コトラ（広報チーム） 
丸井グループの女性活躍推進の現状と背景
女性社員の割合と管理職比率の現状
丸井グループは、全従業員約6,000名のうち女性社員が約50%を占めており、約3,000名が女性です。しかし、女性管理職の比率は9%という現状があり、特に課長以上のポストにおいて女性の進出が限定的であることが課題となっています。この背景には、日本全体の女性管理職比率の低さも関係しており、社会全体で管理職における女性の割合を増加させる必要性が指摘されています。
女性活躍推進法と丸井グループの対応
日本政府の「女性活躍推進法」は、企業における女性の活躍促進を具体的な目標のもとで進めるための重要な法制度です。この法律に対応した丸井グループでは、全評価項目を達成し、三つ星認定（段階3）を取得するなど積極的な取り組みを行ってきました。同社は、単に法令を遵守するだけでなく「女性がイキイキと働ける環境」を作ることを目指し、継続的な行動計画を策定している点が特徴です。
「女性イキイキ指数」に見る組織の現状分析
2014年3月期、丸井グループは独自の指標である「女性イキイキ指数」を設定しました。この指標は、意識改革と制度づくりの両輪からなる女性の働きやすさや活躍度を評価するものです。この取り組みを通じて、女性社員たちがどのように感じ、どの程度成長しているかを可視化し、迅速な課題抽出と改善策の立案を可能にしています。結果として、育児やライフイベントを抱える女性社員のフルタイム復帰率の向上も目指されています。
課題として浮上した昇進意欲と意識改革の必要性
丸井グループの社内アンケートによると、「現在の職位よりも上を目指したい」と答えた女性社員の割合は41%に留まっています。この数値が示す通り、昇進意欲の低さが女性管理職比率の向上を阻む一因となっています。また、この背景には組織全体の意識改革の必要性も挙げられます。同社は、女性が昇進に対する不安を解消し、自信を持ってキャリアアップに挑戦できるよう、環境の整備と意識啓発に注力しています。
未来を見据えた取り組み：女性管理職育成の具体策
階層別共有会によるネットワークと意識改革
丸井グループでは、女性管理職育成のための取り組みとして「階層別共有会」を継続的に実施しています。この共有会は、さまざまな職位や部署に所属する女性社員が集まり、実際の経験や課題を共有し合うネットワーク作りの場となっています。この場を活用することで、女性社員はキャリア形成における成功事例や課題解決のヒントを得ることができ、職場全体における意識改革が進められています。また、こうしたネットワーク形成は、同じ目標を持つ仲間同士での連携や励まし合いを促進し、昇進意欲の向上にもつながっています。
部署横断型プロジェクトによる成長機会の提供
丸井グループの女性管理職育成では、部署や部門を超えた横断的なプロジェクトへの参加が奨励されています。これにより、女性社員は自身が所属する部署の枠を超えて、幅広い業務スキルや知識を身につけることができます。さらに、他部署の社員との協働によって視野を広げ、新たな視点を得る貴重な機会となります。このような取り組みは、単なるスキル向上に留まらず、管理職として必要なリーダーシップや課題解決能力を高める上でも大きな効果を発揮しています。
時短勤務と管理職の両立支援への取り組み
丸井グループでは、子育てや介護などのライフイベントを抱えた女性社員が管理職を目指せるよう、短時間勤務制度を積極的に活用しています。この制度は、女性社員がワークライフバランスを保ちながらスムーズにキャリアを継続できる環境作りを目的としています。また、実例として、短時間勤務制度を利用しながら管理職として業務に取り組む社員も増えており、2021年時点で13名に達しました。さらに、この取り組みは女性社員の就業継続率向上にも寄与しており、職場全体での意識改革も進んでいます。
キャリア形成を促進する独自制度と支援プログラム
