年収に残業代を含むべき? 時給アップの裏事情を解説!

年収と残業代の基礎知識

そもそも年収とは?内訳を理解しよう

年収とは、会社から1年間に支払われたお金の総額を指します。これは「総支給額」とも呼ばれ、基本給をはじめとする各種手当や残業代など、月々の給与とボーナスを合計したものです。ただし、交通費や出張費、慶弔見舞金など一部の手当は年収に含まれない場合があります。正確な年収は、源泉徴収票の「支払金額」や市区町村で発行される所得証明書を確認することで把握できます。このように、年収の内訳を理解することで、自分が得ている収入がどのような要素で構成されているのかを明確にすることができます。

年収における残業代の割合とは

年収の中には、通常、会社が支払う残業代も含まれています。残業代は、基本給に時間外労働分の割増手当を加えたものです。この割合は業界や職種、企業の規模によって異なり、残業時間が多いほど年収に占める割合が増える傾向にあります。特に、月の残業が平均30~50時間程度ある場合、その時間外手当が年収に与える影響は小さくありません。一方で、業種や企業によっては、固定残業代が設定されている場合があり、実際に働いた時間とは関係なくあらかじめ見込んだ分が支給されるケースもあります。このため、給与明細や雇用契約書を基に、年収に占める残業代の割合を確認することが重要です。

残業代が含まれる場合と含まれない場合の違い

年収に残業代が含まれる場合と含まれない場合では、収入面や働き方に大きな違いがあります。年収に残業代が含まれる場合は、月々の給与額が一見すると高く見えることがありますが、実際にはその金額には残業を前提とした手当が含まれているため、時間外労働をしなければ実質的な時給が低下する可能性があります。一方、残業代が含まれない場合は、基本給が正確に把握でき、残業をこなした分が別途支給されるため、働いた時間に応じた収入が得られるメリットがあります。ただし、この場合は給与額が波状的になるため、毎月一定の収入を得られないリスクもあります。

「固定残業代」の仕組みとは

固定残業代とは、あらかじめ一定の時間外労働分を見積もり、その分の残業代を月給に組み込んで支給する仕組みのことです。たとえば、月30時間分の残業代が固定で支払われる契約があった場合、実際の残業時間がこの時間を超えない限り、追加の残業代は発生しません。しかし、超えた場合には超過分が別途支払われるのが一般的です。この仕組みのメリットは、残業代が事前に固定されていることで収入が安定しやすい点です。一方で、固定の時間数以上に働いても残業代が適切に支払われない場合、未払い問題が発生するリスクもあります。固定残業代の仕組みを理解し、契約の条件を確認することは重要と言えます。

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残業代を年収に含めるメリットとデメリット

年収に残業代を含めることで得られる利点

年収に残業代を含めることで得られる最大の利点は、収入をある程度見通しやすい点です。多くの企業が採用する「固定残業代」制度では、一定時間の残業代をあらかじめ年収に組み込むため、毎月の給与額が安定します。これにより、住宅ローンの審査や生活費の計画が立てやすくなるというメリットがあります。

また、残業時間が一定以下の場合には、実質的に時給が上がることになります。例えば、固定残業代が40時間分含まれていても、実際の残業時間がそれより少なければ、余分な分がそのまま利益となるため、総合的な収入面でのプラスにつながります。

残業代込み年収が抱えるリスク

一方で、残業代込みの年収は、思わぬリスクを伴うことがあります。その一つが、残業代が固定されているケースです。この場合、実際の労働時間が固定されている残業時間を超えると、追加の時間外労働にもかかわらず収入に反映されない場合があります。特に、長時間労働が日常化している職場では、時給換算した際に労働対価が非常に割安になることも考えられます。

また、固定残業代に含まれる時間や金額が曖昧な契約の場合、それが適切な労働時間を反映していない可能性もあります。このような状況では、未払い残業代の発生など労働基準法違反のリスクも高まります。そのため、事前に賃金体制について納得できるかを確認することが重要です。

年収に残業代を含めた上で確認すべきポイント

年収に残業代が含まれる場合、いくつかの点を確認しておくことが重要です。まずは、固定残業時間が勤務内容や実際の労働量と見合っているかを確認しましょう。例えば、固定残業代が40時間分とされているにもかかわらず、実際の残業時間がそれを大幅に上回る場合、不利益を被る可能性が高くなります。

