コトラ（広報チーム） 
はじめに
アセットマネジメントとは何か？
アセットマネジメントとは、「アセット（資産）」と「マネジメント（管理・運用）」を組み合わせた言葉で、個人や法人が所有する資産を最適に運用し、その価値を最大化するための専門的なサービスを提供する業務を指します。主な事業内容は、投資家や機関から預かった資産を運用・管理することです。
アセットマネジメント会社は、顧客の資産を運用し、その運用に対する報酬（fee）を得ることをビジネスモデルとしています。運用による収益がそのまま会社の利益になるのではなく、顧客に対する「運用委託報酬」が主な収益源となります。このビジネスモデルは、一度顧客を獲得すれば継続的に収益が発生する「ストック型ビジネス」と呼ばれ、長期的な信頼関係が事業の基盤となります。
アセットマネジメントの対象となる資産は幅広く、株式や債券、不動産、インフラ設備、プライベート・エクイティ（未公開株）など多岐にわたります。
なぜ「激務」と言われるのか
アセットマネジメント業界は、一般的に「激務」というイメージを持たれがちです。その理由としては、市場の変動に対応するための早朝・深夜の業務、投資家の資産を預かることによる高いプレッシャー、タイトなスケジュールで多くの業務をこなす必要性、そしてクライアントからの緊急の要望への迅速な対応などが挙げられます。特に、ディール期やプロジェクトの業務量が増加する時期や、海外拠点とのやり取りによる時間帯のズレが発生するケースでは、労働時間が長くなる傾向にあります。
しかし、実際のところは、会社や部署によって働き方は大きく異なり、必ずしも全ての社員が激務であるわけではありません。外資系でも投資銀行と比較するとワークライフバランスが良好な企業も存在すると言われています。
想定読者（転職希望者・就活生・現役社員）
この記事は、アセットマネジメント業界への転職を検討している方、就職活動中の学生、そして現役でこの業界にいるものの、自身のキャリアや働き方について見直したいと考えている方を主な読者として想定しています。アセットマネジメント業界のリアルな実態、激務と言われる理由、具体的な働き方、報酬水準、そしてキャリア形成のポイントまで、多角的な視点から解説していきます。
アセットマネジメントが激務とされる理由
アセットマネジメント業界が激務とされるのには、いくつかの構造的な要因があります。
ディール期やプロジェクトの業務量増加
特に不動産アセットマネジメントなど、特定の資産クラスを扱う場合、物件の取得（アクイジション）や売却（ディスポジション）といったディール期には、調査、分析、交渉、契約といった一連の業務が短期間に集中し、業務量が飛躍的に増加します。投資判断を下すまでのデューデリジェンス（DD）は徹底的に行われ、この時期には長時間労働となることも少なくありません。
海外拠点とのやり取りと時間帯のズレ
グローバルに展開する外資系アセットマネジメント会社や、海外資産を運用する部署では、海外拠点との頻繁なコミュニケーションが不可欠です。時差の関係で、早朝や深夜に会議や電話対応が必要となることがあり、これが労働時間の増加につながることがあります。特に、市場の急変時には、海外の市場動向をリアルタイムで把握し、迅速な対応が求められます。
高度な専門性と責任の重さ
アセットマネジメントは、数百万から数兆円にも及ぶ顧客の資産を預かり、その価値を最大化するという非常に大きな責任を伴います。株式、債券、不動産、オルタナティブ投資など、多様な資産クラスに関する高度な専門知識に加え、経済情勢、市場動向、法規制などを常に把握し、精緻な分析に基づいた投資判断が求められます。この精神的なプレッシャーは計り知れないものがあり、激務と感じる大きな要因の一つです。
ワークライフバランスと報酬のバランス
