業を兼業している場合、この制度により所得控除や損失の繰越控除などの恩恵を受けることができます。

青色申告を始めるためには、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。この申請は、その年の3月15日までに行うことが必要ですが、今からでも準備は可能です。申請後は、原則として複式簿記に基づいた帳簿記録を行い、収支決算書や貸借対照表の作成が求められます。

また、青色申告では最大65万円の青色申告特別控除が認められ、節税効果が高い点が魅力です。申請や記帳が難しい場合は、税理士に相談することも有効です。

個人事業との兼業役員の場合の申告ポイント

会社役員が個人事業を兼業している場合、役員報酬は「給与所得」、個人事業の収入は「事業所得」としてそれぞれ扱われます。この場合、確定申告で両方の所得をまとめて申告する必要があります。また、青色申告を取り入れていれば、事業所得で赤字が発生した場合に、それを給与所得から差し引くことが可能です。

ただし、勤務先である会社との取引が主である場合には、税務署から「給与所得より不利に扱われる」可能性があるため注意が必要です。このようなケースでの申告には、正確な書類づくりと税法の理解が求められます。

顧問税理士に相談することで、こうした複数の所得を適切に処理し、節税を図ることができます。

申告未経験でも対応可能なサポート体制

確定申告未経験の役員であっても、安心して手続きを進めるためのサポート体制は幅広く整っています。税務署での相談窓口や、国税庁のオンラインシステム「e-Tax」がその代表例です。これにより、初めての方でも効率的に書類作成や提出が可能です。

また、取締役として業務に忙しい場合でも、税理士への依頼を検討することで、時間的な負担を軽減しつつ正確な申告が可能となります。特に複雑な役員報酬の申告や、控除項目の活用には専門家の知識が大いに役立ちます。

確定申告は、正しく行うことで節税効果や還付を得られる重要な手続きです。サポートを活用し、制度を積極的に利用することが得策といえます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。