コトラ（広報チーム） 
実務ポイントの基本を理解しよう
実務ポイントとは何か？
中小企業診断士が資格を維持するためには「実務ポイント」を取得することが必要です。この実務ポイントとは、中小企業や関連団体への経営診断や助言といった活動を行った実績を指し、その活動がポイントとして加算される仕組みになっています。実務ポイントの制度は、診断士としての職務経験を積むことを目的として設けられています。対象となる実務は、中小企業の経営支援に関する業務であり、活動を通じてスキルを実践的に磨く機会となるところが特徴です。
取得に必要な日数とポイント数の仕組み
実務ポイントの取得には30ポイント（30日分）が必要で、これが資格更新の条件となります。1日の活動が1ポイントに相当し、例えば、15日間にわたる実務補習を修了すれば、15ポイントが取得できます。なお、実務ポイントの取得期間は資格登録日から5年間。この期間内にポイントを獲得する必要があります。さらに、実務補習を受講せず、専ら実務従事でポイントを集める場合は30日分の対象業務を完了し、証明書類を用意することが必要です。
診断士登録や更新との関係
中小企業診断士の登録後、資格を維持するためには5年ごとに更新手続きを行わなければなりません。更新要件は、大きく分けて「専門知識拡充要件」と「実務要件」の二つがあります。このうち実務要件で必要とされているのが、実務ポイント30点以上の取得です。これを達成しなければ、資格の更新はできません。また、登録後3年以内には実務補習で15日分以上の実績を積む必要もあります。このように、実務ポイントの取得は診断士としての活動と資格の維持において直結する要素なのです。
実務ポイント制度のルールを把握する
実務ポイント制度には、いくつかのルールが定められています。まず、ポイントを取得できる対象となるのは中小企業や医療法人、NPO法人など特定の組織に対する経営診断や助言業務に限られています。活動の記録として、公式様式「様式第18」や「様式第19」を活用し、適切に証明書を作成する必要があります。また、一部の案件ではオンライン形式での活動も認められていますが、業務内容や成果物が明確であることが前提です。これらのルールをあらかじめ理解し、必要な準備を整えておくことが重要です。
効率的に実務ポイントを獲得する方法
実務補習を活用したポイント獲得
実務補習は、中小企業診断士として実務ポイントを効率的に取得するための代表的な選択肢です。中小企業診断士試験に合格すると、登録の条件として15日間以上の実務補習を受講する必要があります。この実務補習では、実務の基礎を学びつつ、中小企業診断士の実務ポイントを確実に獲得することができます。
ただし、実務補習は平日に開催される場合が多いため、時間の確保が難しい方は早めのスケジュール調整がおすすめです。主催団体やスケジュールについては、日本中小企業診断協会や地域の支部などで確認すると便利です。
民間の実務従事サービスを利用する
民間企業が提供する実務従事サービスを利用するのも、実務ポイントを獲得する効率的な方法です。これらのサービスでは、中小企業診断士として経営診断に直接関わるチャンスを得ることができ、実際の中小企業支援を通じて経験を積むことが可能です。
また、最近ではオンラインで参加できる実務従事案件も増加しており、場所に縛られることなく案件に参加できるようになっています。これにより、フルタイムの仕事を持つ企業内診断士でも参加しやすくなっている点が魅力です。自分のスケジュールや興味に合わせた案件を選ぶことで、スムーズに実務ポイントを積み重ねることができるでしょう。
SNSやネットワークを活用して情報収集
SNSや中小企業診断士同士のネットワークを通じて情報を収集することも、効率的に実務ポイントを獲得するための重要な手段です。FacebookやLinkedInなどのSNSでは、中小企業診断士向けのグループが多数存在し、実務従事案件の紹介や情報共有が行われることがあります。
さらに、研究会やセミナーに参加して診断士同士の人間関係を広げることで、新たな実務従事案件の情報を得る機会が増えます。これらのネットワークを活用して積極的に動くことで、より効率的に実務ポイントを獲得する道が見えてきます。
地域の診断士協会から支援を受ける
地域の診断士協会は、実務ポイントを獲得する際に頼れる存在です。各協会では、実務従事案件や実務補習の情報提供、さらにはプロボノ活動など多岐にわたるサポートを行っています。定期的に開催される勉強会や交流会を通じて、他の診断士とのつながりを深めることも可能です。
特に、新人の中小企業診断士や企業内診断士に対して、実務ポイントを効率的に取得するためのアドバイスを提供している地域協会もあります。まずは所属する地域協会の活動内容を確認し、その支援を最大限活用することをおすすめします。
実務の幅を広げるための具体的アクション
知り合いや取引先を活用した実務従事
