知らないと危険!ランサムウェアが使う巧妙な感染経路を解説

ランサムウェアとは?その基本的な仕組み

ランサムウェアの定義と特徴

ランサムウェアとは、コンピュータやサーバに感染し、内部のデータを暗号化して使用不能にする悪意のあるプログラムのことです。その後、攻撃者から復号の手段として金銭や暗号資産を要求されるケースが一般的です。感染後には、「データを復旧したければ一定額を支払うように」といったメッセージが表示される感染画面が現れることが多くなっています。

ランサムウェアの特徴として、次の点が挙げられます。一つ目は、暗号化手法を用いて被害者のデータを実質的に人質に取る行為です。二つ目は、感染ルートが多岐にわたることです。不正なメール、VPNやRDPの脆弱性、さらにはUSBデバイスの使用など、さまざまな経路を通して侵入します。最後に、近年では感染だけでなく、データの窃取や公開といった脅迫を伴う「二重恐喝(ダブルエクストーション)」が増加している点も警戒が必要です。

感染後の被害とその影響

ランサムウェアに感染すると、深刻な被害が発生します。たとえば、企業の重要なデータが暗号化され、業務が停止する事態を招くことがあります。また、感染後にはしばしば金銭や暗号資産の支払いを求める感染画面が表示され、企業や個人に大きな心理的なプレッシャーを与えます。

さらに、単なるデータの暗号化にとどまらず、攻撃者がデータを窃取し、「公開する」と脅迫するケースもあります。このような手口は、被害者をより強力に圧迫し、金銭を支払わせる効果があります。特に機微な情報を含むデータが外部に漏洩した場合、組織の信用失墜や多額の損害賠償請求など甚大な影響を及ぼします。

また、ランサムウェアの攻撃は企業や組織に限らず、自治体や医療機関など重要な公共サービスにまで及び、社会全体に混乱をもたらしています。

ランサムウェアの進化と増加する脅威

ランサムウェアの攻撃手法は年々巧妙化しており、現在も進化し続けています。以前は、不特定多数をターゲットにした攻撃が中心でしたが、近年では特定の企業や組織を狙った高度な攻撃が増加しています。その背景には、「Ransomware as a Service(RaaS)」の拡大があります。これは、攻撃ツールを購入またはレンタルする形で使えるようにしたビジネスモデルで、多くの攻撃者が気軽にランサムウェアを活用できる環境を生み出しています。

加えて、「ダブルエクストーション」や既存のセキュリティ対策を回避する新たな攻撃手法が登場しています。たとえば、感染後にDDoS攻撃を行い、さらなる混乱を引き起こすケースや、攻撃対象のサプライチェーンを狙うサイバー攻撃も確認されています。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、ランサムウェアを「組織に対する最大の脅威」と位置付けており、対象組織の特徴を分析しながら巧妙に仕組まれる攻撃に警戒を呼びかけています。

ランサムウェアは今後も進化を続けることが予想され、対策の重要性がさらに高まっています。早期の対応と適切な予防策を講じることが被害の防止に繋がります。

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ランサムウェアが使う主な感染経路

不審なメールや添付ファイルを経由した感染

ランサムウェアの感染手口として最も一般的なのが、不審なメールや添付ファイルを利用した攻撃です。攻撃者は、実在する企業や知人を装った巧妙なフィッシングメールを送信し、受信者が不意に添付ファイルを開いてしまうことで感染させます。例えば、請求書や納品書といった実務に関係するような文面に偽装されたファイルが使用されることが多く、開封後にランサムウェアがシステムに侵入してデータを暗号化します。不審なメールを受け取った場合は、添付ファイルやリンクを絶対に開かず、メール本体を削除することが重要です。

