女性役員30%の時代へ!東証プライム市場の未来像

現在の女性役員比率とその推移

プライム市場における女性役員比率の現状

東証プライム市場における女性役員比率は、近年着実に増加しています。2023年時点では16.1%と前年比2.8ポイントの上昇を見せています。ただ、それでもプライム市場上場企業の約1割にあたる企業では、依然として女性役員がいない状況です。こうした企業群の存在は、日本全体のジェンダーバランス実現の障壁として注目されています。

過去数年の推移と分析

過去数年、女性役員比率はわずかですが継続的に増加しています。2021年度では9.0%だった女性役員比率は2023年には16.1%となり、市場全体でおよそ2倍近く伸びています。この背景には、女性役員登用が経営改革の一環として重視されてきたことが挙げられます。また、経団連が提唱する「2030年30%チャレンジ」に賛同する企業が増えたことも大きな影響を与えています。ただし、割合の向上は従来のゼロ企業の削減ペースに比べると緩やかであり、さらなる施策が必要でしょう。

他国と比較した日本の状況

女性役員比率において、日本は主要先進国と比較すると依然として低水準にあります。たとえば、EU圏の女性役員比率は概して30%を超えている一方で、日本は未だ16.1%に留まっています。フランスでは法定割当制の導入により女性の登用が進む中、日本では自発的な取り組みが中心となっています。このことが、進展の遅さとして指摘されています。

現在の課題―社内登用の少なさ

日本企業における女性役員の多くは、社外役員として起用されています。これは、とりわけプライム市場でも顕著な傾向です。社内からの昇進が進まない理由として、女性の管理職経験者がまだ少ないことや、企業内部の昇進システムが障壁となっていることが挙げられます。そのため、女性役員比率の向上を達成するには、長期的な視野での企業文化の改革や、女性のキャリア形成を支える施策が不可欠となります。

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2030年目標に向けた政府・経団連の施策

第5次男女共同参画基本計画とは?

第5次男女共同参画基本計画は、政府が男女平等の実現に向けて立案した中長期的な政策です。この計画では、社会のあらゆる分野で女性が活躍できる環境を整えるための具体的な施策が示されています。特に東証プライム市場における女性役員比率30%という目標が注目されており、これを実現するために企業が自主的に行動するよう促しています。この計画には、教育機会の平等や働き方改革も含まれており、多角的に女性の社会進出を推進しています。

女性版骨太の方針2023の概要

女性版骨太の方針2023は、日本政府が女性活躍を加速するために策定した具体策をまとめた方針です。この中では、「2030年までに女性役員比率を30%に引き上げる」という目標が一つの重要な柱として掲げられています。東証プライム市場の役員比率向上についても触れ、特に女性役員ゼロの企業に向けた注意喚起が強調されています。また、女性の起業支援やキャリア形成支援にも重点が置かれ、社会全体で女性がリーダーシップを発揮できる基盤作りが進められています。

政府の数値目標と進捗状況

政府は女性役員比率を2030年までに30%にすることを数値目標に掲げています。2023年現在、東証プライム市場における女性役員比率は約16.1%と少しずつ上昇していますが、まだ目標には大きな開きがあります。その背景には、女性役員ゼロの企業が一定数存在することや、国内企業の多くが社内登用に消極的なことが挙げられます。しかし、前年比で着実に増加傾向にあることから、特に政府や経団連の取り組みが効果を上げ始めていると考えられます。

経団連が提案するアクションプラン

経団連は「2030年30%チャレンジ」の一環として、女性役員比率向上に向けたアクションプランを提案しています。これには、企業が役員登用の際にジェンダーバランスを考慮することや、社内での育成プログラムの導入が含まれます。また、評価指標としてジェンダーダイバーシティを積極的に取り入れることで、企業の競争力を高めることも目指しています。この取り組みを通じて、東証プライム市場を含む日本全体の女性役員比率を引き上げ、国際的な競争力を向上させる方針です。

