はじめに
本ガイドの目的と想定する読者層
本ガイドは、証券アナリスト試験の合格を目指す方を対象としています。特に、以下のような読者の方々に役立つ内容を目指しています。
- 証券アナリスト試験の初学者の方
- 文系出身で数学に苦手意識がある方、あるいは高校以来数学に触れていない社会人受験生の方
- 数学の基礎から応用まで、試験に必要な知識を体系的に学び直したい方
数学や統計の基礎から丁寧に解説し、試験対策に直結する知識の習得をサポートします。
証券アナリスト試験における数学の重要性
証券アナリスト試験では、「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」をはじめ、「数量分析と確率・統計」など、多くの科目で数学的な知識が不可欠です。収益率やリスクの計算、債券利回りの評価、オプション価格の算出など、金融市場における分析や評価には数学の理解が土台となります。
数学が苦手・久しぶりという方へ
「数学が苦手」「高校以来、数学に触れていない」と感じる方もご安心ください。証券アナリスト試験で求められる数学は、高度な応用問題よりも、基本的な概念や公式の理解と正確な計算が重要です。本ガイドでは、基礎の基礎から丁寧に解説し、過去問演習を通じて「解ける」ようになることを目指します。
証券アナリスト試験に必要な数学の全体像
試験における数学の出題範囲
証券アナリスト試験において数学は独立した科目ではありませんが、特に以下の科目で数学的な知識が問われます。
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 財務分析(コーポレート・ファイナンス含む)
- 数量分析と確率・統計(2022年春試験から1次試験の科目Ⅲに含まれるようになりました)
- 市場と経済の分析
これらの科目では、数式を用いた計算問題や、統計的な思考を要する問題が出題されます。
証券分析やポートフォリオ理論で使う数学知識
証券分析やポートフォリオ理論では、以下のような数学知識が特に重要になります。
- 収益率やリスク(標準偏差)の計算
- ポートフォリオの期待収益率やリスクの計算
- 相関係数、共分散といった統計的指標
- デュレーション、コンベクシティなどの債券評価指標
- オプション価格の理論(例: ブラック・ショールズ・マートンモデルの基礎)
これらの計算には関数電卓の使用が必須となる場面も多いため、電卓操作にも慣れておく必要があります。
よく問われる計算・公式とその活用シーン
試験では、特定の計算問題や公式の活用が頻繁に問われます。
- 収益率の計算: 期間収益率、年率換算収益率など
- リスクの計算: 標準偏差、分散
- 現在価値・将来価値の計算: 債券利回り、割引キャッシュフローなど
- ポートフォリオの最適化: 期待収益率とリスクのバランス
- レバードβ、アンレバードβ: 企業価値評価におけるβ値の算出
これらの計算は、単に公式を暗記するだけでなく、その意味や背景にある理論を理解することで、記述問題などにも対応できるようになります。
高校数学の“本当に必要な”基礎・再入門
四則演算・関数・指数・対数の基本
証券アナリスト試験に必要な数学は、高校で学習する内容の基礎が中心です。
- 四則演算: 加減乗除の正確な計算
- 関数: 一次関数、二次関数の基本的な性質の理解
- 指数・対数: 複利計算や収益率の年率換算などで用いる指数法則、対数法則
特に、収益率の計算では対数を用いた計算が頻繁に登場するため、対数の基本はしっかりと押さえておきましょう。
簡単な微分積分の考え方
微分積分は、特に2次試験の「数量分析と確率・統計」や、ポートフォリオ最適化の理論において、その基本的な考え方が重要になります。
- 微分の概念: 変化率や最適値を求める際に用いる
- 積分の概念: 確率分布の面積や合計を求める際に用いる
複雑な計算を求められることは少ないですが、その概念を理解していると、理論の背景を深く把握できます。
証券アナリスト試験と確率・統計の基礎
確率・統計は、試験の多くの分野で基礎知識として必要とされます。
- 平均、分散、標準偏差: データの中心傾向とばらつきを表す基本統計量
- 相関係数、共分散: 複数のデータの関係性を測る指標
- 正規分布: 多くの金融データが正規分布に従うと仮定されるため、その性質の理解
- 推定・検定: サンプルデータから母集団の性質を推測する方法
