【2024年最新版】基本情報技術者試験はどんな問題が出る?出題傾向と具体例まとめ

はじめに

基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験の一つであり、ITエンジニアの「登竜門」として広く認識されています。この試験は、ITを活用したサービスやシステム開発に必要な基本的知識と技能、そして実践的な活用能力を持つ人材を対象としています。

この記事の目的と対象読者

この記事は、2023年4月の試験制度変更以降の基本情報技術者試験の出題傾向と具体的な問題例について解説します。ITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたい学生や、リスキリングを目指す社会人など、基本情報技術者試験の受験を考えているすべての方々を対象に、効果的な学習法と合格戦略を提供します。

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試験制度の概要と変更点(2023年~現在)

CBT方式の導入・通年実施化

2020年12月から、基本情報技術者試験はCBT(Computer Based Testing)方式に移行し、さらに2023年4月からは通年実施となりました。これにより、受験者は自身の都合の良い日時と会場を選択して受験できるようになり、再挑戦のハードルも大幅に下がりました。ただし、試験日30日後から再受験が可能という「リテイクポリシー」が適用されます。

新しい科目A・科目Bの概要

従来の「午前試験」と「午後試験」は、「科目A試験」と「科目B試験」に名称が変更されました。

  • 科目A試験: 多肢選択式(四肢択一)60問、試験時間90分。従来の午前試験と同様に、IT全般に関する幅広い基礎知識が問われます。
  • 科目B試験: 多肢選択式20問、試験時間100分。出題範囲が「アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)」と「情報セキュリティ」の2分野に限定され、より実践的なスキルが問われます。

科目Aと科目Bは同日に連続して実施され、間に10分間の休憩が設けられます。両科目ともに1000点満点中600点以上で合格となります。

2023年4月以降の主要な変更点

2023年4月以降の主な変更点は以下の通りです。

  • 通年実施: 年2回の試験から、受験者の都合に合わせた随時受験が可能になりました。
  • IRT方式の導入: 採点方式が素点方式からIRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式に変更されました。これにより、問題の難易度による不公平が解消され、受験者の実力がより正確に評価されるようになりました。
  • 試験時間の短縮と問題数の変更:
  • 科目A試験: 150分/80問 → 90分/60問
  • 科目B試験: 150分/大問11問(選択制)→ 100分/小問20問(全問必須)
  • 科目Bの出題範囲の限定化: 個別プログラミング言語(C、Java、Pythonなど)の選択が廃止され、擬似言語による「データ構造及びアルゴリズム」が16問(8割)、「情報セキュリティ」が4問(2割)という構成になりました。

これらの変更により、試験は全体的にコンパクト化され、受験しやすくなったと言えるでしょう。

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科目A試験の出題範囲と具体的な問題例

テクノロジ系/マネジメント系/ストラテジ系とは

科目A試験の出題範囲は、大きく以下の3つの分野に分けられます。

  • テクノロジ系: コンピュータの基礎理論、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータシステム、技術要素(データベース、ネットワーク、セキュリティなど)、開発技術など、IT技術に関する基礎知識が問われます。
  • マネジメント系: プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査など、ITプロジェクトの管理・運営に必要な知識が問われます。
  • ストラテジ系: システム戦略、経営戦略、企業と法務など、経営戦略におけるITの活用や法務に関する基礎知識が問われます。

これらの分野から合計60問が出題され、バランスの取れたIT基礎知識が求められます。

よく出る定番問題・重要用語

科目A試験では、各分野から幅広い知識が問われますが、特に「テクノロジ系」のセキュリティ分野は重点分野とされています。過去問から約40%程度が再利用される傾向にあるため、過去問演習は非常に有効な対策となります。

