監査役とは何者?役員との関係を徹底解剖!

1. 監査役の基本とは?

監査役の定義と役割

監査役とは、会社の業務運営が法令や定款に準拠しているか、取締役や役員が適切に職務を遂行しているかを監視・監督する役割を担う役員の一つです。監査役の主な役割は、会社の重要な意思決定機関である取締役会や会計関連の手続きが健全に行われているかを確認することで、健全な企業経営を維持することにあります。また、定款や法律に違反する行為がないかを監査することで、企業の信頼性や透明性を向上させる重要な存在となっています。

監査役は役員に含まれるのか?

会社法第329条に基づき、監査役は取締役や会計参与と並んで「役員」として分類されます。役員とは、会社の意思決定や監督業務など経営に直接関与する立場の人物を指し、一般社員とはその責任範囲が大きく異なります。一方で、監査役は取締役や執行役員のように業務執行を直接行う役割ではなく、その業務を監視する独立性の高い立場にあるという点で異なっています。

監査役が必要な理由

監査役が必要とされるのは、会社経営の健全性を保ち、内部統制を強化するためです。特に、大きな規模の会社や資本金が多い会社では、経営活動が複雑で不正リスクが高まるため、監査役の設置が法的に義務付けられています。監査役は、取締役が法令や定款に違反した業務執行を行っていないか、会計書類が正確で適切に作成されているかを確認します。これにより、企業の内部統制が強化され、株主や取引先など利害関係者の信頼を確保することができます。

監査役と株主との関係

監査役は、株主総会において株主によって選任される役員の一つです。そのため、監査役の活動は株主の利益保護に直結します。具体的には、取締役が株主総会の決議に反した業務を行っていないか、株主の利益を損なう可能性がある行為を監視する役割を担っています。また、監査役が業務監査や会計監査を通じて得た情報は、株主にとって会社の健全性を判断する貴重な材料となるため、その活動の透明性や公正性が重要視されます。

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2. 監査役と役員の違いとは?

取締役と監査役の違い

取締役と監査役はどちらも会社法に基づく役員として位置づけられていますが、その役割と責任に明確な違いがあります。取締役は、会社の経営方針を決定し、業務執行の責任を負う立場にあります。一方で、監査役は取締役や会計参与などの職務執行を監査する責任を持ち、経営の監視・監督を行うのが主な役割です。つまり、取締役が「会社を動かす役割」を担うのに対し、監査役は「チェック機能」を果たす役割といえます。このように、監査役は経営には直接関与しないものの、その独立性を活かして経営の健全性を確認する重要なポジションを担っています。

執行役員との関係性

執行役員は法律上の役員ではなく、多くの場合、取締役会で決定された業務執行を具体的に遂行する立場にあります。一方、監査役は法律上の役員として位置付けられ、取締役や執行役員の職務遂行を監視するのが役割です。執行役員が企業の現場での業務推進に重きを置くのに対し、監査役はその執行が法令や定款に基づいて適切に行われているかを確認します。この2者の関係性は、実行と監査という補完的な役割を持つ点が特徴です。

会計参与との比較

会計参与は取締役とともに財務関連業務、特に法定帳簿の作成を担う役員です。一方、監査役はこの財務業務も含めた会社業務の適法性および適正性を監査する立場にあります。このように、会計参与は業務実行の側に属しており、監査役はその業務の結果を監督する役割を果たします。また、会計参与は設置が任意であるのに対し、監査役は一定の条件を満たした企業において設置が義務付けられている点でも違いがあります。

社内監査役 vs 社外監査役

監査役には社内監査役と社外監査役の2種類があります。社内監査役は、企業内での勤務経験を持つ人物が務めるケースが多く、会社の内情に精通している点が強みです。一方、社外監査役は企業に対する利害関係がない第三者であるため、より独立した立場から監査を行います。特に法律では社外監査役の独立性を担保することが求められており、過去10年間に当該企業で役員を務めていないことなどの条件が設定されています。両者の役割は異なるものの、社内の理解を深めた監査と外部視点を伴う監査の双方が企業の健全な経営を支える重要な基盤となっています。

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3. 監査役の役割と権限を深掘り

業務監査と会計監査の違い

監査役が行う監査には、「業務監査」と「会計監査」の二つの種類があります。業務監査は取締役やその他の役員が法令や定款を遵守し、適切に業務執行を行っているかを確認する活動です。一方、会計監査は財務諸表を中心とした会社の会計処理が正確で信頼できるものであるかを確認する役割を担います。この二つは監査役の中心的な業務であり、企業経営の透明性と健全性を確保するために欠かせない活動です。

監査役が果たす重要な責任

監査役が最も重要な責任を果たす場面は、会社運営全般の健全性を確保することです。具体的には、役員である取締役が法令違反や定款違反を行っていないかをチェックし、もし問題となる行為を発見した場合には即座に指摘して改善を促す役割を持っています。また、取締役が株主総会や取締役会の決議に従って業務が遂行されているかを確認し、不適切な経営判断や行動が生じないよう監督しています。

