コトラ（広報チーム） 
住友商事のDX戦略の全貌
住友商事がDXを推進する背景とは
住友商事がDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進する背景には、急速に変化する経済環境や社会課題への対応があります。VUCA時代と呼ばれる不安定で不確実性の高い現代において、持続可能な事業運営を可能にするためには、デジタル技術を活用した収益ポートフォリオの変革が不可欠です。住友商事は、多様な産業分野でITやデジタル技術を実装し、新たな価値創造を目指しています。
また、同社の取り組みは単に業務の効率化にとどまらず、組織全体の文化や仕組みを根本から変革することを目指しています。これにより、従来の商社ビジネスを超えて、新しい役割を担う企業へと進化しようとしています。
「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」経営方針
住友商事は「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」という経営方針を掲げています。この方針は、デジタル技術を駆使して既存ビジネスの競争力を高める（「磨く」）と同時に、新規ビジネスや収益モデルを創出する（「稼ぐ」）という両輪で経営を強化するものです。
例えば、データ活用を軸にした業務プロセス改革や、顧客に対する高度なデジタルソリューションの提供を進めることで、事業収益性の向上を目指します。また、DX銘柄企業として、他社へのDXコンサルや技術支援も行うことで、持続可能な収益基盤を構築しています。
DX銘柄企業としての使命と役割
住友商事は、経済産業省と東京証券取引所が選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄（DX銘柄）」や「DX注目企業」にも選ばれており、その推進力は国内外から高い評価を受けています。これには、専任組織「DXセンター」の役割が大きく寄与しています。
DX銘柄企業として、住友商事は新たなビジネスモデルの開発や既存業務の高度化を推進しつつ、顧客や社会が直面する課題にデジタルの力でソリューションを提供することが求められています。具体的には、全グループ企業にまたがるビジネス課題の抽出から、Insight Edgeの技術支援を活用した革新的なソリューションの実現まで、一貫して対応する体制を整えています。
住友商事はこうした取り組みを通じて、単なる大規模な総合商社にとどまらない、デジタル時代をリードする企業としての地位を築いています。
DXを支える技術と専門組織
最先端技術の導入とデータ活用の取り組み
住友商事は、最先端技術の導入とデータ活用を通じて、企業価値の向上とデジタルシフトを加速させています。DX推進の中心では、AI（人工知能）、IoT（モノのインターネット）、そしてRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の活用が進められており、実際にRPA導入だけでも本社で400件以上、グループ全体で1200件以上のプロジェクトが稼働しています。この取り組みにより、年間20万時間以上の業務効率化や20億円以上のコスト削減を実現しています。
また、データ活用においてはグループ900社のビジネスデータを横断的に統合し、新たな知見を引き出す分析技術を活かしています。特に、住友商事のDX戦略は単なる業務効率化に留まらず、既存事業の収益性強化や新たなビジネスモデル創出を通じて広がりを見せています。このような先端技術を駆使した取り組みは、住友商事がDX銘柄企業として市場での存在感を強化する要因となっています。
技術専門会社「Insight Edge」の役割
2019年に設立された技術専門会社「Insight Edge」は、住友商事のDX戦略において重要な役割を果たしています。同社では、AIやビッグデータ分析を活用したシステム開発を中心に行っており、住友商事グループ全体のデジタルソリューションを後押ししています。技術分析やプロジェクト管理の面での高度な専門知識を提供することで、グループ内の業務効率化や競争力強化を実現しています。
さらに、「Insight Edge」は、外部の最新技術にも着目し、CVC（コーポレート・ベンチャー・キャピタル）を通じてスタートアップ企業との連携を進めています。このアプローチにより、住友商事は新興技術やアイデアを迅速に吸収し、事業の成長につなげることができています。このように「Insight Edge」は、住友商事が未来の市場を切り開くための技術拠点として、DX戦略を強力にサポートしています。
「DXセンター」による社内外のデジタル変革
住友商事の「DXセンター」は、2018年に設立されて以来、社内外のデジタル変革を推進する中核的な役割を担っています。このセンターでは、DXに特化した経験者と技術者が一体となり、様々な分野でのビジネス課題の解決に取り組んでいます。グループ全体で150名体制を敷き、社内外のパートナーとも連携しながらソリューションを提供しています。
「DXセンター」の特徴の一つは、ビジネス課題に迅速に応じるアプローチです。グループ企業から抽出された課題に対して、ITやデータサイエンスの視点から解決策を提示し、これらを現場で実装しています。また、SCデジタルやSCSKといった技術関連企業との連携により、専門知識とスキルを総動員する体制を整えています。
