コトラ（広報チーム） 
証券アナリスト2次試験とは
試験内容と概要
証券アナリスト2次試験は、公益社団法人日本証券アナリスト協会が主催する試験で、CMA（証券アナリスト）資格取得のための最終段階となります。この試験では、証券分析やポートフォリオ理論、企業分析、経済市場の分析といった分野を網羅した知識と応用力が問われます。試験問題は主に記述式で構成され、計算問題に加え、論理的思考が必要な応用問題にも対応する力が求められます。
合格率の推移と特徴
証券アナリスト2次試験の合格率は例年40％から50％前後で推移しており、合格が容易ではない難関試験の一つです。過去5年間のデータを見ると、2022年の合格率が54.8%と比較的高かった一方、2025年には44.4%とやや低下していることが分かります。また、受験者数は年度によってばらつきがあるものの、受験者全体の約半数が合格するという安定した傾向が見受けられます。特に「職業倫理・行為基準」の得点が基準を満たさない場合は不合格となる点も特徴的です。
受験資格と試験の実施スケジュール
証券アナリスト2次試験を受験するためには、第1次試験の合格が前提となります。その後、「第2次レベル講座」と呼ばれる講座を受講し、修了した翌年から2次試験の受験資格が与えられます。試験は毎年6月上旬に国内9都市および海外3都市（ニューヨーク、ロンドン、香港）で実施され、結果は試験日から約2か月後に発表されます。2025年度の試験では、国内および香港の会場では6月7日（日）に、ニューヨーク・ロンドン会場では6月6日（土）に実施されました。
合格者に学ぶ成功の秘訣
勉強時間とスケジュールの管理
証券アナリスト2次試験に合格するためには、計画的な勉強時間の確保とスケジュール管理が欠かせません。必要な勉強時間はおおよそ200時間ほどと言われていますが、その時間をいかに効率的に使うかが合格率アップの鍵となります。試験範囲は広範囲にわたるため、日々の学習目標を立て、毎日少しずつ進めることが重要です。週ごとや月ごとの進捗を確認することで、無理なく全範囲をカバーできます。さらに、仕事や家庭のスケジュールに合わせ、早朝や通勤時間などのスキマ時間を有効活用する工夫も求められます。
過去問活用の重要性
証券アナリスト2次試験の過去問は、合格への最大のヒントが詰まっています。過去問を繰り返し解くことで、出題傾向や重点ポイントを把握でき、自信を持って試験に臨むことができます。また、本番と同じ形式で問題に取り組むことで、時間配分の練習にもなります。過去10年分を解くといった目標を立て、間違えた部分を重点的に復習することをお勧めします。こうした学習を通じて、自分の弱点を発見し、効率的に克服することが可能です。
職業倫理と実務的知識の学び方
証券アナリスト2次試験では、職業倫理や実務的知識に関する内容も重要な比重を占めています。この分野で一定水準を下回ると不合格となるため、しっかりと学習しておく必要があります。具体的には、公益社団法人日本証券アナリスト協会が提供する公式教材を活用することが効果的です。さらに、実務知識については、証券市場や経済の最新動向を日々ウォッチする習慣を身につけるとよいでしょう。こうした知識は定期的にアップデートされるため、金融ニュースや公式発表に目を通すことも大切です。
難関分野の攻略法
数量分析と統計の克服ポイント
証券アナリスト2次試験において、数量分析と統計は多くの受験者が苦戦する分野です。この分野では、統計的手法やデータ分析の基礎知識が問われるため、計算問題に対する確かな理解が求められます。効率的な学習方法としては、基礎統計学の理解を深めることが重要です。例えば、回帰分析や標準偏差など基本的な統計概念をしっかりと押さえたうえで、試験の過去問を使って実践的な演習を繰り返すことが効果的です。また、金融データの具体例に基づいて統計を活かす方法を学ぶことで、試験での応用力も養えます。
証券分析とポートフォリオ理論の実践
証券分析とポートフォリオ理論は、証券アナリスト2次試験で高得点を取るための鍵となる分野です。このセクションでは企業価値の評価やリスクの分析が出題されるため、投資理論と実務的な金融理解の両方が必要になります。具体的には「効率的フロンティア」や「CAPM（資本資産評価モデル）」など、ポートフォリオ理論を中心とした概念を正確に理解することが大切です。また、証券分析では、財務データの読み方や企業価値評価モデルを使った実務的な分析能力が求められるため、これらを体系的に学ぶ必要があります。過去問を通じてパターンを把握し、実務につながる形で理論を応用する練習を重ねましょう。
