コトラ（広報チーム） 
第1章 証券アナリスト試験とは？
証券アナリスト試験の概要
証券アナリスト（CMA）試験は、日本証券アナリスト協会によって実施される資格試験です。この試験は、金融や投資の専門知識を習得し、証券業務や資産運用に関わるプロフェッショナルを目指す方向けのものです。1次試験では基礎的な知識を問う内容が中心ですが、2次試験では応用力や専門的な分析スキルが求められます。
資格取得のメリット
証券アナリスト資格の取得には、多くの利点があります。この資格は、金融業界でのキャリアアップや転職に有利です。特に、銀行や証券会社、保険会社など金融関連業界では、証券アナリスト資格者を高く評価する傾向があります。また、知識を応用して資産運用や経済分析を行うスキルを磨けるため、業務の専門性を高めることが可能です。
1次試験と2次試験の違い
証券アナリスト試験は1次試験と2次試験に分かれています。1次試験は「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」「財務分析」「市場と経済の分析」の3科目で構成され、選択問題が中心です。一方、2次試験はより高度な3科目総合問題に加えて、「職業倫理・行為基準」が追加され、記述式や実践的な応用問題が出題されます。2次試験では特に時間管理が重要で、長時間の試験に対する集中力が求められます。
試験スケジュールと受験料
2025年の試験日程は、1次・2次試験ともに6月8日（日）に国内で実施されます。海外ではニューヨークやロンドンなどでも開催され、こちらは6月7日（土）です。受験申込は2025年3月16日（日）から4月15日（火）の期間で行われ、受験料は消費税込みで16,500円となります。申し込みは証券アナリスト協会のマイページから行う必要があり、受験資格の確認も重要です。なお、受験料支払い後の返金対応はされないため、登録内容を十分に確認して申し込むことが大切です。
第2章 1次試験の攻略法
試験科目と出題範囲
証券アナリスト1次試験は、以下の3科目で構成されています。
- Ⅰ: 証券分析とポートフォリオ・マネジメント（170分、170点）
- Ⅱ: 財務分析（100分、100点）
- Ⅲ: 市場と経済の分析（90分、90点）
各科目は、多岐にわたる分野から出題されるため、幅広い知識が求められます。例えば、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」では、資産価格理論やポートフォリオ管理に関する基本的な考え方を重点的に学びます。「財務分析」科目では、財務諸表の読み解きや指標分析が中心となり、実際の企業評価に直結するスキルが求められます。「市場と経済の分析」では、経済理論や市場行動の理解が試されます。
こうした分野をバランス良く学習することで、試験合格の土台を作ることができます。特に1次試験は基礎知識の確認が中心であり、ここをしっかり押さえることが、後の2次試験対策にもつながります。
効率的な勉強時間の配分
証券アナリスト1次試験に合格するためには、約200～300時間の学習時間が推奨されています。この時間を効率的に使うためには、科目ごとの特徴を把握し、重点的に取り組む範囲を明確にすることが重要です。
例えば「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」の科目は配点も時間も多いため、学習時間の40%程度を割り当てるのがおすすめです。一方、「財務分析」は計算問題が中心となるため、問題演習を重点的に行い、全体の30%程度の時間を確保しましょう。「市場と経済の分析」は暗記項目が多いので、定期的な復習を心がけつつ、学習時間の30%を目安に配分すると良いでしょう。
また、毎日の学習習慣をつけることも効率を高めるポイントです。1日2〜3時間を目安に学習することで、試験日までの確実な準備が可能となります。
おすすめの参考書と教材
1次試験対策には、市販の参考書や問題集が効果的です。特に人気の高い教材は、「証券アナリスト1次試験 パーフェクト攻略シリーズ」や、「証券アナリスト総まとめ問題集」です。これらは各科目の要点が整理され、わかりやすい解説が掲載されているため、効率的な学習が可能です。
