コトラ（広報チーム） 
基本情報技術者試験とは？
基本情報技術者試験の概要と目的
基本情報技術者試験（略称：FE）は、情報技術に関する基本的な知識や技能を評価する国家試験です。この試験は、ITを活用した戦略の立案やシステムの設計・開発・運用に必要なスキルを持つ人材を育成することを目的として実施されています。また、IT業界における登竜門的な資格として広く認識されており、学生から現職のエンジニアまで幅広い層が受験しています。
試験を実施するIPAとは？
基本情報技術者試験は、情報処理推進機構（IPA）が実施しています。IPAは、経済産業省の所管する独立行政法人であり、日本のデジタル基盤の整備やサイバーセキュリティの強化を目的として活動しています。特に、IT人材の育成に力を入れており、本試験を含む情報処理技術者試験を通じて、実践的な技術力を持つ人材の輩出を支援しています。
対象者と受験資格
基本情報技術者試験には、特別な受験資格はありません。ITに関心がある方であれば、学生、社会人、そして現在エンジニアとして活躍中の方まで、どなたでも挑戦可能です。この試験は、システムの企画や開発、運用に関わる基本的な技術と知識を問うことで、IT分野でのキャリアアップを目指す方に最適なステップとなっています。
通年試験制度への移行について
基本情報技術者試験は、かつて春期（4月）と秋期（10月）の年2回に分けて実施されていました。しかし、2023年4月からはCBT（Computer Based Testing）方式の導入により、随時受験が可能な通年試験制度へと移行しました。この変更により、受験者が自身の都合に合わせて試験日を選べるようになり、スケジュールの柔軟性が高まりました。
試験の重要性とIT業界での活用
基本情報技術者試験に合格することで、IT業界での基礎知識とスキルを持つことが証明されます。この資格は、システムエンジニアやプログラマー、新入社員の育成カリキュラムの一環として活用されることが多く、企業内でのスキル評価の指標ともなっています。また、合格者は上位資格である応用情報技術者試験やその他の専門的な資格にチャレンジするための良い基盤を築くことができます。
試験の構成と出題内容
科目Aと科目Bの試験内容
基本情報技術者試験（FE）は、科目A試験と科目B試験の2つの科目で構成されています。それぞれの試験形式と内容には明確な目的があり、受験者の幅広いIT知識と実践的な応用能力を測定することを目的としています。
科目A試験は、ITの基礎知識を問う試験で、テクノロジ系（コンピュータ基礎理論、ネットワーク、セキュリティなど）、マネジメント系（プロジェクト管理、サービスマネジメントなど）、ストラテジ系（経営戦略、システム戦略など）の3分野から出題されます。一方、科目B試験では、特に実務を意識した応用力が必要とされ、具体的な課題やシナリオを元にした問題が出題されます。
出題範囲とシラバスの特徴
基本情報技術者試験の出題範囲は、IPAが提供するシラバスで詳細に定められています。シラバスには、試験の分野や詳細な学習項目が具体的に記載されており、受験者は必要な知識を効率よく学ぶことができます。
特にテクノロジ系では、プログラミング、アルゴリズム、データベースの知識が重視されます。マネジメント系とストラテジ系についても、実務での応用が意識され、IT活用に必要な理論や戦略の理解が求められます。シラバスに基づいて学習を進めることで、効率よく出題傾向をつかむことが可能です。
具体的な問題内容（例題を含む）
基本情報技術者試験の具体的な問題内容は、出題が公開されているため、過去問や例題を活用することでしっかりと把握することができます。たとえば、テクノロジ系では「アルゴリズムの流れ図の穴埋め問題」や「セキュリティ侵害への対応策に関する選択問題」が出題されることがあります。
また、マネジメント系では「プロジェクト進行に関するガントチャートの読み取り問題」、ストラテジ系では「業務改善のためのIT活用アイデアを選択する問題」などが挙げられます。これらの問題を通じて、基礎知識に加え、課題解決能力や応用力も問われるのが特徴です。
CBT方式（Computer Based Testing）の採用
基本情報技術者試験は、試験の利便性向上のため、2023年4月から通年で実施されるようになり、CBT（Computer Based Testing）方式を採用しています。これにより、受験者は自由なタイミングで試験会場を予約し、コンピュータを使って問題に解答することが可能となりました。
CBT方式では、従来の紙による試験とは異なり、解答はすべてパソコン上で行います。この形式により、採点の自動化や迅速な結果通知が可能となり、試験運営の効率化と受験者の利便性向上が図られています。
