コトラ（広報チーム） 
経理・会計・財務とは？基本的な定義と共通点
経理の基本的な定義
経理とは、企業の日々の金銭の出入りを管理し、正確に記録する業務を指します。具体的には、現金や預金の管理、経費精算、売上や仕入れの記録、買掛金や売掛金の管理などを行います。これらの活動は、企業活動の中で非常に基本的でありながら重要な部分であり、日次経理、月次経理、年次経理といった分類で体系的に進められます。経理を適切に行うことで、企業の財務状況を正確に把握し、業務運営をスムーズに進める土台が築かれます。
会計の基本的な定義
会計とは、経理が記録した取引データを基に、企業全体の経営状況や財務状況を把握し、財務諸表などを作成して報告する業務です。会計は、「管理会計」と「財務会計」の2つに分かれ、それぞれ役割が異なります。管理会計は、社内の経営層を対象にした分析や資料作成を行い、より戦略的な意思決定をサポートします。一方、財務会計は、外部の利害関係者に経営成績や財政状態を報告する役割を担います。これにより、企業は透明性を保ち、信頼を築くことができます。
財務の基本的な定義
財務とは、企業の資金調達や運用、リスク管理を担当する業務を指します。具体的には、事業計画に基づいて資金調達を行ったり、財務計画の策定や予算管理を行ったりします。また、リスク管理を通じて、資金繰りの安定や将来的な資金運用の計画などにも関与します。財務の特徴は、過去の記録を元にする「経理」とは異なり、未来に向けた資金運用や調整を担う点にあります。これにより、企業は長期的な成長に必要な資金を確保することができます。
3つの共通点とお金の流れの関係性
経理、会計、財務の3つには、それぞれ明確な役割の違いがありますが、共通して「お金」に密接に関連しています。経理は日常的なお金の出入りを記録し、会計はそのデータを用いて経営全体の状況を体系的に把握し、報告します。そして、財務はその情報を基に、未来の資金計画や運用を管理します。これら3つの業務は、企業のお金の流れや財務状況をスムーズに回すために互いに連携しており、それぞれが欠けることなく機能することで、企業全体の運営が安定します。
経理・会計・財務の役割の違い
経理の役割：日々の取引の記録業務
経理の主な役割は、企業の日々の金銭の出入りを正確に記録することです。たとえば、日次業務として伝票の作成や入出金管理を行い、月次業務では買掛金や売掛金の管理を担当します。また、年次業務では決算処理を行うなど、企業の財務状況を整理するうえで重要な基礎業務を担っています。経理は過去の取引を記録し、それを分かりやすく整理することで、企業の現状を数字として見える化する役割を果たします。
会計の役割：記録を基に経営状況を把握
会計は、経理が記録した取引データを基に、企業全体の経営状況を分析・把握する役割を担っています。たとえば、記録された取引から財務諸表を作成し、これを内部向け（管理会計）や外部向け（財務会計）に活用します。また、経営の意思決定に必要な資料を提供すると同時に、税務申告や利害関係者に対する説明責任を果たす役割も含まれます。このように、会計は経理の情報を基に、企業全体を数字で管理する業務です。
財務の役割：資金調達と将来の計画管理
財務は、主に企業の未来に視点を置き、資金調達や資金運用を計画的に管理する役割を担います。たとえば、銀行融資の調達や予算管理、将来の事業計画を基にした資金計画の策定を行います。また、リスク管理を行い、企業の資金繰りを安定させることも重要な業務の一つです。財務は、経理や会計で得られた情報を活用しながら、長期的な資金戦略や経営計画を支える役割を果たします。
それぞれの業務が企業運営に与える影響
経理・会計・財務は、それぞれ異なる役割を持ちながら、企業の運営に重要な影響を与えています。経理は日々の取引記録によって企業の基礎データを整備し、会計がそのデータを分析・報告することで、経営者や利害関係者が企業の現状を把握できます。そして財務がその情報を活用し、資金計画や運用方針を策定することで、企業が将来に向けて安定的に成長できるよう支えています。このように、3つの業務は企業経営に欠かせない「お金の流れ」を管理する重要な役割を果たしており、それぞれの連携が不可欠です。
具体的な業務内容を比較して理解する
経理の主な業務内容と特徴
経理の業務は、企業のお金の流れを細かく記録・管理するところから始まります。「日次経理」では日々の帳簿の記録、伝票作成、経費精算などを中心に行い、正確なデータを作成することが求められます。また、「月次経理」では買掛金や売掛金の管理、在庫の確認などを行い、月単位で企業の収支状況を把握します。そして、「年次経理」では決算業務を担い、最終的に会計や財務に必要な基礎データを提供します。経理は主に過去の取引やお金の動きを正確に記録することに重点が置かれており、企業活動を支える重要な基盤です。
