コトラ（広報チーム） 
全銀協におけるSDGs推進の基本方針
SDGsと全銀協の役割：基本的な考え方
全銀協は、持続可能な社会を実現するために、SDGs推進における重要な役割を担っています。その基本的な考え方として、SDGsは銀行界に革新的なビジネスモデルの構築と持続可能な社会への寄与を両立させる指針と捉えています。特に、金融機関は資金の流れを通じて経済活動を支える役割を果たしており、その影響力を最大限に活かすことで、ローカルからグローバルまでの課題解決に貢献することが期待されています。サステナに基づいた行動は、経済成長だけでなく、環境や社会的課題への積極的な貢献とも直結しています。
中長期的視野に立つ活動の重要性
SDGs推進においては、中長期的な視野に立った活動が重要です。短期的な成果を追求するだけでなく、2030年という目標年に向け、持続可能な環境構築を見据えた体系的アプローチが必要です。全銀協は、環境・社会・ガバナンス（ESG）の視点を統合した戦略を策定し、気候変動問題や社会的課題への対応を具体的に計画しています。これにより、単なる数値目標の達成に留まることなく、本物の持続可能な変革を実現することを目指しています。
産業界との協働による新たな挑戦
全銀協は、個別の銀行や金融機関だけでなく、産業界と協働することで、SDGs達成に向けより大きな影響を与える取り組みを推進しています。例えば、環境技術や再生可能エネルギーへの投資促進、サステナブルファイナンスを通じた資金調達支援など、多角的なアプローチを展開しています。また、脱炭素社会の実現に向けた取り組みは、さまざまな業界のパートナーとともに進められており、新しい技術革新や持続可能なビジネスモデルの創出につながっています。
日本国内でのSDGs啓発活動
全銀協は、日本国内におけるSDGsの認知度向上と実践促進にも力を注いでいます。具体的には、業界全体の事例をまとめたSDGsレポートを定期的に発行し、成功事例や課題を共有しています。また、金融教育の一環として環境問題やサステナビリティについての啓発活動を展開し、次世代の育成にも寄与しています。こうした取り組みは、持続可能な経済活動への理解を広めるだけでなく、社会全体での行動変容を促進する役割を果たしています。
全銀協が目指す持続可能な銀行界の未来
全銀協は、持続可能な銀行界の未来を目指し、革新的かつ実効性のある方策を推進していきます。その中で注力しているのが、サステナビリティ基準の普及と脱炭素社会への取り組みです。また、金融商品の透明性を高めることで投資家の信頼を勝ち取り、安定した資金の流れを構築しています。2030年までに持続可能な開発目標を実現するため、全銀協は銀行界全体のリーダーシップを発揮し、日本が直面する課題解決の一翼を担うことを目標としています。
気候変動問題への具体的な取り組み
脱炭素社会への貢献：カーボンニュートラルへの道
全銀協は、カーボンニュートラルへの実現に向けて具体的な目標を掲げ、多様な取り組みを進めています。特に、CO2排出量の削減を目指した銀行界のイニシアティブとして、2040年度までのカーボンニュートラル実現を目標に設定しており、脱炭素社会への貢献を促しています。また、2013年度比でCO2排出量を40.2％削減する成果を2024年3月末時点で達成しており、この取り組みは他業界への模範ともいえるものです。これらの行動を通じて、持続可能な未来を目指した方向性を明確にしています。
金融業界と気候変動リスク管理
金融業界において、気候変動への対応は重要な課題となっています。全銀協はTCFD提言に賛同し、気候変動リスクを適切に把握・管理するための情報開示を積極的に進めています。この一環として、金融機関における気候リスク評価手法やシナリオ分析の導入を支援し、気候変動がもたらす金融リスクの包括的な管理体制を整えています。さらに、ステークホルダーとの対話を通じて、気候リスクとその影響についての理解を深める取り組みも展開しています。
グリーンボンドやサステナビリティ債の推進
全銀協は、グリーンボンドやサステナビリティ債の活用を強力に推進しています。これらの金融手法は、環境に配慮したプロジェクトへの資金調達手段として注目されており、持続可能な経済成長のために重要な役割を果たしています。2024年には、環境省が「グリーンボンドガイドライン2024年版」を公表するなど、制度整備が進む中で、全銀協も同様に金融市場の活性化とSDGs目標の達成に貢献しています。これにより、国内外の環境関連プロジェクトへの資金供給を拡大するとともに、投資家への信頼性向上にも寄与しています。
技術革新への投資と支援
全銀協は、技術革新が脱炭素社会の実現に不可欠であるとの認識に基づき、関連分野への投資と支援を積極的に行っています。例えば、次世代型太陽電池やCO2排出の見える化を実現する新技術の開発支援が挙げられます。2024年には資源エネルギー庁が次世代型太陽電池戦略を公表しており、これを受けて全銀協も産業界と連携しながらイノベーション創出を支援しています。こうした取り組みは、日本全体での脱炭素化のスピードを加速させる重要なカギとなるでしょう。
先進事例から学ぶ脱炭素の取り組み