次に、固定残業代が基本給に占める割合が適切かどうかもポイントです。基本給が低く固定残業代が高い場合、実質的な時給が平均よりも低い可能性があります。そして、残業代の計算基準や契約内容が明確に記載されているかを確認することも大切です。不明確な取り決めがある場合、その契約内容が自身に不利に働くリスクがあります。

最後に、年収のトータル面ではなく、細かな内訳や勤務環境、そして自身のライフスタイルに合った給与形態であるかを見極める姿勢が必要です。平均年収や他の労働条件との比較も行い、後悔のない選択を目指しましょう。

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残業時間と時給アップの相関関係

長時間労働と収入の関係性の真実

長時間労働は収入の増加と直接的な関係がありますが、一概に収入の向上が労働者にとってメリットとは言い切れません。確かに残業代が収入に含まれることで、年収が大幅に増加するケースも多いです。しかし、労働時間が長くなると、プライベートな時間が減るだけでなく、体調を崩したり集中力が低下したりするリスクも高まります。

さらに、過労死認定の基準である「月80時間以上の残業」を超える場合には、心身に多大な負担がかかる可能性があるため注意が必要です。年収に残業代が含まれる場合でも、無理のない働き方が求められるでしょう。

時給計算する際の残業代の考え方

残業代は労働基準法によって一定のルールが定められており、通常の時給に対して25%〜50%の割増が適用されます。この割増賃金の計算方法を正しく把握しておくことは、時間外労働に対する適正な報酬を受け取るために重要です。

例えば、基本給を月給30万円、所定労働時間を月160時間とした場合、1時間あたりの基準賃金は1,875円となります。残業代を含めて時給を算出するには、この基準時給に割増率をかけて計算します。たとえ年収に残業代が含まれていたとしても、具体的な時給換算を行い、自分が適正な賃金を受け取っているか確認することが重要です。

平均残業時間と給与のリンク

給与に対して残業時間がどれくらいリンクしているかは、多くの働く人々が気にするポイントでしょう。日本の平均残業時間は30〜50時間程度とされていますが、この時間を超える労働を続ける場合、実質的な時給が下がる可能性もあります。

たとえば、年収に残業代が含まれる契約では、長時間の残業をするほど「見かけ上の時給」が低下することがあります。こうした給与形態では、残業代が適正に支払われていても、働いた時間に対して割に合わない形になることもあるため注意すべきです。適切な収入を確保するためには、給与の仕組みや労働時間をしっかりと把握することが大切です。

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適切な給与形態を選ぶためのポイント

自分の働き方に合った給与形態とは

給与形態を選択する際には、自分のライフスタイルや働き方に合った形態を見極めることが重要です。たとえば、「残業をすることで収入を増やしたい」という方であれば、残業代がきちんと支払われる給与形態が適しています。一方、働く時間に制約があり、残業をあまりしない場合は、基本給の高い給与形態や固定残業代を含むものが魅力的かもしれません。

また、年収に含まれるものやそうでないものを正しく理解することも大切です。特に、基本給、残業代、各種手当(住宅手当や役職手当など)は、自身の生活やキャリア計画にどれほどの影響を与えるのかを検討しましょう。

転職時の年収交渉で重要なこと

転職活動では、年収交渉が大きなポイントになります。ここで重要なのは、提示された年収額に残業代が含まれているかどうかを明確に確認することです。多くの企業が「年収には残業代を含む」と説明する場合がありますが、実際には全額が保証されている訳ではない場合もあります。そのため、「固定残業代」が何時間分として設定されているのかや、それを超えた場合に追加で支払われるのかを確認することが非常に重要です。

また、交渉の際には自分が転職先で想定している働き方を明確に示し、その働き方に最適な給与形態を提案することも有効です。それにより、提示された条件を自分自身に合った形で調整できる可能性が高まります。

残業代込みでも納得できる条件を見極める

年収に残業代が含まれる場合、その条件に納得できるかどうかを慎重に見極める必要があります。まず、「想定されている残業時間」が現実的かどうかを確認しましょう。例えば、月20時間程度の残業が見込まれているにも関わらず、想定よりも長い労働時間が発生する場合は、不利な条件となる可能性があります。

また、平均年収を基準にした場合、同じ職種や業界での年収と比較することで、自分が提示された条件が妥当かどうか判断することができます。特に、固定給と残業代の配分が適切かどうかや、残業代が未払いになるリスクがないかを確認することが重要です。

納得できる給与形態を選ぶためには、曖昧な点を転職前にクリアにし、将来の働き方のイメージとともに考えることが大切です。そのため、給与明細や契約内容を詳細にチェックすることを心がけましょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。