コトラ（広報チーム） 
ルネサスと温室効果ガス削減目標
2030年に向けた38%削減目標の背景と意義
ルネサスエレクトロニクス株式会社は、2030年までに温室効果ガスを2021年比で38%削減する目標を掲げています。この目標の背景には、地球温暖化への危機感と、サステナブルな社会を実現する企業としての責任が含まれています。この挑戦は環境への配慮だけでなく、国際的な競争力を高めるための重要な施策でもあります。また、この目標は「カーボンニュートラル2050」の達成に向けた中間ステップとしての意義を持っています。ルネサスは、エネルギー効率を高めつつ、業界全体への波及効果を意識した取り組みを進めることで、環境と経済活動の両立を目指しています。
SBTi（科学的目標イニシアティブ）の認定とその意義
ルネサスは、国際的な枠組みであるSBTi（Science Based Targets initiative）から温室効果ガス削減目標の認定を受けています。この認定は、目標設定が科学的根拠に基づき、気候変動対策として妥当性があることを示しています。SBTi認定を受けることで、目標の信頼性が確保され、ステークホルダーや社会全体との連携を強化することにもつながります。この認定を通じて、ルネサスは「2050年カーボンニュートラル」という長期ビジョンをより確実に達成するための基盤を築いています。
具体的な削減対象：スコープ1、スコープ2、スコープ3
ルネサスの温室効果ガス削減目標は、スコープ1、スコープ2、スコープ3という3つのカテゴリにまたがっています。スコープ1では、工場や自社施設での直接排出を削減し、スコープ2では電力などのエネルギー使用に伴う間接排出を改善しています。一方、スコープ3では、サプライチェーン全体で発生する排出を対象にしており、調達先との連携や製品使用時の排出量削減を目指しています。これらの取り組みを通じて、ルネサスは包括的な削減戦略を展開し、より持続可能な事業活動を推進しています。
2021年との比較：削減状況と進捗
2021年度を基準年とした場合、ルネサスはすでに温室効果ガス排出量削減において目覚ましい進捗を見せています。2022年度には全体で6.8%の削減を達成し、エネルギー消費量も1.2%削減されました。この結果は、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの導入、工場の最適化が貢献したことによるものです。今後も、これまで得られた成果を基盤としながら、目標達成に向けたさらなる活動を展開していく計画です。これらの取り組みは、単なる環境対策を超え、ルネサスの企業価値を高める要素ともなっています。
カーボンニュートラル達成に向けた取り組み
再生可能エネルギーの導入拡大と工場最適化
ルネサスエレクトロニクス株式会社は、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。2022年度には複数の拠点でクリーンエネルギーの利用を拡大し、エネルギーの脱炭素化を促進しました。また、生産効率を最適化するための工場運営改善も同時進行で進めており、最新技術を活用したエネルギー管理システムを導入しています。これにより、環境負荷を削減するだけでなく、持続可能な成長への足掛かりを築いています。
エネルギー効率の向上と省エネ対策
ルネサスでは、エネルギー効率を向上させるための施策を複数展開しています。具体的には、製造設備の更新やプロセスの見直しを通じてエネルギー消費の最小化を図っています。また、省エネ対策として、使用電力のモニタリングや稼働状況の分析を行い、新たな改善機会を探ることに注力しています。2022年度には、エネルギー消費量を1.2%削減する成果を達成し、さらなる効率化を目指す取り組みが続けられています。
サプライチェーン全体での連携強化
ルネサスは、自社だけでなくサプライチェーン全体での環境負荷削減を目指しています。そのため、取引先やパートナー企業とも連携し、温室効果ガス削減に向けた協力体制を強化しています。特に、SBT（科学的目標イニシアティブ）の認定を受けた目標に基づき、スコープ3（サプライチェーン全体）における排出量削減を推進しています。また、透明性と公平性を重視し、サステナビリティ指針を共有することで、取引先と一体となって環境への取り組みを加速しています。
廃棄物削減とリサイクル活動
