これで丸わかり!アセットマネジメント運用の全体像と実務ポイントを完全解説

はじめに

アセットマネジメントの基本概念

アセットマネジメントとは、投資家から預かった資産(アセット)を、専門知識を持つプロフェッショナルが最適な運用を目指して管理する業務を指します。この「アセット」には株式や債券といった金融資産、不動産、さらには公共インフラやIT資産まで多岐にわたるものが含まれます。アセットマネジメントの主な目的は、リスクを適切に管理しながら資産の価値を最大化し、長期的な成長を実現することです。

本記事の狙いと対象読者(初心者・実務家・業界志望者)

本記事は、アセットマネジメントの基本的な概念から具体的な運用手法、さらには業界の動向やキャリアパスに至るまで、幅広い情報を網羅的に解説します。アセットマネジメントに興味を持つ初心者から、業界でのキャリア形成を目指す方、既に実務に携わる方まで、多様な読者層に役立つ情報を提供することを目指しています。

転職のご相談(無料)はこちら>

アセットマネジメントの全体像と重要性

アセットとは何か?対象資産の分類(金融・不動産・IT等)

アセットマネジメントにおける「アセット」とは、組織や個人にとって価値を持つあらゆる資産を指します。具体的には以下のように分類されます。

  • 金融資産
  • 株式:企業の所有権を表す証券で、企業の成長による値上がり益や配当を期待します。
  • 債券:国や企業が発行する借用証書で、安定した利息収入を目的とします。
  • 投資信託:複数の投資家から集めた資金を専門家が運用し、その成果を還元する金融商品です。
  • ETF(上場投資信託):株式市場に上場し、特定の指数に連動するように運用される投資信託です。
  • 不動産
  • オフィスビル、商業施設、マンション、物流施設など、実物不動産への投資や運用を通じて賃料収入や売却益を狙います。J-REIT(不動産投資信託)もこの一種です。
  • IT資産
  • 企業が保有するハードウェアやソフトウェア、ネットワーク設備などを指し、効率的な利用と価値最大化を目指します。
  • 公共インフラ
  • 道路、橋、上下水道、公共施設など、社会の基盤を支える資産を体系的に維持管理し、長期的な価値を確保します。

アセットマネジメントの歴史と発展

アセットマネジメントの概念自体は古くから存在しますが、現代的な形での発展は、金融市場の拡大とともに進んできました。特に日本では、1951年の証券投資信託法施行以降、投資信託が普及し、1990年代の金融ビッグバンを経て外資系運用会社や銀行・保険系企業の参入が加速しました。

2000年代以降は、ISO 55000シリーズなどの国際規格が策定され、より体系的な資産管理手法が確立。また、IT化の進展により、データ分析やデジタルツールを活用した効率的な運用が可能になり、アセットマネジメントは多様な分野に浸透しています。

なぜ今アセットマネジメントが注目されているのか

現代社会においてアセットマネジメントが注目される理由は複数あります。

  • 「貯蓄から投資へ」の流れ
  • 日本政府が「資産運用立国」を掲げ、NISA(少額投資非課税制度)の拡充やiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及を推進しており、個人投資家の資産運用への関心が高まっています。
  • 少子高齢化と社会保障制度の課題
  • 将来への不安から、年金だけに頼らず自助努力で資産形成を行う必要性が増しています。
  • 低金利環境の長期化
  • 預貯金だけでは資産が増えにくい状況が続き、より効率的な資産運用が求められています。
  • グローバル化と投資機会の多様化
  • 国内外の市場が密接に連携し、不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンドといったオルタナティブ投資など、投資対象が多様化しているため、専門家による運用ニーズが高まっています。
  • テクノロジーの進化
  • AIやビッグデータ活用による投資分析の高度化、ロボアドバイザーの登場など、FinTechの進展がアセットマネジメントの効率化と普及を後押ししています。
  • ESG投資の拡大
  • 環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を考慮したESG投資が世界の潮流となり、持続可能な社会への貢献を目指す投資が増加しています。

転職のご相談(無料)はこちら>

アセットマネジメント運用の基本構造

運用会社とその役割

アセットマネジメント業界の主要プレイヤーは「運用会社」です。運用会社は、投資家から資金を預かり、その資金を最適な形で運用し、収益を還元することを目的としています。そのビジネスモデルは、預かった資産の規模(AUM: Assets Under Management)に対して一定率の手数料(信託報酬)を得る「ストック型ビジネス」が基本です。