会計の主な業務内容と特徴
会計の業務は、経理から提供されるデータをもとにして企業全体の財務状況を把握し、外部および内部に対して報告を行うことを目的としています。その業務には、財務諸表の作成や経営分析資料の作成、税務申告などが含まれます。また、会計は「財務会計」と「管理会計」の2つに分けられるのが特徴です。「財務会計」は利害関係者などの外部向けに企業の財務状況を明示するものであり、一方、「管理会計」は企業内の意思決定をサポートするために行われます。会計は、お金の流れをわかりやすく整理し、分析する役割を果たします。
財務の主な業務内容と特徴
財務の業務は、主に企業の将来的なお金の調達や運用を計画・実行することを目的としています。具体的には、資金調達の計画や事業計画に基づいた融資・出資の準備、さらに予算管理やリスクマネジメントなどが挙げられます。加えて、財務は経理から提供されるデータを活用し、未来の資金ニーズを見越した計画を立てることが求められます。そのため、会社の経営方針や中長期計画に深く関与することが多いのが特徴です。財務業務は、企業の未来に向けた資金面での舵取りの役割を果たします。
業務内容の重複点と連携の重要性
経理、会計、財務の業務はそれぞれに特徴があり、役割が異なりますが、お金の流れを正確に把握するために密接に関連しています。たとえば、経理が日々の取引データを記録し、会計がそれを分析して経営の状況を把握する資料を作成し、財務がそれらをもとに資金調達や運用計画を立案します。このように3つの業務はお金の流れを「記録する」「整理・分析する」「計画を立てる」というサイクルを担っており、それぞれの連携が企業運営の円滑化につながります。そのため、これらの業務間での重複や情報共有を適切に行うことが、企業の健全な運営にとって欠かせない要因となっています。
経理・会計・財務に必要なスキルと向いている人
経理に必要なスキルと適性
経理に必要なスキルには、正確性や注意深さが挙げられます。日々の取引を記録する作業が中心となるため、ミスの防止が重要です。また、日商簿記検定などの資格や基礎的な会計知識も役立ちます。経理業務では多くのデータを管理するため、Excelなどのソフトウェアスキルや、整理整頓能力も求められます。
さらに、コツコツとした作業が好きな人や、責任感を持って仕事に取り組める人が経理職に向いています。経理は企業のお金の流れを記録するため、細かい作業が苦にならない性格が適しています。
会計に必要なスキルと適性
会計職に必要なスキルとしては、広範な会計知識が求められます。特に財務諸表の作成や経営分析などの業務に携わるため、高度な分析力や論理的思考能力が必要です。また、税務や法令に関する知識も持っていると強みになります。
会計業務では、経理のデータを基に経営成績を分析・報告することが中心となるため、数字をもとにした提案力やコミュニケーション能力も必要です。経理の業務に加え、チームや他部署との連携が重要になるため、柔軟性のある性格の人に向いています。
財務に必要なスキルと適性
財務において必要なスキルは、資金調達や予算管理の際に活用できる高い計画性や先見性です。また、リスク管理も重要な業務の一部であるため、リスクを分析する力や判断力が求められます。さらに、金融市場や経済の動向を把握する力も必要です。
財務では戦略的な思考や交渉力が必要となる場面が多く、特にコミュニケーションスキルが業務を成功に導く鍵となります。未来志向を持ちながら、責任を持って企業の成長をサポートしたい人に向いている職種といえます。
キャリア別に考える最適な選択肢
経理・会計・財務は、それぞれ求められるスキルや適性が異なるため、自身のキャリア目標や性格に合った選択をすることが重要です。例えば、正確にデータを扱う業務を好む場合は経理、分析力や報告力を発揮したい場合は会計、企業の戦略的な部分に貢献したい場合は財務がおすすめです。
また、これらの分野ではスキルの幅が広がることでキャリアアップの可能性も高まります。そのため、一つの分野で経験を積んだ後、他の分野にチャレンジするのも良い方法です。中小企業では経理と財務、あるいは会計と経理を兼務する場合もあるため、幅広いスキルを身に付けることがより重要になるでしょう。
最適なキャリア選択を行うためには、まず自分自身がどの業務に興味があり、どのような貢献をしたいのかを明確にすることが大切です。