住友商事がDX推進を力強く進められる背景には、「DXセンター」を中心とした緻密な技術革新の仕組みが大きく寄与しています。この取り組みは、単にデジタルツールを導入するだけでなく、組織文化や業務プロセスの抜本的な変革をもたらしています。
多様な産業分野におけるデジタルソリューション
製造業DXサービスの展開事例
住友商事は、製造業におけるデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進するために先進的なサービスを展開しています。具体例としては、製造工程におけるIoT技術を活用し、生産性の向上やコスト削減を実現する取り組みがあります。たとえば、データを収集・解析するプラットフォームを導入し、リアルタイムで設備の稼働状況や品質データを監視することで、トラブルの早期発見を可能にしています。このようなソリューションは、現場の生産効率を飛躍的に向上させるだけでなく、事業全体の競争力強化にも寄与しています。
社会課題を解決する産業横断的プロジェクト
住友商事では、DXを通じて産業横断的なプロジェクトを推進することで社会課題の解決にも取り組んでいます。たとえば、物流やエネルギー分野でのデジタル技術活用はその一例です。物流業界では、AIによる需要予測と最適ルート解析を組み合わせ、輸送効率の向上を図るプロジェクトが進行中です。また、再生可能エネルギーの管理プラットフォームを構築し、それを通じたエネルギーの循環利用や地域社会への貢献も目指しています。これらのプロジェクトは、住友商事の「持続可能な未来を創る」という企業理念に基づいて展開されています。
デジタルマーケティング分野での拡大戦略
デジタルマーケティング分野でも住友商事は多角的な戦略を展開しています。特に、グループ会社であるSCデジタルとの連携を通じて、顧客課題に即したデータドリブンなソリューションを提供しています。具体的には、AIやビッグデータ解析を活用した購買行動の予測や、マーケティングキャンペーンの最適化が挙げられます。また、住友商事ならではのネットワークを活かし、幅広い業界のクライアントに対してフルバリューチェーンでのサービスを提供できる体制を整えています。このような取り組みは、住友商事が「住友商事 DXコンサル」の立場から、顧客企業のデジタル変革を包括的に支援する姿勢を明確に示しています。
住友商事が描く未来：取り組みと展望
グループ900社でのDX推進基盤構築
住友商事では、グループ全体でのDX推進基盤の構築を進めています。グローバルに展開する約900社のグループ企業が共通のデジタルプラットフォームを活用し、それぞれの分野ごとに特化したデジタルソリューションを展開することで、業務の効率化と収益性の向上を図っています。
また、DXセンターはこの大規模な基盤構築における中核として機能し、各グループ企業のビジネス課題を掘り起こし、デジタルソリューションとして実装しています。この取り組みは単なるシステム導入にとどまらず、組織文化や慣習を変革する大規模プロジェクトともいえるものです。住友商事は「幅広い産業分野での新たな価値創造」を目指し、全社的な取り組みを推進しています。
生成AIやIoT活用による次世代技術への挑戦
住友商事は、生成AIやIoT（モノのインターネット）といった次世代技術を積極的に活用し、さらなるデジタルトランスフォーメーションを目指しています。生成AIの活用は、マーケティングからオペレーションの自動化、さらには新規ビジネス展開まで、広範囲にわたる可能性を秘めています。一方で、IoTは製造業や物流業界におけるスマート化を支える重要な要素となり、リアルタイムデータを活用することで業務の生産性や安全性を向上させています。
こうした次世代技術の導入を支えるのが、住友商事の技術専門会社「Insight Edge」です。高度な技術分析やシステムの設計・開発を担うことで、現場の実情に即したデジタルソリューションを提供しています。これにより、住友商事は「DXコンサル」領域でもリーダーシップを発揮し、新しい技術の社会実装を加速させています。
総合商社としての変革と未来のビジョン
住友商事が目指すのは、単なる収益性向上だけではなく、総合商社という枠組みを超えた新しいビジネスモデルの創出です。同社は既存のビジネスを「デジタルで磨き上げる」一方で、「デジタルで稼ぐ」新規事業にも本腰を入れています。
特に主眼を置いているのが、コーポレート・ベンチャー・キャピタル（CVC）の活用です。未上場の新興企業への投資を通じて革新的な技術やビジネスモデルを取り込み、自社グループとのシナジー効果を最大化することを目指しています。また、マーケティングDXや産業横断的なプロジェクトの拡充を図ることで、デジタル技術を活用した社会課題の解決に貢献したいと考えています。
これらすべての取り組みを通じて、住友商事は「デジタルトランスフォーメーション銘柄企業」として、次世代の経済成長を支える大きな存在となることを目指しています。その未来のビジョンには、柔軟性、持続可能性、そしてデジタル技術を活用した新しい価値創造への挑戦が明確に描かれています。