コトラ（広報チーム） 
1. 証券アナリスト資格とは？
証券アナリスト資格(CMA)の概要
証券アナリスト資格（CMA）は、日本証券アナリスト協会（SAAJ）が認定する資格で、金融・投資分野における高度な専門知識を持つことを証明するものです。この資格を取得するには、指定された講座の受講と試験の合格が必要です。主に証券分析や投資判断、ポートフォリオ・マネジメントに関わる知識を網羅し、金融機関や企業のIR部門、投資顧問会社などでの活躍が期待されます。
資格取得のメリットと活用場面
証券アナリスト資格を取得すると、金融業界でのキャリアが大きく広がります。特に証券会社や銀行、生命保険会社などでの資産運用業務や投資分析を担う専門家として、企業の信頼度と評価を向上させる要素になります。また、投資顧問業務における業務独占資格ではありませんが、その知識の深さが顧客対応や業務効率の向上につながります。この資格を保有していることで、転職市場での評価も高まり、中途採用だけでなく昇格にもつながりやすくなります。
他の関連資格との違い
証券アナリスト資格と比較される資格としては、CFA（Chartered Financial Analyst）やFP（ファイナンシャルプランナー）などが挙げられます。CFAは国際的に認知されている資格で、グローバルな金融市場での活躍を重視する場合に有利です。一方、FPは個人の資産形成やライフプランニングに特化しています。証券アナリスト資格は、これらとは異なり、日本国内の企業や金融機関における投資分析や資産運用に特化しており、国内市場での専門性を重視する老舗資格といえます。
資格保有者のキャリアと平均年収
証券アナリスト資格の保有者は、証券会社や銀行などの金融機関でのキャリアのほか、投資顧問業務や企業のIR部門などでの活躍が目立ちます。特に専門性の高い分析スキルが求められる職場でその価値を発揮します。また、資格保有者の平均年収は約947.6万円（平均年齢40.7歳）で、金融業界の中でも高水準に位置します。資格を取得し実務経験を積むことで、さらに高収入を目指すことも可能です。
2. 資格取得へのステップ
受験資格と試験スケジュール
証券アナリスト資格（CMA）を取得するには、まず所定の受験資格を満たす必要があります。基本的に、CMA第1次レベル講座を受講することが必須条件となっています。この講座を修了することで、翌年に行われる試験への受験資格が得られます。
試験は年に2回実施され、第1次試験は春と秋に分けて開催されます。2026年のスケジュールでは、春試験は4月26日（日）に国内および香港会場で、前日の4月25日（土）にはニューヨークとロンドンで実施されます。また、第1次秋試験については、9月27日（日）に国内・香港で、9月26日（土）にはニューヨーク・ロンドンでの開催が予定されています。このようにグローバルに試験を受けられる機会が用意されています。申込期間は、春試験が2月上旬から3月初旬まで、秋試験が夏頃まで設定されているため、試験日程に合わせて計画的に準備を進めることが重要です。
1次試験と2次試験の違い
証券アナリスト試験は、第1次試験と第2次試験の2段階に分かれています。それぞれの試験では異なる科目と目的があります。第1次試験では、証券分析や財務分析、コーポレート・ファイナンス、市場と経済の分析といった基礎的な経済・金融知識を幅広く問われます。一方、第2次試験では、より専門的な知識が問われる試験設計になっており、特に証券分析やポートフォリオ管理の実務に直結する内容が多く見受けられます。
試験方式については、現在ほとんどの会場でPBT（Paper Based Testing）が採用されていますが、一部の東京会場ではCBT（Computer Based Testing）の導入も検討されています。そのため受験者の環境や試験会場によって受験形態の違いが見られる可能性があります。
推奨される勉強時間と学習計画
証券アナリスト試験は、専門的な知識を問う試験であるため、計画的に学習を進めることが求められます。第1次試験に合格するためには、少なくとも300時間以上の勉強時間が必要と言われています。これに加え、第2次試験の準備にはさらに高度な知識を習得する必要があるため、1次試験以上の学習時間を確保することが推奨されます。
最初に試験範囲を把握した上で、1日の学習時間を確保し、分野ごとに効率的に進めていくことが重要です。また、試験直前には過去問を活用し、出題傾向に慣れることも合格に向けたポイントとなります。
試験を受けるための登録手順
試験の登録手続きは、一般的にオンラインを通じて行います。受験するには、CMA講座の受講が必須となりますので、講座受講後の試験登録の流れを把握しておきましょう。2026年の第1次春試験については、2月6日（金）から3月5日（木）の期間中に申し込みが可能です。申込受付期間が限られているため、早めに準備を進める必要があります。
また、受験費用の支払いも登録手続きの一環です。登録後に支払いが完了しない場合には、受験資格を得られない可能性がありますので、注意が必要です。登録後には、試験日や会場などの情報をしっかり確認し、試験当日に向けて準備を進めていくことが大切です。
3. 合格のための学習方法とコツ
試験範囲を効率的に学ぶポイント
証券アナリスト資格試験では、第1次試験と第2次試験でカバーする科目が異なります。第1次試験では「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」「財務分析」「コーポレート・ファイナンスと企業分析」などを含む幅広い知識が問われます。一方、第2次試験ではより詳細な応用力が必要です。効率的に学ぶためには、試験範囲を細分化し、主要ポイントを優先的に学習することが効果的です。また、公式資料や標準テキストを基盤に、過去問や配布される試験範囲のガイドラインと照らし合わせて学習計画を立てることも重要です。
