【初心者向け】MBAで学ぶこと徹底解説!主要科目からキャリア効果まで丸わかり

はじめに

MBAとは何か

MBAとは「Master of Business Administration」の略称で、日本語では「経営学修士」または「経営管理修士(専門職)」と訳されます。これは、大学院の修士課程を修了した際に授与される「学位」であり、特定の試験に合格すれば得られる「資格」とは異なります。MBAプログラムでは、経営戦略、マーケティング、ファイナンスなど、企業経営に必要な幅広い知識とスキルを体系的に学びます。単に知識を習得するだけでなく、論理的思考力、問題発見・解決能力といった実践的な能力を養うことを目的としています。ビジネス界では、経営陣やビジネスリーダーに求められる能力を証明するものとして認識されており、主に社会人が取得を目指します。

なぜ今MBAが注目されているのか

現代社会は「VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)」の時代と呼ばれ、変化が激しく予測が困難なビジネス環境にあります。新型コロナウイルス感染症の影響も加わり、企業にはこれまで以上に迅速な意思決定や多様な文化への理解が求められるようになりました。このような状況でビジネスを勝ち抜くためには、個人のスキルアップが不可欠です。MBAは、変化に対応するための課題発見・解決力、新しいことにチャレンジする能力、そして組織や会社に頼らず自立して生きていく覚悟と能力を身につけるための有効な手段として注目されています。体系的な経営知識と実践的なスキルを習得することで、現代社会で活躍できるビジネスリーダーとしての基盤を築けるため、キャリアアップを考える多くのビジネスパーソンから高い関心が寄せられています。

本記事の対象読者と構成

本記事は、MBAについて詳しく知りたい社会人経験者や、将来的にMBA取得を検討している方を主な対象としています。MBAで何を学ぶのかという基本的な内容から、具体的な授業形式、プログラムの種類、取得によるキャリア効果、そして取得する上での注意点まで、MBAに関する情報を網羅的に解説します。

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MBAで学べる主要科目とその目的

MBAプログラムのカリキュラムは、主に「ヒト」「モノ」「カネ」という経営資源の3領域を中心に構成されています。これらの領域を体系的に学ぶことで、ビジネスで活かせる実践力を身につけることを目指します。

経営戦略

経営戦略は、企業が競争優位を確立し、持続的な成長を達成するための長期的な計画を策定する科目です。市場分析、競合分析、自社の強み・弱み分析などを通じて、企業の方向性を決定する思考力と実践力を養います。

マーケティング

マーケティングでは、消費者行動の理解に基づいた市場戦略の策定、ブランドマネジメント、製品・サービスの開発とプロモーションなど、顧客価値を創造し、市場で成功するための知識とスキルを学びます。

ファイナンス・会計

ファイナンス・会計は、企業の財務状況を分析し、資金調達、投資判断、予算管理など、経営における「カネ」の流れを最適化するための知識を習得します。資産価格理論や企業財務論なども学び、資本市場に対する俯瞰的な視点を養います。

人材・組織マネジメント

人材・組織マネジメントは、組織行動論、人的資源管理、リーダーシップ論など、組織内の「ヒト」を効果的に動かし、チームの生産性を高めるためのマネジメントスキルを習得する科目です。多様な人材をまとめ、目標達成に導く能力を養います。

情報・テクノロジーマネジメント

情報・テクノロジーマネジメントは、情報技術の活用、デジタル変革(DX)の推進、イノベーション創出など、現代ビジネスに不可欠な情報とテクノロジーを経営にどう活かすかを学びます。

法律・グローバルビジネス・リーダーシップ

  • 法律:企業法務や知的財産権法など、ビジネスを行う上で遵守すべき法律に関する知識を習得し、コンプライアンス意識を高めます。
  • グローバルビジネス:国際経済、異文化マネジメント、グローバル戦略など、ビジネスのグローバル化に対応するための知識と視点を養います。
  • リーダーシップ:目標達成のために組織や人を導く能力を多角的に学び、変革期のリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指します。

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MBAの授業形式と実践的な学び

MBAプログラムでは、単なる知識のインプットに留まらず、実践的なスキルを習得するための多様な授業形式が取り入れられています。

ケースメソッドとは

ケースメソッドは、実際の企業の事例(ケース)を取り上げ、受講生が経営者の立場で課題解決策を議論する教育手法です。ハーバードビジネススクールで始まり、多くのビジネススクールで採用されています。受講生は、与えられたケースを読み込み、状況分析、問題発見、戦略立案、解決策の提案までの一連のプロセスを疑似体験します。このプロセスを繰り返すことで、限られた情報の中で意思決定を行う「情報分析力」や「問題解決力」といった思考力を鍛えます。

ディスカッションとグループワーク

MBAの授業では、ケースメソッドを中心にディスカッションやグループワークが頻繁に行われます。受講生は、多様なバックグラウンドを持つクラスメートや教員と活発な議論を交わし、様々な視点から自らの考えを検証します。この過程で、異なる意見を尊重し、合意形成を図るコミュニケーション能力や、チームをまとめ上げるリーダーシップが養われます。

