コトラ（広報チーム） 
1. 実務補習の概要
1-1 実務補習の目的とは？
実務補習の目的は、中小企業診断士としての実践的な経営コンサルティング能力を磨くことです。このプログラムでは、実際の中小企業を対象にコンサルティングを行うため、現場での経験を通じたスキルの向上が期待されます。また、ベテラン診断士が指導するため、実践的なアドバイスやノウハウを学ぶ機会にもなります。IoT化やデジタル化が進む現代では、変化する企業環境に対応する力を養う場としても非常に重要です。
1-2 中小企業診断士登録に必要な要件
中小企業診断士の登録には、二次試験合格後3年以内に「実務補習を受講した日数」または「実務に従事した日数」の合計で15日以上を満たす必要があります。この要件をクリアすることで診断士として正式に登録できるため、実務経験が不足している方にとって実務補習は必須のプログラムとなります。また、15日間の実務補習の受講には、178,600円（税込）の費用がかかる点も押さえておきましょう。
1-3 実務補習と実務従事の違い
実務補習と実務従事は似た要素を持っていますが、目的や方法には違いがあります。実務補習は日本中小企業診断士協会連合会が主催し、5人程度のグループで実務経験を積むプログラムです。一方、実務従事は、自身で確保した現場や案件での実務経験を指します。特に実務補習は指導員の指導を受けるため、初心者にも安心して取り組める仕組みが整っています。一方で、実務従事は自己責任で経験を積むため、プロレベルのスキルが求められることがあります。
1-4 実務補習の対象者と申し込み方法
実務補習を受講できるのは、令和3年度、4年度および5年度に中小企業診断士の二次試験に合格したもので、まだ登録を受けていない方が対象です。申し込み方法は、インターネットを通じて行われ、事前にユーザー登録が必要です。登録の際にはメールアドレスを用意し、必要な情報が送付される手順を確認してください。なお、令和7年度の実務補習は7月から9月にかけて実施が予定されており、参加希望者が多い場合にはキャンセル待ちになることもありますので、早めの申し込みが推奨されます。
2. 実務補習の流れと日程
2-1 実務補習開始前の準備
中小企業診断士の実務補習をスムーズに進めるためには、開始前の準備が非常に重要です。受講を希望する方は、まず日本中小企業診断士協会連合会の公式サイトでユーザー登録を行い、受講申し込みを完了させる必要があります。メールアドレスを登録することで、必要な資料や事前の案内が送付されますので、確認を怠らないようにしましょう。
さらに、実際のコンサルティング業務に備えて、自身が参加する業種や企業についての基本的な情報収集を事前に行うことをおすすめします。過去の診断事例や統計データを確認しておけば、現場での活動がより円滑になります。また、当日は感染症対策が求められることがあるため、マスク、消毒液、体温計なども準備しておくと安心です。
2-2 日程ごとの具体的な作業内容
実務補習では、通常1社に対して5日間を通じて経営コンサルティングを行います。この5日間のスケジュールは、以下のように進行します。
初日は、実務補習における全体の流れや課題の共有から始まります。指導員も参加する中で、受講者がグループワークを通じて企業の経営課題を洗い出していきます。2日目から4日目は、診断調査や課題の原因分析、そして解決策の立案に集中します。この間には、企業へのヒアリングやデータ収集が行われることがあり、スキルと時間管理が求められる場面です。そして最終日には、コンサルティング結果を踏まえた成果物を提出し、発表会が行われます。
参加者には、各日程で明確な役割が与えられ、各自が協力して成果物を完成させることが求められます。このグループでの動きが、中小企業診断士にとっての実践的な力を養う大きなポイントとなります。
2-3 指導員の役割と支援内容
実務補習の中で大きな存在感を持つのが指導員です。指導員は、現役で活躍する経験豊富な中小企業診断士が担当します。彼らは受講者の経営診断業務をサポートすると同時に、講評やアドバイスを通じて診断能力の向上を図ります。