アセットマネジメント業界は、一般的に高収入が期待できる業界として知られています。しかし、この高収入は、前述のような高い専門性、責任の重さ、そして時に伴う激務の見返りであると捉えられることもあります。ワークライフバランスの観点では、投資銀行と比較して「人間らしい暮らしができる」と言われることもありますが、それでも他の一般企業と比較すれば、業務の性質上、一定の負荷は避けられない場合が多いです。ただし、近年では働き方改革の推進や、リモートワーク・フレックスタイム制の導入により、ワークライフバランスの改善に取り組む企業も増えてきています。
業界別・会社別に見る働き方と激務度
アセットマネジメント業界の働き方は、会社の種類や扱う資産、部署によって大きく異なります。
外資系 vs 日系：職場環境と業務負担の違い
- 外資系アセットマネジメント
- 少数精鋭主義であることが多く、一人あたりの業務範囲が広い傾向にあります。
- 年収水準は日系企業に比べて高い傾向にありますが、その分、高度な専門性と成果が強く求められます。
- 運用部門は海外拠点に集中していることが多く、日本法人ではファンドマネージャーのポジションが少ない傾向にあります。
- プロダクトスペシャリストのように、海外の運用担当者と日本の営業の橋渡し役を担う職種が重要になります。
- ワークライフバランスは、投資銀行と比較すると良好なケースが多いとされますが、海外との時差による早朝・深夜の業務が発生することもあります。
- 「ホワイト高給」と言われることもありますが、特定のファンドや市場の変化、大型案件獲得時には激務になることもあります。
- 日系アセットマネジメント
- 大手金融グループの傘下にあることが多く、組織体制が比較的安定しています。
- 国内の販売会社との強固なリレーションシップを背景に、幅広い業務を手掛ける総合型が多いです。
- 外資系に比べると年収水準は控えめですが、30代で年収1,000万円を超える企業も少なくありません。
- ファンドマネージャーのポジションも国内に多く、キャリアパスが明確な場合が多いです。
- ワークライフバランスは比較的良好で、残業時間は月平均10～20時間程度という企業もあります。育児支援制度も充実しており、男性育休取得率が100%を超える企業も存在します。
不動産アセットマネジメントの働き方
不動産アセットマネジメントは、オフィスビル、商業施設、物流施設、ホテルなど、実物不動産に投資し、その価値を最大化する業務です。
- 業務サイクルは物件の「取得（アクイジション）」「運用（期中管理）」「売却（ディスポジション）」に分けられ、各フェーズで専門性が求められます。
- 物件の選定から購入、運用計画の策定、テナント構成の最適化、リノベーション計画、そして売却まで一貫して関わるため、プロジェクトの規模によっては業務量が増加します。
- プロパティマネジメント（PM）と連携し、現場の運営状況を監督することも重要な役割です。
- 年収相場は600万円～2,000万円程度と幅広く、経験やスキル、担当する物件によって大きく異なります。
金融資産運用会社・投資銀行・ヘッジファンドとの比較
- 金融資産運用会社（アセットマネジメント会社）
- 顧客から預かった資産を中長期的に運用し、ストック型の収益を得るビジネスモデルです。
- 比較的安定した働き方が可能で、ワークライフバランスを重視する傾向があります。
- 投資銀行
- M&Aアドバイザリーや資金調達（IPO、債券発行など）といった案件ごとに収益を得るフロー型のビジネスモデルです。
- 案件の成否が直接収益に結びつくため、非常に激務となることが多く、深夜残業や休日出勤も珍しくありません。高額な報酬もこれに見合うものとされます。
- ヘッジファンド
- 市場の上げ下げに関わらず絶対的な収益を追求するため、多様な投資戦略を駆使します。
- 非常に高度な専門性とリスク管理能力が求められ、成果主義の傾向が強いです。
- 報酬水準は非常に高いですが、その分、精神的なプレッシャーも大きく、アグレッシブな社風の企業が多いです。
部署別・職種別（営業、運用、バックオフィス等）の激務度
アセットマネジメント会社内でも、部署や職種によって激務度は異なります。
- 運用部門（ファンドマネージャー、アナリスト、トレーダー）
