コトラ（広報チーム） 
建設業界における女性の現状と課題
建設業における歴史的な性別格差
建設業界は、長い歴史を通じて男性中心の職場として位置づけられてきました。この状況には、肉体労働が主とされてきた時代背景や、男性が家計を支えるという社会的価値観が影響しています。その結果、女性が建設業に参入する機会は制限され、常に少数派でありました。
しかし、技術革新や業務の多様化により、建設業界における役割は大きく変化しています。この変化は、女性にとっても新たな可能性を開くものであり、大林組をはじめとする企業は今後の多様な人材活用を推進する上で、性別格差の是正に積極的に取り組んでいます。
女性技術者・管理職の割合とデータ比較
近年、建設業界全体で女性の進出が進んでいるとはいえ、数字上では依然として課題が残っています。大林組における女性管理職の割合は8％と、スーパーゼネコンの中では最も高い水準にありますが、国内一般企業の平均と比較するとまだ開きがあります。また、同社の役員における女性の割合は14.3％であり、これも業界全体の動向を反映した数値です。
他国のデータと比較しても、日本の建設業は女性参画が遅れていると評価されています。例えば、欧州諸国や北米では女性技術者や管理職が2〜3割を占める地域もあり、これに追随するためにはさらなる施策が求められます。
女性がキャリアを進める際の障壁
女性が建設業界でキャリアを進める上での障壁は多岐にわたります。一つ目は、長時間労働やハードな現場環境が家庭生活との両立を困難にしている点です。また、転勤や夜勤が多い業界特性が、特に育児や介護を担う女性にとって圧力となる場合があります。
二つ目は、キャリアパスにおける透明性の不足です。多くの女性は役職やポジションへの進出が難しいと感じており、風通しの良い環境を構築するための取り組みが必要とされています。大林組では「セルフリーダーシップ研修」の導入などキャリア支援策を徐々に強化していますが、これらの努力を広範囲で展開することが重要です。
ジェンダーバイアスと業界文化の影響
建設業界には長年にわたるジェンダーバイアスが根付いていました。例えば、男性の方が厳しい現場環境に適応しやすいといった固定観念が、女性の活躍の場を狭めてきた要因の一つです。また、職場文化として「現場主義」や「結果重視」が強調されるあまり、家庭やライフイベントを重視する価値観が受け入れられにくい傾向もあります。
大林組ではこうした文化の変革に取り組んでおり、性別に関わらず働きやすい職場環境の整備を進めています。同社の柔軟な働き方改革や、性別を問わない健全な労働環境の構築は、ジェンダーバイアスが業界全体に与える影響を緩和させる一助となっています。
大林組のダイバーシティ＆インクルージョン推進
ダイバーシティ推進の歴史と取り組み
株式会社大林組では、従来の性別や文化の枠を超えた多様性の尊重と活用を目指し、ダイバーシティ推進に長年取り組んでいます。建設業界では依然として男性の比率が高い現状がありますが、大林組は新たな時代にふさわしい企業文化を育むために、女性を含む多様な人材の活躍を積極的に支援しています。特に、2023年度からは女性従業員の昇進を意識的にサポートするサクセッションプランを運用し、性別による偏見を排除したリーダー育成を促進しています。
女性社員の活躍事例：管理職や現場での役割
大林組では、女性管理職がすでにいくつもの重要なポジションで活躍しています。代表的な例として、執行役員の亀田綾子氏の抜擢が挙げられます。亀田氏は、「管理職におびえないで」というメッセージを発信し、次世代リーダーの育成に取り組んでいます。また、現場においても女性技術者がプロジェクトマネージャーや施工管理者として高い専門性を発揮し、一線で貢献しています。これらの成功事例は業界全体の女性リーダー割合向上に向けた道筋を示すものとなっています。
職場環境の変革と柔軟な働き方の推進
建設業界はこれまで長時間労働が常態化しがちでしたが、大林組は職場環境の改善と柔軟な働き方の推進に力を入れています。特に、性別を問わず働きやすい制度づくりを進めており、福利厚生プラットフォームの導入や健康課題への対応を積極的に提供しています。また、リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な勤務形態を取り入れ、育児や介護と仕事を両立したい女性社員への支援を強化しています。これにより、多様な働き方が可能となり、女性がキャリアにおいて長く活躍できる環境を整備しています。
業界を牽引する女性リーダーたちの声