具体的には、受講者が企業の経営課題を発見する際に適切なヒアリング手法や分析フレームワークの使い方を提案するほか、成果物の方向性についても助言を行います。時には、受講者同士の意見が分かれるケースもありますが、その際にも指導員がファシリテーターとして調整を行い、業務が確実に進むようサポートしてくれます。指導員からのフィードバックをしっかり学ぶことで、即戦力となるスキルが身につきます。
2-4 制度に合わせたスケジュール管理のポイント
実務補習は限られた日程内で行われるため、スケジュール管理の徹底が成功の鍵となります。通常、5日間の補習が1社単位で行われますが、これを3社分実施することで合計15日間を満たす必要があります。連続での日程となる場合もあれば、間隔が開く場合もあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
特に重要なのは、「全体スケジュール」と「個人の作業スケジュール」を分けて管理することです。グループでの進行管理のためにタスク分担を明確化したり、締切を設定したりすることが、限られた時間での効率的な業務遂行につながります。また、中小企業診断士の実務補習では、成果物作成に時間を取られることが多いため、初期段階からテンプレートや報告書形式を明確化しておくと作業効率が向上します。
このようにスケジュールを意識しながら進めることで、無理なく効率的に実務補習を進めることができます。
3. 実務補習で得られるスキルと経験
3-1 コンサルタントに必要な実践力の習得
中小企業診断士の実務補習では、コンサルタントとして求められる実践力を磨くことができます。実務補習では、実際の中小企業を対象とした経営課題の分析や提案を行うため、理論だけではなく現場感覚を身につけることができる点が大きな特徴です。具体的には、限られた時間の中で経営者と対話しながら迅速に課題を抽出し、解決策を提示するスキルが養われます。このような実践的な経験は、中小企業診断士としての信頼性を高める重要な要素となります。
3-2 データ分析から提案までのプロセス
実務補習では、データの収集・分析から提案のプレゼンテーションまで、一連のコンサルティングプロセスを実践的に学ぶことができます。経営分析ツールの活用や財務データの読み解きを通じて企業の現状を把握し、その結果を経営戦略や具体的な提案書へ落とし込むスキルが習得可能です。このプロセスを繰り返すことで、ロジカルシンキングや提案力といった中小企業診断士に必要な基盤的能力を強化できます。これにより、現場で即戦力となる経営コンサルタントへの成長が期待できます。
3-3 チームでの共同作業とコミュニケーション力
実務補習は、通常5人程度のグループで実施され、指導員の支援を受けながら進められます。この共同作業の中で、適切な役割分担や意見交換を行うスキルが磨かれます。また、課題解決に向けて異なる意見を調整し合いながら合意形成を図るプロセスを経験することで、優れたコミュニケーション力も身につけることができます。これらのスキルは、今後中小企業診断士として現場で活躍する際に非常に役立つものであり、個人だけでなくチームで成果を出すことの重要性を学べます。
3-4 現場力の重要性とその養い方
実務補習では、実際の中小企業の現場に足を運び、経営者との直接的な対話を通じて経営課題を理解する機会が提供されます。この現場での経験は、通常の座学や理論的学習では得られない「現場力」を身につけるための重要な場となります。経営者の立場や感情を理解しながらも、的確な助言を行うバランス感覚が養われるとともに、実際の経営環境を知ることで、より説得力のあるコンサルティングができるようになります。現場力の養成は、中小企業診断士として長期的に活躍するための大きな武器となるでしょう。
4. 実務補習を成功させるための秘訣
4-1 効果的な事前準備とは？
中小企業診断士の実務補習を成功させるためには、事前準備が重要です。実務補習では、経営コンサルティングの現場に近い環境で実践力を試されるため、事前に必要な知識やスキルを確認しておきましょう。特に、対象企業の業種や市場環境に関する基本的な知識を調査することがポイントです。また、中小企業診断士協会から送られる事前資料をよく読み込み、スケジュールや課題内容を把握しておくことも不可欠です。さらに、過去の参加者の体験談を参考に、自分なりに想定される課題を準備することで、当日の作業がスムーズに進むでしょう。