これらの基礎を理解しておくことで、リスク評価やポートフォリオ構築、市場予測などの問題に対応できるようになります。
証券アナリスト試験で問われる数学分野の徹底解説
収益率・リスク計算
- 収益率の種類と計算: 単純収益率、対数収益率、幾何平均収益率など、状況に応じた使い分けが求められます。
- リスクの測定: 標準偏差や分散を用いて、投資の不確実性を定量化します。過去のデータからこれらの値を計算する問題が頻出します。
- ポートフォリオのリスクとリターン: 複数の資産を組み合わせたポートフォリオの期待収益率やリスクは、個々の資産の特性と相関係数によって計算されます。
債券利回りと現在価値・将来価値
- 債券の利回り計算: 最終利回り(YTM)、直接利回り、所有期間利回りなど、様々な利回りの計算方法を理解する必要があります。
- 現在価値と将来価値: 割引計算を用いて、将来のキャッシュフローを現在価値に換算したり、現在の投資が将来どれだけの価値になるかを計算したりします。これは、債券の価格評価だけでなく、企業価値評価の基本にもなります。
- デュレーションとコンベクシティ: 債券の金利変動に対する価格感応度を表す指標であり、債券ポートフォリオの管理において非常に重要です。これらの計算と意味の理解は必須です。
オプション価格と統計的アプローチ
- オプションの基礎: コールオプション、プットオプションといった基本的なオプションの種類と、イン・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーなどの概念を理解します。
- オプション価格の決定要因: 原資産価格、行使価格、満期までの期間、ボラティリティ、金利などがオプション価格に与える影響を把握します。
- ブラック・ショールズ・マートンモデル: オプション価格を理論的に算出するための重要なモデルです。その構成要素や計算式の背景にある統計的な考え方(正規分布など)を理解することが求められます。
- リスク中立確率: オプション価格評価における重要な概念で、裁定取引の考え方とも関連します。
その他頻出分野の解法パターン
- 企業価値評価: DCF法(割引キャッシュフロー法)やEVA(経済的付加価値)モデルなど、企業の価値を数学的に評価する方法。
- 資本構成と資本コスト: 企業にとって最適な資本構成や、資金調達にかかるコスト(WACCなど)の計算。
- ミクロ経済学・マクロ経済学のグラフ分析: 需給曲線、IS-LM曲線など、グラフを用いた経済分析の読み解きと計算。
これらの分野では、過去問演習を通じて出題パターンを把握し、効率的な解法を身につけることが合格への鍵となります。
苦手意識を克服するためのアプローチ
数学アレルギー克服のための具体的アドバイス
- 基礎の徹底: まずは、四則演算や分数、基本的な方程式、指数・対数など、本当に基本的な計算から確実に解けるようにしましょう。簡単な問題を反復練習することで自信がつき、応用問題への抵抗感も薄れます。
- 視覚的な理解: グラフや図を積極的に活用し、数式の意味や現象を視覚的に捉えるよう努めましょう。特に、確率分布やポートフォリオの概念などは視覚的に理解することで、記憶に残りやすくなります。
- アウトプット重視: テキストを読むだけでなく、実際に問題を解く時間を多く取りましょう。解けない問題があっても、すぐに解答を見て理解し、再度自力で解けるまで繰り返すことが重要です。
よくあるつまずきポイントと対策
- 公式の暗記で終わってしまう: 公式だけを暗記しても、応用問題には対応できません。公式がどのような状況で使われ、何を意味するのかを理解するようにしましょう。
- 計算ミスが多い: 関数電卓の操作に慣れていない、または焦って計算することでミスが生じます。日頃から関数電卓を使いこなし、正確かつ迅速に計算できる練習を重ねましょう。
- 統計用語が理解できない: 統計学の用語は日常で馴染みが薄いため、丸暗記しがちです。それぞれの用語がどのような概念を表し、何に役立つのかを具体例とともに理解しましょう。
“暗記”で乗り切る部分と“理解”しておきたい部分
証券アナリスト試験では、効率的な学習のために「暗記」と「理解」のバランスが重要です。
- 暗記で乗り切る部分:
- 1次試験のマークシート問題で、単純な知識や公式の適用で解ける問題
- 職業倫理・行為基準など、正確な知識が求められる分野
- 理解しておきたい部分:
