【完全ガイド】基本情報技術者試験とは?初心者でもわかる概要・メリット・勉強法

はじめに

記事の目的と想定読者

この記事は、IT未経験者、学生、ITエンジニア志望者、そしてIT業界でキャリアアップを目指す社会人の方々に向けて、基本情報技術者試験の全貌を解説することを目的としています。試験の概要から具体的な勉強法、取得のメリットまで、初心者にも分かりやすく網羅的に説明します。

基本情報技術者試験が注目される背景

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、あらゆる産業でIT技術の活用が不可欠となっています。しかし、経済産業省の調査では、将来的に最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、IT人材の育成が急務です。このような背景から、ITの基本的な知識とスキルを証明できる基本情報技術者試験は、「デジタル人材の登竜門」として、ますます注目を集めています。

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基本情報技術者試験の概要

試験の目的・意義

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験の一つで、ITを活用したサービス、製品、システム、ソフトウェアを開発・構築する人材に必要な基本的知識・技能、および実践的な活用能力を評価することを目的としています。この資格は、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートするための重要な基礎を築く上で、その目的と意義は大きいと言えます。

対象者像と受験資格

基本情報技術者試験の対象者は、「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」とされています。ITに関心のある学生から現職エンジニアまで幅広い層が受験しており、年齢、国籍、実務経験に関する受験資格の制限は一切なく、誰でも挑戦できます。

試験の位置づけ(ITエンジニアの登竜門)

情報処理技術者試験の中で、基本情報技術者試験は「レベル2」に位置づけられています。これは、ITパスポート試験(レベル1)の上位資格であり、応用情報技術者試験(レベル3)の下位資格にあたります。多くのIT企業では、新入社員にこの資格の取得を推奨しており、「ITエンジニアの登竜門」として広く認識されています。この試験を通じて、ITエンジニアとして働く上で必須となる実践的な基礎知識を体系的に習得することができます。

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試験制度と内容

科目A試験と科目B試験の違い

基本情報技術者試験は、科目A試験と科目B試験の2つの科目で構成されており、両方の試験で基準点以上を取得する必要があります。

出題範囲・形式・配点

  • 科目A試験(旧午前試験)
  • 出題範囲: テクノロジ系(基礎理論、コンピュータシステム、技術要素、開発技術)、マネジメント系(プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント)、ストラテジ系(システム戦略、経営戦略、企業と法務)の3分野から幅広く出題されます。特にテクノロジ系の比重が高いです。
  • 形式: 四肢択一式(60問)
  • 配点: 1000点満点中600点以上で合格
  • 試験時間: 90分
  • 科目B試験(旧午後試験)
  • 出題範囲: アルゴリズムとプログラミング(擬似言語による出題)と情報セキュリティの2分野が中心です。特にアルゴリズムとプログラミングの出題割合が8割程度と高く、この分野の攻略が合否を分けます。
  • 形式: 多肢選択式(20問)。旧試験の選択問題は廃止され、全問必須解答となりました。
  • 配点: 1000点満点中600点以上で合格
  • 試験時間: 100分

科目Aの内容と特徴

科目A試験は、ITに関する幅広い基礎知識が問われます。クイズのような短い問題が多く、効率的に学習を進めることで高得点を狙いやすい科目です。テクノロジ系が全体の約3分の2を占めるため、この分野の学習が重要です。

科目Bの内容と特徴

科目B試験は、より実践的なITスキル、特にアルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティに関する理解力が試されます。問題文は科目Aよりも長く、擬似言語で記述されたプログラムの読解や、情報セキュリティに関するシナリオ問題が出題されます。単なる暗記だけでなく、読解力と考察力が求められるため、対策には工夫が必要です。

試験の方式(CBT/通年実施)と実施スケジュール

基本情報技術者試験は、2023年4月からCBT(Computer Based Testing)方式による通年実施に移行しました。これにより、受験者は全国各地に設けられたテストセンターで、自身の都合の良い日時を選んで受験できるようになりました。試験は科目Aと科目Bを同日に続けて受験しますが、科目A免除制度を利用する場合は科目Bのみの受験となります。

受験申込方法・当日の流れ

  • 受験申込方法
  • インターネット経由での個人申込が原則です。
  • 初めて受験する場合は、利用者IDとパスワードの取得が必要です。
  • CBT Solutionsのウェブサイトから、希望の試験、日付、会場、時間を選択し、支払い手続きを行います。
  • 試験当日の流れ
  • 試験開始時刻の30分前から開場・受付が開始されます。時間に余裕を持って来場しましょう。
  • 本人確認書類(運転免許証など)の提示が必要です。忘れると受験できません。
  • 会場で配布されるメモ用紙とボールペン以外の私物の持ち込みは制限されます。
  • 科目A試験終了後、最長10分の休憩を挟んで科目B試験を受験します。
  • 試験終了後、すぐに画面上で科目ごとの評価点を確認できます。