財務分析の効率的な学習アプローチ
財務分析は、一見すると膨大な知識量が必要に思われがちですが、合格率を上げるためのポイントは効率的な学習です。基本的なアプローチとして、貸借対照表（B/S）や損益計算書（P/L）などの財務諸表を正確に理解し、そこから企業の財務状況を読み取る力を養うことが必要です。重要な比率分析（ROE、ROA、流動比率など）の計算方法や、その解釈についての知識を深めることも不可欠です。学習の際には、初学者向けの解説書を利用しながら、証券アナリスト向けの専門書にステップアップしていく方法が効果的です。さらに試験本番での効率を向上させるために、問題集やスピード解答法といったツールも活用しましょう。
試験本番での戦略
時間配分と問題選択のコツ
証券アナリスト2次試験では、限られた時間内で多くの記述式問題に対応しなければなりません。そのため、試験本番での時間配分と問題選択の戦略が極めて重要です。まず、試験開始時に全体の問題をざっと確認し、解きやすい問題や得点可能な問題を見極めることがポイントです。特に、難易度の高い計算問題は時間を浪費する可能性があるため、後回しにすることが賢明です。また、各科目での配点を理解し、高配点の問題に優先的に取り組むことで効率的に点数を稼ぐことができます。
メンタル管理と集中力の維持
試験中に精神的な安定を保つことも合格率を左右する重要な要素です。証券アナリスト2次試験は数時間にわたるため、途中で集中力を切らさないための工夫が必要です。定められた時間の中で定期的に深呼吸を行い、頭をクリアにする時間を持つとよいでしょう。また、過去問演習を通じて試験形式に慣れておくことも、本番での精神的な余裕を生む大きな助けになります。試験直前には睡眠をしっかりととり、万全の体調で望むことも重要です。
直前準備で見直すポイント
直前の準備ではこれまでの学習を総仕上げすることが大切です。特に職業倫理や行為基準の項目は合格の判定において重要視されており、一定の得点を下回ると不合格となる場合があるため、重点的に復習する必要があります。また、証券分析や財務分析の基礎知識に関しても、過去問を活用しながら要点を整理してください。さらに、試験当日の持ち物や受験票の確認など、基本的な準備も忘れずに行い、当日余計なストレスを感じないようにすることが成功のカギとなります。
合格後に広がるキャリアの可能性
証券アナリストとしての活躍の場
証券アナリストとしての資格を取得すると、金融業界において幅広い分野での活躍が期待されます。主な勤務先としては、証券会社、銀行、生命保険会社などが挙げられます。特に、証券分析やポートフォリオ・マネジメントに関する知識が必要とされる役職で重宝される傾向があります。また、投資ファンドやアセットマネジメント会社では、投資戦略立案や資産運用において資格者の専門性が高く評価されます。さらに、企業の財務部門や経営企画部門での活躍も可能であり、CMA資格を持つことで、専門的な知識を活かして成果を上げることができるでしょう。
転職や昇進でのアドバンテージ
証券アナリスト2次試験に合格した実績は、転職や昇進の際に大きなアドバンテージとなります。特に金融業界では、CMA資格がその人の専門性や実務能力を証明するものとして高く評価されます。現在働いている職場内でも、証券分析やポートフォリオ理論の実務経験が評価され、昇進の際に有利になるケースが多いです。また、転職市場においても、資格を持つことで応募可能な求人の幅が広がり、年収アップの交渉でも有利に働くことが期待されます。このように、合格後はキャリアにおける選択肢が格段に増えるのが特徴です。
資格取得がもたらす新たな目標
証券アナリスト2次試験の合格は、人生における新たな目標を生み出すきっかけとなります。例えば、更なる専門性を高めるために追加の金融資格（CFAなど）を目指す人も少なくありません。また、キャリアアップを念頭に、海外の金融市場での活躍を目指すケースも増えています。さらに、実務で得た経験を活かし、後進の育成や指導に携わる道も開けます。合格を機に自身のスキルや視野を広げ、金融業界での一層のステップアップを図ることが可能となるでしょう。