  • テクノロジ系:
  • 基礎理論: 2進数、集合演算、離散数学、アルゴリズム、データ構造(スタック、キュー、木構造、ハッシュ法など)
  • コンピュータシステム: CPU、メモリ(DRAM、キャッシュメモリなど)、OSの機能、ファイルシステム、ハードウェア
  • 技術要素: データベース(SQL、正規化、ACID特性)、ネットワーク(TCP/IP、プロトコル、伝送時間)、セキュリティ(マルウェア、暗号化、認証、WAFなど)
  • 開発技術: システム開発プロセス(ウォーターフォール、アジャイル、スクラムなど)、ソフトウェア開発管理
  • マネジメント系: プロジェクトマネジメント(アローダイアグラム、QCD管理)、サービスマネジメント(ITIL)、システム監査
  • ストラテジ系: 経営戦略(コアコンピタンス、マーケティング)、法務(知的財産権、情報セキュリティ関連法規)

過去問を活用した学習のコツ

科目A試験対策では、過去問を繰り返し解くことが最も効率的です。

  • 網羅的な学習: 出題範囲が広いため、特定の分野に偏らず、広く浅く知識を習得する意識が重要です。
  • Webサイトの活用: 「過去問道場」などのWebサイトを利用し、PCの画面上で問題を解く練習を積み、CBT方式の環境に慣れておきましょう。
  • 間違えた問題の分析: 間違えた問題は、解説を読み込み、なぜ間違えたのかを徹底的に分析することで、弱点分野を明確にし、効率的な復習につなげます。
  • 時間配分の意識: 1問あたり1.5分という解答時間なので、計算問題に時間をかけすぎず、用語問題は素早く解答するなどのメリハリをつけましょう。

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科目B試験の出題範囲と具体的な問題例

アルゴリズム(擬似言語)・情報セキュリティ中心の出題

科目B試験は、出題範囲が以下の2分野に限定されます。

  • アルゴリズムとプログラミング(擬似言語): 16問が出題されます。データ構造、アルゴリズム、プログラミング全般、プログラムの処理の基本要素、プログラミングの諸分野への適用などが問われます。実際のプログラミング言語ではなく、擬似言語で記述されたプログラムが出題されます。
  • 情報セキュリティ: 4問が出題されます。情報セキュリティの確保に関する知識が問われます。

科目B試験は、単なる知識の暗記だけでなく、論理的思考力や問題解決能力を試す実践的な問題が中心となります。

プログラミング・論述形式問題の特徴と対策

新制度の科目B試験では、旧制度の午後試験のような長文読解問題は減少し、小問形式が中心となります。

  • 擬似言語への慣れ: 擬似言語の記述形式に慣れることが重要です。whileやifなど、一般的なプログラミング言語に近い表現が用いられます。
  • トレース力の習得: プログラムの実行過程を1行1行追跡する「トレース」のスキルが不可欠です。メモ用紙などを活用し、変数の値の変化や処理の流れを書き出しながら問題を解く練習をしましょう。
  • 実践的な問題解決: アルゴリズムやデータ構造に関する知識を、実際のプログラムに適用して問題を解決する能力が求められます。

頻出のパターンと例題分析

科目B試験の対策では、特定のアルゴリズムやデータ構造の理解が重要です。

  • データ構造: 配列、リスト(単方向、双方向、循環)、スタック、キュー、木構造(2分探索木、ヒープ)、グラフなどが頻出です。
  • アルゴリズム: 整列(バブルソート、選択ソート、挿入ソート、クイックソート、マージソート)、探索(線形探索、2分探索、ハッシュ表探索法)、再帰処理などがよく出題されます。
  • 情報セキュリティ: マルウェアからの保護、バックアップ、ログ取得、脆弱性管理、利用者アクセス管理など、実務に即したセキュリティ対策が問われます。

例題分析のポイント:

  • サンプル問題を徹底的に解き、出題形式と求められる解答パターンを把握する。
  • 問題文を素早く正確に読み解く読解力を養う。
  • プログラムの穴埋め問題では、想定される具体例を当てはめてシミュレーションを行う。
  • 計算問題では、暗算力を強化し、効率的にトレースを進められるようにする。
  • セキュリティ問題は、科目Aで培った基礎知識と国語力で対応できる場合が多いため、確実に得点源とする。

