資生堂の女性取締役が語るリーダーシップの秘訣とは?

資生堂における女性活躍の背景

資生堂が掲げるダイバーシティ経営とは

資生堂は、企業理念として「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」を掲げると共に、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を経営の重要な柱と位置づけています。同社の従業員の80%以上が女性であり、特にグローバルでは女性管理職比率が58.8%に達しています。このような数字からもわかる通り、資生堂は多様な人材がその力を最大限に発揮できる環境をつくることに注力しています。また、2030年までに男女比率50:50を目指し、さらなるダイバーシティ推進を経営方針として進めています。

女性取締役比率向上の取り組み

資生堂は、女性取締役比率の向上に積極的に取り組んでいます。2024年4月時点で取締役会に占める女性の割合は45.5%となっており、これはグローバル基準でも極めて高い数字です。この成果の背景には、資生堂が2019年に「30%クラブジャパン」の設立に貢献したことが挙げられます。このクラブは、2030年までにTOPIX100構成企業の女性取締役比率を30%に引き上げる目標を掲げており、資生堂はそのリーダー的存在として、女性が活躍する経営環境を整えています。

「女性が活躍する会社」の評価ポイントとは

資生堂は、「女性が活躍する会社 BEST100」において3年連続で総合ランキング1位を獲得しています。このランキングでは、「管理職登用度」や「女性活躍推進度」のほか、「ワークライフバランス度」と「人材多様性度」も評価基準に含まれます。同社が「管理職登用度」部門で1位に輝いていることは、特に注目すべきポイントです。こうした取り組みが支持される理由は、管理職への女性登用を戦略的に進める中で、各社員の働きやすさとやりがいを最大化させる工夫が継続的に実施されているからといえます。

女性管理職が増加した理由と社内文化

資生堂で女性管理職が増加している背景には、積極的なキャリア支援と社内文化の変革が挙げられます。同社では、育児や介護を担う社員への支援制度を早くから導入しました。たとえば、1990年代初めに育児休業を制度化し、2003年には事業所内保育所「カンガルーム汐留」を設立しています。さらに、2023年にはシッターサービスを中心とした保育サービス「KANGAROOM+」も開始しました。これらの施策が、女性社員がキャリアアップを目指すための環境を整える大きな要因となっています。また、資生堂では「女性リーダー育成塾」などを通じて女性のリーダーシップをさらに引き出す取り組みも行われています。

資生堂におけるサポート体制の全貌

資生堂が誇る女性活躍推進のサポート体制は、非常に充実しています。同社は、育児や介護などライフステージ特有の課題に直面する社員の支援を経営戦略の一環として捉えています。その一例として、2008年に導入された「カンガルースタッフ制」は育児期の美容職社員を補完する制度として高く評価されています。また、育児休業からの復職率が92.3%と高いことも、資生堂の取り組みが実を結んでいる証拠と言えるでしょう。これらのサポート体制は、社員が安心して働きながらキャリア形成を目指す基盤として機能しています。

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リーダーシップの進化と女性役員の視点

旧来型リーダーシップ像からの脱却

資生堂では近年、旧来型のリーダーシップ像からの脱却が特に意識されています。従来のトップダウン型のリーダーシップは、一方向的な指示と集中管理が中心でしたが、多様性の重要性が増す現在では通用しにくい部分があります。資生堂の女性役員も、より柔軟で共感を重視したリーダーシップへの移行が必要だと考えています。社員一人ひとりの意見や価値観を尊重し、共に目標を達成するための姿勢が、現代のリーダー像として求められているのです。

女性役員が注目する新たなリーダーシップ像

資生堂の女性役員は、組織全体を巻き込みながら変化を促す新たなリーダーシップ像を重視しています。特に、多様な背景を持つ社員が多い資生堂において重要視されているのが、「共創するリーダーシップ」です。このアプローチでは、上司と部下という関係を超えて、チーム全体の力を引き出し合うことが目指されます。また、社員それぞれの成長を支援し、企業全体の未来を見据える「育成型リーダーシップ」も注目されています。これらの姿勢は、資生堂が掲げる「美の力でよりよい世界を」というビジョンと強く結びついています。