おすすめのテキストと教材
「証券アナリスト一発合格シリーズ」などの専門教材は非常に役立つとされています。また、公式が提供しているテキストや事前講座で使用される教材は、試験傾向を確実に捉えているため、必ず活用しましょう。さらに、科目ごとの参考書を活用しつつ、相性の良い教材を繰り返し使うことで理解を深めることができます。試験範囲が広いため、自分の弱点補強に役立つ問題集や過去問もあらかじめ揃えておくと効果的です。
資格スクールと独学の選び方
証券アナリスト資格試験に合格するためには、資格スクールの利用も独学もそれぞれメリットがあります。資格スクールではプロ講師の指導や体系的なカリキュラムを受けられるため、時間に制約のある社会人にとっては効率的な選択肢です。一方で、独学を選ぶ場合は、自分のペースで学習できる反面、テキストや教材選びと自己管理が重要となります。最近ではオンライン講座も増えており、これを併用することで独学者でも最新情報を取り入れやすくなっています。
効果的な過去問演習の活用法
過去問の演習は、試験結果を左右するほど重要です。特に証券アナリスト試験では過去問を繰り返し解くことで、出題傾向や頻出問題を把握することが可能です。合格者の多くが、過去5～10年分の問題を徹底的に取り組むことで、本番の問題形式や時間配分に慣れています。また、解答後には必ず解説を確認し、自分の間違いや理解不足の部分を明確にして対策を講じることが大切です。
4. 合格後に広がるキャリアの可能性
金融業界でのキャリアアップ
証券アナリスト資格を取得することで、金融業界におけるキャリアアップが可能です。この資格は、証券会社や銀行、投資信託会社などで財務分析や投資戦略の構築に携わるプロフェッショナルとしての評価を高める上で非常に有利です。例えば、資産運用や企業の投資判断をサポートするポートフォリオマネージャーとしてのキャリアを目指す方にとって重要なステップとなります。
転職市場における証券アナリストの価値
証券アナリスト資格を保有していることで、転職市場においても高い評価を得ることができます。この資格は専門知識を証明するものであり、企業の採用担当者からも信頼されるポイントです。特に金融機関だけでなく、一般企業のIR（投資家向け情報発信）部門などへの転職を目指す場合にも、この資格は強力な武器となります。転職市場ではその専門性とスキルが年収アップにも直結し、さらなるキャリアの飛躍が期待できます。
専門知識を活かした活躍の場
証券アナリストとしての専門知識は、金融業界に限らず幅広い分野で活用できます。企業の財務戦略に従事するコンサルタントや、経済動向を分析して意思決定を導くエコノミストとしても評価されることがあります。また、個人投資家向けのセミナー講師や、金融メディアでの執筆活動など、知識をアウトプットする場も多い点がこの資格の魅力です。
資格維持のための継続教育制度
証券アナリスト資格を保持するためには継続的な教育制度への参加が求められます。これは、市場環境が常に変化する中で、最新の知識とスキルを維持し、プロフェッショナルとしての責任を果たすためです。継続教育プログラムでは、金融や経済の最新トピックに関する講座やセミナーなどが提供され、学びを深める機会が設けられています。このような活動を通じて、自分の専門性をさらに高めつつ、業界内での地位を向上させることができます。
5. 証券アナリスト試験を受けるにあたっての注意点
試験の難易度と心構え
証券アナリスト試験は難易度が高いことで知られています。特に第1次試験と第2次試験では、扱う科目の範囲が広く、深い専門知識が求められます。実際の過去の結果を見ても、第2次試験の合格率はおおむね40～50%程度で推移しており、受験者の半数以上が不合格となる厳しい試験です。このため、徹底した準備と綿密な学習計画が不可欠です。また、合格するためには、単なる暗記ではなく、実践的に問題を解く力や応用力を養うことが重要です。試験対策を進める際には、途中で挫折しないように目標を明確にし、長期的な視点で計画を立てる心構えが大切です。
登録や試験費用について
証券アナリスト試験を受験するには、日本証券アナリスト協会が提供する講座を受講する必要があります。この講座の受講費用は試験費用を含めると高額になる場合もありますので、事前に計画的な準備が求められます。さらに、試験当日に近づくと出費が重なることもあるため、予算をあらかじめ考慮しておくとよいでしょう。なお試験の申し込み期間が年2回に分かれているため、申し込みを忘れることのないよう注意が必要です。最新の日程や費用については、日本証券アナリスト協会の公式サイトを確認するのがおすすめです。
試験当日の流れと注意事項
証券アナリスト試験は、従来の筆記形式（PBT方式）で実施される会場での試験が主流ですが、近年一部の会場でCBT方式も検討されています。試験当日は身分証明書や筆記用具など、必要な持ち物を事前に確認してください。試験に遅刻すると受験できない場合もあるため、会場までのアクセスや集合時間を十分に確認し、余裕を持って行動する心がけも大切です。また、試験中は時間配分に気を配り、効率的に問題を解くことを意識しましょう。注意事項をきちんと確認し、不備がないよう準備することで当日の不安も軽減できます。
社会人と学生での勉強両立のコツ
社会人や学生が忙しい日々の中で証券アナリスト試験の勉強を両立するには、効率的なスケジュール設計が重要です。社会人の場合、仕事が終わった後や週末などの限られた時間を有効活用する必要があります。移動時間や休憩時間を使った短時間学習やオンライン教材の活用が効果的です。一方、学生はまとまった時間を確保しやすい一方で、学業とのバランスが課題となります。試験日程から逆算した計画を立て、主要科目を優先的に学ぶことが成功のポイントです。いずれの場合も、無理な目標設定は避け、小さな成功体験を積み上げることでモチベーションを維持しましょう。
