コトラ（広報チーム） 
1. 大卒の平均年収を知る: 全体像を掴む
日本全体における大卒の平均年収とは？
最新の統計データによると、日本における大卒の平均年収は約599.2万円となっています。これは、全国平均年収の460万円と比較しても高い水準といえます。また、男女別に見ると男性が655.3万円、女性が470万円と差が見られる点が特徴です。この平均年収には基本給だけでなく、各種手当や平均年間賞与も含まれています。
大卒と高卒・専門卒との年収の差
大卒者は他の学歴層と比較して、高い年収を得られる傾向にあります。具体的には、高校卒の平均年収が357万円、専門学校卒が379.2万円、高専・短大卒が417.9万円とされています。この違いは初任給の差が蓄積され、キャリアを重ねることでさらに年収格差が拡大することが大きな要因です。
データ元と計算方法: 信頼性を確認
平均年収に関する数値は、「令和5年賃金構造基本統計調査」や人材サービス企業のdodaの調査結果など、信頼性の高い情報源から得られています。これらのデータは、給与明細に基づく基本給・手当・賞与の合算値を基に算出されています。そのため、労働市場や経済トレンドの変化を反映した現実的な数字といえます。
中央値と平均値の違いを理解しよう
年収を理解する上で「平均値」と「中央値」の違いを知ることは重要です。平均年収は全員の収入を合計し、労働者数で割った値であり、特に収入が高い人が一部いる場合、全体を高く見せる傾向があります。一方、中央値は、労働者を年収順に並べた際に真ん中に位置する金額を指します。日本の全体的な年収中央値は380万円であり、大卒者の平均年収599.2万円と比較するとギャップがあることが分かります。
生涯賃金の観点から見る学歴別年収
生涯賃金の観点から見ると、大卒者は高卒や専門卒者を大きく上回る収入を得る傾向があります。例えば、大卒者は一生涯で約2億5000万円以上を稼ぐと言われていますが、高卒者は約2億円前後とされています。この差は、主にキャリアの初期段階での給与の違いに加え、昇給や昇進のスピードにも影響されます。学歴が収入に直接結びつく現実は、キャリア形成における重要なポイントとなっています。
2. 男女別で見る大卒者の平均年収の実態
男女間で異なる大卒の年収差はどのくらい？
大卒者の平均年収を見ると、男女で大きな差があることがわかります。最新のデータによると、大卒男性の平均年収は655.3万円であるのに対し、大卒女性の平均年収は470万円と、約185万円の差が生じています。また、平均的な正社員の年収中央値を見ても、男性が420万円であるのに対し、女性は340万円と男女差が顕著です。この差は、産業構造や雇用形態、昇進機会の違いなど、複数の要因によって生じています。
男性の年収が高い理由はどんな業界にある？
男性の大卒者が高い平均年収を得やすい理由として、総合商社や金融業界といった年収水準が高い業界への就職が挙げられます。これらの業界では、成果主義が評価されやすく、昇進のチャンスも多いのが特徴です。また、IT業界のエンジニア職や製造業の管理職に進む男性も多く、これらの職種は専門性が求められるため比較的高い年収を獲得しやすい傾向があります。一方で、男性が長時間労働や転勤などに比較的柔軟に対応できる点も、収入アップに繋がっていると考えられます。
女性の年収に見られる特徴と課題
女性大卒者の年収にはいくつかの特徴がみられます。一般的に、女性は男性に比べて事務職やサービス業などの給与水準が比較的低い職種に就きやすい傾向があります。また、給与やボーナスに影響を及ぼす管理職への昇進率が男性よりも低いことも課題のひとつです。その原因としては、育児や介護といったライフイベントへの対応が女性に偏りやすい社会構造が挙げられます。ただし、近年ではITやクリエイティブ業界など、成果が個人ベースで評価されやすい分野で活躍する女性も増えており、これが収入面での課題克服の一助となる可能性も期待されています。
育児やライフイベントは年収にどう影響？
育児や結婚などのライフイベントが、特に女性の年収に大きな影響を及ぼしているのが現状です。産休や育休、時短勤務の取得によって労働時間が短縮され、その結果として収入が減少することがあります。また、家庭の優先によりキャリア断念やキャリアチェンジを余儀なくされる女性も多く、これが年収格差の一因となっています。近年では男性の育休取得も促進されつつありますが、まだまだ男女平等な環境とはいえない状況です。企業側の柔軟な働き方改革も必要不可欠です。
男女で収入差が小さい業界を探る