合格基準と採点方式
合格基準は科目A試験および科目B試験ともに、それぞれの得点率が60％以上であることが条件です。採点はIPA（情報処理推進機構）によって厳格に行われます。
CBT方式の採用により、試験後はシステムによって解答が自動的に採点され、結果が比較的早期に通知されます。ただし、試験内容が公開されない科目B試験については、採点のアルゴリズムなどは非公開となっています。この採点方式により、公平性と一貫性が保たれています。
勉強方法と効果的な学習戦略
初心者におすすめの参考書と教材
基本情報技術者試験（FE）を初めて受験する人にとって、参考書や教材選びは非常に重要です。初心者には、試験範囲全体を分かりやすく解説したテキストや問題集がおすすめです。特に「ITパスポート試験」から一歩進んだ内容を習得できるような教材を選ぶと、基礎的なIT知識を復習しながら学べます。また、過去問題を徹底的に解くことを目的とした問題集も効果的です。IPAが公開している過去問は無料で利用でき、試験の出題傾向をつかむのに役立ちます。加えて、オンライン動画講座も最近注目されています。動画形式で学べる教材は、視覚と聴覚の両方から学習できるため、理解しやすいと言われています。
勉強スケジュールの立て方
基本情報技術者試験は出題範囲が広いため、効率的な学習スケジュールを立てることが合格への近道です。まずは試験日から逆算して、全体の勉強期間を決めましょう。1日あたりの学習時間を明確にし、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野をバランス良く進める計画がおすすめです。例えば、平日は1～2時間、週末にはまとめて4～5時間を確保し、重要な分野を集中して学習する時間をつくりましょう。また、定期的に過去問に取り組むことで、理解度を確認しながら進めることが大切です。
試験対策のための模擬試験活用法
模擬試験は、基本情報技術者試験の実際の雰囲気を体験できるだけでなく、自分の学習状況を客観的に評価するためにも重要です。模擬試験は市販の教材やオンラインプラットフォームで提供されているものを活用するのが一般的です。特にCBT方式で実施される試験に慣れるために、オンライン模擬試験がおすすめです。解答後には間違った箇所を見直し、なぜ間違えたのかを明確にすることがポイントです。これにより、弱点を強みに変えることができます。また、模擬試験を受ける際は本番と同じ時間配分で試験を解く練習をすると、試験当日の時間管理にも役立ちます。
科目A試験免除制度の活用
基本情報技術者試験には、科目A試験の免除制度があります。この制度を活用すれば、科目B試験に集中できるため、全体の負担を減らすことができます。ただし、免除を受けるには、事前に認定講座を修了する必要があるため、利用したい場合は早めに計画を立てることが重要です。認定講座では重点的に知識の習得が求められる項目を学べるため、結果として試験勉強にも役立つメリットがあります。免除制度は特に時間が限られている人にとって非常に有用な手段と言えるでしょう。
モチベーションを維持する方法
試験勉強を長期間続けるには、モチベーションを維持することが不可欠です。まずは明確な目標を設定することから始めましょう。例えば、「試験に合格してIT業界で活躍する」という目的を具体的にイメージすることで日々の学習に対する意欲が高まります。また、小さな目標を達成するたびに自分を褒めることもモチベーション維持につながります。さらに、勉強仲間を見つけたり、SNSや勉強アプリで進捗を共有したりすることで、孤独感を和らげながら学習を続けられます。そして、定期的に休息をとることも忘れず、心身のバランスを大切にしましょう。
試験当日の流れと注意事項
受験場所と必要な持ち物
基本情報技術者試験（FE）は、CBT方式で実施されるため、全国にあるCBT対応の試験会場で受験可能です。受験場所は事前の予約時に選択した会場となります。当日は以下の持ち物を忘れずに持参してください。
必須の持ち物は、本人確認書類（顔写真付きの身分証明書）と試験予約番号です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどが有効な本人確認書類に該当します。また、試験会場に筆記用具やメモ帳を持ち込む必要はありません。CBT方式の試験では、必要な道具を貸与されますので、確認のうえ準備を行いましょう。
受験者規約と試験当日のルール
試験日は、受験者規約を遵守し、円滑な運営に協力する必要があります。具体的には、試験前に指示された集合時間に遅れないように会場へ到着すること、スタッフの案内に従うことが求められます。なお、試験中の不正行為は厳しく禁止されており、携帯電話やスマートウォッチなどの電子機器の使用は認められません。