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合格率・難易度と他資格との比較

試験レベルと位置づけ

基本情報技術者試験は、IPAが定める「共通キャリア・スキルフレームワーク」において「レベル2」に位置づけられています。これは、ITエンジニアとしてキャリアをスタートするのに必要な基礎知識と技能を習得していることを証明するレベルです。

合格率の推移と難易度

基本情報技術者試験の合格率は、CBT方式への移行前は20~30%程度で推移していました。しかし、2023年4月の新制度移行後は、平均して40%台と上昇傾向にあります。特に2023年4月の試験では56.4%と高い合格率を記録しましたが、その後は40%前後に調整されています。IT未経験者にとっては内容が難しく感じられることもありますが、適切な対策を行えば十分合格が可能です。

ITパスポートや他資格との違い

  • ITパスポート試験(レベル1)
  • 対象者: すべての社会人
  • 目的: ITに関する基礎知識を習得し、ビジネスにおけるIT活用を理解する。
  • 難易度: 基本情報技術者試験より易しい(合格率50%前後)。
  • 特徴: 主に「座学」での基本知識を問う。
  • 基本情報技術者試験(レベル2)
  • 対象者: ITエンジニアを目指す人
  • 目的: ITエンジニアとして必要な技術的な基礎知識とスキルを習得する。
  • 難易度: ITパスポートより難しい。アルゴリズムやプログラミング、情報セキュリティなど技術的な内容が中心。
  • 応用情報技術者試験(レベル3)
  • 対象者: 実務経験のある中堅エンジニア、リーダー職を目指す人
  • 目的: ITに関する幅広い知識と応用力を身につける。
  • 難易度: 基本情報技術者試験よりかなり難しい(合格率20%前後)。記述式の問題も出題される。

これらの比較から、基本情報技術者試験はITエンジニアとしての第一歩として、ITパスポートよりも専門的で、応用情報技術者よりも基礎的な位置づけであることがわかります。

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取得するメリット

IT人材としての基礎知識が身につく

基本情報技術者試験の学習を通じて、ITエンジニアに必要な基礎知識を「浅く広く」体系的に習得できます。特定の分野に偏ることなく、コンピュータの仕組み、ネットワーク、データベース、情報セキュリティ、プログラミング、プロジェクト管理、経営戦略まで、IT業界で働く上で不可欠な知識が身につきます。これは、プログラマー、Webデザイナー、システムエンジニアなど、さまざまなIT職種を目指す上での強固な土台となります。

就職・転職への有利性

IT人材の不足が深刻化する中、基本情報技術者試験の合格は、ITスキルを持っていることの強力な証明となり、就職や転職活動において有利に働きます。特にIT未経験者や学生にとっては、基本的なIT知識があることを企業にアピールする上で非常に有効な資格です。大手企業では資格取得者を優遇するケースもあり、採用選考において大きなアドバンテージとなることがあります。

資格手当や制度面でのメリット

企業によっては、基本情報技術者試験の合格者に対して資格手当を支給する制度を設けている場合があります。これにより、月々の収入アップに繋がり、学習のモチベーション維持にもなります。また、大学によっては入試で優遇される制度を設けているところもあり、学生にとっても進学に有利になる可能性があります。

合格体験談・活用例紹介

合格者の声によると、基本情報技術者試験の学習は、IT知識ゼロの状態からIT業界へ飛び込む上で大変役立ったという意見が多く聞かれます。試験勉強を通じて、今まで知らなかったコンピュータやネットワーク、セキュリティの知識が身についたと実感する人が多く、将来的に上位資格への挑戦や実務でのスキルアップに繋がっています。

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効果的な学習方法

独学での勉強法

独学での合格も十分に可能です。

  • インプットとアウトプットの繰り返し: テキストで知識を習得(インプット)し、問題集や過去問で演習(アウトプット)することを繰り返すことが重要です。間違えた問題はテキストに戻って復習し、理解を深めます。
  • 過去問の活用: 特に科目A試験では過去問と類似した問題が多く出題されるため、「基本情報技術者過去問道場」のような無料サイトを活用し、繰り返し問題を解きましょう。直近5〜10年分の過去問を解くことが推奨されます。
  • 科目A対策はITパスポートに合格していれば有利: ITパスポート試験の内容は科目A試験と重なる部分が多いため、ITパスポート合格者は科目Aの学習時間を短縮できます。
  • 科目B対策: 2023年の制度変更により出題範囲が「アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)」と「情報セキュリティ」に絞られました。IPA公式のサンプル問題を解き、アルゴリズムの「トレース」を徹底的に練習することが重要です。

