コトラ（広報チーム） 
IT導入補助金「セキュリティ対策推進枠」とは
セキュリティ対策推進枠の概要と目的
IT導入補助金「セキュリティ対策推進枠」は、中小企業や小規模事業者を対象に、サイバー攻撃に備えるためのセキュリティ対策を支援する目的で設けられた補助金制度です。サイバー攻撃が増加する中で、特に中小企業は十分な対策を講じる資金やノウハウが不足しがちです。この補助金を活用することで、サイバーインシデントによる事業停止や経済的損失のリスクを低減し、生産性の向上と事業の安定的な継続が推進されます。
対象となる事業者と条件
セキュリティ対策推進枠の対象となる事業者は、日本国内で法人登記が完了し、法人番号が登録されている中小企業や小規模事業者です。また、次の条件を満たす必要があります。
– IT導入補助金の要件を満たしていること
- 安全対策に取り組んでいることを宣言する「SECURITY ACTION」を取得していること
- 申請手続きに必要な「GビズIDプライム」を取得済みであること
さらに、補助対象サービスとして、独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が公表している「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスを導入することが求められます。補助金の申請に向けた条件をクリアすることが、円滑な手続きの第一歩です。
他の補助金枠との違い
IT導入補助金には、セキュリティ対策推進枠以外にも複数の補助金枠が存在しますが、セキュリティ対策推進枠はその中でもサイバーセキュリティの強化に特化している点が際立っています。他の補助金枠は、業務効率化や生産性向上を重視したITツールの導入を支援するのが主な目的ですが、セキュリティ対策推進枠は事業を守ることを主眼に置いています。
具体的には、補助内容としてITツールの導入費用だけでなく、サイバーセキュリティに関連するサービスの利用料（最大2年分）が含まれている点が特徴的です。また、補助率も中小企業は1/2、小規模事業者は2/3と優遇されているため、特に予算の限られた小規模事業者にとって大きなメリットがあります。
セキュリティ対策推進枠のメリット
サイバー攻撃リスクの軽減
「セキュリティ対策推進枠」を活用することで、中小企業が直面するサイバー攻撃リスクを効果的に軽減できます。具体的には、ランサムウェアやフィッシング攻撃、不正アクセスといったサイバー脅威から重要な業務データや顧客情報を守るためのITツールやサービスを導入することが可能です。特に独立行政法人情報処理推進機構（IPA）によって公表されている「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」から適切なツールを選ぶことで、信頼性の高い対策を講じることができます。この補助金制度は中小企業がセキュリティ対策へ取り組むハードルを下げ、サイバーインシデントによる事業停止リスクを大幅に低減させます。
経費削減への効果
「セキュリティ対策推進枠」は、セキュリティ対策にかかる導入費用やサービス利用料の一部を補助することで、中小企業の予算負担を軽減します。中小企業の場合、補助率は最大で2/3に達し、例えば100万円のセキュリティツールを導入した場合に約66万円が補助される可能性があります。このようにコストを削減しながら高品質なセキュリティ対策を取り入れることができるため、限られた予算を効果的に活用できます。また、サイバー攻撃の防止によって発生しうる損害費用や、攻撃後の業務復旧にかかるコストも未然に回避できる点が大きなメリットとなります。
中小企業の事業継続強化
サイバーセキュリティは、今や中小企業における事業継続計画（BCP）の重要な柱となっています。「セキュリティ対策推進枠」を利用することで、最新のITツールを活用し、常に安全な業務環境を維持することが可能です。セキュリティインシデントによる業務停止や顧客からの信頼損失を防ぐことで、事業を着実に継続し、成長へとつなげることができます。また、デジタルトランスフォーメーションが進む現代において、セキュリティ対策の強化は単なる防御策にとどまらず、競争力を高める要素としても注目されています。この補助金は中小企業にとって、持続可能な成長を実現する重要な鍵となるのです。
補助金の申請方法とポイント
申請手続きの基本ステップ
セキュリティ対策推進枠の申請には、いくつかの基本ステップがあります。まず、補助金対象となるITツールを導入計画し、それをIT導入支援事業者に相談します。次に、「GビズIDプライム」のアカウントを取得し、政府系オンライン申請システムを利用できる準備を整えます。また、事前準備として「SECURITY ACTION」を取得することが重要です。これは中小企業がセキュリティ対策に取り組む意思を示すための自己宣言であり、申請時の要件となっています。その後、必要な書類を整え、補助金ポータルサイトから申請を行います。
申請の際の注意点
