コトラ（広報チーム） 
はじめに
記事の目的と想定読者
中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」は、多くの受験生にとって難解な科目だと認識されがちです。特に、学生時代に経済学を専攻していなかった方や、仕事で経済に触れる機会が少ない方にとっては、数式やグラフの多さに苦手意識を持つことも少なくありません。
この記事は、まさにそうした「経済学が苦手」と感じる初学者の方々を主な読者として想定しています。経済学の勉強を始める前に知っておきたいポイント、効率的な学習法、そして安定して60点以上を獲得するための攻略法を、具体的に解説していきます。最終的には、この科目を苦手意識の対象から「得点源」へと変え、一次試験突破の足がかりとすることを目指します。
経済分野が「苦手」と感じる方へのメッセージ
「経済学」と聞くと、身構えてしまう方もいるかもしれませんが、心配はいりません。確かにグラフの読み取りや数式を使った問題が多く、理系的な理解力が求められる側面もあります。しかし、一度基本を理解し、反復練習を重ねれば、必ず得点できるようになる科目です。実際、過去の合格者の中には、経済学を苦手としていたにもかかわらず、最終的には得意科目として高得点を獲得した人も多くいます。
大切なのは、「苦手意識を持たなくて良い」と自分に言い聞かせ、一つ一つの理論を丁寧に積み上げていくことです。この記事を読み終えることで、経済学・経済政策の学習に取り組む上での心構えと具体的な勉強法が明確になるでしょう。
中小企業診断士試験における「経済学・経済政策」とは
試験の概要・出題範囲
中小企業診断士の一次試験における「経済学・経済政策」は、企業経営において不可欠な経済の知識を問う科目です。大きく分けて「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」の2つの分野から出題されます。
- ミクロ経済学
- 市場メカニズム
- 消費者行動と需要曲線、企業行動と供給曲線
- 市場と組織の経済学、産業組織と競争促進
- 具体的には、企業の費用関数・供給関数・生産関数、消費者行動分析（効用関数、予算制約線、スルツキ―分解、代替財・補完財）、市場均衡（余剰、ワルラス・マーシャル、国際貿易）、不完全競争市場（独占、ゲーム理論）、市場の失敗（外部効果、公共財、情報の非対称性）などが出題されます。
- マクロ経済学
- 国民経済計算の基本的概念
- 主要経済指標の読み方
- 財政政策と金融政策
- 国際収支と為替相場
- 主要経済理論
- 具体的には、GDP、物価指数、景気動向、乗数理論、IS-LM分析、AD-AS曲線、ライフサイクル仮説、恒常所得仮説、相対所得仮説、加速度原理、トービンのq、貨幣数量説、k%ルールなどが出題されます。
試験時間は60分で、配点は100点満点、問題数は25問程度です。1問あたりの配点が大きいため、ケアレスミスは命取りになります。
配点・難易度・合格率
経済学・経済政策は、他の科目と比較すると科目合格率が比較的高い傾向にあります。近年では変動があるものの、20%を超える合格率の年もあります。これは、一見難しいと感じるかもしれませんが、適切な対策をすれば安定して得点できる科目であることを示しています。
多くの受験生が苦手意識を持つ一方で、一度理解が定着すれば80点以上も狙える「ポイントゲッター」となり得る科目です。ただし、数式やグラフを用いた理論的な内容が多く、暗記だけでは通用しないため、基礎からの丁寧な理解が求められます。
２次試験との関係
経済学・経済政策は、中小企業診断士の一次試験科目ですが、二次試験との直接的な関連性は低い科目です。このため、二年計画で合格を目指す場合、一年目で経済学・経済政策を科目合格しておくのが効率的だと言えます。二次試験対策として深追いしすぎる必要はなく、あくまで一次試験突破のための「不合格にならないライン」を目指し、効率的な学習を心がけましょう。
なぜ経済科目が重要なのか