通学・通信講座の活用

独学での学習に不安がある場合や、効率的に学習を進めたい場合は、通学講座や通信講座の利用も有効です。

  • 体系的な学習: 専門家が作成したカリキュラムに沿って、体系的に知識を学べます。
  • 学習サポート: 講師に直接質問できる環境や、学習進捗のサポートを受けられるため、モチベーションを維持しやすいです。
  • 科目A免除制度: 認定された講座を受講し、修了試験に合格することで科目A試験が1年間免除される制度があります。これにより、科目B試験の対策に集中できます。

科目A免除制度の利用方法

IPAが認定したeラーニング講座などを事前に受講し、「科目A免除修了試験」に合格すると、本試験の科目A試験が1年間免除されます。これにより、本番では科目B試験のみを受験すればよいため、学習負担を軽減し、合格の可能性を高めることができます。

勉強期間・時間の目安

IT知識がない初学者の場合、合格までに約150〜200時間の勉強時間が必要とされています。1日2〜3時間の学習で、約2〜3ヶ月程度の期間が目安です。IT経験者やITパスポート試験の合格者であれば、50〜100時間程度に短縮できる場合もあります。学習スケジュールは余裕を持って計画し、試験直前には全体の見直しができるようにしましょう。

合格者の声やアドバイス

合格者の多くは、テキストで基礎を理解した後、とにかく過去問を繰り返し解くことで知識を定着させ、出題傾向を掴んだと語っています。特に科目Bのアルゴリズム問題は、焦らずに一つ一つのプログラムをトレースする練習が重要です。また、分からない問題があっても深追いしすぎず、切り上げて次の問題に進む判断力も求められます。

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よくある質問と注意点

必要な持ち物や受験時のポイント

  • 必要な持ち物: 本人確認書類は必須です。それ以外の筆記用具やメモ用紙は試験会場で用意されます。
  • 受験時のポイント:
  • 試験開始時刻の30分前には来場し、受付を済ませましょう。
  • CBT方式に慣れるため、事前に過去問道場などでPCでの解答操作を練習しておくのがおすすめです。
  • 試験中にトラブルが発生した場合は、速やかに試験監督員に報告しましょう。
  • 科目Aと科目Bの間には休憩がありますが、時間配分には注意が必要です。

試験範囲/出題傾向の変遷

基本情報技術者試験は、2023年4月に新制度へ移行し、試験形式や出題範囲が大きく変更されました。特に科目B試験では、個別のプログラミング言語の選択問題が廃止され、擬似言語によるアルゴリズムと情報セキュリティに特化した内容となりました。これにより、より普遍的・本質的なプログラミング的思考力が問われるようになっています。最新のシラバスやIPAが公開しているサンプル問題を確認し、現在の出題傾向を把握することが重要です。

受験時の注意事項や再受験ルール

  • 予約のキャンセル: 受験申込後のキャンセルや返金はできません。日程変更は試験日の3日前まで可能です。
  • 再受験規定(リテイクポリシー): 一度受験した試験区分の再申込は、前回の受験日の翌日から起算して30日を超えた日以降に可能です。試験を受験せずに欠席した場合は、このルールは適用されません。
  • 科目A免除からの変更: 科目A免除制度を利用して申し込んだ後で、通常の科目A・科目B両方を受験する形式への変更はできません。逆も同様です。

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まとめ

初心者へ応援メッセージ

基本情報技術者試験は「ITエンジニアの登竜門」と称される国家資格であり、IT未経験者や学生にとっては、IT業界で活躍するための確かな第一歩となります。試験範囲は広いですが、体系的に学習し、過去問演習を重ねることで、着実に合格へと近づくことができます。合格率は40%台で推移しており、決して無理な目標ではありません。

受験への一歩を踏み出すために

IT人材の需要が高まる現代において、基本情報技術者試験で培われるITの基礎知識は、どんな業界で働くにも大きな武器となるでしょう。独学で不安な方は、通信講座や通学講座の活用、あるいは科目A免除制度の利用も検討し、自分に合った学習方法を見つけてください。この資格取得を通じて、あなたのキャリアの可能性を広げ、ITの世界で活躍するための自信を手に入れましょう。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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