運用会社は、以下のような業務を通じて価値を創出します。

  • 投資商品の企画・開発
  • 経済情勢や企業調査に基づく投資判断
  • 運用成果の報告
  • リスク管理

運用フローの全体像(フロント・ミドル・バック)

アセットマネジメントの運用業務は、大きく3つの部門に分かれています。

  • フロントオフィス(運用部門・営業部門)
  • 運用部門:ファンドマネージャーやアナリスト、トレーダーなどが所属し、投資判断を下し、実際に資産を運用する中心的な役割を担います。
  • 営業部門:投資家や販売会社に対し、運用商品やサービスを提案・販売します。個人投資家向けの「投資信託営業」と、機関投資家向けの「機関投資家営業」があります。
  • ミドルオフィス
  • フロントオフィスを支援しつつ、リスク管理、運用パフォーマンスの測定・分析、投資ガイドライン遵守のモニタリングなど、運用業務の健全性を保つための重要な役割を担います。
  • バックオフィス
  • ファンドの事務的な基盤を支える部門です。取引の決済処理、基準価額の算出、資産の残高管理、法務・コンプライアンス業務などが含まれます。

信託銀行・プロパティマネジメントとの違い

  • 信託銀行
  • アセットマネジメント会社が運用の指示を出すのに対し、信託銀行は投資家から集めた資金を「信託財産」として保管・管理し、運用会社からの指示に基づいて実際の売買を執行します。また、信託銀行は資産運用業務の他にも、融資やカード事業なども行っています。
  • プロパティマネジメント(PM)
  • 不動産アセットマネジメントにおいて混同されやすい職種ですが、PMは物件の日常的な運営管理に重点を置きます。具体的には、テナント募集、賃料回収、建物の維持管理、入居者対応など、現場レベルの実務を担当します。一方、アセットマネジメントは投資の視点から、どの物件に、いつ、いくらで投資し、いつ売却するかといった戦略的な意思決定を行います。両者は連携しながら、不動産の価値最大化を目指します。

法人向け・個人向けの違い

アセットマネジメントは、顧客層によってサービス形態が異なります。

  • 法人向け
  • 年金基金、保険会社、事業法人などの機関投資家が主な顧客です。個別の運用目標や制度に応じたオーダーメイドの運用ソリューションや助言を提供します。運用資産額が巨額であるため、より高度な専門性とコンサルティング能力が求められます。
  • 個人向け
  • 主に投資信託を通じて個人投資家にサービスを提供します。少額から分散投資を可能にし、専門家が運用を代行することで、個人では難しい資産形成をサポートします。近年ではNISA(少額投資非課税制度)の拡充により、個人投資家の需要がさらに高まっています。

転職のご相談(無料)はこちら>

各資産クラス別のアセットマネジメント実務

金融資産における運用手法と特徴

金融資産のアセットマネジメントでは、株式、債券、デリバティブなど多岐にわたる投資対象を扱います。主な運用手法として、以下の3つがあります。

  • アクティブ運用
  • 市場平均(ベンチマーク)を上回るリターンを目指す手法です。ファンドマネージャーやアナリストが綿密な企業調査や経済分析を行い、積極的に銘柄選択や売買を行います。高いリターンを狙える可能性がある一方で、手数料も高く設定される傾向があります。
  • パッシブ運用
  • 市場平均と同様の動きをすることを目指す手法で、インデックス運用とも呼ばれます。特定の指数に連動するように機械的にポートフォリオを組むため、運用コストが低いのが特徴です。ベンチマーク以上の大きなリターンは期待できませんが、安定的な運用が可能です。
  • クオンツ運用
  • 統計学や数学的手法を用いたデータ分析に基づき、機械的な投資判断で運用する手法です。人の主観を排除し、幅広く分散されたポートフォリオを構築します。

