コトラ（広報チーム） 
総務と経理とは？その基本的な役割を解説
総務の主な業務内容
総務は、企業の「ヒト」や「モノ」に関わる業務を中心に担当する部門です。従業員が快適に働ける環境を整えることが主な目的であり、その業務範囲は非常に広いものです。具体的には、物品管理や社内規定の制定・管理、文書管理、資産管理のほか、会社の設備や福利厚生の整備、さらには社内イベントの企画や運営など多岐にわたります。また、取引先や官公庁との外部調整や、時には秘書業務や広報業務も総務がカバーする場合があります。
これらの業務を通じて、総務は企業の円滑な日常業務を支える重要な役割を果たしています。特に中小企業では、他部門の業務も一部兼任するケースが多く、業務の柔軟性が求められます。
経理の主な業務内容
経理は、企業の「お金」に関する管理を中心に担当します。財務管理の専門職として、日次・月次・年次で異なる業務を行い、経営者に正確な情報を提供することが求められます。日次業務には、現金出納帳の監督、経費精算、伝票整理などが含まれます。月次業務では、給与計算や支払い管理、そして財務諸表の作成が主な業務です。そして年次業務としては、確定申告や決算書の作成、社会保険関連の管理などが挙げられます。
経理業務には正確性とスピードが求められるため、細部に注意を払いながら効率的に仕事を進める能力が重要となります。また、数字を通して企業の経営状況を明らかにし、経営陣が意思決定を行うための情報を的確に提供することも経理の重要な役目です。
総務と経理に共通するポイントとは？
総務と経理は異なる業務を担当する部門ですが、いくつかの共通点があります。まず、いずれも「バックオフィス」に分類される間接部門であり、企業の外部向け活動には直接関与しません。営業部門のような直接的な成果は見えにくいものの、企業全体の業務の円滑化を図ることで会社のパフォーマンス向上に貢献しています。
また、総務と経理は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という企業活動の基本要素に関わっており、それぞれ異なる切り口から企業運営を支える役割を担っています。このため、コミュニケーション能力や情報管理能力などのソフトスキルが共通して求められる点も特徴です。
総務と経理の違いの出発点
総務と経理の最大の違いは、その仕事の方向性にあります。総務は「ヒト」や「モノ」といった実物や組織の管理を重点に置いているのに対して、経理は「カネ」やその流れを管理することに主眼を置いています。この違いが業務内容や求められるスキルにも反映されています。
たとえば、総務は社員の働きやすい環境を整えるための知識や多岐にわたる調整力を必要とします。一方で、経理はお金の流れを正確に把握し、分析する財務知識や専門スキルが求められます。このように、総務と経理には共通点もありつつ、その根本的な役割には明確な違いが存在します。
バックオフィス業務の重要性とその進化
バックオフィスの全体像
バックオフィス業務とは、企業のビジネス活動を円滑に進めるために裏方で行われる業務全般を指します。総務や経理を中心に、人事、法務、情報システム部門なども含まれることが一般的です。これらの部門は直接的な収益を生み出すわけではありませんが、業務フローの円滑化や社員の働きやすい環境づくりの観点から、企業全体のパフォーマンス向上に大きく寄与します。特に総務は「モノ」と「組織」を、経理は「カネ」を管理する業務としてそれぞれの重要な役割を担っています。これらの部門が機能しなければ、日常業務が立ち行かなくなるほど、バックオフィス業務は企業経営にとって不可欠な存在です。
中小企業における総務と経理の役割の兼任
中小企業では、総務と経理の業務が明確に分担されていないケースが少なくありません。特にリソースの少ない企業では、総務担当者が経理業務も兼任する「総務経理」という形態が一般的です。この兼任体制は、業務量が多くなる一方で、総務と経理の違いを意識しながら業務を遂行するスキルを磨く機会にもなります。総務では、従業員が働きやすい環境の整備や物品管理など幅広い業務を担当し、それに加えて、経理業務では、経費精算や給与計算といった正確性が求められる作業も行います。このように、多岐にわたる業務をカバーすることで、会社全体の運営を支える重要な役割を果たしています。
テクノロジーが変化させるバックオフィス業務