- 投資判断の最終責任を負うファンドマネージャーは、市場の動向に常に目を光らせ、高いプレッシャーの中で業務を行います。
- アナリストは企業や市場の分析を深く行い、エコノミストはマクロ経済の動向を予測します。これらの職種は、決算期など情報収集・分析が集中する時期には多忙になります。
- トレーダーはファンドマネージャーの指示に基づき、市場で売買を執行します。市場の動きによっては迅速な対応が求められることがあります。
- 精神的な負担は大きいですが、外資系では意外と早く帰宅する人もいるとの声もあります。
- 営業部門（投資信託営業、機関投資家営業）
- 顧客（販売会社や機関投資家）とのリレーションシップ構築や、運用商品の提案・説明が主な業務です。
- 顧客の要望に応えるため、資料作成やセミナー開催などで多忙になることもありますが、一般的に運用部門や投資銀行ほど物理的な激務ではないとされます。
- 海外の機関投資家を担当する場合は、時差による夜間対応が発生することもあります。
- ミドル・バックオフィス部門（リスク管理、コンプライアンス、計理、ITなど）
- 運用部門や営業部門のサポートを行い、会社の基盤を支える重要な役割を担います。
- リスク管理ではファンドのリスクをコントロールし、法令遵守（コンプライアンス）も徹底します。
- 計理業務はファンドの財務諸表作成など、正確性が求められる業務です。
- 運用フロントに比べて精神的なプレッシャーは少ない傾向にありますが、運用関連の法令・自主規制ルールに精通する必要があるなど、専門性は高いです。海外チームとの連携が必要な場合は英語力も求められます。
- 比較的ワークライフバランスが取りやすい部署が多いと言われています。
実際の社員による口コミとリアルな働き方
アセットマネジメント業界の働き方は、企業文化や個人の職務内容によって大きく異なります。
労働時間・残業実態
アセットマネジメント業界の労働時間や残業の実態は、一概には言えません。
- 比較的良好なワークライフバランス：多くの社員からは、投資銀行のような「毎日朝帰り、週末出社」といった極端な激務ではないという声が聞かれます。日系企業では月平均10～20時間程度の残業という企業もあり、証券業界と比較しても働きやすい環境にあるとされています。野村アセットマネジメントの社員の口コミでは、「残業は月30時間程度。だいたい6時半ごろになるとフロアにほとんど人がいない状態になる」という声もあります。
- 部署や時期による変動：運用部門のファンドマネージャーやアナリストは、市場の急変時や決算期などには多忙になる傾向があります。また、海外拠点とのやり取りが多い外資系企業や部署では、時差の関係で早朝・深夜の業務が発生することもあります。一方、ミドル・バックオフィス部門は、比較的定時退社が可能な場合も多いようです。
リモートワークやフレックスの可否
- リモートワークの普及：多くの企業でリモートワークが導入されており、オフィスへの出社頻度は企業や部門によって異なります。例えば、ヒューリック不動産投資顧問株式会社では週2日のリモート・在宅勤務相談が可能とされています。また、りそなアセットマネジメントやアセットマネジメントOneなどの日系企業でも、子育て中の社員がリモートワークや時短勤務を活用している事例が紹介されています。
- フレックスタイム制：フレックスタイム制を導入している企業もあり、社員が自身のライフスタイルに合わせて柔軟な働き方を実現できる環境が整いつつあります。
社風と働きやすさに関する声
- 安定志向と専門性の両立：信託銀行と比較するとアグレッシブさが増し、ヘッジファンドほどではないが、安定した長期運用と専門性を両立する社風の企業が多いと言われています。
- コミュニケーションとチームワーク：運用部門では個人プレーよりもチームワークが重視され、活発な議論を通じて高度な成果を目指す文化が根付いています。