不動産アセットマネジメントの実務サイクル

不動産アセットマネジメントは、不動産という実物資産の価値を最大化することをミッションとします。その実務サイクルは主に以下のステップで構成されます。

  • 取得(アクイジション)
  • 投資戦略に合致する物件情報を収集し、立地、築年数、競合状況などを詳細に調査・査定します(デューデリジェンス)。価格交渉や契約締結もこの段階で行います。
  • 運用計画の策定
  • 取得した物件の価値を最大化するための事業計画を立案します。テナント構成の最適化、リーシング戦略、リノベーション計画、年間予算策定などが含まれます。
  • 期中管理
  • 策定した運用計画に基づき、プロパティマネジメント会社を監督しながら、運用が計画通りに進んでいるかを管理します。キャッシュフロー管理、投資家への定期報告、資金調達管理なども重要な業務です。
  • 売却(ディスポジション)
  • 市場環境を見極め、投資家のリターンが最大化される最適なタイミングで物件を売却します。売却価格の設定や契約条件の調整には高度な専門知識と交渉力が求められます。

ITアセットマネジメントの概要とポイント

ITアセットマネジメント(ITAM)は、企業が保有するハードウェアやソフトウェア、ネットワーク設備などのIT資産を効率的に管理するプロセスです。

  • 目的
  • IT資産の購入から廃棄までのライフサイクル全体を通じて利用効率を最適化し、コスト削減、セキュリティリスクの軽減、ライセンスの適切な管理を目指します。
  • ポイント
  • 継続的なインベントリ管理: 全てのIT資産を正確に把握し、常に最新の状態に保つことが重要です。
  • ライセンス管理: ソフトウェアライセンスの過不足がないかを確認し、コンプライアンスを遵守します。
  • コスト最適化: 不要な資産の廃棄やクラウドサービスの適切な活用により、運用コストを削減します。
  • セキュリティ強化: IT資産の脆弱性を管理し、サイバーセキュリティリスクを軽減します。
  • デジタルツールの活用: AIやデータ分析ツールを導入し、IT資産管理の効率化と精度の向上を図ります。

転職のご相談(無料)はこちら>

アセットマネジメント業界の実務と運用の流れ

運用部門・営業部門・ミドル/バック部門の役割

アセットマネジメント会社では、役割に応じて部門が細分化されており、それぞれが専門性を活かして連携しています。

  • 運用部門(フロントオフィス)
  • ファンドマネージャー(ポートフォリオマネージャー):ファンド運用の最終意思決定者であり、ポートフォリオの構築・管理、リスク管理など、ファンドのパフォーマンスに全責任を負います。
  • アナリスト:特定の市場、セクター、企業を調査・分析し、投資判断の材料を提供します。経験を積んでファンドマネージャーになるのが一般的なキャリアパスです。
  • エコノミスト:マクロ経済動向を分析し、市場予測を行います。
  • ストラテジスト:経済動向に基づき、適切な投資戦略を検討・立案します。
  • トレーダー:ファンドマネージャーの指示に基づき、市場で実際の売買執行を担当します。
  • 商品開発:顧客ニーズや市場トレンドに合わせて新しい運用商品を企画・組成します。
  • 営業部門(フロントオフィス)
  • 投資信託営業:主に銀行や証券会社といった販売会社に対し、個人投資家向け商品の提案や販売支援を行います。販売促進資料の作成やセミナー開催なども担当します。
  • 機関投資家営業:年金基金や金融機関などの大口顧客に直接、運用目標に応じた運用ソリューションを提案し、運用報告なども行います。
  • ミドル/バック部門(ミドルオフィス・バックオフィス)
  • ミドルオフィス:運用パフォーマンスの測定・分析、リスク管理、ガイドライン遵守のモニタリングなど、運用プロセスの支援・監督を行います。
  • バックオフィス:取引の決済、ファンドの会計処理(基準価額算出)、残高管理、権利保全、コンプライアンス、法務、経理、ITなど、会社運営の基盤となる事務処理や管理業務を担当します。

