コトラ（広報チーム） 
SecHack365とはどんなプログラムなのか
NICTが主催する長期ハッカソンの特徴
SecHack365は、国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）が主催する、25歳以下の若者を対象とした約1年間の長期ハッカソンプログラムです。このプログラムは、セキュリティ分野におけるイノベーションを促進し、新しい価値を創造する若手人材を育成する目的で設立されました。「SECURITY + HACKATHON 365 DAYS」という名前が示す通り、1年を通じて継続的な活動を行い、実践的なセキュリティ技術やモノづくりのスキルを磨く仕組みが特徴です。
参加者は「トレーニー」と呼ばれ、表現駆動コースや学習駆動コースなどの5つのコースに分かれて研究・開発に取り組みます。また、セキュリティ分野の専門家やトレーナーから直接指導を受けることで、次世代の課題解決者としてのスキルを身につけることができます。
なぜセキュリティ分野でイノベーターが必要なのか
現代の社会では、サイバー攻撃や情報漏洩といったセキュリティ上の問題がますます深刻化しています。このような状況を背景に、従来の手法だけでは対応が難しい新たな課題を解決するために、クリエイティブな発想と技術力を持ったセキュリティイノベーターが必要とされています。
SecHack365は、参加者がセキュリティ分野における新しいアイデアやソリューションを考案する場として設計されています。これにより、将来のサイバーセキュリティの基盤を築く人材を輩出し、より安全で安心な社会の実現に貢献することを目指しています。
25歳以下が対象の理由
SecHack365が25歳以下を対象としているのは、若い世代ならではの新しい発想や柔軟な考え方がセキュリティ分野において非常に重要だからです。また、若年層は情報技術や最新トレンドへの適応力が高く、成長余地も大きいため、育成の効果が高いとされています。
さらに、セキュリティの問題は複雑で多様なため、これからの社会を担う若者が早い段階でその課題意識を持ち、スキルを磨くことが大切です。このプログラムでは、学生や社会人など、多様な背景を持つ参加者が互いに刺激し合い、将来のキャリアに繋がる貴重な経験を得ることができます。
SecHack365の魅力と活動内容
1年間を通じた実践的な開発とモノづくり
SecHack365の最大の魅力は、約1年間にわたって実践的な開発やモノづくりに取り組める点にあります。単なる座学ではなく、参加者である「トレーニー」が現実のセキュリティ課題に向き合いながら、新しいアイデアを形にしていくプログラムです。この長期間の取り組みは、参加者がサイバーセキュリティの分野で活躍するための実践力を大いに養います。
研究開発は「表現駆動コース」「学習駆動コース」「開発駆動コース」「思索駆動コース」「研究駆動コース」という5つのテーマに分かれて実施されます。これにより、一人ひとりが興味・関心のある分野に取り組むことができるのも特徴の一つです。このように、SecHack365は長期ハッカソンの名にふさわしい充実した開発環境を提供しています。
トレーナーや専門家の直接指導
SecHack365では、国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）や外部から招かれた専門家、そして経験豊富なトレーナー陣が参加者を全力でサポートします。トレーナーはそれぞれの分野に精通しており、課題の進め方から技術的なアドバイスまで、細やかな指導を行います。実務経験を積んだプロフェッショナルから直接アドバイスを受けられることは、スキル向上につながります。
この直接指導は、単なる知識習得ではなく、参加者が「自分で考え行動する力」を磨く絶好の機会となります。また、トレーニー同士が切磋琢磨できる環境が整っているので、セキュリティの分野で必要なチームワークやコミュニケーション能力も培うことができます。
作品発表や成果の社会貢献
SecHack365のプログラムの集大成として、参加者は自身の開発した成果物を発表する場が設けられています。この成果発表会では、外部の専門家や協賛企業などさまざまな関係者からフィードバックを受けることができます。自分の取り組みを他者に伝え、評価を得る経験は、セキュリティ分野でのキャリアを形成するうえで非常に貴重です。