4-2 チームメンバーとの連携を強化する方法
実務補習では、通常5人程度のグループで共同作業を行います。そのため、チームメンバーとの連携は成功の鍵となります。最初のミーティングで役割分担や作業スケジュールを明確にし、お互いの得意分野を活かせるようにしましょう。また、チーム内のコミュニケーションを重視し、こまめに進捗状況を共有することが大切です。初対面のメンバーであっても、オープンな態度と積極的な姿勢で対応することで、信頼関係を築きやすくなります。オンラインツールなども活用して効率的に情報共有を図りましょう。
4-3 成果物のクオリティを向上させるポイント
実務補習では、企業の経営課題を解決するための提案書作成が求められます。この成果物のクオリティが高いと、より良い評価を得ることができます。具体的には、提案内容が明確で実現可能なものであることが重要です。そのためには、データ分析を活用し、根拠に基づいた提案を行うことが求められます。また、対象企業の経営者が読みやすいように資料の構成やデザインにも配慮しましょう。指導員からのアドバイスを積極的に取り入れながら修正作業を行うことで、提案書の完成度を高めることができます。
4-4 フィードバックを活かした成長戦略
実務補習の中では、対象企業からだけでなく、指導員やチームメンバーからも多くのフィードバックを受けることができます。このフィードバックを活かして、自身のスキル向上につなげることが大切です。一度指摘された課題を次回以降の作業で修正し、改善を重ねる姿勢を持ちましょう。また、フィードバックを受けた内容はしっかりメモを取り、実務補習終了後も振り返りとして活用するのがおすすめです。受講を通じて得られた反省点や成功事例を自己分析することで、中小企業診断士としての成長を加速させることが可能です。
5. 実務補習を終えて次のステップへ
5-1 実務補習修了後の活動例
実務補習を修了した後、中小企業診断士としてさまざまな活動が行えます。具体的には、個人で経営コンサルタントとして活動したり、診断士が多く所属するコンサルティング会社での勤務が挙げられます。また、地域の中小企業を対象とした経営診断や支援事業に携わることも多いです。一方で、市場分析や業界調査、事業計画書の作成など専門スキルを活かして、企業の内部で経営企画部門やマーケティング部署での活躍を目指す方もいます。このように実務補習で得たスキルは、幅広いフィールドで活用できます。
5-2 中小企業診断士としてのキャリア開発
中小企業診断士として活動するためには、資格を取得した後も継続的なスキルアップが求められます。実務補習で磨いたコンサルティング力を基盤に、中小企業診断士協会が提供する研修やセミナーに参加することが推奨されています。また、新しい知識を取り入れるために、最新の経済動向や経営理論を学び続けることも重要です。さらに、資格取得後には診断士としての信用度を向上させるために、戦略的なネットワーキングや取引先企業との長期的な信頼関係の構築にも注力するとよいでしょう。
5-3 実務補習を活かしたさらなるスキルアップ
実務補習で経験した実践的なコンサルティングの場面を振り返り、得た知識や、指導員やチームメンバーからのフィードバックを基に自己成長を目指しましょう。補習中に磨いた経営分析力や提案力をさらに向上させるため、業務経験を増やしたり、MBAプログラムや他の関連資格を取得することも効果的です。また、IoT化やデジタル化など現代の経営課題にも対応できるスキルを習得すれば、幅広い場面で中小企業診断士としての価値を発揮することができます。
5-4 ネットワーキングと診断士コミュニティの活用
中小企業診断士としての活動を広げるためには、ネットワーキングが欠かせません。中小企業診断士協会が主催する交流会や勉強会に積極的に参加し、他の診断士との人脈を広げることが重要です。また、SNSや地域の産業支援イベントを利用して、自身の専門性を広く発信することで、仕事のチャンスが増えることもあります。さらに、診断士のコミュニティを活用することで、情報交換や共同プロジェクトの機会が得られます。これらの取り組みを通じて、中小企業診断士としての価値を高めていくことができます。
