コトラ（広報チーム） 
TikTokのデータ収集の実態
アプリが要求する過剰なアクセス権限
TikTokは、他のSNSアプリと比べても多くのアクセス権を要求することがしばしば指摘されています。例えば、スマートフォンに保存されている連絡先や利用中の他のアプリに関するデータ、位置情報など、利用者が気付かぬうちに広範囲な情報を収集する仕組みが組み込まれています。このような過剰な権限は、利用者のプライバシーや情報漏洩のリスクを高める要因となっています。
他のSNSと比較した際のデータ収集量
TikTokはInstagramやTwitterなどの一般的なSNSと比べても、圧倒的に多くのデータを収集するという調査結果があります。オーストラリアのサイバーセキュリティ企業「Internet 2.0」の報告では、TikTokが他のアプリに比べ、必要以上のデータを収集していることが明らかにされています。これには、端末のハードウェア情報やOSの詳細、利用者のネットワーク情報など、利用には直接関連しない情報も含まれています。
収集されるデータの種類と用途
TikTokが収集するデータには、位置情報、閲覧履歴、利用者が投稿するコンテンツだけでなく、音声データやメッセージ内容まで含まれるケースがあります。これらのデータは、利用者の使用体験を向上させるためのアルゴリズムの最適化や広告のカスタマイズのために活用されるとされています。しかし、データの具体的な用途や、それが第三者にまで共有される可能性については、疑問の声が上がっています。
ユーザーが意識しにくいデータ収集リスク
TikTokを利用する際、多くのユーザーはアプリがどれほど詳細に情報を収集しているのかを意識できていません。例えば、アプリを使用し続けているだけで位置情報を常に追跡されたり、他のアプリの使用状況が記録されたりする危険性があります。また、利用規約やプライバシーポリシーに記載されている条項は非常に広範囲であり、その内容をしっかり理解しないまま同意してしまうケースが少なくありません。これにより、情報漏洩や悪意ある第三者へのデータ提供といったリスクに気付かぬうちに巻き込まれる可能性が高まります。
データ漏洩が問題視される理由
TikTokと中国政府の関与の可能性
TikTokをめぐる最大の懸念の一つとして、中国政府との関与が挙げられます。一部の専門家や政策立案者は、中国に拠点を置くTikTokの親会社であるバイトダンス（ByteDance）が、中国の法律に準拠し情報を提供する可能性があると指摘しています。実際、中国の法律では、企業が国家安全保障上の理由で政府に情報を提出する義務があることが明記されています。このような背景から、TikTokが収集した位置情報や閲覧履歴、デバイス情報などのデータが中国政府に共有されるリスクが議論されています。
情報漏洩事件の事例と背景
これまでにもTikTokに関連した情報漏洩疑惑が浮上したことがあります。たとえば、2022年にはオーストラリアのサイバーセキュリティ企業Internet 2.0が調査を行い、TikTokが不要と思われる過剰なデータを収集していることを指摘しました。また、2020年のトランプ政権時代には、TikTokのデータが中国政府に送信される可能性があるとして、米国での使用禁止措置が検討されました。これらの事例は、TikTokが利用者のプライバシーをどの程度保護しているのかという疑問を引き起こしています。
第三者へのデータアクセスのリスク
TikTokの利用規約では、提携先や関連会社と収集したデータを共有する可能性がある旨が明記されています。このデータには、ユーザーの位置情報や連絡先、使用しているデバイスに関する情報が含まれる場合があります。これにより、ユーザーが気付かないうちに第三者に個人情報がわたるリスクが存在します。また、データ共有された企業が適切なセキュリティ対策を講じていない場合、さらなる情報漏洩の引き金となる可能性があります。
注意すべきデータ共有ポリシー
TikTokのデータ共有ポリシーには、利用者にとって重要な情報が含まれています。たとえば、収集されたデータがどのような目的で使用され、どの国に保存されるのか明確に記載されていない部分もあるため、透明性に欠けると指摘されています。また、利用者が自分のデータがどのように取り扱われているのかを正確に把握しづらい点も問題視されています。ユーザーとしては、利用規約やプライバシーポリシーを十分に確認し、自分の個人情報がどのように扱われるかを意識することが重要です。