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女性役員30%実現がもたらす経済的・社会的効果

女性活躍と企業の成長の関連性

東証プライム市場の企業において女性役員比率を30%に引き上げる目標は、単なる数字上の取り組みに留まりません。女性の参画を促進することで、企業全体の成長を加速させる可能性があります。多様な視点を持つ意思決定者が増えることは、革新的なアイデアの創出や的確な市場ニーズへの対応を可能にします。実際に、女性役員比率の高い企業ほど業績が向上する傾向があり、この流れが今後さらに加速することが期待されています。

国内外投資家からの評価向上

女性役員の増加は、国内外の投資家からの評価向上にもつながります。特に、持続可能性やジェンダーバランスへの取り組みを企業評価の基準に重視するESG投資家の間では注目度が高まっています。東証プライム市場に上場する企業が女性役員の比率を拡大することで、投資家の信頼を得ると同時に、資本市場における存在感を強化することが可能です。これにより、グローバルな投資環境でも高い評価を得る基盤が整います。

企業の意思決定における多様性の重要性

企業の意思決定プロセスに多様性を取り入れることは、現代のビジネス環境において欠かすことができません。東証プライム市場の多くの企業では、依然として男性中心の役員構成が多い状況にありますが、女性を役員に積極的に迎え入れることで、多様性の向上が期待されます。多様なバックグラウンドを持つ役員が意思決定に関与することで、企業は広い視野と柔軟性を持って戦略を策定し、新たな挑戦を行うことが可能になるのです。

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達成への課題と今後の方向性

ゼロ女性役員企業の現状と対策

東証プライム市場に上場する企業の中には、いまだ女性役員がゼロの企業が一定数存在しています。2023年時点で、約1割のプライム市場上場企業が女性役員を1人も登用していない状況です。この背景には、女性社員の昇進に向けた育成機会の不足や、企業文化として多様性を取り入れる意識が低い点があると指摘されています。2030年までに女性役員比率30%を達成するためには、まずこうした企業に対する具体的な支援や指導が求められます。たとえば、国や経団連は「女性役員がいない企業」への行動計画策定を推奨しており、企業ごとの進捗状況を定期的にレビューする仕組みの構築が重要です。

社外役員依存から社内登用への転換

プライム市場の女性役員増加は進んでいますが、その多くが社外役員に偏っている現状があります。2023年の調査では、女性役員の多くが社外登用によるものであることが判明しています。社外役員は経営に多様性をもたらす一方、社内から女性リーダーを育てる仕組みが弱い場合、女性管理職や役員候補者が育たないという課題に繋がります。これを解消するためには、企業内部で優秀な女性社員を段階的に登用し、キャリア形成を支える施策を実行することが求められます。具体的には、キャリアパスの明確化やメンター制度の導入、役員候補者の研修強化などが効果的です。

ジェンダーバランスを評価する指標の整備

女性役員比率の向上を効果的に進めるには、ジェンダーバランスを評価する客観的な指標の整備が不可欠です。現状、女性役員比率の公表は進んできているものの、指標が統一されておらず、企業ごとの実績を正確に比較することが難しい状況があります。例えば、取締役会の多様性や女性の意思決定への参加度を測定する具体的な数値目標が必要です。この点については、政府や経団連による共通指標の提案が効果的で、投資家や市場からの透明性や信頼性が高まると期待されています。また、指標の活用により、企業が進捗を図りやすくなり、モチベーションにも繋がるでしょう。

企業文化改革と働き方改善の必要性

女性役員比率向上の裏側には、企業文化の根本的な改革が欠かせません。現在、多くの企業では男性中心のキャリア形成モデルが根強く残っており、女性が昇進を目指しづらい環境になっています。また、長時間労働や家庭との両立が困難な働き方も、女性のキャリア進歩を阻害する要因の一つです。これを変えるためには、ワークライフバランスを重視した制度を導入し、柔軟な働き方を推進することが重要です。例えば、育児休業の取得支援や在宅勤務制度の整備に加え、管理職登用におけるジェンダーバイアスの洗い直しを行うことが必要です。こうした取り組みは、女性役員の登用だけでなく、企業全体の業績向上にも繋がるとされています。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。