丸井グループは、女性社員が自らのキャリアを主体的に形成できるよう、独自の制度や支援プログラムを整備しています。たとえば、管理職候補社員を対象としたトレーニングプログラムや、自己啓発をサポートするための研修制度を提供しています。また、女性の昇進意欲を高めるためのメンター制度も導入しており、上司や先輩社員との定期的な面談を通じてキャリアの相談ができる環境を作っています。これらの施策によって、女性社員が自信を持って管理職を目指すモチベーションを維持し、会社全体で女性管理職比率の向上を目指しています。
女性管理職推進がもたらす組織への影響
「プラチナえるぼし認定」に見る進捗と成果
丸井グループは、女性活躍を推進する優れた企業として、厚生労働省から「えるぼし認定」の最上位である「プラチナえるぼし認定」を受けています。この認定は、企業が女性社員の採用、就業継続、管理職登用制度など、さまざまな取り組みで一定の基準を満たしたことを評価するものです。丸井グループは、女性管理職比率の向上やライフイベントを迎える女性社員への支援を強化してきた結果、進捗が顕著に表れたといえます。この成果は、同社の「女性イキイキ指数」の向上にも現れており、組織全体が女性活躍を支える風土を形成していることが明確です。
多様性と包摂を強化する組織基盤づくり
丸井グループでは、ダイバーシティとインクルージョンを経営の根幹に据えた組織基盤づくりに取り組んでいます。特に、女性管理職の増加は、多様性を活かした意思決定プロセスを進化させる重要な推進力となっています。同グループの顧客層は女性が大多数を占めており、女性社員や女性リーダーの視点を経営や運営に反映させることによって、より多様なニーズに応える商品・サービス開発が可能になります。また、性別や育児などの制約を超えた柔軟な働き方の推進により、全社員が能力を最大限に発揮できる環境を整えている点も、他の企業のモデルケースとなっています。
女性リーダーの増加が業績に与える影響
女性管理職の増加は、企業全体の業績向上にも寄与しています。丸井グループでは、従来の一律的なマネジメントスタイルから脱却し、多様なリーダーシップの活用を進めています。この変革により、社員一人ひとりの持つ個性とスキルが最大限発揮される環境が整い、新しい市場価値を生むプロジェクトが次々と実現しています。特に、女性リーダーの増加は、顧客層である女性の視点をダイレクトに経営に活かすことで、商品企画やカスタマーサービスの質を向上させています。これにより、ブランド価値が高まり、企業としての競争力がさらに強化されています。
展望：丸井グループが描く未来のビジョン
「2030委員会」に込められた目標と期待
丸井グループは、2030年を目標とした「2030委員会」を設立し、未来に向けた戦略的なビジョンを打ち立てています。この委員会では、女性管理職の割合をさらに引き上げることを重要な課題と位置付け、持続可能な企業としての基盤強化を目指しています。その一環として、社員全体が性別に関係なく、その能力を最大限に発揮できる職場環境の創出を推進しています。これにより、多様なリーダーシップが形成され、新しい価値創造が期待されています。
性別役割分担の解消を目指す取り組み
丸井グループでは、性別による役割分担の解消を目指し、多様性を尊重する人材施策を進めています。例えば、従業員の意識改革を促進するための研修プログラムや、男性の育児参加を推奨する制度が整備されています。また、仕事と育児を両立するための支援策も充実しており、短時間勤務やフレキシブルな労働時間の提供を積極的に行っています。これにより、女性社員がキャリアを継続的に追求できる環境づくりが進み、組織全体で性別にとらわれない働き方が定着しつつあります。
企業全体でウェルビーイングを推進する意義
丸井グループは、企業全体で従業員のウェルビーイングを推進することを重要な経営課題として認識しています。これは、単に福利厚生を充実させるだけでなく、心理的、安全性を確保し、各従業員が自身の価値を感じられる職場環境を実現することを目指す取り組みです。特に、女性管理職の増加を通じて多様な働き方や価値観が組織に浸透することで、イノベーションが促進されるだけでなく、社員一人ひとりが長期的に働き続けたいと思える企業風土の醸成が期待されています。