中小企業診断士にとって経済学の知識は、企業の外部環境を理解し、経営戦略を立案する上で不可欠です。例えば、マクロ経済の動向は一企業でコントロールできるものではありませんが、その動きをいち早くキャッチし、クライアント企業に適切なアドバイスを提供するためには、経済学の知識が必須となります。ミクロ経済学の知識は、企業や消費者の行動原理を理解し、経営戦略やマーケティング活動の成果を高めるために役立ちます。
出題傾向と頻出論点
中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」は、出題テーマに明確な偏りがあります。このため、頻出論点を重点的に学習することが、効率的な合格戦略の鍵となります。
ミクロ経済学の定番テーマと対策
ミクロ経済学では、主に以下のようなテーマが頻出です。
- 企業行動の原理（費用関数・供給関数・生産関数）：完全競争市場における企業の行動原理を学びます。様々な「○○関数」と多くのグラフが登場するため、理系科目に馴染みのない方は苦労するかもしれませんが、本試験でも頻出であり、後続の理論の基礎となるため、時間をかけてマスターすべき最重要論点です。
- 消費者行動分析（効用関数、予算制約線、スルツキ―分解、代替財・補完財）：消費者の満足度や消費行動の制約条件を学びます。ここでも多くのグラフが登場し、「スルツキ―分解」は難解ながら超頻出です。
- 市場均衡（余剰、ワルラス・マーシャル、国際貿易）：需要と供給から導出される市場均衡について、余剰分析、ワルラス・マーシャル調整過程、国際貿易などを押さえておきましょう。
- 不完全競争市場（独占、ゲーム理論）：独占市場や寡占市場における企業の行動、特に独占企業の限界収入曲線の理解が重要です。ゲーム理論は頻出かつ比較的解きやすい問題が多いので対策が必要です。
- 市場の失敗（外部効果、公共財、情報の非対称性）：社会的総余剰が損なわれる理由を学びます。外部効果、公共財、逆選択・モラルハザードなどが重要論点です。
これらのテーマは、グラフと数式を「関係性の図解」として捉え、単なる暗記ではなく、なぜそうなるのかという因果関係を理解することが重要です。
マクロ経済学の定番テーマと対策
マクロ経済学では、主に以下のようなテーマが頻出です。
- マクロ経済基礎（GDP、物価指数、景気動向）：マクロ経済の基礎的な知識を学びます。GDP、物価指数（ラスパイレス、パーシェ）、景気動向指数（先行系列、一致系列、遅行系列）が主要論点です。「三面等価の原則」および「総需要＝消費（C）＋投資（I）＋政府支出（G）＋輸出（Ex）－輸入（Im）」は非常に重要です。
- 乗数理論：比較的理解が難しい分野ですが、式変形のテクニックが必要となるものの、問われる問題はそれほど難しくないので苦手意識を払拭しましょう。
- IS-LM分析：経済学の中で最も理解が難しいとされる論点ですが、一度理解すれば超頻出問題として得点源になります。発展系のマンデル=フレミングモデルも合わせて押さえておきましょう。
- AD-AS曲線：IS-LM分析を発展させたもので、労働市場や物価水準の変化を考慮します。IS-LM分析の理解が前提となるため、理解が難しい場合は、曲線の変化の結論だけでも押さえるのも一つの手です。
- その他マクロ経済理論（ライフサイクル仮説、恒常所得仮説、相対所得仮説、加速度原理、トービンのq、貨幣数量説、k%ルール）：これまでの論点とは異なり、暗記が中心となる分野です。暗記が得意な受験生は注力して得点源にしましょう。
これらのテーマは、グラフや経済モデルの「因果関係の理解」や「意味の把握」が問われます。特に曲線のシフトと要因の理解を深めることが重要です。
最新の傾向・時事問題への対応
経済学・経済政策の試験では、ベーシックな理論を問う問題が中心ですが、冒頭の数問で経済のトレンドや時事問題に関する出題が見られることがあります。日本の経済動向が絡んだ問題が出題されることが多いので、日頃から新聞やニュースの経済記事をチェックする習慣をつけることが重要です。
具体的な対策としては、過去の主要な経済イベント（例：プラザ合意、バブル崩壊、リーマンショックなど）とそれらが経済に与えた影響を大まかに把握しておくことが有効です。日経新聞の縮刷版や日経電子版の無料会員サービスなどを活用し、主要な経済動向を視覚でインプットする学習もおすすめです。
経済学が苦手な人のための基礎対策