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近年の出題傾向と難易度分析

近年増加しているテーマ・範囲

2023年4月以降の試験制度変更により、「アルゴリズムとプログラミング」および「情報セキュリティ」が科目B試験の必須分野となりました。これは、現代のIT人材に不可欠な実践的スキルとして、これらの分野がより重視されていることを示しています。

また、2024年10月以降に適用されるシラバス改訂では、DX推進に必要な知識(ビジネス変革、デザイン、データ利活用、AI(生成AIを含む)利活用など)や、UX/UIデザインに関する知識が追加される予定です。これは、ITエンジニアだけでなく、ビジネス職を含む「デジタル人材」の基礎教養としての位置づけが強化されていることを示唆しています。

初心者/既習者向けに知っておきたいポイント

  • 初学者向け:
  • ITの基礎知識から学ぶため、科目A試験の学習に十分な時間を割き、用語や概念をしっかりと理解することが重要です。
  • 科目B試験のアルゴリズムやプログラミングは、初めて触れると難しく感じるかもしれませんが、基礎的なアルゴリズムやデータ構造を擬似言語で実際に追体験する学習が効果的です。
  • 科目A免除制度の活用を検討することで、科目B対策に集中できるメリットがあります。
  • 既習者向け:
  • これまでの学習経験を活かしつつ、新制度の変更点、特に科目B試験の出題範囲と形式を正確に把握することが重要です。
  • 科目A試験は過去問演習で効率よく得点力を高め、科目B試験に重点的に時間を配分し、擬似言語でのプログラミング的思考力を養いましょう。
  • 最新の技術トレンドやシラバスの改訂内容にも目を通し、知識のアップデートを怠らないようにしましょう。

合格率や難易度の推移

2023年4月の新制度移行後、基本情報技術者試験の合格率は40%〜50%前後で推移しており、それ以前の20%台と比較して大きく上昇しました。これは、試験の通年実施化による受験機会の増加や、科目B試験の出題範囲が限定され、より対策しやすくなったことなどが要因と考えられます。

IPAの統計資料によると、2024年6月度の受験者の平均年齢は26.2歳であり、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートする若年層が多く受験していることがわかります。難易度は情報処理技術者試験の中で「レベル2」に位置づけられ、ITの基礎的な知識とスキルを証明する登竜門として位置づけられています。

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効果的な学習法と合格戦略

過去問活用の4つのメリット

基本情報技術者試験の学習において、過去問の活用は非常に効果的です。

  • 科目A試験での高い出題率: 科目A試験では過去問からの類似問題が約40%出題される傾向があるため、過去問を繰り返し解くことで効率的に得点力を高めることができます。
  • 出題意図の理解: 過去問を解くことで、問題がどのような知識や思考力を問うているのか、その出題意図を理解できるようになります。
  • 出題傾向の把握: 頻出のテーマやパターン、解法のコツを掴むことができます。
  • 時間制限内の練習: 実際の試験時間に合わせて過去問を解くことで、時間配分の感覚を養い、本番で焦らず解答できるようになります。

科目A・Bそれぞれの勉強方法

  • 科目A試験:
  • インプットとアウトプットのバランス: 参考書で基礎知識をインプットした後は、すぐに過去問道場などでアウトプットを行い、知識の定着を図りましょう。
  • 苦手分野の克服: 分野別の過去問演習を通して、自分の弱点を特定し、重点的に学習します。特にテクノロジ系は配点が高いため、時間をかけて理解を深めましょう。
  • 用語の暗記: マネジメント系やストラテジ系は、用語とその意味を問う問題が多いため、一問一答形式で効率的に暗記を進めます。
  • 科目B試験:
  • 擬似言語の習熟: IPAが公開しているサンプル問題や公開問題を解き、擬似言語の記述形式とプログラムの読解に慣れましょう。
  • アルゴリズムの実践的理解: 主要なアルゴリズム(ソート、探索など)やデータ構造について、ただ知識として覚えるだけでなく、実際にプログラムの動きをトレースして理解を深めることが重要です。
  • 情報セキュリティ対策: 情報セキュリティ分野は、科目Aで培った知識と読解力で対応できる問題が多いため、確実に得点源とできるよう対策しましょう。過去の情報セキュリティマネジメント試験の過去問も参考にすると良いでしょう。
  • 時間配分: 1問あたり5分という時間配分を意識し、難しい問題に固執せず、解ける問題から確実に解答する戦略を立てましょう。