試験室内では静粛を保ち、試験終了後には速やかに退出するようにしましょう。IPA（情報処理推進機構）が定める受験者規約を事前に確認することで、当日のトラブルを防ぐことができます。
試験中の注意点と時間配分のコツ
試験はCBT方式で行われるため、試験画面の操作に慣れておくことが重要です。IPAが公開しているシミュレーション画面を活用し、事前にイメージトレーニングを行うと良いでしょう。
試験は時間管理がポイントです。科目A・科目Bのそれぞれで制限時間があるため、問題を全て読んでから解くのではなく、まずは解ける問題から進める戦略が効果的です。時間配分を意識しながら取り組むことで、焦りを軽減し落ち着いて解答することができます。
試験後の手続きと結果発表スケジュール
試験終了後は、会場スタッフの指示に従い、順次退室します。CBT方式の基本情報技術者試験では、試験終了後にその場でスコアが表示されるケースがあります。合否の詳細は後日、IPA公式サイト上で確認することができます。
試験結果の通知や合格証明書の発行手続きもオンラインで進められるため、試験後は公式サイトでの案内を必ずチェックしましょう。
リテイクポリシー（再受験）について
もし一度合格できなかった場合でも、基本情報技術者試験は通年実施であるため、すぐに再受験が可能です。ただし、再受験には一定の期間を空ける必要がありますので、IPAの指示に注意してください。
再受験の際は、前回の試験結果を分析し、苦手分野を重点的に対策することが重要です。失敗を次の成功の糧とし、効率的に学習を進めましょう。
合格後の活用と資格の価値
基本情報技術者資格が活躍する業界・職種
基本情報技術者資格（FE）は、IT業界を中心に幅広い分野で活用される資格です。特にシステム開発やネットワーク構築、ITサポートなどの業務を行う企業からの評価が高く、新卒や未経験者がIT業界への第一歩を踏み出す際に有利となる資格です。また、IT以外の業界でも社内システムの運用やITを活用した業務効率化を担当する職種でも資格が重宝されます。具体的には、システムエンジニア、プログラマー、セキュリティ担当者、及びITコンサルタントなどの専門職での活用が期待されています。
資格取得がもたらすキャリアアップの可能性
基本情報技術者資格を取得することで、ITの基礎知識を体系的に持っていることを示せるため、就職や転職活動での評価が向上します。また、資格取得者は未取得者と比べてスキルの習得に意欲的であると見なされることが多いため、さらに高いポジションへキャリアアップを図る際に有利です。特に、システム開発プロジェクトの中核となるスペシャリストやリーダーを目指す際の基盤として有効な資格とされています。
上位資格のステップアップへの道
基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の中でも初級レベルに位置付けられる資格ですが、応用情報技術者試験やプロジェクトマネージャ試験といった上位資格へのステップアップにもつながります。特に、基本情報技術者資格で身に付けた知識やスキルは、これらの試験で出題される内容の基盤となるため、次なるステージに向けた土台作りとして非常に役立ちます。こうしたステップアップは、ITスキルの幅を拡げ、より専門性の高い技術者としてのキャリアを築くための道筋となります。
他の情報処理資格との違い
基本情報技術者資格の特徴は、ITの基礎知識を包括的に問う点にあります。他の情報処理資格と比較して、初学者向けでありながらもその内容の広範さが特徴的です。たとえば応用情報技術者資格はより高度な技術や管理スキルが求められる一方で、基本情報技術者資格はITの基礎から応用の入り口として適しています。IPAが提供する資格群の中でも、最初に目指すべきものとして位置付けられています。そのため、この資格を取得することで、自身のITスキルの全体像を把握しやすくなります。
取得者の体験談・成功例から学ぶ
基本情報技術者資格を取得した人々の多くは、その後のキャリアでの成功事例を語っています。例えば、IT未経験であったとしてもこの資格を足掛かりとしてシステムエンジニアやプログラマーになったケースも少なくありません。また、ビジネスの現場でシステム運用や効率化を主導する立場を得た例もあります。資格の勉強を通じて得られる知識や考え方が実際の業務に役立つだけでなく、自己学習能力や目標達成力が評価される点も大きな利点です。このように資格取得の体験談から、自分自身の挑戦に向けたモチベーションを得られるでしょう。