経済学に苦手意識を持つ方は、まず基礎をしっかりと固めることが重要です。焦らず、一歩ずつ理解を深めていきましょう。
経済理論の基礎と抑えるべきグラフ
経済学のグラフは単なる図形ではなく、変数間の関係性を視覚的に示す「言語」です。グラフを丸暗記するのではなく、そのグラフが何を表し、なぜそのような形をしているのか、という「関係性の図解」として理解することが重要です。
- グラフの軸の理解：縦軸と横軸が何を示しているかを常に意識しましょう。例えば、IS-LM分析では縦軸が利子率、横軸が国民所得（GDP）ですが、AD-AS分析では縦軸が物価、横軸が国民所得（GDP）です。軸が異なれば、曲線の動きの意味も変わってきます。
- 曲線の傾きとシフトの理由：需要曲線が右下がりである理由、供給曲線が右上がりである理由など、基本的な曲線の傾きとその背景にある理論を理解します。また、何らかの要因で曲線が左右にシフトする際、その要因とシフトの方向を明確に整理しておきましょう。
- 主要なグラフの描画練習：ただ見るだけでなく、実際に自分の手でグラフを描き、その動きを説明できるようにすることで、理解が深まります。ノートにきれいにまとめることよりも、何度も繰り返して書くことで、自分の脳に刷り込むことを意識してください。
よく出る計算問題のパターンと解き方
経済学の計算問題は、高度な数学的センスを要求されるものではなく、繰り返し練習することで習得できる「型」が存在します。
- パターン暗記の有効性：利潤最大化の条件（限界費用＝限界収入）、総供給＝総需要から均衡価格と均衡数量の算出、弾力性の公式への数値代入と判定など、頻出の計算パターンを習得しましょう。
- 数式は「意味」で覚える：数式を記号の羅列として暗記するのではなく、「言語」としてその意味を理解します。例えば、「限界費用＝総費用がどれだけ増えたか÷生産量の増加」のように、数式が示す経済現象を言葉で説明できるようにすることで、理解度が高まります。
- グラフと数式の連動：グラフと数式は同じ内容を異なる形式で表現しているため、両者を連動させて理解すると効果的です。例えば、限界費用と限界収入が一致する点が利潤最大化条件であることを、グラフの交点と「MR＝MC」という数式の両方で理解しましょう。
「わからない」を無くす！入門者向け勉強アプローチ
経済学の入門者は、以下のステップで学習を進めるのがおすすめです。
- ミクロ経済学からスタート：ミクロ経済学で学ぶ需要と供給などの概念は、マクロ経済学を理解する上での基礎となります。効率よく学ぶためには、まずミクロ経済学から学習し、その後マクロ経済学へ進む流れが効果的です。
- テキストと問題集の往復学習：初期の勉強では、テキストで理論を一つずつ理解し、すぐにスピード問題集などでアウトプットして理解度を確認します。この「インプットとアウトプットの同時並行」が知識の定着に繋がります。
- 動画教材の活用：書籍だけではイメージが掴みにくい場合、YouTubeなどの動画教材を活用するのも有効です。石川秀樹先生の「速習！ミクロ経済学・マクロ経済学」のような、公務員試験対策向けでありながら基礎から丁寧に解説している動画は、経済学が苦手な方におすすめです。
- 完璧を目指さない：最初からすべてを完璧に理解しようとせず、「この論点では、何が問われるのか」という目的意識を持って学習を進めましょう。特に、出題頻度の高い論点から重点的に学習することで、効率的に合格点を目指せます。
効率的な試験対策・勉強法
基礎理解の方法（テキスト・動画活用法）
経済学は体系的な理解が求められるため、基礎をしっかり固めることが重要です。
- テキスト学習：TAC出版の「スピードテキスト」は、多くの受験生に利用されている定番テキストです。図や表が多く、初学者でも理解しやすい構成となっています。まずはテキストを一通り読み込み、各理論の全体像を把握しましょう。
- 動画学習の併用：テキストだけでは理解しにくい、グラフの動きや数式の意味などは、動画解説を活用すると効果的です。YouTubeには無料で視聴できる経済学の講義動画も多数あります。テキストと動画を併用することで、視覚的・聴覚的に理解を深めることができます。特に、苦手な分野や論点に絞って動画を活用し、自分の言葉で説明できるようになるまで繰り返しましょう。