プロジェクトベースラーニング

プロジェクトベースラーニングは、実際の企業課題に取り組むコンサルティングプロジェクトや、新規事業のビジネスプラン策定など、実務に近い形で学ぶ形式です。企業訪問やフィールドワークを伴うことも多く、よりリアルなマネジメントノウハウを体得する機会となります。

実務経験と結びつけた学習

MBAの学びは、受講生が日々の実務に即座に応用できるような実践性が重視されます。学んだ理論やフレームワークを自分の業務に照らし合わせ、課題解決に活かすことで、知識を「知っている」だけでなく「仕事で使える」レベルにまで高めていきます。

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プログラムの種類と選び方

MBAプログラムには、国内と海外、オンラインと通学制、総合と専門など、様々な種類があります。自身の目的やライフスタイルに合わせて適切なプログラムを選ぶことが重要です。

国内MBA vs 海外MBA

  • 国内MBA:
  • メリット:海外MBAよりも費用を抑えられる傾向にあり(200万〜500万円程度)、日本語でのカリキュラムが多いため語学力に不安がある人でも学習に集中できます。日本のビジネス環境に特化した知識を得やすく、仕事を続けながら学べるパートタイム制も充実しています。
  • デメリット:国際的なブランド力を持つ大学が少ない傾向にあります。
  • 海外MBA:
  • メリット:国際的なブランド力を持つ大学院が多く、グローバルな人脈を築きやすく、英語力を実践的に磨けます。最先端の教育環境で学ぶことができます。
  • デメリット:学費が比較的高額(500万〜2,000万円以上)で、渡航費や生活費も必要になります。原則として授業は全て英語で行われるため、高い語学力が求められます。履修期間が国内MBAより長くなることもあります。

オンラインMBA・通学制MBA

  • オンラインMBA:
  • メリット:場所を問わず学習でき、限られた時間を有効活用できるため、多忙なビジネスパーソンが仕事を続けながら学びやすいのが特徴です。講義録画を何度も見直せるなど、オンラインならではの学習方法があります。
  • デメリット:対面授業に比べると臨場感に乏しく、自発的な学習姿勢やコミュニケーションが不可欠です。
  • 通学制MBA:
  • メリット:講師やクラスメートと直接対面することで、よりリアルなディスカッションや深い人脈形成がしやすいです。
  • デメリット:通学に時間、体力、費用の負担がかかり、時間的な制約があります。

総合・専門プログラムの違い

  • 総合プログラム(General MBA):経営全般を俯瞰的に学び、幅広い視野と高いマネジメント能力を持つビジネスリーダーを育成します。経営戦略論、経営組織論、ファイナンス、マーケティングなど、幅広いカリキュラムが提供されます。
  • 専門プログラム(Specialized MBA):金融・財務、イノベーション、ヘルスケアなど、特定領域を専門的に学習します。経営の基礎を抑えつつ、特定の分野に強い特色のある高度専門人材の育成を目指します。

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MBA取得で得られる知識・スキルとキャリア効果

MBAの取得は、ビジネスパーソンとしての能力を大きく高め、キャリアに多大な影響をもたらします。

習得できる知識・スキルの全体像

MBAプログラムでは、以下のような知識とスキルが習得できます。

  • 経営に関する体系的な知識:経営戦略、マーケティング、ファイナンス、会計、組織行動、情報技術など、経営のあらゆる側面を包括的に学びます。
  • 実践的な課題解決スキル:ケーススタディを通じて、複雑なビジネス課題の本質を見抜き、論理的思考力、分析力、洞察力、戦略構築力を養い、最適な解決策を導き出す能力を身につけます。
  • アントレプレナーシップ:新しい事業の創造意欲や、高いリスクに果敢に挑む姿勢を育みます。創造力、発想力、決断力、行動力などが養われます。
  • リーダーシップ:目標達成のために組織や人を導く能力を学び、変革時に重要となるリーダーシップを身につけます。
  • コミュニケーション能力・プレゼンテーション能力:ディスカッションやグループワーク、発表の機会を通じて、他者と円滑に意思疎通を図り、自分の意見を効果的に伝える能力を高めます。

キャリアアップ・キャリアチェンジの具体例

MBA取得は、キャリアアップやキャリアチェンジに有利に働きます。

  • 昇進・昇格・年収アップ:経営スキルが身につくことで、現職での昇進や責任のあるポジションへの異動、それに伴う年収アップが期待できます。実際に、MBA取得後に年収が大幅に増加した例も多く報告されています。
  • 転職:MBAホルダーは、特に情報通信業、金融・保険業、サービス業、製造業、コンサルティングファーム、外資系企業などで高く評価されます。新たな業種や職種へのキャリアチェンジの可能性も広がります。
  • 独立・起業:経営スキルを体系的に学ぶことで、独立や起業の道も拓かれます。アントレプレナーシップを養い、自らの事業を成功させるための基盤を築けます。

人的ネットワーク構築のメリット

MBAプログラムには、さまざまな業界、業種、職種、国籍のビジネスパーソンが集まります。彼らとの交流を通じて築かれる人的ネットワークは、生涯にわたる貴重な財産となります。