多様性がリーダーシップに与える影響

多様性がリーダーシップに与える影響について、資生堂は極めて敏感に取り組んでいます。女性社員が80%以上を占める同社にとって、多様な価値観や視点を活かすことは業績向上に直結しています。とりわけ女性役員は、リーダーシップを発揮する際に、多様性がチームのイノベーションを生む源泉であることを強調しています。一例として、異なる文化や性別の融合が、より柔軟で創造的な意思決定を可能にしています。資生堂では「多様性=成長の鍵」という考えが、組織全体に浸透しています。

資生堂におけるリーダーシップ育成の事例

資生堂のリーダーシップ育成には、具体的な取り組みが複数存在します。代表的な例が「女性リーダー育成塾」で、これを通じて次世代の女性リーダーの育成を目指しています。このプログラムでは、資生堂の女性役員がロールモデルとして登壇し、実体験を共有することで、参加者が現場で実践できるリーダーシップスキルを学ぶ場を提供しています。また、メンタリングプログラムも導入されており、若手社員が役員や上司と対話を通じて成長や課題を深く考える仕組みが整備されています。さらに、資生堂DE&Iラボを活用したリーダーシップ研究が進められており、社員の多様性を最大限活用する仕組みづくりが推進されています。

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女性管理職を目指す社員へのサポート

女性リーダー育成塾とは

資生堂は2017年から「女性リーダー育成塾」を立ち上げ、次世代の女性管理職を育成するための体系的なプログラムを提供しています。この取り組みは、女性役員を増やすための土台づくりとして注目されています。参加者は、専門的なスキルやネットワーキングの強化を図るとともに、リーダーとしての自己理解を深めるワークショップに取り組みます。こうしたプログラムを通じて、多様なバックグラウンドを持つ女性たちが資生堂内外でリーダーとして活躍する準備が整えられています。

メンタリングプログラムの導入背景と成果

資生堂では2020年にエグゼクティブオフィサーとのメンタリングプログラムを正式に導入しました。このプログラムの背景には、企業内での深い知識や経験を若手社員へ共有し、多様な視点を育成する狙いがあります。特に女性社員に対しては、管理職への昇進に伴うチャレンジに対する助言や、メンタル面でのサポートが重要視されています。その結果、多くの女性社員が自信を持ってキャリアチャレンジを続けられる環境が整い、資生堂の女性管理職比率向上につながっています。

キャリアアップに向けた行動計画例

資生堂では、社員がキャリアアップを目指すために明確な行動計画を立てることを推奨しています。具体的には、スキル開発の計画、メンターとの定期的な相談、リーダーシップ育成プログラムへの参加などが挙げられます。また、組織全体で「女性役員」を目指すための継続的な教育や評価システムも重要な役割を果たしています。このようなアプローチを通じて、社員一人ひとりが目標に向けた具体的なステップを踏むことができるよう支援されています。

育児・介護とキャリア形成の両立支援

育児や介護と自身のキャリア形成を両立させるための支援制度にも力を入れています。例えば、事業所内保育所である「カンガルーム汐留」や「カンガルーム掛川」の提供、シッターサービスを中心とする「KANGAROOM+」の運営が挙げられます。また、「カンガルースタッフ制」による育児期社員の支援や育児休業からの復職支援も充実しています。これらの取り組みにより、育児や介護の期間中でもキャリアを諦めることなく、資生堂での成長を続けられる環境が整っています。

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資生堂女性役員が語る成功の秘訣

困難を乗り越えるための心構え

資生堂の女性役員が語るリーダーとしての成功の鍵は、困難な状況を冷静に受け止め、それを次のステップへの糧にする姿勢です。特にビジネスの最前線で直面する大きな壁に対しては、まず冷静に現状を分析し、課題を細分化して解決策を模索する力が求められます。また、自分自身の成長を重視し、困難を「学びの機会」として捉える前向きなマインドを持つことが、長期的なキャリア形成において重要です。資生堂では、こうした姿勢を育むためのメンタリングプログラムや社内研修が充実しており、それが女性役員たちの成功を後押ししています。