近年、テクノロジーの進化により、バックオフィス業務の効率化が進んでいます。総務や経理の業務では特に、クラウド型の業務管理システムやAIを活用した自動化ツールが普及し、紙ベースの作業や手動で行っていたプロセスが大幅に削減されています。例えば、経理では経費精算や伝票処理を自動化するツールが導入されることで、業務効率が向上し、人的ミスのリスクが減少しました。一方、総務では、社内コミュニケーションの円滑化を目指してチャットツールや勤怠管理システムなどが導入されています。これらの変化により、バックオフィス業務の役割は単なる管理業務にとどまらず、企業戦略に貢献するための基盤を作る重要な存在へと進化しています。
総務・経理に求められるスキルと適性
総務職に向いている人の特徴
総務職に向いている人は、柔軟な対応力と幅広い業務をスムーズにこなすマルチタスク能力が必要です。総務の業務は会社全体のサポートを担当するため、「人」に関わることが多く、コミュニケーションスキルや調整力が重視されます。社内の備品管理や福利厚生の整備など、細やかな気配りが求められる場面も多いため、物事を丁寧に進められる性格の人が活躍しやすい傾向にあります。また、社内外とやり取りをする機会も多いため、柔軟性や対人スキルも不可欠です。
経理職に求められる専門スキル
経理職が求められる最も重要なスキルは、企業のお金の流れを正確に把握し、管理する能力です。具体的には、簿記や会計、税務の専門知識が必要とされます。特に、簿記資格（例えば日商簿記検定）の取得は、多くの企業で評価される専門スキルの証明となります。また、経理業務は数字を扱う仕事のため、計算の正確さや注意力が求められます。さらに、経理ソフトやエクセルなどのツール活用能力も必須であり、現在ではクラウド会計ソフトの導入が進む中で、最新のテクノロジーに対応するITスキルも重要視されています。
総務・経理の業務に共通するソフトスキル
総務と経理は役割の違いこそありますが、どちらの職種にも共通して必要なソフトスキルがあります。そのひとつが「問題解決能力」です。総務は幅広い業務の中で予期しないトラブルに対応することが多く、経理は財務データを通じて課題解決策を提案する役割も求められます。また、社内外と関わる業務が多いため、高度なコミュニケーションスキルや協調性も共通して求められる能力です。そして、バックオフィス全般において大事なのが「正確さ」と「信頼性」であり、情報やデータを確実に処理する能力は欠かせません。総務と経理はどちらも会社の基盤を支える重要な職種だからこそ、これらのソフトスキルが大きく貢献します。
総務と経理が連携する場面とは？
会社運営全般における協力体制
総務と経理は、会社の運営を支えるバックオフィス部門として、密接に連携することが求められます。総務は従業員が快適に働ける環境を整える役割を担い、経理は会社のお金の流れを管理する役割を担当します。この2つの部門が連携することで、会社全体の運営効率が向上します。例えば、会社の方針決定や新しいシステム導入の際には、経理が費用対効果を評価し、総務がその実現に向けた調整を行うなど、部門間の協力がキーとなります。
経費精算や福利厚生での連携
従業員の経費精算や福利厚生制度を整備する際には、総務と経理が深く関与します。経理は経費の支出基準や予算を管理し、総務はその運用ルールを整備する役割を果たします。例えば、新たな福利厚生プランの導入時には、総務がプラン内容を企画し、経理がその費用推移を把握して調整を行います。こうした連携により、制度の効果的な実施と従業員満足度の向上が可能になります。
労務や人事との連動業務
総務と経理は、労務や人事部門と連動して業務を進める場面も多くあります。給与計算や社会保険の処理では、経理がデータの正確性を確保し、総務が従業員情報の管理や外部機関への対応を行います。また、採用活動や働き方改革など、会社全体に関わる課題においては、総務と経理が人事部門と共同でプロセスを支援するケースもあります。このような連携は、適切な業務分担によって業務負担を軽減し、効率化を実現します。
連携成功のカギとなるコミュニケーション
総務と経理の連携を成功させるためには、部門間のコミュニケーションが重要です。お互いの役割や業務内容、目標をしっかり理解し、情報を共有することで連携がスムーズになります。例えば、経費関連のデータを適時に共有し合うことでミスを防ぎ、トラブルを未然に防ぐことができます。定期的なミーティングの実施や共有ツールの活用によって、連携を強化することができます。
企業規模による役割や連携方法の変化
企業規模が大きくなるほど、総務と経理の役割は明確に分けられ、専門性が高まります。一方、中小企業では、両者を兼任するケースが多く、業務内容が広範囲にわたるため、より柔軟な連携が求められます。例えば、大企業では明確なラインで管理を分担し、スムーズな報告体制を構築しますが、中小企業では一人が総務と経理の業務を纏めて行う場合があります。この違いは、各企業の業務フローの設計にも大きく影響を与えます。