従業員と役員の違いを徹底解説!知らないと損する基礎知識

従業員と役員の基本定義

従業員とは何か?

従業員とは、企業と雇用契約を結び、その契約に基づいて企業の職務に従事する人を指します。この雇用契約には、契約期間や給与といった必須の明示事項が記載されており、従業員は企業の指揮命令、つまり上司の指示に従って働くことが前提となります。従業員には、正社員や契約社員、アルバイト、パートタイム等、様々な雇用形態があり、いずれもその企業の業務を担う重要な存在です。

役員とは何か?

役員とは、会社経営の根幹を担う立場であり、取締役、会計参与、監査役といった会社法で定義される役割を持つ人々を指します。役員は従業員とは異なり、雇用契約ではなく「委任契約」を結ぶ形で会社に従事します。そのため、役員は会社のために意思決定を行い、経営方針や事業計画を策定・管理する立場にあります。また、役員の報酬は「役員報酬」として扱われる点も特徴的です。

従業員と役員の法律上の違い

従業員と役員の最大の法律上の違いは、契約形態にあります。従業員は企業と「雇用契約」を結び、企業の指示に基づき業務を遂行します。一方で、役員は「委任契約」を企業と結び、企業の経営を担う立場として取締役会などで重要な意思決定を行います。また、従業員は法律上の労働者として労働基準法や労災保険などの保護を受けますが、役員は原則としてこれらの適用対象外となるため、責任の範囲や契約内容が大きく異なっています。

それぞれの立場による責務の違い

従業員と役員では、それぞれの責務にも大きな違いがあります。従業員は、企業の指揮命令系統に従い、与えられた職務や業務を遂行する責務を負います。一方で、役員は会社の経営全般に関わる責務を負い、経営方針の策定や業務の監督、さらには企業の利益最大化を目指した意思決定を行います。このように、従業員は実務を通じて企業活動を支える役割であるのに対し、役員はその実務を経営視点で監督する役割を果たします。

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従業員と役員の契約と権利

雇用契約と委任契約の違い

従業員と役員の最も大きな違いの一つが、契約形態の違いです。従業員は企業との間で「雇用契約」を締結し、その契約に基づいて労働力を提供する立場です。一方、役員は「委任契約」を基に経営管理や意思決定に携わります。雇用契約では企業側に労働条件の明示義務があり、賃金や労働時間、休暇などが具体的に定められています。しかし、委任契約では労働時間や指揮命令関係が存在しないため、役員は自律的に業務を遂行する立場として扱われます。

労働保険・社会保険の適用の有無

従業員と役員には、保険の適用範囲にも違いがあります。従業員は健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険といった各種労働保険・社会保険の対象者となり、これらの適用を受けられる仕組みになっています。一方、役員の場合、労災保険と雇用保険の適用対象からは外れるため、こうした制度の恩恵を受けることはできません。ただし、健康保険や厚生年金保険については役員であっても適用されるケースが多いのが特徴です。そのため、役員になる際は必要な保険や福利厚生について十分に確認することが重要です。

退職金や給与制度の相違点

従業員と役員では、退職金や給与制度にも相違点が見られます。従業員は労働基準法によって保護されており、退職金制度や給与の支払いについて厳密なルールが設けられています。一方で、役員に支払われる報酬は「役員報酬」として扱われ、従業員の給与とは異なる仕組みが適用されます。また、役員の退職金については、契約内容や会社方針に基づいて決定されるため、従業員の退職金制度と比べて自由度が高いのが特徴です。このような違いから、役員としての給与や退職金に対する取り決めには注意が必要です。

使用人兼務役員の特殊な扱い

役員と従業員を兼務する「使用人兼務役員」については、特殊な扱いを受けるケースがあります。このような立場の役員は、従業員としての職務遂行部分に関しては労働法の適用を受けますが、役員としての業務部分においては適用外となります。例えば、使用人兼務役員が従業員として働く時間については時間外労働の基準が適用されるものの、役員業務に関しては適用範囲外です。また報酬に関しても、従業員としての給与と役員報酬が区別される点が特徴です。このような兼務の状況では、どの業務が従業員として、またどの業務が役員として行われるかを明確に区別することが求められます。