過去問・問題集による学習ステップ
知識のインプットだけでなく、アウトプットを通じて「本番で解ける力」を養うことが重要です。
- 初期段階：テキストで学んだ内容を、すぐに「スピード問題集」で確認します。基礎的な問題を解くことで、知識の定着度を測り、理解が曖昧な部分を特定します。
- 中期段階：基礎理論が定着したら、「過去問完全マスター」のような論点別の過去問題集に取り組みます。初見では難しく感じるかもしれませんが、間違った問題は解説を徹底的に読み込み、理解を深めます。特に、費用関数、スルツキ―分解、余剰分析、ゲーム理論、IS-LM分析、AD-AS関数、マンデル=フレミングといった頻出論点は横解き（論点別）で集中的に学習しましょう。
- 直前期：本試験を意識して、「TACの過去問集」のような年度別の過去問題集をタテ解きします。過去5年分を最低3回以上繰り返し解き、時間配分や問題の見極めを練習します。マクロ経済の暗記系論点の強化もこの時期に行いましょう。
通信講座・講師の活用方法
独学で経済学の学習を進める中で、どうしても理解が難しい部分や、モチベーションの維持に不安を感じることもあるでしょう。
- 苦手克服のための単科講座：経済学が特に苦手な場合は、予備校や通信講座の単科講座を活用するのも有効です。費用を抑えつつ、プロの講師による体系的な解説を受けることで、苦手意識を払拭できる可能性があります。
- 質問サポートの活用：通信講座によっては、質問メールなどのサポートが提供されている場合があります。疑問点を放置せず、積極的に質問して解決することで、理解を深めることができます。
- 講師からのメッセージ：グラフの読み取りが苦手な方や、合格点（60点）を確保したい方には、アウトプット中心のゼミや講座も有効です。「グラフを制する者は本試験を制する」という言葉があるように、図やグラフの正確な読み取りと、解法テクニックを身につけることが重要です。
勉強スケジュールと直前期対策
経済学・経済政策の勉強時間の目安は約80〜100時間と言われています。この時間を効率的に使い、合格へと繋げるためのスケジュール管理が重要です。
- 毎日演習の習慣化：毎日少しずつでも経済学に触れることで、理解を着実に積み上げていきましょう。特に、グラフや数式は「慣れ」が大きいため、継続的な学習が効果的です。
- 直前期の統計問題対策：冒頭の2〜3問で出題される統計問題は予測が難しいため、「運ゲー要素がある」と割り切る部分もあります。しかし、近年の経済情勢（プラザ合意、バブル崩壊、リーマンショックなど）の大まかな流れを把握しておくことで、推測による解答の精度を高められます。
- 基礎が最優先：直前期であっても、基礎が曖昧な場合は無理に応用問題に進まず、基礎問題を繰り返し解いて理解を固めることが大切です。基礎ができていれば合格点は十分に狙えます。
合格者が実践したおすすめテキスト・問題集
中小企業診断士の試験対策において、適切なテキストや問題集を選ぶことは、学習効率と合格を左右する重要な要素です。ここでは、多くの合格者が推奨する定番教材と活用法を紹介します。
定番テキスト・参考書レビュー
- TAC出版「中小企業診断士 最速合格のためのスピードテキスト」
- 多くの受験生が利用する定番中の定番テキスト。TACの通学講座でも使用される公式教材であり、信頼性が高いです。
- 幅広い論点を網羅しており、「スピードテキストに載っていない論点は抑える必要がない」とまで言われるほどです。
- 図や表が豊富で、初学者でも理解しやすい構成が特徴です。
- 野網美帆子著「中小企業診断士1次試験一発合格まとめシート」
- 7科目の重要論点が、前編・後編の2冊に凝縮されており、その分かりやすさに定評があります。
- 図解やイラスト、語呂合わせが豊富で、視覚的に記憶しやすい工夫が凝らされています。
- 「経済学で使う数学」の基礎知識をまとめた章もあり、数学が苦手な方にもおすすめです。
- 一次試験のテキストをこれだけで勉強したという合格者もいるほど充実しており、独学者・予備校生問わずおすすめです。
- 石川秀樹著「試験攻略入門塾 速習！ミクロ経済学」「試験攻略入門塾 速習！マクロ経済学」