男女間で収入差が比較的小さい業界として、医療・教育分野が挙げられます。これらの業界では、男女問わず資格や専門性が重視されるため、成果評価に基づいた公平な給与体系が導入されています。また、IT業界でも、プログラマーやデザイナーなど個々のスキルが収入につながりやすい職種では、男女の格差が目立たなくなる傾向があります。さらに最近では、副業やフリーランスを通じて収入を補う人が増えており、このような働き方の普及が男女の年収差を縮小する一助になりつつあります。
3. 年代別・キャリア別で変わる年収
20代から50代: 年代ごとの大卒平均年収の推移
大卒者の平均年収は年代によって大きく変動します。20代では働き始めであることから比較的低く、25～29歳では男性で327.3万円、女性で307万円が目安と言われています。30代以降は経験を積むにつれて収入が上がり、40代50代ではさらに上昇する傾向があります。例えば、dodaのデータによれば40代の平均年収は519万円、50代では607万円となっており、キャリアの成熟が年収の増加に寄与していることが分かります。
初任給からどう成長する？若手大卒の収入状況
大卒者が社会に出た際の初任給は、企業の規模によっても大きく異なるものの、20代前半では年収が約350万円前後です。しかし、勤務年数やスキルアップによって25～29歳にはさらに収入が増え、30代を迎える頃には45万円近く上昇するのが一般的です。この期間は特にキャリア形成の土台を築く重要な時期であり、自己投資やスキル磨きが年収向上のポイントになります。
中堅社員と年収: 昇進と年齢がもたらす影響
30代から40代にかけては、昇進や役職に就くことによって年収がさらに上昇します。この時期は中堅社員として組織の中で大きな役割を担うため、リーダーシップやマネジメント能力が求められることが多くなります。たとえば管理職への登用が年収増加に大きく影響を与え、キャリアの分岐点となることが多いです。
経営層や管理職における年収の差
経営層や管理職に昇進すると年収が飛躍的に高まります。日本全体のデータを見ても、昇進者の年収は同年代の平均より大幅に高くなります。特に男性ではこの傾向が顕著で、トップクラスのポジションでは年収1000万円を超える事例も少なくありません。しかし一方で、女性管理職の割合が低いことから、男女間での年収差が依然として課題となっています。
成果主義と年齢主義: 年収に与える影響
近年、日本の企業では成果主義が徐々に浸透しつつあります。年齢や勤続年数ではなく、職務遂行能力や業績によって報酬が決まるケースが増えています。それでもなお、多くの企業では年齢主義が根強く残っており、特に中堅社員以上では勤続年数に基づいた給与体系が一般的です。若い世代にとっては成果主義を活用して早期に高収入を得る機会がある一方、経験が伴う年齢主義も全体の平均年収の１つの鍵となります。
4. 業種・職種別で見る大卒の年収ランキング
総合商社や金融業界: 年収トップの要因
総合商社や金融業界は、大卒者の中でも特に高い平均年収を誇る業界として知られています。これらの業界では、男性の平均年収が特に高くなり、800万円を超えるケースも少なくありません。この要因としては、国際的な取引や大規模な資本運用による高い収益構造、加えて成果主義を取り入れた報酬体系が挙げられます。また、企業の多くが福利厚生や年俸制を導入しているのも、業界全体の平均年収を押し上げている要因と言えるでしょう。
IT業界やベンチャー企業の収入の実態
IT業界は近年、大卒者にとって有望なキャリアの一つとされ、特にエンジニアやプログラマー、データサイエンティストなど専門スキルを要する職種の年収が高い傾向にあります。大手IT企業では30代で平均年収が600万円を超えることも珍しくなく、スタートアップやベンチャー企業でも成果に応じた報酬が支給される場合があります。ただし、ベンチャー企業では企業の成長や収益状況に依存するため、年収の幅が非常に大きいのが特徴です。
製造業や小売業など、安定した業種の年収動向
日本を代表する製造業や小売業は比較的安定した業種として知られています。大卒者の平均年収は他の業種に比べ控えめではありますが、キャリアを積み上げることで中堅社員や管理職として年収が増加する傾向があります。具体的には製造業の平均年収は450万円から600万円と、年齢や役職によって幅があります。一方、小売業では400万円台が中心で、女性が多く活躍する現場では男女間の年収差も少ない点が特徴です。
専門職と一般職: 職種による年収の違い