ウェブサイトの改ざんを利用した攻撃

ウェブサイトの改ざんを利用したランサムウェア感染も増加しています。攻撃者は正規のウェブサイトを改ざんし、アクセスしただけでマルウェアがダウンロードされる仕組みを仕掛けます。この手法は特に、セキュリティパッチが未適用のブラウザやプラグインを利用している場合に効果を発揮します。感染画面が突然表示されることも多く、ウェブサイト閲覧中に金銭要求のメッセージが出るような場合は、この手口が疑われます。信頼性の高いセキュリティ対策を導入し、不審な広告やポップアップウィンドウには決してアクセスしないようにしましょう。

ソフトウェアの脆弱性を悪用した手法

ランサムウェアの感染経路として、ソフトウェアの脆弱性を悪用する手法も非常に多く見られます。特に、未更新のOSやアプリケーションにおいてセキュリティホールが攻撃されるケースが一般的です。また、企業のVPN機器やサーバ構成の脆弱性を介した攻撃も増加しています。これらの攻撃では、システムの裏側に侵入し、ユーザーが気づかないうちにランサムウェアを埋め込むという手口が取られます。定期的なアップデートやセキュリティパッチの適用は、このような攻撃から守るために不可欠です。

リモートデスクトッププロトコル(RDP)を狙った攻撃

近年、リモートデスクトッププロトコル(RDP)を狙ったランサムウェア攻撃も増加しています。RDPはリモートでコンピュータにアクセスするための機能ですが、これが適切に保護されていない場合、攻撃者にとって格好の標的になります。特に弱いパスワードや発見された脆弱性を利用し、不正アクセスによりランサムウェアを仕掛けるといった手法が多く報告されています。RDPを安全に使用するためには、強力なパスワード管理や多要素認証の設定、不要な場合はRDPを無効にすることが推奨されます。

USBデバイスやその他の物理的な媒介

USBデバイスやその他の物理的な媒介も、ランサムウェアが感染する重要な経路として知られています。攻撃者はUSBメモリや外付けデバイスにランサムウェアを仕込んでおき、それをターゲットの機器に接続することで感染を広げます。この手法は特にオフライン環境でも効果的で、持ち込まれるデバイスを介して感染が拡大するケースが確認されています。安全のため、不明なUSBデバイスを安易に接続せず、持ち込むデバイスのスキャンを徹底する必要があります。

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ランサムウェア被害を防ぐための具体的な対策

セキュリティソフトウェアの導入と定期的なアップデート

ランサムウェアに感染しないための第一歩は、セキュリティソフトウェアを導入することです。セキュリティソフトウェアは、未知の脅威にも対応できるよう常に進化しています。しかし、それを活用するためには最新の状態に更新することが欠かせません。不正なプログラムは日々新たな形で登場しており、更新を怠った場合、これらを検知できない可能性が高まります。特に、ランサムウェア感染画面が表示される前に防ぐためには、ソフトウェアの定期的なアップデートが必要です。

安全なパスワード管理と多要素認証の導入

強力なパスワードと多要素認証は、攻撃を食い止める重要な盾となります。単純なパスワードは悪意ある攻撃者にとって容易に突破されてしまいます。長い文字列や記号を含む複雑なパスワードを設定するとともに、毎月変更する習慣を持つことが有効です。また、多要素認証を導入することで、万が一パスワードが流出した場合でも不正アクセスを防ぐことができます。特にリモートでアクセスするシステムでは、その重要性がさらに高まります。

ネットワーク分離やバックアップの実施

ランサムウェア攻撃によるデータ暗号化や窃取に備えるためには、定期的なバックアップが不可欠です。バックアップをオフライン環境やクラウド上に保存しておくことで、感染後の復旧がスムーズに行えます。また、重要なシステムをネットワークから分離して運用することで、感染の拡大範囲を最小限に抑えることができます。これにより、攻撃による被害を大幅に軽減することが可能です。