- キャリア開発と成長機会：社員からは、自身の成長やスキル獲得の実感が語られており、特に若手でも責任ある業務を任されることで、能力向上につながっているという声があります。MBA取得支援など、自己研鑽を奨励する制度を持つ企業もあります。
- 福利厚生の充実：野村アセットマネジメントでは、住宅手当が充実している（独身7.2万円、既婚12万円）など、手厚い福利厚生が社員の満足度を高めている要因の一つです。
ホワイト企業化・働き方改革の進捗
- 政府の推進とNISA拡充：「資産運用立国」構想や新NISA制度の開始は、アセットマネジメント業界全体の市場拡大を促し、企業は優秀な人材確保のため、働き方改革を推進する動きを加速させています。
- ホワイト企業の特徴：アセットマネジメント業界の「ホワイト企業」とされる企業には、柔軟な働き方の導入（リモートワーク、フレックスタイム制）、スキルアップ支援の充実（資格取得支援、研修制度）、透明性のある評価制度、チームプレイを重視する文化といった共通の特徴が見られます。
- 女性の働きやすさ：アセットマネジメントOneや野村アセットマネジメントなどでは、男性の育休取得率が100%を超えるなど、育児支援制度が充実しており、女性にとっても働きやすい環境が整備されています。
報酬水準・転職事情とコスパの実態
アセットマネジメント業界は、高い専門性が求められる一方で、それに比例して高い報酬水準が期待できる業界です。
外資系・日系アセットマネジメントの給与水準
- 日系アセットマネジメント：
- 平均年収は700万円台から1,000万円を超える企業まで幅があり、30代で1,000万円以上に到達するケースも多いです。
- 野村アセットマネジメントの平均年収は990万円～1,154万円程度で、30代前半では業界内で上位の年収水準となります。
- アセットマネジメントOneの平均年収は889万円（平均年齢36.6歳）です。
- 一般的な日系企業と比較すると高水準ですが、親会社の給与水準に準じる傾向もあります。
- 報酬は基本給に加えて、賞与の比重が高い傾向にあります。
- 外資系アセットマネジメント：
- 日系企業と比較して、年収は1.5倍から2倍程度高い傾向にあります。
- 少数精鋭で成果報酬制を採用している企業が多く、運用部門や営業部門では特に高額な報酬が期待できます。
- ファンドマネージャー職では年収800万円～2,000万円以上、マネージングディレクタークラスでは4,000万円以上という事例もあります。
- 「ホワイト高給」と称されることもあり、時給換算では投資銀行を上回るコスパの良さがあるという見方も存在します。
投資銀行やコンサルなど他金融との比較
- 投資銀行：外資系投資銀行はアセットマネジメント業界よりもさらに高額な報酬水準ですが、業務内容が非常に激務であり、ワークライフバランスを犠牲にする覚悟が必要です。
- コンサルティングファーム：高度な分析力や戦略的思考が求められ、高収入ですが、プロジェクトによっては長時間労働となることもあります。
- アセットマネジメント業界のコスパ：投資銀行と比較して激務度は低いにもかかわらず、高水準の給与を得られるため、「高コスパ」な業界と評価されることがあります。
転職難易度、必要なスキルとキャリアパス
- 転職難易度：
- アセットマネジメント業界は、高度な専門性が求められるため、転職難易度は高いです。
- 特に新卒採用は狭き門で、少数精鋭の採用が行われます。
- 未経験からの転職は難しいとされていますが、20代の金融業界出身者であればポテンシャル採用の可能性もあります。
- 必要なスキルと知識：
- 金融知識：証券アナリスト資格や金融機関での有価証券関連業務経験は非常に有利です。
- 分析力：市場動向の分析、リスク管理、財務分析など、数値を正確に把握し、分析する能力が不可欠です。
- 語学力：特に外資系企業やグローバルな業務では、ビジネスレベルの英語力（TOEIC800点以上が目安）が必須となります。
- PCスキル：資料作成（Excel、PowerPoint）やデータ管理に高度なPCスキルが求められます。