職種別に見ると、専門職と一般職では明らかに年収の差が見られます。たとえば医師や弁護士、コンサルタントといった専門職は初任給から300万円～400万円台と高めであり、キャリアを積むことでさらに高年収を期待できます。一方、事務職や営業職などの一般職では初任給が低い傾向にあり、男女別で見ると男性の年収が高い傾向にあるのが課題です。この違いは、必要な資格や専門スキルの有無が主な要因として挙げられます。
成長業種と衰退業種の収益性の影響
経済環境や消費者ニーズの変化に伴い、成長業種と衰退業種にも大きな差が生まれています。成長業種としては、例えばIT業界や医療関連、環境ビジネスなどが挙げられます。これらの業界は市場規模が拡大していることから、大卒者の年収も上昇傾向にあります。一方、衰退業種とされる一部の製造業や出版業界では、企業収益の低下が要因となり、年収が横ばいまたは減少する傾向が見受けられます。こうした業界構造の変化が、大卒者のキャリア選択にも影響を与えています。
5. 高い年収を望むには: 大卒者が押さえるポイント
転職による年収増: 成功するためのコツ
平均年収を上げるために転職は効果的な選択肢の一つです。しかし、成功させるためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。まず、自身の市場価値を把握することが重要です。現在の職務内容やスキル、過去の実績を明確に整理し、応募企業でどのように貢献できるかを伝える準備を整えましょう。
さらに、業界ごとの年収傾向を把握し、自分が十分な成果を発揮できる分野に焦点を当てましょう。たとえば、大卒者の平均年収が高い業界として知られる総合商社や金融業界は、男性を中心に高収入が期待できます。ただし、圧倒的な競争があるため、自己成長の努力を怠らないことも重要です。なお、転職エージェントや人材紹介サービスを活用することで、より良い条件を引き出す支援が受けられるでしょう。
キャリアアップを見据えた資格取得とスキル
年収を高めるためには、資格取得やスキルの向上を日々意識することが重要です。特に、業界ごとに求められる専門知識や技術に精通している人材は、高い評価を得やすい傾向があります。たとえば、IT業界であればプログラミングスキルやクラウド関連の資格、金融業界ならファイナンシャルプランナー(FP)や日商簿記が有利とされています。
また、大卒という学歴を持つことで資格の前提条件をクリアできることも多く、この点を活かし効率的にキャリアアップを目指すことが可能です。年齢や就業環境に応じて隙間時間を活用し、効率的に学ぶ環境を整えましょう。スキルアップを通じて男性・女性問わず収入に直結する結果が得られやすくなります。
高収入につながる業界トレンドを把握する
高い年収を得るためには、業界ごとのトレンドを理解し、収益性が高い分野で活躍することが効果的です。市場成長の著しい分野は、給与が高いだけでなくキャリアの伸びしろも期待できます。たとえば、IT業界やデジタルトランスフォーメーションが進む業界では、最新の技術を活用できる人材の価値が年々高まっています。
こうしたトレンドをいち早く把握するために、業界ニュースのチェックやプロフェッショナル向けのイベントに参加することをおすすめします。情報を基に適切な行動を取ることで、大卒者としてのメリットを最大限活かせる環境に進むチャンスをつかむことができるでしょう。
副業での収入増加: 制度活用のヒント
大卒者の平均年収をさらに引き上げたい場合、副業の活用も選択肢の一つです。特に近年は副業を解禁する企業が増えており、労務管理や税務面の注意を払えば、十分に追加収入を得ることが可能です。たとえば、ライティングやプログラミング、デザインなどのスキルを活かした副業は、隙間時間で始めやすく需要も高い傾向があります。
また、会社員のまま副業を行う場合、現行の副業・兼業の法律や企業の規則をしっかり確認することが重要です。正社員としての安定した収入を維持しながら、スマートに副業を進めることで、職場環境とのバランスを保ちながら収入を増加させられます。
大卒のメリットを最大化する働き方
大卒者として得られる最大のメリットは、選択肢の多さです。職種や業界、役職への道が広がるため、自分に合う働き方を追求することが可能です。ただし、キャリアプランをしっかりと描かないと、このメリットを十分に活かせない場合もあります。
例えば、男性は高収入の職種・業界でキャリアを積むことで、コアなポジションに進む可能性が高まります。一方、女性はライフイベントと仕事のバランスを取りながらも、専門性の高いスキルを武器にすることで長期的な収入増が期待できます。自分が目指す働き方を明確にし、それを実現可能な職場環境を選ぶことが、最終的に年収アップにつながるのです。
