コトラ（広報チーム） 
企業活動を支えるために不可欠な資金調達をサポートする法人融資業務は、銀行において中心的な役割を担います。物流会社での営業経験で培った法人対応力や課題把握力は、銀行法人融資担当においても大きな武器となります。本記事では、物流会社営業出身者が銀行法人融資担当に転職するためのステップ、活かせるスキル、選考対策、志望動機・職務経歴書の記載例まで、実践的に解説します。
1. 物流営業と銀行法人融資の業務の違い
まずは両者の業務領域と求められる視点の違いを整理しておきましょう。
| 項目 | 物流会社営業 | 銀行法人融資担当 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 物流サービスの提案・受注・運用支援 | 法人顧客の資金ニーズに応じた融資提案・実行・回収管理 |
| 業務内容 | 物流課題ヒアリング、提案資料作成、契約交渉 | 財務分析、融資審査、契約締結、期中管理 |
| 視座 | 物流コスト削減・業務効率化支援 | 企業成長支援と信用リスク管理の両立 |
| 関与部門 | 物流部門、購買部門、経営企画部門 | 財務部門、経営層、審査部門、融資部門 |
2. 物流営業経験で活かせるスキル
物流会社営業で培った以下のスキルは、銀行法人融資業務でも大きな武器となります。
- 法人顧客との折衝・提案力
- 課題把握・解決提案スキル
- ニーズ深掘り型のヒアリング力
- 関係構築力・信頼獲得力
- 数値感覚（コスト管理、契約金額交渉など）
特に、顧客の事業構造を理解し、課題解決型のアプローチができる力は高く評価されます。
3. 転職成功のための5ステップ
- 法人融資業務の理解：融資の流れ（審査、契約、実行、期中管理）を把握
- 自身の強みの棚卸し：顧客課題把握・提案力・信頼関係構築実績を整理
- 財務知識の習得：貸借対照表（B/S）、損益計算書（P/L）、キャッシュフロー計算書（C/F）の基本を学習
- 金融商品知識の強化：融資商品（運転資金、設備資金、コミットメントラインなど）を理解
- 面接対策：なぜ物流営業から銀行法人融資なのかを納得感ある言葉で語れるよう準備
4. 資格・知識面の補強ポイント
必須ではありませんが、以下の資格・知識があると転職活動で優位になります。
- 日商簿記2級以上（財務諸表読解力）
- 銀行業務検定試験（融資実務）
- FP（ファイナンシャルプランナー）資格
- 法人税・消費税に関する基礎知識
また、銀行業界の動向（地銀再編、DX推進、地域創生支援等）にもアンテナを張っておきましょう。
5. 職務経歴書の書き方
下記のように、課題発見力・提案力・信頼構築力を強調して記載すると効果的です。
- 法人向け物流提案営業実績（売上高、契約件数等）
- クライアント課題ヒアリング・解決提案経験
- 既存顧客深耕・新規開拓実績
- プロジェクト型提案営業（大型案件受注）経験
6. 志望動機の例文
顧客支援意欲と金融知識習得への前向きさを中心に構成します。
【志望動機例】
私はこれまで、物流会社において法人営業を担当し、クライアントの物流課題に応じた提案活動を通じて、事業支援に取り組んでまいりました。こうした経験を通じて、より中核的な経営支援ツールである資金提供を通じて企業成長を後押ししたいという志向が強まり、銀行法人融資業務へのキャリア転換を志望いたしました。これまで培った法人対応力、課題把握・提案力を活かし、貴行の顧客企業支援に貢献していきたいと考えております。
7. まとめ
物流営業出身者は、顧客課題把握力、提案力、信頼構築力といった銀行法人融資業務に不可欠な素養を備えています。財務知識・金融商品知識を補強し、自身の経験を具体的にアピールすることで、キャリア転換の成功を目指しましょう。
【職務経歴書（サンプル）】
氏名：高橋 健太 生年：1991年生まれ ■職務要約： 大手物流会社にて約7年間、法人営業に従事。既存・新規顧客向けに物流課題解決提案を行い、売上拡大・顧客満足度向上に貢献。今後は、資金面から企業成長を支援する銀行法人融資担当へのキャリア転換を志向。 ■職務経歴： 〇〇物流株式会社（2016年4月～現在） ・法人向け物流提案営業（売上担当年額2億円規模） ・新規顧客開拓（年間10社以上獲得） ・物流コスト削減提案・プロジェクト型案件推進 ・経営層向けプレゼンテーション資料作成・提案 ■保有資格： ・日商簿記2級 ・銀行業務検定試験（融資実務3級）取得予定 ・TOEIC 730点 ■学歴： 明治大学 政治経済学部卒（2015年3月）