コトラ（広報チーム） 
1. 「御社」と「貴社」の基礎知識
「御社」と「貴社」の意味と違い
「御社（おんしゃ）」と「貴社（きしゃ）」は、いずれも相手の会社を敬って表現するための言葉ですが、それぞれの使用場面が異なります。「御社」は主に話し言葉で使用されるのに対し、「貴社」は書き言葉で使用されるのが一般的です。たとえば、面接や会話の際には「御社」という表現を使い、履歴書やメールといった書面上では「貴社」が適しています。この違いを理解することで、ビジネスマナーの基本を身につけられます。
履歴書での「貴社」の使用が推奨される理由
履歴書などの応募書類は、正式な文書として扱われます。そのため、敬語表現も適切であることが求められます。この点で、書き言葉としての「貴社」を使うことが重要です。履歴書において「御社」と記載してしまうと、「話し言葉を文書で使用する」という誤りにあたり、採用担当者への印象を損ねてしまう可能性があります。適切な敬語の使用は、応募者のビジネスマナーが評価される大きなポイントとなります。
「御社」はどの場面で使うべきか
「御社」は、主に会話や対面でのやり取りにおいて使われます。たとえば、面接や電話応対、または説明会で企業について話す場合に「御社」を使用します。これは、話し手の言葉遣いが自然であることを意識するビジネスマナーの一環です。一方で、書類やメールといった書き言葉では「貴社」を使う必要があるため、場面ごとに適切な表現を選ぶことが求められます。特に履歴書では「貴社」を使用するのが基本であるため、「御社」との使い分けを意識することが非常に重要です。
2. 履歴書におけるマナーの重要性
採用担当者が見ているポイントとは？
履歴書は、応募者が採用担当者に自身をアピールするための重要なツールです。そのため、内容だけでなく、全体の書式や言葉遣いが正確であることが求められます。特に敬語表現や企業名の書き方に注意することで、応募者のビジネスマナーや細部への配慮が伝わります。また、採用担当者は履歴書を通じて、文書作成能力や責任感、そして応募者の真摯な姿勢を評価しています。そのため、適切な敬語を使用することが好印象につながります。
履歴書で「貴社」を正確に使うべき理由
履歴書においては、「貴社」という敬語を正しく使用することが基本的なマナーです。「貴社」という表現は書き言葉として適しており、文書で相手の会社を丁寧に指す際に用いられます。一方で「御社」は話し言葉としての敬語であり、履歴書のような正式な書類には適していません。採用担当者が「貴社」という正しい敬語表現を確認することで、応募者の社会人としての基本的なマナーやスキルが伝わります。些細なミスかもしれませんが、これを守らない場合、印象を損ねる可能性があるため注意が必要です。
間違いやすい敬語表現とその影響
履歴書で間違いやすい敬語表現の一例として、「御社」と「貴社」の混同や二重敬語である「貴社様」「御社様」を使用するケースが挙げられます。これらのミスは、応募者が基本的なビジネスマナーを理解していないという印象を招きかねません。また、他にも「お時間をいただきますこと」「ご確認いただけると幸いです」といった表現でも文法的に不自然になることがあります。採用担当者は、履歴書を通して応募者の丁寧さと思考力を確かめるため、敬語の誤用が目立つ場合、他の候補者と比較して評価が下がる可能性があります。誤った敬語の使用を避けるためには、履歴書を提出する前に念入りな確認や第三者の校閲を依頼することが有効です。
3. 書類で「貴社」を正しく使うコツ
例文を使った正しい使い方の解説
履歴書では、「貴社」を正しく使用することで応募先企業に対して敬意を示すことができます。「御社」は話し言葉として使用され、書き言葉としては適切でないため注意が必要です。例えば、以下のような文章が正しい使い方の例となります。
例文:
「貴社の安定した経営基盤と、地域貢献に注力されている姿勢に強く共感し、応募させていただきました。」
また、志望動機や自己PRを述べる際には、「貴社」を適切に使用しながら、その企業ならではの特徴や魅力に触れる表現を入れると印象が良くなります。特に定型文にとどまらず、自身の熱意を込めた言葉で表現することが大切です。
「貴社」を活用した好印象の文章術
「貴社」を用いて履歴書に好印象を与えるには、読み手が理解しやすく、具体性のある文章を心がけることが重要です。例えば、次のような表現が好まれます。
「貴社が展開されている海外事業に興味を持ち、これまで培った語学力を活かして貢献したいと考えております。」
このように「貴社」を用いた文章を作成する際には、単に企業名を挙げるだけでなく、業務内容や企業文化に触れ、自分のスキルや経験と関連付けることで具体性を増やします。また、「貴社様」などの誤った敬語表現を使わないことも重要です。
間違いが生じやすい箇所をチェックしよう
履歴書作成において注意したいのは、「貴社」を誤って「御社」と記載してしまうケースです。これにより、採用担当者に準備不足や敬語の理解が足りない印象を与える可能性があります。また、「貴社様」や「貴社のほう」といった表現も二重敬語や不自然な言い回しになるため避けましょう。
もう一つの間違いやすいポイントは文脈に沿わない使い方です。例えば、「貴社において働きたいです」という表現はやや抽象的です。より具体的に、「貴社の〇〇部門での□□に関する取り組みに参加し、自身のスキルを活かしたいと考えております」とするのが適切です。
文章を作成後は、誤字脱字のチェックとともに、「貴社」の使用箇所を再度確認することで、ミスを防ぎ、完成度の高い履歴書を仕上げることができます。
4. 採用担当者に好印象を与える履歴書の工夫
