コトラ（広報チーム） 
ホンダにおける女性活躍の現状
女性社員比率と管理職達成の進捗
ホンダは、女性活躍推進の取り組みに積極的に取り組んでいますが、現時点での女性社員の割合は全体の約7%に留まっています。しかし、女性管理職の比率については着実に向上しており、2020年度には12.4%に到達しました。この比率は2019年度から0.5ポイント上昇しており、女性の管理職登用が少しずつ進展していることが伺えます。
さらに、ホンダは2030年までに女性役職者数を2020年比で4倍にする目標を掲げ、役職者への女性登用を加速させる計画を立てています。また、新卒採用においても女性比率を2025年までに20%以上にするという目標を設定し、長期的な視点でキャリア形成を考えた施策を強化中です。
女性登用を進めるための課題
ホンダにとって女性社員の登用拡大は重要な目標であるものの、いくつかの課題が残されています。特に、女性管理職比率が低いという現状は、働きやすい環境や昇進のためのキャリアパスが十分に整備されていない部分が影響しています。
また、自動車業界全体として市場競争が激しい中で、女性のキャリア開発プログラムや育成施策が男性主導の職場文化によって十分に稼働していないケースも指摘されています。さらに、管理職に求められるスキルを個別に評価し、適材適所に配置するシステムが整えられることが、将来的な発展には不可欠です。
他社との比較から見るホンダの現状
自動車業界全体で見ても、女性の管理職比率はまだ高いとは言えません。しかしながら、ホンダは他のメーカーと比較して、2030年までの女性管理職比率向上に向けた具体的な数値目標を持つ点で、一歩先を進んでいるとも言えます。
例えば、日産自動車でも女性の役職者登用を進める取り組みが注目されていますが、ホンダは目標の明確化とそれを実現するための中長期的な計画に着目している点で特徴的です。この比較を通じて、他社事例を参考にしつつ、自社独自の施策を打ち出し、継続的な改善を図ることが課題となるでしょう。
管理職における女性割合の変遷
ホンダは2015年から女性活躍の取り組みを拡大させてきました。2023年度の2.4%、翌年度は2.9%と徐々に改善し、人数は2020年度比で1.7倍となっています。このような変遷は、2015年以降に始まった「Honda Diversity Forum」の影響も大きいと言えます。女性の登用や役職者の育成を進めるため、意識改革を促し、具体的な支援制度を構築してきた成果が数値にも現れはじめています。
ホンダはこれらの取り組みをさらに深化させ、2030年に向け、グローバルに通用する多様なリーダーを育成していく計画を進めています。
ホンダの取り組み：多様性と包容性への挑戦
女性のキャリア開発プログラム
ホンダでは、女性が自身のキャリアを積極的に開発できる環境を提供することに注力しています。特に、女性管理職の増加を目指し、リーダーシップ開発プログラムや専門スキルの強化研修を実施しています。また、階層別研修を通じて、多様なキャリアパスを描けるよう支援を強化しています。これにより、女性が昇進しやすい仕組みを整え、将来的には新卒採用者の女性比率を2025年までに20%以上にする目標も掲げています。
職場環境の改善とワークライフバランス
ホンダは、従業員が家庭と仕事の両立を図れるよう、柔軟な働き方の環境整備を進めています。具体的には、リモートワークやフレックスタイム制度の導入、そして長時間労働の削減を推進し、働きやすい職場の実現に取り組んでいます。また、男性社員を含む全従業員の育児休暇取得を奨励しており、2025年までに男性育児休暇取得率100%という目標を掲げるなど、性別を問わずワークライフバランスを支援しています。
育児支援や介護支援の取り組み
育児や介護と仕事を両立できる仕組みの拡充にも力を入れています。社員が安心して子育てや介護に取り組めるよう、企業内託児所を整備し、不妊治療者への特別休暇制度も導入しています。また、短時間勤務制度やフレキシブルな休暇取得を可能にする施策を採用し、女性社員がキャリア形成を諦めることなく働き続けられる環境整備を推進しています。
グローバル視点での女性支援活動