全銀協は、国内外の先進事例を積極的に学び、自らの取り組みに反映させています。例えば、北海道銀行や京都銀行の脱炭素支援商品やCO2排出量削減施策は、全銀協が目指す持続可能な銀行界のモデルケースとして重要視されています。また、国際的な枠組みや海外の実践例からも学びを得ることで、より効果的な施策の導入に努めています。このように、他業界や他地域の取り組みを調査・適用するアプローチが、持続可能な未来の実現に向けた一歩となっています。
人権と地域社会への配慮
「No one will be left behind」をめぐる理念
「No one will be left behind（誰一人取り残さない）」は、SDGsの中心的な理念として掲げられています。この理念は、全銀協が推進するサステナビリティ活動においても重要な柱を成しています。全銀協は、銀行業界が提供する金融サービスを通じて、社会における格差を是正し、すべての人々が経済的・社会的な機会を享受できるよう取り組んでいます。金融サービスの普及を進め、誰もが利用可能な仕組みを整備することで、持続可能な社会の実現を目指しています。
中小企業支援を通じた地域活性化
全銀協は、地域社会に密着した中小企業への支援を通じて、地方経済の活性化に貢献しています。具体的には、地域に根ざした金融機関との連携を強化することで、資金調達や経営改善の支援を行っています。特に、地方独自の産業や文化を生かしたビジネスモデルの創出を支援し、地域の持続可能な成長を後押ししています。これにより、銀行業界全体として「サステナ」の視点を重視した取り組みを進めています。
クライアントおよびステークホルダーとのエンゲージメント
全銀協は、クライアントやステークホルダーとの対話を通じ、相互理解を深めながらSDGs達成のための連携を強化しています。銀行は直接的な顧客対応だけでなく、地域社会や産業界など幅広いステークホルダーと協力して課題解決を図っています。そのため、持続可能なイニシアチブの共有や、サステナビリティ関連プロジェクトの共同推進を積極的に行っています。
環境教育を通じた次世代育成
次世代の育成は、持続可能な未来を築くうえで欠かせない要素です。全銀協は、地域の学校や教育機関と連携し、環境や社会問題についての教育プログラムを提供しています。こうした取り組みは、若い世代に環境保護や社会課題への意識を向上させる契機となります。特に、持続可能な銀行界の未来を担う人材育成を目指し、実践的な学びの場を提供しています。
社会的公正の向上を目指した取り組み
全銀協は、銀行が果たすべき役割として、社会的公正の実現を重視しています。経済的不平等の是正や、地域間格差の解消に向けた取り組みを進めるとともに、多様性や包摂性（インクルージョン）を推進する方針を掲げています。また、金融サービスの透明性を高めることで、市民からの信頼を得つつ、公正で持続可能な社会の形成に寄与しています。
今後の課題と展望
国際基準への適応と対応方針
全銀協が進めるサステナビリティ活動の中で、国際基準への適応は非常に重要な課題となっています。2025年3月に公表予定とされるサステナビリティ基準委員会（SSBJ）の基準や、TCFD提言に基づく気候変動対策は、国内外の金融機関が一貫した基準で気候変動リスクと機会を評価する基盤となります。全銀協は、これらの基準に対応した情報開示や取組の進捗管理を密接に行う方針を掲げています。これにより、日本金融界全体の透明性向上や、国際競争力の強化を目指します。
国内外の動向を踏まえた適応戦略
全銀協は、多様なサステナビリティ施策を展開するにあたり、国内外の動向に柔軟に対応する必要があります。特に、2024年の「グリーンボンドガイドラインおよびサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン」の改訂や、2025年の「地球温暖化対策計画」など、政府や関連機関が進める新たな政策や基準改定に迅速に対応することが求められています。これには、銀行界全体が共通施策を構築し、相互の連携を深めるとともに、産業界や地域社会と協働しながら実効性ある活動を展開していくことが含まれます。
新技術導入とデジタルトランスフォーメーション
サステナビリティ推進の一環として、新技術の導入やデジタルトランスフォーメーション（DX）は今後の中心的な戦略となります。特に、環境負荷を低減する技術の導入や、サステナビリティデータの効率的な管理・分析を行うためのAIやクラウド技術の活用は、銀行業界における競争力強化と持続可能性の向上に直結します。また、TCFD提言に代表されるような気候変動関連情報の開示進展を後押しするため、デジタル技術による効率的なリスク評価やActionプランの策定が期待されています。
持続可能な開発目標実現に向けた段階的計画
持続可能な開発目標（SDGs）の実現に向け、全銀協は段階的な計画を策定し、その実行に注力しています。特に、全銀協のSDGsレポートでは、短期・中期・長期それぞれの目標を明確にし、進捗管理を行うことの重要性が強調されています。具体的には、2025年までにグリーンボンドやサステナビリティ債の発行拡大を推進し、2030年を見据えたカーボンニュートラルへの支援体制を構築する計画です。このように、目標を段階的に示しながら実行可能性を高めることで、持続可能な銀行界を構築することを目指しています。