コトラ（広報チーム） 
中小企業診断士試験の概要を知ろう
中小企業診断士資格とは？
中小企業診断士は、企業の経営課題に対して診断や助言を行う専門家として活躍する国家資格です。経営・マネジメントに関する幅広い知識が求められ、特に中小企業の成長や改善に寄与する役割が期待されています。一方で、資格の取得には高度な専門知識を持つことが必須であり、合格率が約3～8%と非常に狭き門であることから、中小企業診断士試験は高難易度の資格の一つとされています。この資格を取得すると、コンサルティング業務を行うだけでなく、経営管理や政策提言などの分野でも活躍の幅が広がります。
試験の全体像と流れ
中小企業診断士試験は、1次試験、2次試験（筆記試験・口述試験）の3ステップで構成されています。まず、1次試験で7科目の筆記試験を受験し、合格者のみが2次試験に進むことができます。2次試験では実務に即した4つの事例について解答する筆記試験があり、合格すると口述試験が行われます。最終的にすべての試験を突破した方が合格者として認定されます。これにより、実務能力と学術的な知識の両方が備わっていることが証明されるのです。
試験のスケジュール概要
中小企業診断士試験は、1次試験、2次試験（筆記・口述）の流れで実施され、それぞれの時期が年間にあらかじめ決まっています。令和7年度（2025年度）のスケジュールを例に挙げると、1次試験は8月2日（土）と3日（日）に実施され、合格発表は約1か月後の9月2日（火）です。その後、2次試験の筆記試験が10月26日（日）に行われ、合格発表は2026年1月14日（水）となります。さらに、口述試験が2026年1月25日（日）に行われ、最終的な合格発表は2026年2月4日（水）に予定されています。このスケジュールを把握し、早めに準備を始めることが合格への近道といえるでしょう。
受験資格と申込み方法
中小企業診断士試験には特定の受験資格は必要ありませんが、1次試験に合格しなければ2次試験に進むことができません。試験の申し込み期間は各年度によって異なり、2025年度の場合、1次試験の申込受付期間は4月24日（木）から5月28日（水）までです。一方、2次試験の申込受付期間は1次試験合格発表後の9月2日（火）から9月22日（月）までとなります。申込み方法については、一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会の公式サイトの案内に従い、インターネットまたは郵送で手続きを行います。
試験日程の注意事項
中小企業診断士試験は、試験日程が事前に明確に定められているため、そのスケジュールに従って確実に準備することが重要です。また、申込み期間や試験当日の持ち物、時間割などにも注意を払いましょう。特に、申し込み忘れや申込み情報の不備は大きなトラブルにつながる可能性があります。また、試験当日は遅刻が認められない場合が多いため、時間に余裕を持って行動することが求められます。さらに、試験中の体調管理や持ち込み可能な用品の確認も事前にチェックしておきましょう。このような準備が試験合格への重要な一歩となります。
1次試験対策のポイント
1次試験の目的と重要性
中小企業診断士試験の1次試験は、必要な基礎知識を持っているかを確認するための重要な試験です。この試験では7つの科目にわたり、経済学や経営理論など中小企業診断士に求められる幅広い知識が問われます。1次試験は中小企業診断士としてのキャリアを築くための第一関門であり、このステップを突破することで2次試験に進むことが可能です。特に独学での合格を目指す場合、体系的かつ計画的な学習が求められるため、自身の学習進捗を継続的にチェックすることが重要です。
試験科目と配点の詳細
1次試験では以下の7科目が出題され、それぞれ100点満点で評価されます。
- 経済学・経済政策（1時間）
- 財務・会計（1時間）
- 企業経営理論（1時間半）
- 運営管理（1時間半）
- 経営法務（1時間）
- 経営情報システム（1時間）
- 中小企業経営・政策（1時間半）
これらの科目ごとに足切り基準があり、総得点の60%以上かつ各科目が40%以上の得点率を満たすことが合格条件となります。この点数基準を満たすためには、バランスよく科目を学ぶことが不可欠です。
効果的な勉強スケジュール作成
効率的に勉強スケジュールを作成するには、試験日から逆算して計画を立てることが重要です。例えば、2025年8月2日・3日に予定されている試験日に向けて、1日2時間の勉強時間を確保する場合、少なくとも1年以上前から準備を開始することをおすすめします。また、初期段階では全科目をまんべんなく学習し、本試験の3か月前からは弱点科目を中心に重点的な復習を行いましょう。模試や過去問を活用することで、本番を意識した練習も追加することが効果的です。
科目合格と科目免除の特例活用
中小企業診断士試験には「科目合格」という制度があり、一度合格した科目は翌年以降も一定期間免除されます。この制度を活用すれば、短期間で全科目に合格するプレッシャーを軽減することが可能です。一方で、科目免除制度の特例も活用できます。他資格で一定の条件を満たしている場合、対応する科目が免除されることがあるため、詳細を一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会の公式サイトで事前に確認すると良いでしょう。
直前対策の重要なポイント
試験直前の時期には、過去問や予想問題を繰り返し解き、出題傾向を確認することが重要です。特に苦手科目の復習に力を入れることで、40%未満の足切りを回避することができます。また、2025年度の1次試験は8月の初旬に行われるため、夏の暑さ対策も必要です。当日は十分な睡眠を取り、試験会場へのアクセスを事前に確認しましょう。計画的な直前準備により、本番でのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
2次試験準備と攻略法
2次試験の形式と内容