大林組の女性リーダーたちは、自身の経験を元に次世代へのメッセージを発信しています。執行役員亀田氏をはじめとした女性管理職は、「女性だからという視点に捉われず、自分の可能性を信じて進むべきだ」と語り、建設業界におけるジェンダーバイアス解消の重要性を訴えています。彼女たちの生の声は、業界内外の女性たちに勇気を与え、同時に大林組の取り組みが社会全体の意識改革にも影響を与えています。
女性が躍進する建設現場：イノベーションの実現
プロジェクトマネジメントにおける女性の強み
建設業界において、女性がプロジェクトマネジメントを担うケースが増えてきました。女性特有の視点や細やかな配慮は、管理業務において非常に有効です。例えば、リスクの見極めやコミュニケーションスキルを活かしたチームの調和作りに秀でており、これにより複雑な建設プロジェクトにおいて効率的な進行が可能です。大林組でも女性管理職がプロジェクト全体を統括し、予算管理やスケジュール運営を成功に導く事例が多くみられています。
女性視点がもたらすデザイン・施工の変化
女性の視点は、デザインや施工の工程にも革新をもたらしています。例えば、働く女性や家族目線を考慮した建築物の設計では、機能性と利便性が高い空間が多く提案されています。大林組では女性社員が計画段階からプロジェクトに参加し、生活者のニーズに寄り添った提案を行うことで、利用者からの評価を得ています。また、女性の視点を取り入れることで、デザイン美と機能性を両立させる新しい試みが進行中です。
建設現場での育児支援と両立事例
建設現場で女性が活躍し続けるためには、育児支援を含む柔軟な働き方が不可欠です。大林組では多様な働き方を推進しており、育児中の社員が現場で活躍できる体制を整えています。例えば、育児休業から復帰した女性管理職が時短勤務を取り入れながらプロジェクトを統括した事例もあります。また、現場には授乳室や親子ルームの設置が進んでおり、育児とキャリアの両立が可能な環境づくりが強化されています。
新しいリーダーシップモデルの構築
建設業界で女性がリーダーシップを発揮する機会が増える中、これまでの男性中心のリーダーシップモデルに変化が起きています。女性のリーダーシップは、従業員一人ひとりの声に耳を傾けながら、チーム全体を引っ張る協調型のアプローチが特徴です。大林組では女性役員が積極的に次世代の女性リーダーを育成しており、新しいリーダーシップスタイルを業界全体に広げようとしています。このような取り組みは、結果的に建設プロジェクトの円滑化や成果向上につながっています。
未来展望：女性管理職が切り拓く建設業界の可能性
2030年に向けた目標とアクションプラン
株式会社大林組は、建設業界におけるジェンダー平等を推進するため、2030年を一つの節目とした目標設定を行っています。特に、女性役員や管理職の割合をさらに引き上げることを重要な課題と認識しており、具体的な行動計画を実施しています。その例として、女性従業員向けの「セルフリーダーシップ研修」や、次世代リーダーを育成するサクセッションプランの導入が挙げられます。これにより、女性が自信を持ってキャリアを築ける環境が構築され、スーパーゼネコンとしての大林組のダイバーシティ戦略が進化しています。
女性管理職の育成体制とキャリア支援
大林組では、女性管理職の育成に力を注いでいます。同社は早い段階から女性社員を対象としたキャリア支援プログラムを展開し、個々の目標に沿ったキャリア相談や専門技能の習得を支援しています。また、実務経験を通じたグローバル人材育成プログラムを通じて、女性社員が国内外でリーダーシップを発揮する機会を提供しています。これらの取り組みにより、現在ではスーパーゼネコン中でも最高水準となる女性管理職割合8％を達成していますが、今後さらなる拡大を目指しています。
多様性が生む競争力と業界の進化
大林組が注力するダイバーシティ推進は、個々の多様な視点を活かしたイノベーションを促進し、競争力向上に寄与しています。特に女性の多様な視点を建設プロジェクトに取り入れることで、デザインや空間の新たな発見がもたらされています。また、女性管理職が増加することで、業界全体が旧来の文化を刷新し、新しい価値観が浸透しています。このような流れは、単なる社内の改善にとどまらず、建設業界全体の進化を牽引する原動力になりつつあります。
次世代へのメッセージ：未来を担う女性たちへ
「管理職におびえないで」と語った大林組の執行役員亀田綾子氏の言葉は、未来を担う女性たちへの力強いメッセージといえます。同氏の発言は、建設業界において女性がキャリアを切り拓く上での心構えを示したものです。大林組は、これからの建設業界の在り方を大きく変えていく女性たちを全力でサポートし、柔軟な働き方や公平な評価制度を整えることで、誰もが自身の可能性を最大限発揮できる環境づくりを目指しています。次世代の女性たちは、自信と誇りを持ち、業界の未来を切り拓いていくでしょう。