  • 多様な価値観との接触:異なる経験や視点を持つクラスメートとの議論は、自身の視野を広げ、思考を深めるきっかけとなります。
  • ビジネスチャンスの拡大:学友や卒業生が、将来のビジネスパートナーや顧客となる可能性があります。起業や新規事業の立ち上げの際に、このネットワークが大きな力となることも珍しくありません。
  • 生涯にわたる切磋琢磨:同じ志を持つ仲間との出会いは、卒業後も互いに刺激し合い、成長を加速させる関係へと発展することが期待されます。

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MBAを取得するうえでの注意点・適性

MBA取得は、キャリアを大きく広げるチャンスとなる一方で、多大な費用や労力が必要です。後悔しないためにも、取得する上での注意点や自身の適性を理解しておくことが重要です。

向いている人の特徴

MBA取得が特に向いているのは、以下のような特徴を持つ人です。

  • 経営・マネジメント層を目指す人:将来的に経営者や管理職、チームリーダーとして活躍したい人にとって、体系的な経営知識と実践スキルは不可欠です。
  • 起業・独立志望の人:ビジネスモデルの構築、市場分析、資金調達など、起業に必要な知識とスキルを効率的に身につけたい人に適しています。
  • グローバルビジネスに携わる人:国際的な視点や異文化理解、実践的な語学力を高めたい人にとって、海外MBAや英語で学べるプログラムは非常に有効です。
  • 専門職としてキャリアアップを目指す人:財務、税務、法務、事業統括、人事など、特定の専門分野でより高度な知識とスキルを身につけたいコーポレート部門の専門職にも役立ちます。

費用・投資対効果

MBA取得には、国内で150万〜500万円、海外では500万〜2,000万円以上と、多額の費用がかかります。これに加えて、フルタイムで学ぶ場合は一時的な収入の減少も考慮する必要があります。 そのため、MBAは「投資」と捉え、その「投資対効果」を事前に慎重に検討することが重要です。学んだことが実務でどのように活かされ、キャリアアップや年収アップにつながるかを具体的に考えることで、後悔を防ぐ一助となります。奨学金制度や教育ローン、勤務先からの支援制度なども活用し、費用の負担を軽減する方法を検討しましょう。

よくある誤解と現実

  • 「MBAは意味がない」という誤解:
  • 現実:MBAを取得しても独占業務がないことや、すぐに具体的な収入アップが保証されるわけではないため、「意味がない」と批判されることもあります。しかし、MBAはあくまで学位であり、その学びを実務でどう活かすかが重要です。論理的思考力、問題解決能力、人脈など、目に見えない形で得られるメリットは大きく、実際に多くの修了生がキャリアのポジティブな変化を実感しています。
  • 「理論が古く、現代ビジネスに役立たない」という誤解:
  • 現実:MBAのカリキュラムは、常に時代の変化を見据えて刷新されています。ケーススタディやプロジェクトベースラーニングなど、実践的な学びを重視する形式が主流であり、最新のビジネス知見を取り入れた内容が提供されています。

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まとめと今後の学び方

MBAは、現代の複雑で不確実なビジネス環境を生き抜くために必要な知識、スキル、そして人的ネットワークを提供する強力なツールです。

MBAを通じて得たものをどう活かすか

MBAで得た知識やスキル、人脈は、あくまで道具に過ぎません。それらを最大限に活かすためには、常に「何のために学び、どう活かすか」という明確な目的意識を持つことが重要です。日々の業務に学んだことを応用し、実践を通じて成果を出すことで、自身の市場価値を高め、キャリアの可能性を広げることができます。

ビジネススクールの選び方ガイド

自分に合ったビジネススクールを選ぶためには、以下のポイントを参考にしましょう。

  • 自身のキャリア目標:将来どのようなキャリアを築きたいのか、どんなスキルを身につけたいのかを明確にします。
  • プログラムの種類:国内・海外、オンライン・通学制、総合・専門など、自身のライフスタイルや学習スタイルに合ったプログラムを選びます。
  • 費用と期間:学費、生活費、キャリア中断の有無などを考慮し、無理のない計画を立てます。
  • カリキュラム内容と授業形式:学びたい専門分野や、ケースメソッド、ディスカッション、プロジェクトワークなど、自身に合った授業形式があるかを確認します。
  • 教員陣:実務経験が豊富で、高いファシリテーション能力を持つ教員が在籍しているかを確認します。
  • 国際認証とランキング:国際認証(AACSB, AMBA, EQUISなど)の有無や、MBAランキングを参考に、教育の質を評価します。
  • 卒業生の活躍とネットワーク:卒業生がどのような分野で活躍しているか、人脈形成の機会が充実しているかを確認します。

最後に:MBAのその先を見据えて

MBA取得は、新たなキャリアの扉を開く「切符」のようなものです。しかし、それがゴールではありません。変化の激しい時代において、学び続ける姿勢と、自らの頭で考え抜き、意思決定する力が、ビジネスパーソンには不可欠です。MBAで得た学びを土台として、生涯にわたる自己成長と社会貢献を目指しましょう。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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