コトラ（広報チーム） 
リース業界の基礎知識
リース業界とは？その仕組みと概要
リース業界とは、主に企業や個人が必要とする高額な設備や機器を、一括購入ではなくリース契約という形で提供する事業分野を指します。リース契約では、購入代金を提供する代わりにリース会社が設備を保有し、利用者がリース料を支払う形で一定期間利用します。そのため、企業は初期コストを抑えながら設備投資が可能です。
この仕組みは、さまざまな業界で利用されており、自動車、産業機器、不動産といった分野が特に顕著です。リース業界は柔軟に変化しつつ成長を続けており、近年では環境に優しいサステナブルなリース商品やデジタルデバイスリースといった新しい分野にも注目が集まっています。
リースとレンタルの違い
リースとレンタルは似ているようで、実際には異なる仕組みや特徴を持っています。リースは長期間の契約が基本で、契約満了後にリース品を買い取るオプションがある場合など、利用者に柔軟な選択肢を提供します。一方、レンタルは短期間の使用を目的とした契約で、用途に応じた一時的な利用が主です。
例えば、企業が新たに工場を建設する際、長期間利用する産業機器にリースを検討します。逆に、イベント用の機材など、一時的に必要な物品にはレンタルを選びます。このように「リースは長期利用、レンタルは短期利用」と覚えるとわかりやすいです。
リース業界の市場規模と国内外の現状
日本のリース業界の市場規模は約8兆円にのぼり、その中でも2022年度のリース契約高は3兆2,593億円に達しました。特にオートリース分野は安定的な需要があり、企業のコスト削減ニーズに支えられ成長しています。国内市場だけでなく、海外市場にも展開を進める企業が多く、グローバルな視野で成長を遂げています。
一方でリース業界は景気や設備投資の動向に連動しやすい側面があり、過去には1991年にピークとなる取扱高8.8兆円を記録した後、経済状況の変化に伴い規模が縮小した時期もあります。それでも現在は持続可能な成長を目指し、電動車（EV）やデジタルデバイスなどの新興分野に注力する動きが広がっています。
リース契約の主な種類と特徴
リース契約には主に「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つの種類があります。ファイナンス・リースは固定資産を購入するような契約で、長期間にわたり資産を使用することを目的としています。契約期間中の解約は原則としてできませんが、資産の利用が安定している場合に適した方式です。
一方、オペレーティング・リースは利用者に柔軟な選択肢を提供します。この形式では、リース会社が機器を保有し、中途解約も可能なため、短期間の使用にも対応できます。この特徴から、変化の激しい業界や試験的な用途での利用に適しています。
これらの種類を組み合わせ、企業のニーズに合わせた柔軟な提案を行うことがリース会社に求められています。このような仕組みを活用することで、リース業界はその成長性を維持し続けています。
リース業界での主な仕事内容
リースの流れと基本的な業務プロセス
リース業界の仕事は、契約に至るまでのプロセスと契約後の管理が重要です。まず、顧客のニーズをヒアリングし、それに基づいてリース対象の設備や条件を提案します。その後、リース契約書を作成し、設備の調達や搬入を行います。契約期間中は、リース料の管理や設備のメンテナンスも業務に含まれることが一般的です。特にファイナンス・リースやオペレーティング・リースの契約形態によって、内容が異なるため、顧客のビジネス要件や予算に応じた柔軟な提案力が求められます。
企業と個人向けリースの違い
リース業界においては、企業向けリースと個人向けリースの対応も異なります。企業向けリースでは、設備や車両、不動産といった高額な資産が対象とされることが多く、設備投資を抑えつつ業務を運営したい企業にとって重要な選択肢となります。他方で、個人向けリースの場合は、自家用車や生活家電といった比較的小規模な資産が中心です。近年では、サブスクリプション型サービスとの親和性が高まり、ライフスタイルの変化に応じた柔軟な商品設計が求められるようになっています。
重要視されるスキルと求められる人物像
リース業界では、顧客との綿密なコミュニケーションが必要であるため、傾聴力や交渉力が求められます。また、数多くの契約条件やリスクを管理するために、業務に対する細かな注意力や、課題解決能力が重要です。リースの対象となる設備や商品の知識を持つとともに、顧客のニーズや市場の動向を正確に把握するための学習意欲も欠かせません。さらに、成長性あるリース業界では、柔軟な発想と迅速な対応力を持つ人物が高く評価されます。
主要分野（自動車、産業機器、不動産など）のリース事業
リース業界は、自動車、産業機器、不動産といった多岐にわたる分野で事業を展開しています。特にオートリース分野は人気が高く、企業の業務用車両の効率的な運用を支えています。一方、産業機器リースでは、高額な機器を一時的に利用したい企業に適したサービスが提供されており、古くから需要の高い分野です。また、不動産リースでは、オフィスや工場施設といった大規模な資産を対象に、顧客の事業展開を支援しています。このように、リースは多様な分野で経済活動をサポートしており、日本国内外でその価値が認識されています。
リース業界を支える主要な企業
オリックスや三井住友ファイナンス＆リースの概要