- 経済学が特に苦手な方向けの入門書として絶大な支持を得ています。公務員試験対策向けですが、中小企業診断士試験の範囲と相関性が高く、基礎から丁寧に解説されています。
- 図表が豊富で数式を極力使わず説明されているため、視覚的に理解しやすいのが特徴です。
- 無料の解説動画も公開されており、テキストと合わせて活用することで理解を深めることができます。
おすすめ過去問題集とその使い方
- 「中小企業診断士試験 過去問完全マスター」
- 過去10年分の過去問が論点別・重要度順に編集されており、効率的な学習が可能です。
- 論点ごとに過去問がまとめられているため、「この論点ではどのような問題が出題されるか」を把握しやすく、苦手論点の克服に役立ちます。
- 出題頻度に応じたランク付け（A〜C）がされており、優先順位をつけて学習できます。
- スピードテキストでインプットした知識を、すぐに過去問完全マスターでアウトプットする「横解き」がおすすめです。
- TAC出版「中小企業診断士 最速合格のための 第1次試験過去問題集」
- 直近5年分の過去問が年度別に収録されており、本番形式での演習に適しています。
- 問題ごとの正答率が掲載されているため、客観的に難易度を把握し、取るべき問題の見極めができます。
- 最後の総仕上げとして、ゴールデンウィーク前後から本書で「タテ解き」を行い、試験時間配分や問題解答の練習をすることが推奨されます。
無料・有料のオンライン教材紹介
- YouTubeの経済学解説動画
- 石川秀樹先生のチャンネルや、「ダンシ君のサブノート_中小企業診断士合格Channel」など、無料で利用できる質の高い経済学解説動画が多数あります。
- テキストで理解しにくい部分や、視覚的に学びたい論点に絞って活用すると効果的です。
- スタディング 中小企業診断士講座
- 短期合格者のメソッドを詰め込んだオンライン通信講座で、仕事や家事の合間のスキマ時間学習に最適です。
- 経済学・経済政策の単科講座も用意されており、リーズナブルな価格でプロの講義を受けられます。
- スマホで効率よく学べるため、独学に不安を感じる方や、費用を抑えたい方におすすめです。
- CPAラーニング（簿記）
- 中小企業診断士試験の「財務・会計」科目対策にも繋がる簿記の知識を、無料会員登録でプロ講師の授業やテキストで学べます。簿記の理解が経済学の数式理解にも役立つことがあります。
これらの教材を自分の学習スタイルや理解度に合わせて組み合わせ、効率的に学習を進めることが、経済学攻略への鍵となります。
直前期＆本番で使えるテクニック
直前期はこれまでの学習の総仕上げを行う大切な期間です。本番で実力を最大限に発揮するためのテクニックを身につけましょう。
ケアレスミスを防ぐコツ
経済学・経済政策は1問あたりの配点が高いため、ケアレスミスが合否に大きく影響します。
- 問題文の正確な読み込み：設問文や選択肢の「最も適切なもの」「誤っているもの」といった指示を正確に把握し、読み違えがないか複数回確認する癖をつけましょう。
- グラフ・数式の再確認：グラフの軸（縦軸・横軸）の単位や意味、数式の符号や代入ミスがないかを解き終わった後に必ず見直しましょう。
- 時間的余裕を持つ：焦りはケアレスミスの大きな原因です。見直しの時間を確保できるよう、日頃から時間制限を設けた問題演習を行い、ペース配分を体得しておくことが重要です。
問題の優先順位と時間配分
限られた試験時間の中で効率的に得点するためには、問題の見極めと時間配分が重要です。
- 確実に取れる問題から着手：計算問題や知識問題など、解き方を知っていれば確実に正解できる問題から優先的に解きましょう。これらの問題は得点源であり、自信にも繋がります。
- 統計問題は後回し：出題予測が難しい統計問題は、一旦飛ばして後回しにするのが賢明です。他の問題で確実に得点を稼ぎ、時間があれば落ち着いて取り組むようにしましょう。
- 難しい問題に固執しない：経済学には難解な問題も含まれます。一つの問題に時間をかけすぎず、解けないと感じたら潔く次の問題に移る勇気も必要です。60点を目標とするならば、すべての問題を解く必要はありません。
覚えておきたい試験テクニック