ホンダでは、日本国内だけでなく、グローバル展開を視野に入れた女性支援活動も行っています。たとえば、海外駐在の機会を女性にも積極的に提供することで、国際プロジェクトでの経験を通じてキャリアアップを後押ししています。また、各国の文化や状況に応じた柔軟な働き方の導入や、グローバルな場で活躍する女性リーダー育成にも注力しています。これにより、国内外を問わず、多様な場面で女性管理職が力を発揮できる環境を目指しています。
輝く女性たち：ホンダでのキャリア成功事例
初の女性役員が語るキャリア形成
ホンダ初の女性役員である鈴木麻子さんは、長年にわたり積み上げてきた経験と努力でキャリアを築いてきました。1987年の入社以来、アジア地区の二輪・四輪事業に携わり、タイや中国などでの長期間にわたる海外駐在経験がその成長を支えました。特に、2014年から中国・武漢で合弁会社の総経理に就任したことは女性リーダーとして新たな一歩を刻む重要なポジションでした。
鈴木さんの14年間の海外赴任は、前例のない仕事の連続だったといいます。そうした多様な経験を積み重ねる中で、さまざまなスキルを身につけ、女性社員がリーダーシップを発揮する可能性を示しました。ホンダにおける女性管理職比率の改善は、鈴木さんのような先駆者たちの努力と存在感によるものといっても過言ではありません。
現場からリーダーへ：女性社員の挑戦
入社18年目で課長（リーダー）職に昇格した山下麻子さんの事例も象徴的です。山下さんは、2003年にホンダに入社して以来、営業IT室で新機種キャンペーンサイトやディーラーシステムの企画・運用を担当し、2018年には営業企画部 モビリティサービス推進課の主幹、2021年には課長に昇進するという見事なキャリアを築きました。
山下さんは、2014年に産休・育休を取得しました。ホンダは産休や育休制度の運用に力を入れており、こうした環境整備が女性の継続的なキャリア形成を後押ししています。また、柔軟な勤務時間や育児支援制度は、仕事と家庭の両立を支える大きな力となっています。こうした環境で働く多くの女性たちが、家庭とのバランスを保ちながら安心してキャリアを構築しています。
未来への視点：ホンダが見据える女性活躍の可能性
2025年目標の実現に向けて
ホンダは、女性管理職の割合を高めるための目標として、2025年までに女性役職者数を2020年の3倍に引き上げることを掲げています。この目標の達成に向け、新卒採用時の女性割合を20%以上にする取り組みや、職場環境の整備などが進められています。また、男性の育児目的休暇取得率を2025年までに100%とすることで、家庭内における役割の再分担を促し、女性がより活躍しやすい環境を整備しています。これらの具体的な数値目標を基にした取り組みが、ホンダの女性活躍推進の成功鍵となります。
次世代女性リーダー育成プラン
ホンダは、未来を見据えて次世代の女性リーダーを育成するための支援プログラムを拡充しています。特に、キャリア開発の一環として実施されるトレーニングやメンター制度が注目されています。会社全体で女性管理職の割合を引き上げるだけでなく、持続可能なリーダーシップを育むことで、事業の競争力を強化する戦略を描いています。また、管理職への昇進だけでなく、プロジェクトリーダーなどの育成機会を提供することで、多様なキャリアパスの実現を目指しています。
業界を牽引するリーディングカンパニーとしての役割
ホンダは、業界における女性活躍促進のリーディングカンパニーとしての役割を果たすことを目指しています。これまでに、女性管理職の割合を約0.7%から1.8%に引き上げてきた実績からも、その取り組みの効果が見えてきています。他の自動車業界企業とも連携しながら、ジェンダー平等を推進するモデルケースとしての役割を担い、さらなる変革をリードしています。特に、ホンダが重視するグローバル視点でのダイバーシティ施策は、業界全体への波及効果が期待されています。
ジェンダーギャップ解消へのコミットメント
ホンダは、ジェンダーギャップ解消への強いコミットメントを示しています。労働市場における男女平等の推進はもちろんのこと、女性のキャリア形成支援や、管理職への登用の加速に注力しています。また、日本政府が提唱する「女性が輝く社会」の目標に沿った施策を展開し、働く環境のさらなる改善に取り組んでいます。特に、不妊治療者への特別休暇制度の導入や企業内託児所の拡大など、働きながら家庭と両立しやすい仕組み作りにも力を入れています。