リース業界を代表する企業として、オリックスと三井住友ファイナンス＆リース（以下、SMFL）が挙げられます。オリックスは、1964年に設立され、リース事業を中心に金融、投資、不動産など多岐にわたるサービスを展開しています。特に自動車リースにおいては、業界トップクラスのシェアを誇り、定額型サービスやカスタマイズ可能な契約内容で顧客のニーズに柔軟に対応しています。その成長性は、持続的な新分野の開拓に支えられています。
一方、SMFLは三井住友フィナンシャルグループの一員として、主に法人向けリースを軸に事業を展開しています。特に近年では、環境対応設備やデジタルデバイス関連のリース提供に注力し、SDGsやカーボンニュートラルに関わる取り組みも推進しています。このように時勢に適応した商品展開が、リース業界での競争力を維持する源となっています。
独立系VSメーカー系リース会社の特徴
リース企業には、大きく分けて独立系とメーカー系の2種類があります。独立系リース会社は親会社を持たず、幅広い業界や製品に対応したリースサービスを提供するのが特徴です。この柔軟性から、オリックスなどの独立系企業は多様な顧客ニーズに応えられる点で競争力があります。
一方、メーカー系リース会社は特定の親会社を持ち、そのメーカーが製造する商品に特化したリースを展開します。例えば、自動車メーカー系のリース会社は自動車リースが中心で、特定製品に強みを持つ点が特徴です。メーカー系は特定の商品分野での専門性を活かし、購入とリースを一体化したサービス提供が可能です。両者とも顧客の設備投資やコスト削減ニーズに対応し、リース業界における重要な存在となっています。
リース業界のシェアランキングと注目企業
リース業界の主要プレイヤーには、オリックス、三井住友ファイナンス＆リース、三菱HCキャピタルなどが挙げられます。これらの企業は国内リース市場のシェアを大きく占めるリーダー的存在として注目されています。加えて、それぞれが得意とする分野で競争力を発揮しており、サービスの幅広さや高度なサポート力が評価されています。
業界内では、総合リースサービスを展開するオリックスや、法人向けに強みを持つSMFLがシェアを競い合う一方で、デジタル機器や電動車（EV）といった新興分野に対応する企業が台頭しており、今後の市場成長をけん引すると期待されています。
業界をけん引するグローバル企業
リース業界は国内だけでなく、海外にも市場を広げています。グローバル展開を行う企業の中でも、オリックスは海外市場進出に積極的で、アジアや北米、ヨーロッパでの事業基盤を築いてきました。他にも、三菱HCキャピタルなどは国際的なネットワークを活用し、グローバル規模での競争力を高めています。
このような企業がリース業界をけん引することで、ますます多様化する顧客ニーズに応える体制が整っています。同時に、海外市場での成長性にも注目が集まっており、これがリース業界全体のさらなる拡大に寄与すると考えられます。
リース業界の将来展望と動向
環境への配慮：サステナビリティとリース
近年、サステナビリティへの関心が高まり、リース業界でも環境負荷の軽減に寄与する取り組みが進んでいます。リースの利用は設備や商品を必要な期間だけ借りる仕組みであるため、資源の無駄を減らしサステナブルな経済活動を促進します。特に、電動車（EV）や再生可能エネルギー関連機器のリースは、カーボンニュートラルの実現に向けて注目されています。また、企業がSDGsへの貢献を意識する中で、こうしたリース商品のニーズはますます高まるでしょう。このように、リース業界は環境問題解決の一翼を担う重要な役割を果たしています。
デジタル化とリース業界の変革
リース業界はデジタル化の波を受け、大きな変革を遂げています。業務プロセスの効率化や契約手続きのオンライン化により、これまでにないスピード感でサービス提供が可能になっています。また、IoTやAI技術を活用することで、リース商品の稼働状況や劣化状況をリアルタイムで把握する仕組みが構築されつつあります。このような取り組みにより、商品のライフサイクル管理がより効率的になり、顧客満足度の向上につながっています。デジタル化がリース業界の成長性に大きな貢献を果たすと期待されています。
シェアリングエコノミーとの親和性
シェアリングエコノミーとリース業界は深い親和性を持っています。シェアリングエコノミーの考え方では、所有よりも利用を重視し、資産の有効活用を目指します。これはリースの仕組みと非常に似ており、相互に補完し合う存在です。例えば、自動車のサブスクリプションサービスや短期間のスペースレンタルなどは、リース商品としても提供可能であり、幅広い需要に対応できます。このように、シェアリングエコノミーの台頭はリース業界に新たなビジネスチャンスを生み出しているといえます。
新興市場と海外展開の可能性
新興市場でのリース事業の拡大や海外展開は、リース業界の成長性をさらに押し上げる大きな鍵となります。特に、アジアやアフリカの新興市場では、資金調達が難しい中小企業や個人にとってリースが大きな魅力を持っています。また、国内市場が頭打ちとなる中で、海外市場の需要を取り込むことは企業にとって必要不可欠です。一方で、文化や法規制の違いへの対応など、課題も存在しますが、これらを克服した企業は新たな可能性を切り開くことでしょう。このように、新興市場と海外展開は、リース業界の未来を切り開く重要な柱として位置付けられています。