申請を進める際には、いくつか注意すべきポイントがあります。一つ目は、補助対象経費の詳細を理解しておくことです。たとえば、導入するITツールが「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に記載されていることが条件です。また、補助金の補助率は中小企業で1/2、小規模事業者で2/3と異なるため、自社がどちらに該当するかを確認することが必要です。さらに、申請時期を逃さないことも重要です。2024年10月15日（火）17:00が申請の締切となるため、余裕を持って準備を進めましょう。最後に、不備がある申請は受理されない可能性があるため、登録内容や書類を再度確認することをおすすめします。
交付までのスケジュール
補助金交付までのスケジュールは以下の流れです。申請受理後、審査が行われ、交付決定は2024年11月22日（金）に予定されています。この時点で正式に補助金が交付される事業者が確定します。交付が決定した後、実際の事業期間は2025年1月16日（木）17:00までです。この期間内に補助金の対象となるITツールやサービスを導入し、要件を満たす必要があります。スケジュールは明確に設定されているため、事業計画を立てる際にこれらの日程を念頭に置き、スムーズにスケジュールを進行させましょう。
補助金活用の成功事例
具体的な導入事例の紹介
セキュリティ対策推進枠を活用した成功事例として、ある中小製造業者のケースが挙げられます。この企業では、サイバー攻撃によるデータ流出や生産設備の停止リスクが懸念されていました。補助金を利用して、IPAが推奨する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」にある監視ソフトと不正アクセス防止システムを導入したところ、迅速な脅威の検知と被害の最小化が可能となり、業務が安定。さらには顧客企業からの信用度も向上し、売上の増加にもつながりました。
セキュリティ強化による事業成長
セキュリティ対策推進枠を活用することで、サイバーセキュリティが強化され、事業成長を遂げた企業も少なくありません。例えば、ITサービス業者がこの補助金を活用して高性能な通信フィルターシステムを導入した結果、不正通信が激減し、クライアントのデータを厳重に保護できる体制を確立しました。この取り組みは市場での競争力を高めると同時に、新規顧客の獲得にも貢献しました。このように、セキュリティ対策の強化は売上や信頼性アップといった具体的な事業成果をもたらします。
業界別の活用実績
セキュリティ対策推進枠は、さまざまな業界で活用実績があります。医療業界では、病院や診療所が患者データの保護やランサムウェア対策としてこの補助金を活用し、情報漏洩リスクを低減したケースがあります。また、小売業界ではオンラインショップのセキュリティ支援に補助金が利用され、ECサイトへの不正アクセス防止や個人情報保護が実現しました。これにより消費者の安心感が高まり、リピート率の向上が見込まれました。業界の特性に応じて柔軟に使える点も、この補助金の大きな魅力といえるでしょう。
セキュリティ対策推進枠を活用する際のポイント
事前準備 Checklist
「セキュリティ対策推進枠」を活用する際の事前準備として、効率的な手続きを進めるためのチェックリストを作成することが重要です。まず、対象事業者となるためには、IT導入補助金の基本要件を満たしていることを確認しましょう。具体的には、GビズIDプライムの取得、安全対策自己宣言「SECURITY ACTION」の登録が必須となります。これらの登録手続きには一定の時間を要するため、早めの取り組みが肝心です。また、導入予定のITツールやサービスが補助対象となるものに該当しているかを事前に確認し、見積書や導入計画書シートの準備も忘れず行いましょう。
適切なITツール選びのコツ
補助金を最大限に活用するためには、適切なITツールを選ぶことが重要です。「セキュリティ対策推進枠」では、独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたツールが補助対象となります。これを参考に、自社の課題に合ったサービスを選びましょう。
具体的には、現在のサイバーセキュリティ対策の弱点を洗い出すことが最初のステップです。例えば、不正アクセスやデータ漏洩に対する備えが十分でない場合や、ランサムウェア対策が未整備な場合には、これらに対応可能なツールを優先的に検討するのが良いでしょう。また、補助対象となるIT導入支援事業者のサポートを活用することで、専門的な視点から最適なツール選定を進めることができます。
専門家への相談の重要性
セキュリティ対策推進枠を最大限に活用するためには、専門家への相談が欠かせません。セキュリティ対策は非常に専門的な分野であり、適切なツールやサービスを選定するだけではなく、導入後の運用でも高度な知識が必要となる場合があります。IT導入支援事業者に相談することで、補助金申請に必要な書類の作成や手続き、導入後のサポートについても的確なアドバイスを受けることができます。
また、社内だけで対応が難しい場合には、セキュリティコンサルタントやIT分野の専門家に依頼することも検討してください。専門家は、業界の最新トレンドや法規制の知識を基に、事業継続性を高めるための現実的な提案を提供してくれます。結果として、セキュリティリスクを低減しながら、補助金を効果的に活用することが可能になります。