- コミュニケーション能力：顧客や社内外の関係者と円滑に連携し、信頼関係を築く力が重要です。
- 継続的な学習力：市場や法規制の変化に対応するため、常に新しい知識を習得する意欲が必要です。
- キャリアパス：
- 一般的には、アナリストからスタートし、運用担当者、ファンドマネージャーへとステップアップする道が主流です。
- 専門性を深めることで、特定の資産クラスに特化したスペシャリストや、リスク管理、商品開発などの専門職として活躍することも可能です。
- 業界内でキャリアを全うするケースが多く、日系中堅企業から大手企業、外資系企業へとキャリアアップする流れが王道とされています。
転職エージェント・体験談・成功事例
- 転職エージェントの活用：
- アセットマネジメント業界の求人市場は専門性が高く、非公開求人も多いため、金融業界に特化した転職エージェントの活用が非常に有効です。
- エージェントは、公開されていない求人情報の紹介、業界知識に基づいた最適なマッチング、職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉など、多岐にわたる支援を提供します。
- JAC Recruitmentやコトラなど、金融・不動産分野に強みを持つエージェントがおすすめです。
- 転職成功事例：
- 未経験からいきなりアセットマネジメント業界へ転職することは難しいですが、関連性の高い金融機関（証券会社や信託銀行）で経験を積んでから挑戦する成功事例もあります。
- 例えば、証券会社でリテール営業を経験後、ファンド評価機関でアナリスト経験を積み、大手アセットマネジメント会社のアナリストとして転職に成功したケースが挙げられます。これは、中長期的なキャリア戦略と専門エージェントのサポートが実を結んだ例と言えるでしょう。
激務を乗り越えるポイントとキャリア形成
アセットマネジメント業界で長く活躍し、充実したキャリアを築くためには、激務を乗り越えるための工夫と計画的なキャリア形成が重要です。
激務を避けるコツや成功している人の特徴
- 効率的なタイムマネジメント：タスクに優先順位をつけ、効率的に業務を進めることで、不必要な残業を減らすことができます。特に、市場の変動に対応する早朝・深夜の業務は避けられない場合があるため、日中の業務をいかに効率化するかが鍵となります。
- 専門性の深化と強みの確立：特定の資産クラスや運用戦略において高い専門性を確立することで、替えのきかない人材としての価値を高め、より裁量のあるポジションを得やすくなります。これにより、自身で業務コントロールがしやすくなる場合があります。
- チームでの連携強化：個人プレーに陥らず、チームメンバーと積極的に情報を共有し、業務を分担することで、個人の負担を軽減し、より大きな成果を目指すことができます。
- 情報収集力と先見性：市場の動向や新しい投資トレンド（ESG投資、FinTechなど）に常にアンテナを張り、変化に柔軟に対応できる能力は、激務の中でも成果を出し続けるために不可欠です。
ワークライフバランスを保つための工夫
- ストレス管理の徹底：定期的なリフレッシュや適度な運動を取り入れ、心身の健康を保つことが重要です。精神的なプレッシャーが大きい業界であるため、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
- 会社の制度活用：リモートワークやフレックスタイム制、育児・介護休暇制度など、会社が提供する柔軟な働き方を積極的に活用しましょう。近年は働き方改革を進める企業も多く、利用しやすい環境が整いつつあります。男性の育休取得を推奨する企業も増えています。
- 明確な線引き：仕事とプライベートの境界を明確にし、休日には仕事から離れてリフレッシュする時間を持つことが重要です。
やりがいを感じる瞬間と成長機会
- 高い専門性の追求：金融や資産運用に関する高度な専門知識を日々学び、それを実務に活かすことで、自身の市場価値を高めることができます。