代表的な業務フローと実例

アセットマネジメントの業務フローは、例えば株式のアクティブ運用の場合、以下のような流れで進められます。

  1. マクロ経済分析:エコノミストやストラテジストが経済成長率、金利、為替などのママクロ経済分析を行い、投資環境を予測します。
  2. 投資方針・資産配分の決定:マクロ経済分析に基づき、株式、債券など各資産クラスへの配分比率(アセットアロケーション)を決定します。
  3. 個別銘柄・投資対象の選定:アナリストが企業財務分析、成長性評価などを行い、具体的な投資銘柄や投資対象を選定し、ファンドマネージャーに提案します。不動産の場合は物件のデューデリジェンスを行います。
  4. 投資判断:ファンドマネージャーがアナリストの分析や市場情報を総合的に判断し、最終的な投資決定を下します。
  5. 取引執行:トレーダーがファンドマネージャーの指示に従い、マーケットで株式や債券などの売買を効率的に行います。不動産の場合は買い付け・売却の交渉や契約手続きを行います。
  6. リスク管理とパフォーマンス分析:ミドルオフィスが運用中のポートフォリオのリスクを継続的に監視し、パフォーマンスを分析・評価します。
  7. 運用報告とクライアントコミュニケーション:営業部門が定期的に投資家に対し運用状況を報告し、市場見通しなどを説明します。不動産の場合、プロパティマネージャーと連携し、賃料収入や物件維持状況などを報告します。
  8. 戦略の見直し:市場環境や運用成果に応じて、運用戦略を継続的に見直します。

IT化・DX推進と今後の展望

アセットマネジメント業界では、IT化・DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が急速に進んでいます。

  • AIやビッグデータ活用
  • 膨大な市場データやニュース記事、SNS情報などをAIが解析し、投資のヒントや市場予測に活用されています。
  • 顧客のリスク許容度に応じた最適なポートフォリオ提案など、顧客サービスにもAIが導入されています。
  • 業務効率化
  • バックオフィス業務の自動化や、リスク管理モデルの高度化にITが活用され、業務効率が向上しています。
  • ロボアドバイザー
  • AIを活用した自動資産運用サービスが普及し、個人投資家が手軽に資産運用を始められるようになっています。
  • デジタルプラットフォーム
  • 運用状況の可視化、オンラインでの情報提供、顧客とのコミュニケーションツールなどが進化しています。
  • 今後の展望
  • テクノロジーを理解し活用できるIT・デジタル人材の需要はさらに高まります。
  • FinTech企業との連携や、ブロックチェーン技術を活用した透明性の高い取引環境の構築も進むでしょう。
  • データ分析スキルやプログラミングスキル(Python、R、SQLなど)は、アセットマネジメントの専門家にとって必須のスキルとなりつつあります。

転職のご相談(無料)はこちら>

求められるスキル・資格・キャリアパス

必須スキルと身につける方法

アセットマネジメント業界で活躍するために求められるスキルは多岐にわたりますが、特に以下のものが重要です。

  • 分析力・判断力
  • 経済指標、市場動向、企業のファンダメンタルズなど、多角的な情報を迅速かつ正確に分析し、的確な投資判断を下す能力。
  • 身につける方法:金融経済に関するニュースやレポートを日常的に読み込み、自身で投資シナリオを考察する練習をする。証券アナリストなどの資格学習を通じて、体系的な知識と分析手法を習得する。
  • 財務知識・キャッシュフロー管理
  • 企業や資産の価値評価、投資戦略立案、運用資産の安定性確保に不可欠な知識。
  • 身につける方法:簿記や会計学の学習、企業財務諸表の分析を実践する。
  • コミュニケーション能力・リーダーシップ
  • 顧客、チームメンバー、関係者と円滑に情報交換を行い、協働する能力。特に、自分の考えを明確に伝え、相手の意見を理解する力が重要。
  • 身につける方法:プレゼンテーションやディスカッションの機会を積極的に活用し、論理的思考力と表現力を磨く。
  • 市場の知識と洞察力
  • 金融市場の仕組みやトレンドを深く理解し、変化に対応する能力。
  • 身につける方法:専門書や業界レポートを読み、市場の歴史や過去の事例から学ぶ。
  • 語学力(特に英語)
  • グローバルな投資案件や海外拠点とのやり取りが多い外資系企業や、国際的な投資を行う日系企業では必須。
  • 身につける方法:TOEIC等の試験で高スコアを目指し、ビジネス英語の学習を継続する。
  • PCスキル(Excel, PowerPoint)
  • データ分析、レポート作成、プレゼンテーション資料作成に必須。
  • 身につける方法:実務を通じて習得するほか、PCスキル向上に特化した講座を受講する。
  • 継続的な学習意欲・探求心
  • 常に変化する市場環境や新しい投資手法に対応するため、自己研鑽を怠らない姿勢。
  • 身につける方法:業界内のセミナーや勉強会に積極的に参加し、最新情報をキャッチアップする。

