コトラ（広報チーム） 
はじめに
本記事の目的と対象読者
本記事は、MBA（経営学修士）の取得を検討している社会人の方々を対象に、MBAの全体像から具体的な受験対策、学習方法、そして実際の体験談までを網羅的に解説することを目的としています。キャリアアップ、スキルアップ、あるいは起業を目指す方々が、自身の状況に合った最適なMBAプログラムを見つけ、合格を勝ち取るための情報を提供します。
MBA（経営学修士）とは何か？
MBA（Master of Business Administration）は、経営学修士と訳され、ビジネススクール（経営大学院）で経営学の修士課程を修了すると授与される「学位」です。これは資格とは異なり、専門的な経営学の知識とスキルを体系的に学んだことを証明するものです。MBAプログラムでは、経営戦略、マーケティング、財務、アカウンティング、リーダーシップ論など、企業経営に必要な幅広い知識と実践的なスキルを習得できます。これにより、ビジネスの課題解決能力や論理的思考力が養われ、将来的なキャリアアップや起業に繋がる大きな財産となるでしょう。
国内MBAと海外MBAの違い・選び方
MBAには国内と海外のプログラムがあり、それぞれ特徴が異なります。自身のキャリア目標やライフスタイルに合わせて、最適なプログラムを選ぶことが重要です。
国内MBAの特徴
国内MBAの大きな特徴は、仕事を続けながら学べるプログラムが多い点です。多くのビジネススクールが平日夜間や週末に授業を開講しており、休職や退職をせずにMBA取得を目指せます。
- 期間と参加形態: 2年制が主流で、平日夜間や週末に授業が行われるパートタイム形式が多いです。
- 仕事との両立: 仕事を継続しながら学ぶことが可能です。
- 費用: 海外MBAと比較して授業料が安価な傾向にあり、教育訓練給付制度の対象となる場合もあります。
- 言語: 主に日本語で授業が行われます。
- 評価: 近年、国際認証を取得する国内MBAが増え、国際的な価値も向上しています。しかし、欧米企業と比較すると、日本企業では実務経験が重視される傾向が強く、MBA単独での評価は海外ほど高くない場合もあります。一方で、国内での人脈形成や、日本市場に特化した経営知識を深めるメリットがあります。
海外MBAの特徴
海外MBAは、グローバルな視点と高度な英語力を身につけたい方に特に推奨されます。
- 期間と参加形態: 欧州では1年制、アメリカでは2年制が主流で、多くの場合フルタイムで現地に滞在して学びます。仕事をしながらの取得は困難なことが多いです。
- 仕事との両立: 基本的に仕事を中断して（または会社派遣で）参加するため、授業料と生活費の確保が必要です。
- 費用: 授業料が高額で、2年間で700万円から2,000万円以上かかることもあります。これに加えて渡航費や生活費がかかります。
- 言語: 英語が主体で、ビジネスレベルの高い英語力が必須となります。
- 評価: 米国や欧州ではMBAが高く評価され、特にトップスクールのMBAホルダーは外資系企業や国際的なビジネスシーンでのキャリアアップに有利です。世界基準の経営学、異文化理解、グローバルな人脈形成ができる点が大きなメリットです。
自分に合ったプログラムの選び方
MBAプログラムを選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
- キャリア目標: どのようなキャリアを目指しているのか（外資系企業への転職、国内での昇進、起業、グローバルな活躍など）によって、国内MBAか海外MBAかの選択が変わります。
- 費用と期間: 確保できる費用と期間に応じて、フルタイムかパートタイムか、国内か海外か、1年制か2年制かなどを検討します。
- 英語力: 現在の英語力と、英語学習にかけられる時間も重要な要素です。海外MBAを目指す場合は、入学前から高い英語力が求められます。
- 学習スタイル: 体系的な知識習得を重視するのか、ケーススタディやディスカッションを通じた実践的な学びを重視するのか、自身の学習スタイルに合ったプログラムを選びましょう。
- 人脈: どのような人脈を築きたいか（国内のビジネスパーソン、世界の多様なバックグラウンドを持つ人材など）も考慮に入れると良いでしょう。
MBA受験の全体像とスケジュール