履歴書全体の統一感を意識する
履歴書では、内容の正確性だけでなく、全体の統一感が重要です。一貫性のあるフォーマットと記載内容の整合性が採用担当者に良い印象を与えます。例えば、敬称において「貴社」と「御社」を混在させることは避けるべきです。「貴社」は書き言葉として履歴書全体で統一して使用しましょう。また、フォントサイズや空白の取り方、段落の整え方にも注意し、読みやすく整った書類を作成することが大切です。
敬語だけでなく書式にも気を配る
採用担当者は、履歴書を通じて応募者のビジネスマナーを見ています。適切な敬語表現だけでなく、書式にも気を配ることが必要です。具体的には、「貴社」という表現を正しい箇所で使い、余白や行間を整え、全体的なバランスを考慮して作成することがポイントです。また、企業ごとに求められる内容が異なる場合もあるため、会社ごとのニーズに応じた細かなカスタマイズも意識しましょう。タイポや誤字脱字は致命的なので、最後に必ず確認を行うようにしてください。
自己PRや志望動機の中で「貴社」を自然に取り入れる
自己PRや志望動機の中で「貴社」という表現を自然に使うことは重要です。例えば、「貴社の〇〇という理念に共感し、私の〇〇の経験を生かして貢献できると考えました」といった具体的な志望理由を述べると、熱意が伝わりやすくなります。また、「貴社」の使用頻度が高すぎると不自然に感じられることもあるため、必要な箇所に絞りつつ、他の表現や具体例と組み合わせて文脈を工夫してください。この一手間が採用担当者の心に残りやすい履歴書となります。
5. 面接と履歴書で言葉を使い分ける必要性
面接では「御社」を取り入れるポイント
面接での言葉遣いは応募者のコミュニケーション能力や、企業文化への適応力を測る重要な要素です。そのため、対面での会話では「御社」という表現を使用することが基本となります。「御社」は話し言葉として使われる敬語であり、面接官に対して直接的に話す際に適した表現です。
たとえば、「御社への志望動機は3つあります」や「御社で実現したい目標は…」といった形で会話に盛り込むと自然な印象を与えることができます。重要なのは、自分の言葉として明確に相手と対話している姿勢を示すことです。
一方で、面接中に「貴社」を使うと、書き言葉らしい形式ばった表現となり、コミュニケーションがぎこちなく感じられる場合があります。したがって、口頭で話すときには「御社」に統一するよう心がけましょう。
履歴書と口頭での違いを意識したマナー
履歴書と面接では、それぞれのシーンに応じて適切な言葉遣いを使い分けることが重要です。履歴書では「貴社」を使用し、面接の会話では「御社」を使うという区別が基本的なルールとなります。
履歴書は書き言葉を用いる文書であり、正式かつ丁寧な表現を求められる場です。そのため、「貴社」という表現が適し、たとえば「貴社の求人に応募した理由は…」や「貴社が掲げる理念に共感し…」のように用います。
一方、面接は直接のコミュニケーションが中心となるため、話し言葉としての「御社」を使用します。この異なる形式を意識することで、相手に誠意と適切なビジネスマナーを感じてもらうことができます。
「御社」「貴社」の使い分け実践例
「御社」と「貴社」を正しく使い分けることは、採用担当者に対して好印象を与えるための基本です。以下に具体例を挙げて確認してみましょう。
履歴書の場合：「貴社が掲げる『お客様第一主義』に共感し、応募させていただきました。」
面接の場合：「御社の社員の皆様は仕事に誇りを持っていると感じました。その中で私も一員となり、貢献したいと考えています。」
これらのように、文書では「貴社」、口頭では「御社」を使い分けることで、場に応じた敬意が伝わり、言葉の使い方にも注意が行き届いていると評価されるでしょう。
さらに、一貫して適切な敬語表現を使えることは、相手からの信頼感を得るポイントとなります。言葉遣いは細かな部分まで意識することが成功へとつながるでしょう。
6. 一歩進んだ履歴書マナーを身につけるために
企業ごとに適する表現をチェックする
履歴書において、企業ごとに適した表現をチェックすることは重要です。同じ「貴社」や「御社」を使用するにしても、相手の業界や組織の特性を考慮した敬語表現を心がける必要があります。例えば、金融機関であれば「貴行」、病院であれば「貴院」のように、特定の業種や業態に適した敬称が存在します。このような細やかな配慮を行うことで、応募先企業への理解や興味が伝わりやすくなり、採用担当者にとってより印象の良い履歴書となります。
迷ったときのための参考資料の活用
履歴書の記載や敬語の使い分けに迷った際には、適切な参考資料の活用をおすすめします。例えば、ビジネスマナーに特化した書籍やウェブサイト、人事担当者向けの記事などが役立つ場合があります。また、信頼できるキャリアアドバイザーに相談するのも良い方法です。「貴社」や「御社」に関する基本ルールだけでなく、業界特有のマナーについても事前に調べておくことで、ミスを防ぐことができます。これらの資料は、就職・転職活動を進める中での強力な味方となります。
就職・転職活動を有利に進める言葉遣い
正しい言葉遣いは、履歴書だけでなく就職・転職活動全般において非常に重要な要素です。例えば、履歴書で「貴社」と書いた場合、面接では自然に「御社」を使い分けることで、ビジネスマナーがしっかりと身についている印象を与えることができます。特に、採用担当者は細かな表現の違いにも気づきますので、正確な敬語を使用することでプラスの評価につながりやすくなります。言葉づかいをマスターすることで、他の候補者との差別化が図れるため、競争の激しい就職・転職活動で優位性を持つことができるのです。