中小企業診断士試験の2次試験は、1次試験とは異なる形式で実施されます。筆記試験と口述試験の2ステップ構成で、「中小企業の診断および助言に関する実務事例」がテーマとなります。筆記試験では、事例Iから事例IVまでの合計4つの事例が出題され、それぞれ80分間で記述式の解答を作成します。合格後には口述試験が実施され、個人面接形式で試験官の質問に応じて回答します。この試験は、中小企業の経営課題を的確に捉える力と、その課題解決のための論理的思考力を評価するものです。
答案作成のコツ
2次試験の答案作成では、「論理性」と「読みやすさ」が重視されます。まず、設問に対する正確な理解がポイントです。問題文から重要なキーワードを抽出し、設問意図を把握した上で採点基準に基づいた回答を作成しましょう。また、限られた時間内で解答する必要があるため、過度にボリュームを増やさず、簡潔で分かりやすい表現を心がけることが重要です。事例IVの財務などでは、計算ミスを防ぐため、使用する公式や手順をメモして冷静に進めることを忘れないでください。
模試や過去問の活用法
2次試験に向けた勉強を進める上で、模試や過去問の活用は非常に効果的です。特に、過去問を解いて出題傾向をつかむことは合格への近道と言えます。過去問を解いた後は、解説を確認して得点源となるポイントや自分の弱点を把握することが重要です。また、模試を定期的に受講することで、実際の試験に近い雰囲気を経験でき、時間配分の確認や答案作成の練習に役立ちます。自己採点を行い、中小企業診断士試験の採点基準を想定した採点で改善点を見つけましょう。
合格に向けた情報整理
試験対策を効率的に進めるためには、学習内容や試験情報を整理する習慣をつけることが大切です。1次試験の知識を基礎として活用できる分野も多いため、関連知識を結びつけて体系的に整理しましょう。特に、公式通知や一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会の公式ウェブサイトにある試験スケジュールやガイドラインを定期的に確認し、最新情報を得ることが欠かせません。加えて、解答の流れやキーポイントをまとめた自作のノートを作成すると、復習がスムーズになります。
時間管理と試験当日の心得
2次試験では、時間管理が合否を左右する重要なポイントとなります。試験当日は、事例ごとに配布される問題文を短時間で精読し、解答計画を立てることが求められます。そのため、事前に過去問を解く際には時間を計測し、本番と同じペースで練習しておく努力を怠らないでください。さらに、試験当日の心得として、筆記用具や時計などの準備を整え、余裕を持ったスケジュールで試験会場に向かうことが精神的な落ち着きにも繋がります。冷静さを保ち、集中して答案作成に取り組むことが合格へのカギとなります。
口述試験と合格後のステップ
口述試験の内容と対策
中小企業診断士試験の最終関門である口述試験は、個人面接形式で実施されます。この試験では、2次試験（筆記）の内容を基に、実務的な事例への対応能力やコミュニケーション能力が問われます。口述試験は具体的に、試験官による質問に対して適切な回答を行う形式です。例として、実務事例に関連する助言や課題解決手法について問われることが一般的です。
対策としては、2次試験（筆記）の振り返りを徹底することが重要です。過去の試験で扱われた事例や回答内容を再度整理し、自分の考えを論理的にまとめる練習を行いましょう。また、模擬面接などを活用して、口頭での説明に慣れておくことも効果的です。さらに、出題内容が2次試験の内容に基づくため、1次試験と2次試験で学んだ知識の総復習も欠かせません。
合格後の手続きや認定プロセス
口述試験に合格すると、中小企業診断士として認定を受けるための手続きが始まります。合格後は、「一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会」へ所定の登録手続きを行い、中小企業診断士資格が正式に付与されるプロセスを踏む必要があります。
必要な手続きとしては、登録申請書の提出、資格取得の認定料の支払い、そして中小企業診断士活動に必要な情報登録などがあります。また、登録後には定期的な更新や実務補習への参加などが求められるので、認定後も学び続ける姿勢が重要です。
中小企業診断士としてのキャリア
中小企業診断士資格を取得すると、経営コンサルタントとしてのキャリアをスタートすることができます。独立開業して中小企業の支援を行う道や、企業内診断士として組織の経営改善に貢献する選択肢があります。また、資格を活かして地方自治体や商工会議所などの公的団体で中小企業支援の業務に携わる人も少なくありません。
この資格は、経営改善や事業再生、さらには新規事業開発などに携わる役割を担う可能性があり、キャリアの幅を大きく広げるものです。そのため、合格後の目標や方向性を明確にすることが、資格取得後の成功につながります。
試験後のフォローアップ方法
試験後のフォローアップをしっかり行うことで、スムーズに中小企業診断士としての活動を始めることができます。試験合格後は、実務補習などの実務経験を積むためのプログラムを活用し、実践力を高めることが求められます。また、資格を活かすためには、関連するセミナーや研修会に定期的に参加することも重要です。
さらに、試験で得た知識を現場で活用できるよう、学びを深め続ける自己研鑽の習慣をつけることがおすすめです。フォローアップを怠らず行うことで、診断士としての活動を一層充実したものにできるでしょう。
実務補習と修了要件について
中小企業診断士資格の最終的な要件として、実務補習や実務従事が求められます。実務補習は、実際の中小企業を対象にコンサルティングを行う経験を積む場であり、中小企業診断士としての応用力やコミュニケーション能力を磨く機会です。
新しく診断士として登録する場合、5日間または15日間の実務補習に参加するか、3年以上の実務経験を証明する必要があります。この期間を通じて、検査・診断能力や助言能力を実践で習得できます。これにより、資格取得後の更なる活用に向けた準備が整います。スケジュールを見ながら早めに準備を進めることが成功の鍵と言えます。