監視と監督の具体的な業務

監査役の業務には、日常的な監視や監督が含まれます。その具体的な内容には、取締役会への出席や取締役の意思決定の確認、会計書類のチェックなどがあります。さらに、役員が行う業務執行の現場を視察し、問題がないかを精査することも重要な業務の一つです。特に大会社では、監査役が取締役の判断に一切関与しない独立した立場であることが求められ、常に第三者的な視点で監視する役割が期待されています。

監査役の責任範囲とその限界

監査役の責任範囲は、一般的には役員である取締役らの業務執行全般と財務報告に対する監査です。法律上、監査役の業務執行には直接携わらない立場を取るため、経営判断そのものには関与しません。しかし、法令違反や重大なミスが発見された場合には迅速に指摘し、その是正を求める権利と義務があります。ただし、監査役の責任範囲にも限界があり、全ての業務や会計の詳細を精査するわけではありません。罪のない誤りや不可抗力による損失までは責任を負わないとされています。

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4. 監査役の選任から報酬まで

監査役になるための条件

監査役になるためには、会社法や定款に定められた条件を満たす必要があります。会社法第335条では、監査役には一定の要件が規定されており、たとえば、法人や破産手続き中の個人は監査役になることができません。また、監査役は他の役員(取締役や執行役員など)と同時に兼務することができないため、職務の独立性が重視されます。特に大会社や公開会社においては、監査役の選任時にはその独立性がさらに厳しく求められる点が特徴です。

株主総会における選任方法

監査役は、株主総会によって選任される役員の一つです。選任においては、株主総会の普通決議が必要とされるため、出席株主の議決権の過半数で決定されます。大企業や公開会社の場合、監査役の独立性を確保するために、社外監査役の選任が義務付けられるケースもあります。また、監査役候補者には事前に適格性審査を行うことなども一般的であり、信頼できる背景や経歴が求められることが多いです。

任期とその更新プロセス

監査役の任期は、会社法第336条に基づき原則4年とされています。一方で、取締役の任期が原則2年であることに比べて、監査役の方が長い任期を持つ点に特徴があります。この任期の設定は、監査役が独立した立場から役員の監視を行うための安定性を確保するためです。任期が終了した場合、監査役は再任されることで続けて職務に従事することが可能です。ただし、再任には再度の株主総会における決議が必要となります。

監査役の報酬とその決定方法

監査役の報酬は、取締役など他の役員と同様に、株主総会の決議によって決定されます。報酬の金額や支給方法は会社ごとに異なりますが、監査役の職務の独立性を維持するために、公平かつ合理的な報酬体系を設けることが重要です。特に大企業においては、常勤と非常勤の違いや社外監査役の報酬基準を明確化することで、適切な監査体制の構築を目指す動きが見られます。また、企業によっては報酬の透明性を確保するため、報酬方針や基準を公開する例も増えています。

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5. まとめと監査役のこれから

監査役が果たす期待と未来

監査役にはこれからも、企業ガバナンスの強化に対する大きな期待が寄せられます。近年では、社会からのコンプライアンスや責任ある経営に対する要求がさらに高まっており、監査役は適切な監査を通じて透明性のある経営を支える重要な役割を担っています。特に、社外監査役に求められる独立性や第三者的視点は、企業の信頼性を向上させるために欠かせません。また、デジタル技術の進化に伴い、ITシステムを利用した監査手法の導入など、監査役自身が専門性を高めることも未来への課題です。監査の高度化とともに、役員全体のパフォーマンス向上にも寄与できる存在であり続けることが期待されています。

監査役の重要性を再確認しよう

監査役は、企業の法令遵守と健全な経営を確保するための役員として、重要なポジションを占めています。取締役や会計参与など他の役員と異なり、業務執行に直接的に関与するのではなく、監視・監督という役割に特化している点が特徴です。この立場から、取締役などの職務執行が法令や規則に沿って適切に行われているかを確認することにより、企業の持続的な発展を支えているのです。また、株主や投資家にとっても、監査役の存在が企業の信頼性を保証する要素になるため、重要性を再認識することが求められます。

役員を取り巻く今後の課題

役員を取り巻く環境は、社会や経済の変化に伴って複雑化しています。監査役にとっては特に、企業のグローバル化やビジネスモデルの多様化に対応するため、専門性の向上と職務領域の明確化が課題となっています。さらに、社内外を問わず利害関係者に対する説明責任や透明性の確保が、これまで以上に重要です。一方で、監査役の独立性が保たれるよう、選任プロセスや報酬の設定における公平性の確保も引き続き求められます。これらの課題に対処することで、監査役を含めた役員全体が企業経営においてより良い役割を果たしていけるようになるでしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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