従業員へのセキュリティ教育

ランサムウェアの脅威は、その多くが人間のミスによって引き起こされます。不審なメールや添付ファイルを開いたり、信頼できないウェブサイトにアクセスしてしまったりすると、感染のリスクが高まります。そのため、従業員への定期的なセキュリティ教育が欠かせません。ランサムウェア感染画面がどのような形で表示されるか、またそこに至る感染経路を具体例とともに指導することが効果的です。

不審なリンクやファイルを開かない習慣

最も簡単でありながら効果的な対策が、不審なリンクや添付ファイルを絶対に開かないことです。攻撃者はしばしば信頼できそうなメールやウェブページを装い、ユーザーにクリックさせようとします。こうした手法は依然として一般的であり、特にランサムウェア感染の第一歩となることが多いです。セキュリティに対する意識を高め、このようなリスクを防ぐ日常的な習慣を徹底しましょう。

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感染してしまった場合の対処法

感染直後に取るべき行動

ランサムウェアに感染してしまった場合、最初に適切な行動を取ることが被害拡大を防ぐ鍵となります。まず、感染を確認したら、感染したデバイスを直ちにネットワークから切り離してください。これにより、ランサムウェアの感染が他のデバイスや共有ネットワークに拡大するリスクを最小限に抑えることができます。

次に、感染した端末の再起動やシャットダウンを避けましょう。これらの行動は、ランサムウェアの仕組みによって感染画面や暗号化されたデータへのアクセスをさらに難しくしてしまう場合があります。また、自身で復旧を試みることは状況を悪化させる可能性が高いため、慎重な対応が求められます。

専門家への相談と連携による対応

感染を確認した際には、速やかに社内の情報セキュリティ担当者や外部の専門機関に相談することが重要です。例えば、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)やセキュリティ企業はランサムウェアの被害に対応するための支援を提供しています。

専門家と連携することで、感染の拡大を防ぎつつ、感染原因の特定や復旧方法の検討を進められます。また、証拠保全の観点からも、デバイスやネットワーク環境の状況を維持し、適切な調査と対処を行うための資料を提供することが望ましいです。

金銭要求への対応と注意点

ランサムウェア感染後に表示される感染画面では、金銭や暗号資産を要求するメッセージが表示されることが一般的です。しかし、金銭を支払った場合でもデータが必ず復元される保証はなく、悪意のある攻撃者を助長してしまう恐れもあります。そのため、身代金の支払いは推奨されません。

また、最近のランサムウェアは「二重恐喝(ダブルエクストーション)」と呼ばれるデータの暗号化だけでなく、データ窃取と公開を盾に脅迫してくるケースも増えています。このような場合も冷静に対処を進め、専門家の意見を仰ぐことで適切な対応策を検討しましょう。

復旧作業の進め方と注意すべき点

復旧作業を進める際には、まずバックアップデータの有無を確認しましょう。事前にネットワーク外部に保存されたバックアップがあれば、感染したデータを初期化し復元することが可能な場合があります。ただし、感染したバックアップを使用すると再度リスクを招く可能性があるため、専門家の助言を得つつ慎重に対応を進めてください。

また、復旧の過程で、ランサムウェアの感染経路を徹底的に調査し、再感染のリスクを排除することも重要です。感染の原因を特定できないまま復旧を急ぐと、同様の攻撃が再発する可能性があります。セキュリティソフトウェアの導入やシステムアップデートも並行して実施すると効果的です。

将来の再発防止策

ランサムウェア感染は、適切なセキュリティ対策を講じることで予防可能です。感染後の再発防止のためには、従業員を対象としたセキュリティ教育を実施し、不審なリンクや添付ファイルへの注意を徹底しましょう。また、パスワードの強化や多要素認証の導入などで、リモートデスクトッププロトコル(RDP)を狙った不正アクセスを防ぐことも効果的です。

さらに、定期的なバックアップの実施、セキュリティソフトウェアの更新、ネットワーク分離などの基本的な対策を怠らないことが重要です。これらを徹底することで、攻撃を未然に防ぎ、万が一感染しても迅速に復旧できる体制を整えることができます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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