推奨される資格(例: 証券アナリスト、CFA、MBA等)

アセットマネジメント業界で有利に働く主な資格には以下のようなものがあります。

  • 金融資産向け
  • 証券アナリスト(CMA):日本の金融市場に関する専門知識を証明する国内資格。投資分析、ポートフォリオ管理の基礎を学べます。
  • CFA(Chartered Financial Analyst):投資分析、ポートフォリオ管理、倫理基準などを包括的にカバーする国際的に権威のある資格。ファンドマネージャーやアナリストを目指す人に強く推奨されます。
  • 公認会計士・税理士:財務分析や税務に関する専門知識を証明し、ミドル・バックオフィス業務や企業価値評価に役立ちます。
  • FRM(Financial Risk Manager):リスク管理に特化した国際資格。
  • 不動産向け
  • 不動産鑑定士:不動産の適正価格を査定する国家資格。不動産アセットマネジメントにおいて非常に強力な武器となります。
  • 不動産証券化協会認定マスター:不動産の証券化に関する専門知識を証明します。
  • 不動産コンサルティングマスター:不動産の有効活用や相続対策に関するコンサルティング能力を証明します。
  • 全般
  • MBA(経営学修士):経営に関する幅広い知識とスキルを習得できる学位。特に外資系企業でシニアマネジメントを目指す場合に有利に働くことがあります。
  • TOEIC:ビジネスレベルの英語力を客観的に証明する指標となります。

キャリアパス例と転職市場の動向

アセットマネジメント業界でのキャリアパスは多様です。

  • 一般的なキャリアパス
  • ジュニアアナリスト → シニアアナリスト → ポートフォリオマネージャー → 運用部門管理職(チームヘッド、部門長)→ 最高投資責任者(CIO)/最高経営責任者(CEO)
  • 専門分野でのキャリア
  • 特定の資産クラス(例:不動産、オルタナティブ投資)のスペシャリスト
  • リスク管理、コンプライアンス、ITなどの専門職
  • 転職市場の動向
  • アセットマネジメント業界は、絶対的なポジション数は少ないものの、専門性が高いため経験者は高く評価されます。
  • 国内外問わず大手企業を中心に求人は増加傾向にあり、特にマネージャー、営業、不動産運用業務の求人が多いです。
  • 未経験者でも、金融機関での営業経験や会計知識、ITスキルなど、関連分野の経験があれば転職のチャンスはあります。若手でポテンシャル採用のケースもまれに存在します。
  • 異業種からの転職成功事例も増えており、IT業界やコンサルティング業界からの転職者も活躍しています。
  • 高い分析力、知的好奇心、コミュニケーション能力、継続的な学習意欲を持つ人材が求められています。

転職のご相談(無料)はこちら>

業界動向と将来展望

市場の現状と成長性

アセットマネジメント業界は、現在、大きな成長期を迎えています。

  • 「資産運用立国」構想:日本政府が推進する「貯蓄から投資へ」の流れが、個人金融資産の市場流入を促し、市場拡大の大きな原動力となっています。
  • 新NISAのインパクト:2024年から始まった新NISA制度は、非課税投資枠の大幅な拡充により、個人投資家の投資意欲を高め、運用資産残高(AUM)の増加に寄与しています。
  • 機関投資家からの資金流入:年金基金などの機関投資家も、ポートフォリオの多様化や効率的な運用を求めてアセットマネジメント会社への委託を増やしています。
  • グローバル市場での存在感:海外からの資産運用会社の日本市場への参入も活発化しており、国際競争が激化する一方で、市場全体の活性化につながっています。

法改正やIT化による変化

  • 法改正
  • 金融商品取引法など、関連する法規制の変更は、運用商品の開発やサービス提供に影響を与えます。常に最新の法改正に対応できる体制が求められます。
  • IT化・DX推進
  • AI、ビッグデータ、ロボアドバイザーなどのデジタル技術の導入が進み、運用プロセス、リスク管理、顧客サービスが劇的に変化しています。
  • テキストマイニングによる市場分析、AIアルゴリズムによる投資戦略の最適化、バックオフィス業務の自動化などが進んでいます。
  • これらの技術革新は、業務効率化だけでなく、新たな収益源の創出や競争力の強化に貢献しています。
  • ESG投資の主流化
  • 環境・社会・ガバナンス(ESG)を考慮した投資が、投資判断において不可欠な要素となりつつあります。政府や金融庁もサステナブルファイナンスの推進を後押ししており、ESG要素を組み込んだ運用商品の開発や分析が加速しています。
  • 業界再編の波
  • 手数料の低下圧力や新たな能力獲得(テクノロジー、オルタナティブ資産など)の必要性から、M&Aによる業界再編が活発化しています。
  • 「アンバンドリング(機能分離)」の現象が進み、運用機能と販売機能、フロントオフィス機能とミドル・バックオフィス機能が分離・専門化することで、各機能に特化した企業が登場し、アウトソースが進んでいます。