さらに、開発物が社会貢献につながることもSecHack365の特徴です。参加者が解決に取り組む課題は、現代のサイバーセキュリティにおける重要なテーマが多く含まれるため、その成果は実社会での安心・安全に直結する可能性があります。次世代のセキュリティを担う人材として、社会に影響を与える取り組みができるのも大きな魅力です。
参加の流れと応募基準
応募課題や選考プロセス
SecHack365への参加を希望する方は、まず公式ウェブサイトから応募フォームを提出する必要があります。応募時には、サイバーセキュリティやプログラムに関連した自身の興味やスキルを問う課題に対する回答が求められます。この応募課題は、参加者の技術的な理解だけでなく、独創的なアイデアや熱意を評価するための重要なプロセスとなっています。
選考は主に書類審査を中心に行われます。応募者の回答内容だけでなく、これまでの学業や職務経験、セキュリティへの取り組み姿勢も審査のポイントとなります。その後、最終候補者が決定され、約40名のトレーニーが実際のプログラムに参加します。選考は公平性を重視し、多様な背景を持つ若手イノベーターが集まる場を目指しています。
スケジュールと年間行事
SecHack365は、約1年間のスケジュールで構成されています。毎年6月にキックオフイベントが開催され、そこから本格的なプログラムがスタートします。初期段階では、各トレーニーがプログラムの目標や方向性を定め、自身が進むべきコースを選択します。また、チームごとの取り組みが具体的に計画されます。
年内には複数の開発チェックポイントが設けられ、途中段階の成果物について専門家からフィードバックを受けながらプロジェクトを進めます。最終成果物は翌年2月のデモデイで発表され、トレーニーたちの努力の結晶が公開されます。この成果発表会では審査も行われ、特に優れた成果を挙げた参加者には特別な表彰が行われることもあります。
集合イベントや必要経費の支援
SecHack365では、オンライン形式のミーティングとオフラインでの集合イベントが両立する形でプログラムが進行します。年に6回程度開催される集合イベントでは、全国から参加者が集い、対面でのディスカッションやハッカソン形式の企画立案を行います。これらのオフラインイベントは、参加者が互いにインスピレーションを与え合う貴重な機会として位置づけられています。
学生や収入のない参加者には、集合イベントの交通費や宿泊費を全額支援する制度が設けられており、金銭面の不安を感じることなく参加できる環境が整っています。また、イベントの参加費用についてもすべて無料です。これらのサポートにより、多くの若手人材が安心してセキュリティ分野でのスキルアップに挑める体制が構築されています。
SecHack365がもたらす未来の可能性
修了生が語るその後のキャリア
SecHack365の修了生たちは、多くの場合、セキュリティ分野において新しいキャリアの道を切り開いています。このハッカソン形式のプログラムを通じて得た実践的なスキルや経験は、企業のセキュリティエンジニアや研究者としてのキャリアに直結するケースが多いです。過去の修了生の中には、スタートアップを立ち上げた人や、大手IT企業のセキュリティチームに所属するようになった人もいます。また、SecHack365の中で鍛えられる課題解決能力や創造力は、どの業界においても評価されるスキルであり、多領域への応用が可能です。
社会課題へのアプローチと影響
SecHack365は、セキュリティ分野のイノベーターを育成することで、現代社会の重要な課題であるサイバー脅威への解決を目指しています。参加者が取り組むプロジェクトは、単に技術力を高めるだけでなく、実社会で直面するセキュリティ問題への直接的なアプローチともなります。例えば、より安全な情報通信技術の開発や、不正アクセス防止策の提案など、社会全体に貢献する成果を生み出しています。これにより、SecHack365は個々の参加者だけでなく、広く社会にもポジティブな影響を与えています。
SecHack365が目指すセキュリティの未来像
SecHack365が目指すのは、社会をより安全で豊かにするセキュリティの未来像です。このプログラムは、単に優秀なエンジニアを育成することだけを目標としていません。技術者たちがセキュリティを基盤とした新しい考え方で社会課題に向き合い、自主的に新たな価値を創造できるような環境づくりを支援しています。長期的には、SecHack365を通じて育成された多くの人材がネットワーク社会の安全性向上に貢献し、未来のセキュリティをより強固なものとすることが期待されています。このプログラムは、参加者それぞれの可能性を引き出しながら、セキュリティ分野における新たな潮流を生み出しています。