利用者が抱える具体的なリスク
アカウント乗っ取りとフィッシング詐欺
TikTokでは、アカウント乗っ取りやフィッシング詐欺が問題視されています。特に、簡単なパスワードを設定している場合や二段階認証を有効にしていないユーザーが被害に遭いやすいです。このような攻撃により、アカウント内に保存されている個人情報や、過去の動画データが不正に利用される恐れがあります。また、フィッシングリンクを含むメッセージがTikTok内でシェアされるケースも報告されており、不注意にリンクをクリックすることで悪意のあるサイトへ誘導されるリスクもあります。
位置情報の不正利用リスク
TikTokは位置情報を収集し、そのデータが広告配信などに利用されることで知られています。しかし、不正に収集された位置情報が第三者に渡る危険性も指摘されているため、利用者のプライバシーが脅かされる懸念があります。特に、頻繁に投稿を行うユーザーは、自宅や職場などの個人特定につながる場所が推測されやすく、不正利用の標的となりかねません。この問題は、情報漏洩リスクに直結するため、位置情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
個人情報の流出による影響
TikTokが収集するデータは多岐にわたり、名前、メールアドレス、使用デバイスの情報、さらには閲覧履歴などが含まれます。もしこれらの個人情報が漏洩すると、不正利用やなりすまし被害に繋がる可能性があります。また、情報漏洩が銀行口座やクレジットカード情報などに及べば、経済的被害を受けるリスクも懸念されます。さらに、これらのデータが第三者に渡った場合、広告目的だけでなく、より悪質な行為に利用される危険性も高まります。
未成年ユーザーへのリスク
未成年ユーザーにとって、TikTokの利用には特に注意が必要です。一部のケースでは、成人向けの不適切なコンテンツに触れるリスク、さらには悪意を持つ他の利用者から被害を受ける可能性もあります。また、未成年者が自分では気づかずに個人情報を動画やコメントで公開してしまい、それが情報漏洩に繋がるケースも報告されています。子どものメンタルヘルスに悪影響を与えるサイバーブリングや、過剰な投稿による生活習慣の乱れも懸念されているため、保護者による監督やガイドラインの設定が重要です。
安全にTikTokを利用するための対策
利用時に確認すべきアプリ設定
TikTokを安全に利用するためには、まずアプリのプライバシー設定を確認することが重要です。利用者のデータが無断で漏洩するリスクを防ぐために、「パーソナライズ広告の無効化」や「プライバシーダッシュボード」の設定を確認しておきましょう。また、カメラやマイクなどへのアクセス権限を必要最低限に制限することも効果的です。定期的に設定内容を見直し、不要な権限が付与されていないか確認することで、プライバシー保護につながります。
アカウントのセキュリティを強化する方法
TikTokのアカウントを安全に保つためには、強力なパスワードを設定することが基本です。複雑な文字列や、他のサービスで使用していない独自のパスワードを使用することをおすすめします。また、二段階認証の有効化は必須です。これにより、不正アクセスや乗っ取りのリスクを大幅に軽減できます。さらに、知らないアカウントからの友達リクエストやメッセージには慎重に対応し、不審なリンクを開かないよう注意しましょう。
安全な動作環境を整えるポイント
TikTokを利用するデバイスの安全性を保つことも重要です。公式アプリストアからのみダウンロードを行い、最新版にアップデートすることで、セキュリティ上の脆弱性を防ぐことができます。さらに、信頼できるアンチウイルスソフトをインストールすることで、不正アプリやマルウェアによる情報漏洩のリスクを低減できます。Wi-Fi接続についても、公共Wi-Fiの使用をできるだけ控え、安全な接続環境で利用することを心がけてください。
アプリの利用を控えるべきケース
利用者の情報漏洩リスクを最小限にするためには、特定のケースでTikTokの利用を控えることも必要です。特に、公共の場や機密性の高い場所での使用、または職務や業務上のデバイスでの使用は避けるべきです。さらに、個人情報や位置情報を含む動画や写真の投稿には細心の注意が必要です。これらの配慮がない場合、情報が不特定多数に漏れるリスクが高まる可能性があります。