今後求められる人材像とその理由

将来のアセットマネジメント業界で活躍するためには、以下のような人材が特に求められます。

  • 高度な金融知識と分析力:市場の複雑化、商品の多様化に対応するため、より深い専門知識とデータを分析し、的確な投資判断を下せる能力が不可欠です。
  • IT・デジタルスキル:AIやビッグデータを活用した運用が主流となるため、プログラミング能力やデータサイエンスの知識を持つ人材の需要が高まります。
  • グローバルな視点と語学力:国際市場との連携、海外投資案件の増加により、グローバルな知見とビジネスレベルの語学力が必須となります。
  • ESGへの理解と実践力:持続可能な投資への意識が高まる中、ESG要素を投資戦略に組み込み、企業との対話を通じて価値向上を促せる専門家が求められます。
  • 変化への適応力と探求心:市場環境やテクノロジーの進化が速いため、常に新しい知識を学び、変化に柔軟に対応できる人材が重要です。
  • 高い倫理観と顧客志向:投資家の資産を預かるという社会的責任が大きく、高い倫理観と顧客のニーズに真摯に応える姿勢が信頼関係構築の基礎となります。

転職のご相談(無料)はこちら>

まとめ

本記事のポイント整理

  • アセットマネジメントは、個人・機関投資家から預かった資産を最適な方法で運用・管理し、価値を最大化する専門性の高い業務です。
  • 対象資産は金融、不動産、IT、公共インフラなど多岐にわたり、それぞれ異なる運用手法と実務サイクルが存在します。
  • 運用会社はフロント(運用・営業)、ミドル、バックの3部門で構成され、それぞれが専門的な役割を担い連携しています。
  • 日本では「貯蓄から投資へ」の流れや新NISA制度の普及、IT化の進展、ESG投資の拡大などにより、市場は大きな成長期を迎えています。
  • 業界で求められるスキルは、分析力、財務知識、コミュニケーション能力、語学力、ITスキル、そして継続的な学習意欲です。
  • 証券アナリスト、CFA、不動産鑑定士、MBAなどの資格はキャリアアップに有利に働きます。
  • 業界の将来性は高く、テクノロジーと融合しながらさらなる発展が期待され、多様な専門性を持つ人材が求められています。

成功するアセットマネジメント実務のために

アセットマネジメントの実務で成功するためには、まず自身の興味と適性を見極め、どの資産クラスや部門に焦点を当てるかを明確にすることが重要です。その上で、関連する専門知識やスキルを体系的に学び、資格取得を通じて自身の能力を証明しましょう。

また、市場は常に変化しているため、最新の情報をキャッチアップし、継続的に自己研鑽を怠らない姿勢が不可欠です。多くの関係者と連携しながら進める業務であるため、高いコミュニケーション能力とリーダーシップも磨いていきましょう。

このダイナミックな業界で自身のキャリアを築くことは、やりがいと高い報酬をもたらす可能性を秘めています。本記事が、アセットマネジメント運用の全体像を理解し、その実務に挑戦するための第一歩となることを願っています。

この記事で触れた業界・職種に強い求人多数
コトラがあなたのキャリアを全力サポートします
20年超の実績×金融・コンサル・ITなど
専門領域に強いハイクラス転職支援

無料で登録してキャリア相談する

(※コトラに登録するメリット)

  • ・非公開専門領域の求人へのアクセス
  • ・業界出身の専門コンサルタントの個別サポート
  • ・10万人が使った20年にわたる優良企業への転職実績
  • ・職務経歴書/面接対策の徹底支援
今すぐあなたに合った
キャリアの選択肢を確認しませんか?
関連求人を探す

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。