- 「選択肢判断」の癖づけ：選択肢を読む際に、「正解肢を選ぶ」だけでなく、「不正解肢を除外する」視点を持つことが重要です。
- 用語の定義が正しいか
- 因果関係の流れが適切か
- グラフや数式と矛盾していないか
- 設問文と論理的につながっているか これらの観点で選択肢を吟味することで、正誤を瞬時に判断する力が身につきます。
- 「迷う選択肢」は主語で整理：複数の選択肢で迷った場合は、文章の主語に注目しましょう。どの理論を前提にしているか（例：投資の話か、貨幣供給の話か）を特定することで、判断がしやすくなります。
- 出題者の意図を「読む」：過去問演習を通じて、「この問題で出題者は何を問いたいのか？」という出題者の意図を読み取る力を養いましょう。問題文中のキーワードが、解答へのヒントになることも多くあります。
本番を想定した模試・演習の活かし方
模試や過去問の通し演習は、本番のシミュレーションとして非常に重要です。
- 制限時間厳守での演習：本番と同じ60分という制限時間を設けて問題を解くことで、試験独特の緊張感や時間配分の感覚を養います。
- 復習の徹底：単に正解・不正解を確認するだけでなく、「なぜ間違えたのか」「なぜそれが正解なのか」を深く分析しましょう。知識不足、誤解、処理ミスのいずれによる間違いなのかを把握し、弱点克服に繋げます。
- 「自分なりの理解」を言語化：解説を読んだ後、自分でその内容を口頭で説明できるレベルを目指しましょう。「この選択肢は〇〇だから正しい／誤り」と声に出して説明する練習は、知識の定着に非常に効果的です。
これらのテクニックを直前期に意識的に取り入れ、本番で最大限のパフォーマンスを発揮できるよう準備を進めましょう。
まとめ
経済科目を攻略するための５つのポイント
中小企業診断士試験の「経済学・経済政策」を攻略するためには、以下の5つのポイントが重要です。
- 基礎理論の徹底理解: ミクロ経済学とマクロ経済学の主要な理論、特にグラフや数式が示す因果関係や経済モデルの意味を深く理解することが不可欠です。丸暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるようになりましょう。
- 頻出論点の集中対策: 過去問分析から明らかになる頻出テーマ（IS-LM分析、需要・供給分析、AD-AS分析など）に絞り込み、これらを確実に得点源とすることで、効率的に合格ラインを目指せます。
- グラフと数式の視覚的・意味的理解: グラフは「関係性の図解」、数式は「論理の圧縮表現」として捉え、単なる形や記号ではなく、その背景にある経済現象や意味を理解することが大切です。自分でグラフを描き、数式を言語化する練習を重ねましょう。
- アウトプット中心の学習: テキストを読み込むインプットだけでなく、問題集や過去問を繰り返し解くアウトプットを通じて、知識を「使える力」に変える訓練が重要です。制限時間を意識した演習や、間違った問題の徹底的な復習を習慣にしましょう。
- 苦手意識の払拭と戦略的学習: 経済学に苦手意識を持つのは自然なことですが、一度理解すれば安定して得点できる科目です。完璧を目指しすぎず、基本問題で6割の正答を目指す、統計問題は後回しにするなど、戦略的に取り組むことで、心理的負担を減らし、効率的な学習を進められます。
苦手意識を払拭して得点源にしよう
「経済学・経済政策」は、多くの受験生が苦手とする科目である一方で、その特性上、一度理解してしまえば努力が報われやすい科目でもあります。出題形式が比較的安定しており、過去問との類似性も高いため、正しい学習方法で着実に知識と解答力を積み上げれば、短期間での得点力向上が可能です。
もし今、あなたが経済学に苦手意識を感じているとしても、この記事で紹介した学習法を実践することで、その苦手意識を払拭し、一次試験の強力な得点源に変えることができるでしょう。
次のステップ・関連記事の案内
経済学の学習を進める中で、さらに他の科目の対策や、中小企業診断士試験全体の勉強法について知りたい場合は、以下の関連記事も参考にしてください。
- 中小企業診断士の合格に必要な勉強時間！一次試験・二次試験・科目別も紹介！
- 中小企業診断士の通信講座おすすめ5社を比較した結論
あなたの一次試験合格を心から応援しています。