新規事業の立ち上げと挑戦の連続

新規事業の立ち上げには、一つひとつの挑戦を楽しむ積極的な姿勢が重要です。資生堂の女性役員の中には、インドネシア支社で事業をゼロから築き上げた経験を持つ方もいます。この経験は、未知の市場の開拓に取り組む過程で、多様な文化や考え方を理解し、新たなリーダーシップスタイルを確立する機会を与えました。挑戦の連続の中では、失敗を恐れず、小さな成功体験を積み重ねることが、新しい事業を成功に導く秘訣だと語られています。新市場での成功事例は、資生堂のダイバーシティ経営とも深くリンクしており、全社的な学びと成長にもつながっています。

ポジティブ思考が導くキャリア形成

資生堂の女性役員たちは、キャリア形成においてポジティブ思考の重要性を強調しています。職場では、予期せぬ困難やプレッシャーが生じることも珍しくありませんが、前向きな心構えを持つことで、逆境を成長のチャンスに変えることができるといいます。例えば、資生堂では一度育児休業を取得した後、リーダー候補として復職し、さらに活躍の場を広げた社員が数多く存在しています。こうしたポジティブシンキングは、同僚や部下に対しても良い影響を与え、組織全体の雰囲気やパフォーマンス向上にも寄与しています。

壁に負けないためのリーダーシップ論

資生堂の女性役員たちは、困難な状況に直面した際に「壁に負けないリーダーシップ」を発揮することの大切さを語っています。これは、個々の状況に応じた柔軟な対応能力や、チーム内での連携強化による力の結集を意味します。特に注目されるのは、多様性を尊重したリーダーシップの実践です。資生堂では、社員が一体となって課題を乗り越えるため、相互理解を深めるセッションや交流プログラムが行われています。その結果、リーダーシップが単なる指揮命令ではなく、「共に成長する」形へと進化しています。成功の秘訣は、挑戦から逃げず、チームの力を最大限に活かす姿勢にあるといえるでしょう。

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資生堂の示す未来と女性リーダーの役割

経営戦略としての女性活躍推進

資生堂は長年にわたり、女性活躍推進を経営戦略の中核に据えてきました。同社のビジョン「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」には、社員一人ひとりがその多様な背景や価値観を尊重しながら活躍できる環境を創造するという思いが込められています。特に女性社員の活躍を後押しするため、育児支援や働き方改革などさまざまな取り組みを実施しています。たとえば、取締役会に占める女性比率が45.5%(2024年4月時点)という数字は、資生堂の本気度を示す結果だといえるでしょう。

次世代リーダー育成へのメッセージ

資生堂の女性役員たちは、次世代リーダー育成への重要性を語り、その活動に注力しています。エグゼクティブオフィサーの廣藤綾子氏は、「女性がキャリアをあきらめずに挑戦し続けられる環境を提供することで、企業の持続的な成長が実現する」と述べています。同社の「女性リーダー育成塾」やメンタリングプログラムは、若い世代の女性社員に自信とスキルを与えるプラットフォームとして機能しています。また、女性リーダーが組織の多様性を推進する役割を担うことが、資生堂が目指す未来像の中心となっています。

30%クラブジャパンが目指す目標

資生堂は、30%クラブジャパンの設立メンバーとして、女性取締役比率の向上を目指しています。この取り組みでは、2030年までにTOPIX100構成企業の女性取締役比率を30%にするという目標を掲げています。この数値目標は、単なる性別比率の改善にとどまらず、経営の視点を多様化し、企業の競争力を強化する意図が背景にあります。資生堂は自社でも取締役会の女性比率を積極的に高め、その実現への模範的な存在として貢献しています。

ジェンダーダイバーシティの未来と課題

ジェンダーダイバーシティは、企業成長と社会発展のカギとなる重要な要素です。資生堂は、女性社員がその可能性を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。しかし、全体としては、依然として女性管理職や役員への進出を阻む課題が存在しています。例えば、家庭や育児との両立をどう支援するのかが引き続き課題です。資生堂は特にこの領域で進歩を遂げており、育児休業の早期導入や「カンガルースタッフ制」のように柔軟な制度を提供しています。これからの未来には、社会全体でもっと包括的なジェンダーギャップ解消の取り組みが求められるでしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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