- 2次試験の記述式問題で、理論の背景や論理展開を説明する必要がある問題
- 証券分析やポートフォリオ理論など、応用力が問われる計算問題
- 数量分析と確率・統計で、概念的な理解が求められる問題
特に2次試験では、単なる暗記だけでは対応できない問題が増えるため、1次試験の段階から「理解」を意識した学習を心がけましょう。
効果的な勉強法と独学のコツ
おすすめ教材・参考書・テキストの紹介
証券アナリスト試験の学習には、主に以下の教材が活用されます。
- 日本証券アナリスト協会公式教材: 通信講座を受講すると配布されますが、網羅的すぎて要点が掴みにくいと感じる人もいるため、市販のテキストと併用するのが効果的です。
- TACの総まとめテキスト・過去問題集: 多くの合格者が利用しており、試験対策に特化しているため、効率的な学習が可能です。特に過去問は解説が丁寧で、問題演習に最適です。
- 『増補改訂 証券アナリストのための数学再入門』: 数学に苦手意識のある方や、高校数学から復習したい方におすすめの書籍です。日本証券アナリスト協会が推薦しており、基礎から応用まで体系的に学べます。
- 関数電卓: 複雑な計算を効率的に行うために必須です。使いやすいものを早めに準備し、操作に慣れておきましょう。
実戦的な勉強法と時間配分
- 勉強の順序: 数学が苦手な方は、「財務分析」→「経済」→「証券分析」の順で学習を進めるのがおすすめです。財務分析は比較的取り組みやすく、証券分析と重複する知識も多いため、先に学ぶことでスムーズに移行できます。
- 過去問中心の学習: まずは過去問を解き、出題傾向や形式を把握しましょう。解けない問題は、テキストに戻って理解を深め、再度解くことを繰り返します。1次試験では過去問と同じような問題が6割以上出ると言われており、過去問演習が非常に重要です。
- 時間配分: 1次試験は200時間、2次試験も200時間程度が合格に必要な勉強時間の目安とされています。平日1~2時間、休日3~5時間など、計画的に学習時間を確保しましょう。特に試験直前は短期集中で、1日3時間程度の勉強を目標にすると良いでしょう。
過去問・演習の活用法
- 最低3回分の過去問演習: 試験前に最低3回分の過去問を解き、時間配分や解答のペースを掴みましょう。可能であれば、日本証券アナリスト協会のマイページからダウンロードできる過去5年分(10回分)の過去問を全て解くことをおすすめします。
- 「解き方」を体に染み込ませる: 解答を導き出すプロセスを理解し、体が自然に動くようになるまで反復練習しましょう。特に計算問題は、公式を覚えていれば解ける問題も多いため、正確な計算能力を養うことが重要です。
- 間違えた問題の徹底復習: 間違えた問題は、なぜ間違えたのかを分析し、関連する知識をテキストで復習します。そして、時間が経ってから再度解き、確実に理解できたかを確認しましょう。
まとめと合格への道
学び直しで証券アナリスト合格を目指そう
証券アナリスト試験は、その専門性の高さから一見難しそうに感じられるかもしれませんが、適切な学習方法と継続的な努力によって十分に合格が可能です。特に数学に苦手意識がある方も、基礎から着実に学び直すことで、金融・投資のプロフェッショナルとして必要な知識とスキルを身につけることができます。
よくある質問Q&A
- Q. 数学の予備知識はどれくらい必要ですか?
- A. 高度な数学は不要で、高校数学の基本的な四則演算、関数、指数・対数、簡単な微分積分の概念、そして確率・統計の基礎が理解できていれば十分です。特に統計処理の計算が中心となります。
- Q. 関数電卓は必須ですか?
- A. 必須ではありませんが、複雑な計算を効率的に、かつ正確に行うために強く推奨されます。使いやすい関数電卓を早めに準備し、操作に慣れておくことが重要です。
- Q. 独学で合格できますか?
- A. 独学での合格は可能ですが、効率的な学習のためにはTACなどの資格予備校のテキストや通信講座の利用も検討すると良いでしょう。特に2次試験では記述式が多く、プロの指導が役立つ場合があります。
次のステップへ
本ガイドで得た知識を活かし、早速学習計画を立ててみましょう。まずは市販のテキストや問題集を手に取り、過去問に触れることから始めてみてください。一歩ずつ着実に学びを進め、証券アナリスト資格の取得という目標に向かって進んでいきましょう。
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