事業再生コンサルタントとして培った課題発見力、財務分析力、経営者との対話スキルは、戦略コンサルタントへの転職において非常に高く評価されます。特に、構造改革やターンアラウンドを経験している方は、戦略立案の現実性や実行力という観点で強みを発揮できます。本記事では、事業再生から戦略コンサルへの転職を目指す方に向けて、求められるスキルやステップ、志望動機・職務経歴書の記載例をご紹介します。
目次
1. 事業再生と戦略コンサルの違い
項目 | 事業再生コンサルタント | 戦略コンサルタント |
---|---|---|
目的 | 財務・業績改善、キャッシュフローの立て直し | 中長期的な企業価値の最大化 |
主な業務 | 財務分析、再生計画、オペレーション改善 | 経営戦略立案、新規事業立ち上げ、M&A戦略策定 |
アプローチ | 短期的な財務的改善中心 | 中長期的な成長・競争優位の構築 |
2. 活かせるスキルと経験
- 企業財務・業績構造の解像度の高い理解力
- 経営課題の構造化・整理スキル
- ロジカルシンキングと仮説検証アプローチ
- エグゼクティブコミュニケーション能力
- Excel/PowerPointを活用した分析・提案資料作成力
3. 転職を成功させるステップ
- 戦略ファームの業務内容やプロジェクトテーマを理解
- 再生案件での成果を“構造改革・戦略提言”の文脈で言語化
- ケース面接対策・仮説思考のトレーニングを行う
- 志望動機では“企業の変革を上流から支援したい”という視座を明確に
4. 求められる知識と補完方法
- 企業戦略の基本(ポーター、バリューチェーン、3Cなど)
- ケース面接対策本・フレームワーク習得
- 参考書籍:『戦略コンサルティング・ファームの面接試験』『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』
5. 職務経歴書の記載例
氏名:田中 翔太 生年:1988年生まれ ■職務要約: 大手コンサルティング会社にて約7年間、事業再生案件に従事。中堅企業を中心に、財務分析、再建計画策定、オペレーション改革、組織再編支援などを担当。今後は、構造改革・経営戦略の策定支援を通じて、上流からの企業変革に関与すべく戦略コンサルタントへの転身を目指す。 ■職務経歴: 株式会社○○コンサルティング(2016年4月〜現在) ・企業再生支援(財務リストラクチャリング・業務改善) ・事業・財務デューデリジェンス、スポンサー選定支援 ・KPI管理・収益構造分析による改善提案 ・再生後の経営体制再構築・組織改革PJ ■保有資格: ・中小企業診断士 ・日商簿記1級 ・TOEIC 865点 ■学歴: 早稲田大学 商学部 卒(2011年3月)
6. 志望動機の記載例
これまで事業再生を通じて、企業の根本課題を発見し、改善に導く支援を行ってきました。今後は、より上流の経営戦略立案フェーズから企業の変革に関与し、構造的な競争力強化や新たな価値創造に貢献したいと考えています。経営層と伴走し、実行可能かつインパクトのある戦略提言を行う戦略コンサルタントとして成長したいと思います。
7. まとめ
事業再生の現場で得た“本質的な課題の特定力”と“現場感ある改善提案力”は、戦略コンサルにおいても極めて有用です。企業の未来を構想・実現していく上で、現場で磨かれた視点は大きな武器となります。成長志向があり、経営の上流で勝負したい方にとって、戦略コンサルタントは理想的な挑戦の場となるでしょう。