また、日本証券アナリスト協会が提供する公式の講座や教材も重要なリソースです。公式教材では、試験問題の傾向に即した内容が網羅されており、高い信頼性があります。これらを使用して基本的な理解を深めた上で、問題集や過去問演習を進めると効果的です。
さらに、オンライン教材やアプリを活用することで、スキマ時間での学習も可能になります。忙しい社会人の方にとっては、特に利用価値が高いと言えるでしょう。
過去問活用のポイント
過去問は合格への近道とも言える学習方法です。過去の出題傾向を把握することで、試験で狙われやすいポイントを理解できます。証券アナリスト1次試験では、同様のテーマが繰り返し問われる傾向があるため、過去問の反復練習が非常に重要です。
まずは一度全ての過去問を解き、苦手な分野を洗い出します。その後、間違えた問題を再復習することで、知識の定着を図りましょう。また、試験と同じ時間配分で問題を解くことで、試験本番に近い形で練習することが可能です。
過去問は日本証券アナリスト協会の公式サイトや市販書籍で入手可能です。1次試験突破のためには、最低3年分の過去問を繰り返し解くことがおすすめです。これにより出題形式に慣れ、本番でも落ち着いて対応できるようになります。
第3章 2次試験の徹底対策
2次試験の特徴と記述式問題への対策
証券アナリスト2次試験は記述式が中心であり、主に応用的な問題が出題されることが特徴です。試験は合計420分にわたる長丁場で、午前の3科目総合（150分）＋職業倫理・行為基準（60分）のセクションと、午後の3科目総合（210分）のセクションに分かれています。これに加えて、計算問題や多面的な分析が問われるため、深い理解と的確な表現力が求められます。記述式問題への対策としては、過去問を活用し、自分の解答を模範解答と比較する過程を繰り返すことが重要です。また、限られた時間の中で効率的に解答を仕上げる練習も欠かせません。
試験で問われる実践的スキルとは
2次試験では理論に基づいた応用力と、実務に役立つ実践的スキルが問われます。例えば、特定の企業や市場に関する詳細な分析を行い、その結果を的確にまとめる力が必要です。また、職業倫理・行為基準に関するセクションでは、金融機関で働く証券アナリストとして適切な判断を行うスキルも試されます。これらのスキルを養うためには、日々の学習において理論と現実の事例を結び付ける習慣をつけることが重要です。証券分析やポートフォリオ・マネジメントに関する学習はもちろん、実務に関連するケーススタディなどを積極的に取り入れることをおすすめします。
学習の優先順位と進め方
限られた学習時間を有効に使うためには、重点的な学習箇所を明確にする必要があります。2次試験の出題傾向を確認し、高得点を狙える分野から取り組むのが有効です。例えば、3科目総合の分野では、証券分析や財務分析に多くの時間を割き、苦手分野を重点的に克服する計画を立てます。また、職業倫理・行為基準に関する問題は比較的安定して得点しやすい分野であるため、確実に押さえておくべきです。さらに、毎週の学習目標を設定し、進捗状況を定期的に見直すこともモチベーション管理に役立ちます。
模擬試験への取り組み方
模擬試験は、実際の試験形式や時間配分に慣れるために最適な学習法です。本番を想定して、必ず制限時間内で解答する練習を行いましょう。模擬試験後には、得点状況や苦手分野を振り返り、改善すべきポイントを明確にすることが重要です。特に記述式問題については、解答の論理が明瞭であるか、また制限時間内で完成させられているかを確認してください。また、模擬試験の結果を基に、試験直前の重点的な学習スケジュールを再構築することも効果的です。
第4章 効率的に学習を進めるポイント
短期間で合格を目指すための学習プラン
証券アナリスト試験の合格を短期間で目指すためには、計画的かつ効率的な学習が重要です。一般的に、1次試験と2次試験を合わせて合計400〜600時間の学習時間が推奨されていますが、限られた時間で成果を上げるには、優先順位を明確にする必要があります。
まず、1次試験では科目ごとの配点と得点目標を明確にし、それに応じた勉強時間を確保しましょう。証券分析やポートフォリオ・マネジメントなどの高得点配分の科目に集中すると効率的です。過去問の分析は出題傾向を把握する上で非常に効果的なので、試験日までに繰り返し解くことをおすすめします。