レベル別(初心者・既習者向け)学習プラン

  • 初心者向け(IT知識が少ない方):
  • 学習期間: 200時間以上を目安に、余裕を持った学習計画を立てましょう。
  • ステップ1(基礎固め): 科目A試験の全範囲を網羅的に学習し、ITの基礎用語や概念を理解します。特にテクノロジ系の基礎理論、コンピュータシステム、技術要素に重点を置きます。
  • ステップ2(科目A演習): 過去問道場などを利用し、科目Aの過去問を繰り返し解きます。正答率が7割を超えることを目標とします。
  • ステップ3(科目B基礎): アルゴリズムとプログラミングの基礎的な概念(データ構造、基本アルゴリズム)を理解し、擬似言語でのトレース練習を行います。
  • ステップ4(科目B演習): 科目Bのサンプル問題や公開問題を解き、問題形式に慣れます。情報セキュリティは確実に得点できるよう対策します。
  • 科目A免除制度の活用: 免除制度を利用することで、科目B試験に集中して学習できるため、合格への近道となる可能性があります。
  • 既習者向け(IT知識やプログラミング経験がある方):
  • 学習期間: 50〜150時間を目安に、効率的な学習を心がけましょう。
  • ステップ1(科目A効率化): 過去問演習を中心に、知識の抜け漏れがないか確認し、弱点分野を補強します。得意分野は短時間で済ませ、苦手分野に時間を割きます。
  • ステップ2(科目B集中): アルゴリズムとプログラミングに重点を置き、擬似言語の読解力とトレース力を高めます。実際に簡単なプログラムを書いてみることも有効です。
  • ステップ3(模擬試験): 本番同様の環境で模擬試験を受け、時間配分や解答戦略を調整します。
  • 最新情報のキャッチアップ: シラバスの改訂や最新の出題傾向に注意し、必要に応じて学習内容を調整します。

オリジナル模擬試験や一問一答の活用

  • オリジナル模擬試験: 実際の試験形式、時間配分、問題数に合わせた模擬試験を定期的に実施することで、本番の感覚を養い、弱点を特定することができます。
  • 一問一答形式: スマートフォンアプリやWebサービスの一問一答形式の問題集は、通勤時間や休憩時間などの隙間時間学習に最適です。特に科目Aの用語問題や、科目Bの情報セキュリティ問題の暗記に役立ちます。

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まとめ

これから受験する人へのメッセージ

基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしてのキャリアの第一歩となる重要な国家資格です。2023年の制度変更により、CBT方式での通年実施や科目B試験の出題範囲の限定化など、受験しやすい環境が整いました。しかし、合格のためには、科目Aと科目Bの両方で600点以上の得点が必要であり、計画的で効果的な学習が不可欠です。

最新情報の確認・今後の対策ポイント

  • IPA公式サイトの確認: 試験要綱やシラバス、公開問題など、IPAが提供する最新情報は常にチェックしましょう。
  • 過去問の徹底活用: 科目Aは過去問演習で知識を定着させ、科目Bはサンプル問題や公開問題を通して擬似言語とアルゴリズムの読解・トレース能力を磨きましょう。
  • 科目A免除制度の検討: 認定講座を受講することで科目A試験が免除され、科目B試験に集中できるため、合格の可能性を高めることができます。
  • バランスの取れた学習: 科目Aの幅広い知識と、科目Bの実践的スキル(アルゴリズムと情報セキュリティ)の両方をバランス良く学習し、苦手分野を作らないことが重要です。

基本情報技術者試験の学習を通じて得られるIT知識とスキルは、今後のキャリアにおいて大きな強みとなります。変化を恐れず、戦略的に学習を進めることで、必ず合格を掴み取れるでしょう。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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