- 投資判断が成功した際の達成感：自身の分析や戦略に基づいた投資が成功し、明確な数字としてリターンが現れた時には、大きな達成感とやりがいを感じられます。特に、顧客の資産を増やすことは社会貢献にもつながります。
- 多様な専門家との協働：ファンドマネージャー、アナリスト、エコノミスト、ストラテジストなど、異なる専門性を持つプロフェッショナルと議論を交わすことで、新たな発見や学びを得る貴重な機会があります。
- 社会貢献性の高さ：個人の資産形成や年金運用など、社会の経済的な持続可能性に寄与する重要な役割を担っているという意識は、大きなやりがいにつながります。
長期的なキャリア開発と次のステップ
- 資格取得による専門性強化：証券アナリスト（CMA）、CFA（米国証券アナリスト）、不動産鑑定士、MBAなどの専門資格は、自身のスキルを客観的に証明し、キャリアアップに有利に働きます。
- 異動や部署変更の検討：社内で異なる部署（運用、営業、ミドル・バックオフィス）を経験することで、幅広い知識とスキルを身につけ、キャリアの選択肢を広げることができます。
- グローバルなキャリアパス：外資系企業や海外部門での勤務を通じて、国際的な金融市場での経験を積むことも可能です。
- 転職も視野に：アセットマネジメント業界での専門性を活かし、PEファンドやコンサルティングファーム、事業会社の財務部門など、他の金融分野や関連業界への転職もキャリアパスとして考えられます。専門性の高いスキルは、多様な業界で高く評価されます。
まとめ・業界研究のための参考情報
まとめ：本当に「激務」なのか？最新動向からの結論
アセットマネジメント業界は「激務」というイメージを持たれがちですが、その実態は一概には言えません。確かに、市場の変動への対応、多額の資産を扱う責任の重さ、ディール期の業務量増加、海外との連携による時間帯のズレなど、物理的・精神的な負荷が高い要因は存在します。しかし、投資銀行のような極端な激務とは異なり、比較的ワークライフバランスが良好な企業や部署も多く存在します。特に日系企業では残業時間が比較的少なく、リモートワークやフレックスタイム制、育児支援制度の導入も進んでおり、働き方改革が進んでいます。
結論として、アセットマネジメント業界は「専門性が高く、高い責任が伴うが、高収入と比較的良好なワークライフバランスを両立できる可能性のある業界」と言えるでしょう。激務度は、外資系か日系か、金融資産運用か不動産アセットマネジメントか、運用・営業・バックオフィスといった職種によって大きく異なります。
おすすめの業界研究本・情報源
- 専門書：アセットマネジメント業界の基本的な仕組みや業務内容を体系的に理解できる書籍。
- 金融経済ニュース：日本経済新聞、Bloombergなどのメディアで、日々の市場動向や業界ニュースに目を通し、最新情報をキャッチアップすることが重要です。
- 業界レポート・企業IR情報：各社のウェブサイトや業界団体のレポートを通じて、事業内容、強み、社風、財務状況などを詳しく調べましょう。
- 口コミサイト：OpenWorkやVorkersなどの口コミサイトで、現役社員や元社員の生の声を確認し、労働時間、福利厚生、社風などの実態を把握することが有効です。
- 転職エージェント：金融業界に特化した転職エージェントは、非公開求人の情報や業界の最新動向、企業の内情に詳しいため、積極的に活用することをおすすめします。
今後のキャリア選択に向けて
アセットマネジメント業界は、日本の「資産運用立国」構想や新NISA制度の拡充を背景に、今後さらなる市場拡大が見込まれています。AIやFinTechの活用、ESG投資の主流化など、テクノロジーとサステナビリティが重要なキーワードとなる中で、業界は大きな変革期を迎えています。
この変化の波をチャンスと捉え、自身の専門性を高め、柔軟な働き方を実現できる企業を見つけることが、充実したキャリアを築く上での鍵となります。自分のキャリア目標を明確にし、求められるスキルや経験を理解した上で、主体的に情報収集を行い、最適なキャリアパスを検討しましょう。