一方、2次試験では記述式問題への対応力が鍵となります。過去問を活用して、論理的な解答の組み立てや計算問題の解法を重点的に練習することが時間短縮につながります。また、スケジュールを立てる際には、テキストのインプットと過去問演習をバランスよく取り入れるよう意識しましょう。
仕事や生活との両立のコツ
証券アナリスト試験は、受験者の多くが仕事や家庭と両立しながら挑むため、学習時間の確保が課題となります。平日の隙間時間を有効に活用し、通勤時間にはテキストの音声データを活用したり、スマートフォンで問題演習を行うと効率的です。
また、試験前の1〜2か月間は可能な限りまとまった学習時間を確保することがポイントです。例えば、週末には集中して3〜5時間の学習を行い、平日は1〜2時間に絞るなど、無理のない範囲で計画を立てるとよいでしょう。さらに、家族や同僚に周知し、サポート体制を整えることも重要です。
モチベーションを保つ方法
長期間にわたる学習では、モチベーションの維持が大きな課題になります。まず、自分なりの目標を設定し、達成した際に得られるメリットを具体的にイメージすることが有効です。証券アナリスト資格を取得することで得られるキャリアアップや収入増加の可能性を常に意識しましょう。
また、小さな成功体験を積むこともモチベーション維持に役立ちます。例えば、過去問で一定の得点を超えた際には自分を褒めたり、ご褒美を設定すると良いでしょう。さらに、学習仲間を見つけて進捗を共有したり、SNSやオンラインコミュニティに参加することでモチベーションを高めるのもおすすめです。
独学と通信講座の活用方法
証券アナリスト試験は、独学でも合格を目指せますが、効率的な学習を進めるためには通信講座との併用も効果的です。独学の場合、市販の学習テキストや過去問題集を最大限活用し、自分のペースで学ぶことが可能です。ただし、分からない部分がある場合に時間がかかる可能性もあります。
一方、通信講座は専門的な解説や効率的なカリキュラムが組み込まれているため、短期間での知識習得には最適です。特に、2次試験の記述式問題や実践的スキルの習得においては、プロから指導を受けることで解答におけるコツや採点基準を的確に把握できます。初学者の場合や時間を効率的に使いたい場合には、通信講座の利用を検討してみましょう。
第5章 合格後に活かせるキャリアプラン
証券アナリスト資格の活用先
証券アナリスト資格は金融業界を中心に幅広い分野で活用できます。この資格取得者の多くは、証券会社や銀行、生命保険などの金融機関でのキャリアを積みますが、近年では資産運用業界やコンサルティングファームでもその専門知識が高く評価されています。特に、ポートフォリオ・マネジメントや分析スキル、経済指標を読み解く能力を求められるポジションでは、この資格が大きな強みになります。
転職・昇進で得られるメリット
証券アナリストの資格は、転職や昇進の場面でも大きなアピール材料となります。特に、金融機関や関連業界では、1次試験と2次試験の両方を合格していることが専門性の証明となり、採用担当者や上司から高い評価を得られます。また、資格保有者は業界内での信頼性が向上し、リーダー的な役割を担う機会も広がります。さらに、給与面でもキャリアアップを図る際の材料として交渉にも有利に働くでしょう。
他の金融系資格との相乗効果
証券アナリスト資格をさらに価値の高いものにするのが、他の金融系資格との組み合わせです。代表的な例としては、ファイナンシャルプランナー（FP）やCFP、また国際的な資格であるCFA（Chartered Financial Analyst）などがあります。これらを組み合わせることで、資産管理や投資コンサルティングなど、より広範囲かつ専門的な金融サービスを提供できるようになります。資格の相乗効果を活かせば、新たなキャリアチャンスが開き、さらなるスキルアップにもつながります。
今後のキャリアの展望
証券アナリスト資格を取得した後は、金融業界以外でもその専門知識を活かせる場が増えています。近年では、デジタル技術の進展とともにフィンテック業界が急成長し、証券や投資の知識を活かせるポジションが多く生まれています。また、コンサルティング業界においても、企業の財務戦略や市場参入プランの策定支援を行うポジションでの需要が高まっています。特に2次試験で求められる応用力や実践的スキルを活かすことで、これからのキャリアの選択肢が大きく広がるでしょう。