中小企業診断士として実務ポイントを獲得するためには、まず身近な人脈を活用することが重要です。知り合いの経営者や過去の取引先に自らアプローチし、経営診断や助言の機会を作りましょう。知り合いからスタートすることで、最初の一歩を踏み出す心理的なハードルが下がり、安心して取り組むことができます。また、信頼関係があるため、案件の進行もスムーズです。この方法を継続することで、中小企業診断士としての経験値だけでなく信頼も積み上げることができ、次の案件獲得へとつながる可能性が広がります。
企業内診断士としてのチャンスを活かす
すでに企業に勤務している場合、自社内で診断士としてのスキルを活かすことができます。例えば、自社の経営課題への助言や部署ごとのプロセス改善への取り組みなどが挙げられます。これらの活動も、実務従事として認められるケースがあります。企業内診断士として価値を発揮できれば、評価向上や自身のキャリアアップにもつながります。また、企業が中小企業診断士の資格活用を認める体制を持つ場合、更なる支援が得られる可能性もあります。自社内での実務経験を積むことで、資格更新に必要な実務ポイントを効率良く獲得することができます。
提案型の診断業務への取り組み
中小企業診断士として経営層や企業へ具体的な解決策を提案する提案型診断業務に取り組むことも実務経験の幅を広げる有効な方法です。単純な診断や助言業務にとどまらず、企業の課題を掘り下げ、詳細な提案書を作成し提供することで、企業からの信頼を得ることができます。このような業務はポイント獲得につながるだけではなく、診断士としてのスキルの向上にも寄与します。また、顧客満足度が高いアウトプットを提供することにより、長期的なビジネス関係にもつながりやすくなります。
自主的な案件開拓のスキルを磨く
実務ポイントを安定的に獲得するためには、自主的に案件を開拓するスキルを磨くことが欠かせません。たとえば、SNSやブログを活用して自分の専門性を発信することで、新たな案件や依頼を獲得できる可能性があります。また、地域の中小企業診断士協会や異業種交流会への参加も効果的です。積極的に活動を広げることで、案件開拓のノウハウが身につき、診断士としての実務経験を着実に増やしていくことができます。このスキルは、資格更新に必要な実務ポイントを確保するだけでなく、将来的なビジネス機会創出にもつながる重要な要素です。
実務ポイント取得を確実にするための注意点
書類作成時の注意事項と様式の確認
中小企業診断士として実務ポイントを確実に取得するためには、適切な書類作成が必要不可欠です。実務ポイント取得には「様式第18」や「様式第19」といった特定の申請書類を使用します。これら書類は、不備があるとポイントが認められない場合や手続きが遅れることがあるため、ガイドラインをよく確認することが重要です。また、記載内容は正確かつ具体的に記述する必要があります。例えば、対象となる中小企業の情報や診断業務の詳細を過不足なく記載しましょう。記入後は、一度第三者にチェックしてもらうのも有効です。公式Q&Aや関連するガイドラインも併せて確認することで、手続きのミスを未然に防ぐことができます。
ポイント取得後のフォローアップ
実務ポイントを取得した後も、適切なフォローアップを行うことが大切です。一度取得したポイントが適用されない事態を防ぐため、必要書類の保管や提出の進捗管理を怠らないようにしましょう。また、実務ポイント獲得が終わった後でも、診断業務の進捗や成果を振り返り、次にどのような実務に取り組むべきかを検討することが重要です。このプロセスを通じて、単なるポイント獲得に留まらず、診断士としてのスキルアップにもつなげることができます。中小企業診断士としての今後の活動に活かせる情報やノウハウの蓄積を習慣化しましょう。
資格更新期限を見据えた計画的な取り組み
中小企業診断士の資格有効期限は5年間です。この期間内に計画的に実務ポイントを取得しなければ、資格更新ができなくなる可能性があります。そのため、早い段階で年間の活動計画を立て、5年の間に確実に30ポイントを達成できるよう工夫することが大切です。特に実務補習は期限が設定されており、これを超えると受講ができなくなるため注意が必要です。また、企業内診断士の場合は本業と実務従事の両立をどう図るかも考慮する必要があります。自分のペースやライフスタイルに合った方法を選びつつ、定期的な進捗確認を行うとよいでしょう。
「形式だけ」にならない実務スキルの獲得を意識する
実務ポイントを取得すること自体が目的となってしまうと、中小企業診断士としての本来の役割を損なう可能性があります。実際の現場で活用できる診断スキルや助言能力を身に付けることを意識しましょう。特に、単なる形式的な活動ではなく、企業や地域の中小企業に実際に価値を提供できるアプローチが求められます。一つ一つの実務経験を振り返り、自身のスキルアップや次の業務への活かし方を検討することが、診断士としての信頼向上にもつながります。また、診断業務を通じて得た知識や経験を、中小企業診断士同士の交流やコミュニケーションで共有していくことも良い方法です。