廃棄物削減とリサイクルの推進も、ルネサスの重要なカーボンニュートラル施策の一環です。同社は、製造過程で発生する廃材や副産物の再利用率を高めるため、効率的なリサイクルシステムを整備しています。2022年度には、廃棄物のリサイクル率を92%に維持する成果を実現しました。また、他の環境施策と連携し、資源の有効活用と廃棄物の最小化を目指しています。これにより、サステナブルな社会への貢献を強化するとともに、環境と調和した事業運営を実現しています。
SDGsとルネサスの社会的責任
国連の持続可能な開発目標（SDGs）との整合性
ルネサスエレクトロニクス株式会社は、国連が掲げる持続可能な開発目標（SDGs）の達成に向けて積極的に行動しています。同社はSDGsの17項目のうち、特に環境保全、人権尊重、共生社会の実現に向けた13の目標に対して取り組みを進めています。これにより、半導体業界において重要な役割を果たしながら、カーボンニュートラルの実現や廃棄物削減といった環境負荷の低減に貢献しています。
ルネサスが優先するサステナビリティ課題
ルネサスが掲げる優先課題には環境・社会・ガバナンス（ESG）の3領域が含まれています。その中でも、温室効果ガス削減や水資源の有効活用、廃棄物リサイクル率向上といった環境側面への対応を注力分野としています。また、従業員の成長を支援し、安全で安心できる職場環境の整備を推進することで、社会的側面にも配慮しています。特に2023年度には「2030 Aspiration」に基づき、これらの課題を戦略的に解決するための具体的な行動を実施しています。
地域社会およびステークホルダーとの協力
ルネサスは、地域社会やステークホルダーとの連携を重視しています。同社は、グローバルな活動を推進する中で社会に寄与する製品やソリューションを提供することで、持続可能な社会の実現を目指しています。さらには、「透明性と公平性のあるガバナンス」を基盤とし、地域コミュニティとのパートナーシップを深めるためにESGへの取り組みを着実に進めています。これにより、企業活動を通じて地域社会や環境に対する貢献を拡大しています。
社会的価値を生み出す製品開発の実践
ルネサスでは、「To Make Our Lives Easier」というパーパスに基づき、社会的価値を生み出す製品開発を行っています。同社のエコデバイスやグリーンデバイスの開発は、特に環境負荷の軽減に寄与しており、2022年度には新製品の93%がグリーンデバイスとして開発されました。これにより全売上の約60%を占める実績を誇ります。この取り組みは、顧客や地域社会にも恩恵を提供すると同時に、環境保全への具体的な貢献を表しています。
2050年に向けた未来像と課題
中期目標と長期目標の設定
ルネサスエレクトロニクス株式会社は、2050年までのカーボンニュートラル達成を最大の目標とし、その実現に向けた中期目標と長期目標を明確に定めています。「2030 Aspiration」に基づき、2030年までに温室効果ガス排出量を2019年比で38%削減することを目指しています。また、これを基盤として2050年に向けた更なる削減策を推進しています。これらの戦略は、ルネサスが持続可能な未来を創造するための基盤となるものであり、同時に顧客やステークホルダーに対する重要なコミットメントでもあります。
技術革新がもたらす環境へのインパクト
ルネサスは、エコデバイスや効率的な半導体技術を通じて、温室効果ガスの排出削減だけでなく、世界全体のエネルギー消費削減にも寄与しています。2022年度には新製品の93%が環境を意識したグリーンデバイスとなり、総売上の約60%を占める結果を達成しました。このような技術革新は、持続可能な社会に向けた大きな一歩であり、ルネサスのサステナビリティ目標との整合性を示しています。
温室効果ガス削減以外の取り組みとその重要性
温室効果ガス削減は重要な課題ですが、ルネサスはそれに留まらず幅広いサステナビリティ課題に取り組んでいます。具体的には、水資源の利用効率を38%改善し、さらにリサイクル率を32%に高める活動を進めています。また、廃棄物リサイクル率を92%に維持し、環境負荷の低減に寄与する製品やソリューション開発にも積極的です。このように、ルネサスの取り組みは環境目標を超えて、より幅広い社会的価値の創出を目指しています。
課題と次なるステップへの展望
2050年の目標を達成するためには、多くの課題に直面しています。短期的には、再生可能エネルギーのさらなる導入やサプライチェーン全体での連携強化が必要です。一方で、長期的には、さらなる技術革新やグローバルな気候変動の影響を考慮した新しい戦略策定が求められています。今後は、ルネサスが持つ技術的な強みを最大限に活かし、業界全体での協力体制を構築することで、より一層持続可能な未来の実現に貢献していく方針です。