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従業員と役員の働き方・環境

指揮命令関係の有無による違い

従業員と役員の大きな違いの一つとして、指揮命令関係の有無が挙げられます。従業員は雇用契約を基に、上司や経営陣の指揮命令に従って業務を遂行する立場にあります。一方で、役員は会社法に基づき、取締役会や経営会議で会社の方針を決定する立場であり、自らが指示を出す側に位置します。このため、従業員と役員では働き方や職務遂行のスタンスに大きな差が生じます。

労働時間や残業代の適用基準の違い

従業員は労働基準法の適用を受けるため、法定労働時間や残業代といった規定が関わります。例えば、1日8時間を超えて働いた場合には、基本的に割増賃金が支払われる必要があります。しかし、役員は労働基準法の適用対象外と見なされることが一般的で、所定の労働時間や残業代といった概念は存在しません。そのため、役員には時間管理という観点よりも、責任と結果が重視される傾向があります。

経営における役割分担の違い

従業員は会社の定めるルールや計画に従い、個々の業務や職務を遂行する役割を果たします。一方で、役員は会社全体の運営を担う重要な地位にあり、経営戦略の立案や全社的な意思決定を行います。取締役や監査役、会計参与といった役職ごとに具体的な業務内容は異なりますが、いずれも会社の方向性を導く中核的な存在と言えます。

日常業務の具体的な業務内容の違い

従業員の業務内容は職務内容や所属部署によって細分化され、日常的には各々の専門職や担当業務に集中するケースが多いです。たとえば営業職であれば新規顧客の開拓や商品提案、製造職であればものづくりの現場で手を動かす業務が求められます。一方で、役員は日常的に経営会議への出席や事業計画の策定、会社全体の統率を行うことが主な業務となります。また、必要に応じて社外の関係者との交渉や、中長期的な経営課題への対応も役員の重要な職務の一環と言えるでしょう。

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従業員から役員になる際の注意点

従業員から取締役になる流れ

従業員が取締役などの役員になる際には、いくつかのステップを踏む必要があります。まず、取締役の選任は会社法に基づき株主総会で行われるのが基本です。そのため、従業員としていくら優秀であったとしても、株主総会の承認を受けなければ役員には就任できません。また、一般的には会社内部での昇進プロセスや推薦を経て、おおよその取締役候補者が決定されます。その後、正式に役員登記を行うことで取締役としての地位が確立されます。

従業員退職時に発生するポイント

従業員が役員に就任する際には多くの場合、従業員としての雇用契約を終了させる必要があります。この際、退職金が発生する場合もありますが、会社のポリシーによって異なるため事前に確認が求められます。また、保険や福利厚生の適用範囲も変わる点に注意が必要です。従業員として加入していた雇用保険や労災保険の適用から外れることがあるため、保険手続きも忘れずに行いましょう。さらに、給与体系が「役員報酬」に変更されるため、所得税や住民税の仕組みが異なる可能性もあります。

役員になるメリットとデメリット

役員になることで、経営上の意思決定に直接関与できる点は大きなメリットです。会社の方向性を自身の考えで主導できるため、達成感ややりがいを感じる機会が増えるでしょう。また、役員報酬など給与面において優遇される可能性もあります。ただし、役員には会社の経営に関する法的な責任が伴います。例えば、会社の経営が行き詰まった場合には「取締役の善管注意義務違反」が問われ、場合によっては損害賠償責任を負うリスクもあります。また、従業員時代のような労働保険や残業代が適用されない点もデメリットとして考えられます。

従業員兼務役員との違いを整理

従業員兼務役員とは、役員でありながら特定の職務について従業員としての立場を持つ人を指します。この場合、従業員としての部分には労働契約が適用されるため、労働基準法の保護を受けることが可能です。一方で、役員としての立場では取締役会への参加や経営判断の責任が伴います。従業員兼務役員は単独の役員とは異なる扱いとなるため、給与においても従業員部分は「給与」、役員部分は「役員報酬」として分けて管理されます。役割が明確化されていない場合、労務トラブルに発展するリスクもあるため、契約内容や役割の明確化が重要です。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。