MBA受験は長期的な計画が必要です。志望校の選定から出願、試験対策まで、全体像を把握し、効率的にスケジュールを立てることが成功の鍵となります。
志望校選択のポイント
志望校を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしましょう。
- プログラム内容: 自身の学びたい分野（マーケティング、ファイナンス、起業など）に強みを持つスクールを選びます。各スクールのカリキュラムを詳しく調査しましょう。
- 国際認証: AACSB、AMBA、EQUISなどの国際認証を取得しているスクールは、教育の質が国際的に保証されているため、選択基準の一つとなります。
- ランキング: Financial TimesやQSなどのMBAランキングは、スクールのブランド力や卒業後のキャリア、給与水準などを測る上で参考になります。ただし、ランキングだけでなく、自身の目標に合ったスクールであるかを見極めることが重要です。
- 立地と環境: 留学期間中の生活環境も考慮しましょう。都会で多様な文化に触れたいのか、集中して学習できる落ち着いた環境が良いのかなど、自身の希望に合わせます。
- 卒業生のネットワーク: 卒業後のキャリア形成において、アルムナイ（卒業生）のネットワークは非常に重要です。活発な交流があるスクールは大きなメリットとなります。
試験日程・受験スケジュールの立て方
MBA受験の準備期間は、一般的に1年〜1年半、英語力によっては2年〜3年程度かかると言われています。
- 海外MBAの場合:
- 準備期間: テスト対策や情報収集を含め、入学希望時期から2〜3年前から始めるのが理想です。
- 出願時期: 多くのプログラムで出願締切がいくつかのラウンドに分かれています（第1ラウンド: 10月中旬〜11月、第2ラウンド: 12月〜1月初旬、第3ラウンド: 2月〜3月）。早期出願は合格枠が多く残っている、競争相手が少ないなどのメリットがあるため、可能であれば第1ラウンドを目指しましょう。
- 入学時期: ほとんどの海外MBAは8月または9月入学です。
- 国内MBAの場合:
- 準備期間: 一般的に3〜6ヶ月程度の準備期間が必要とされます。英語試験が課される場合は1年以上かかることもあります。
- 出願時期: 一次募集（秋募集）が9月〜10月頃、二次募集（冬募集）が12月〜2月頃に設定されていることが多いです。冬入試は秋入試よりも倍率が高くなる傾向があるため、秋入試での合格を目指すのが得策です。
- 入学時期: 通常4月入学です。一部の大学院では9月入学を採用している場合もあります。
国内MBA・海外MBAの主な出願時期
取得方法申請期間入学日海外MBA大学院9月～翌4月8月・9月国内MBA大学院9月～10月／12月～1月4月オンラインMBA5月～翌2月4月
これらのスケジュールはあくまで目安です。志望校の募集要項を必ず確認し、自身の状況に合わせて柔軟に計画を立てましょう。
試験科目・出願書類の準備と対策
MBA受験では、筆記試験、書類、面接といった多岐にわたる準備が必要です。それぞれの対策を計画的に進めましょう。
筆記試験（小論文・英語・GMAT等）対策
国内MBAにおける筆記試験
国内MBAの筆記試験は、主に小論文が課されます。一部の大学院では英語や数学の試験もあります。
- 小論文: 経営学に関する論述問題が出題されることが多く、アカデミックな知識や時事的な知識が問われます。提示された文章や図表を読み解き、論理的に自分の意見を記述する能力が求められます。
- 対策: 経営学の基礎知識を習得し、論理的な文章構成力を養う練習が必要です。過去問を分析し、出題傾向に合わせた対策を行いましょう。
- 英語: 多くの国内MBAではTOEICやTOEFLのスコア提出が求められます。筆記試験として課される場合は、一橋大学大学院（経営分析プログラム）などが該当します。
海外MBAにおける筆記試験（TOEFL/IELTS・GMAT/GRE）
海外MBAの受験では、以下の英語力・適性試験のスコア提出が必須となります。
- TOEFL/IELTS: 英語力を測る試験です。TOEFLはアメリカの大学院で、IELTSはイギリスやオーストラリアの大学院で主に求められます。
- 目標スコア: TOEFL 100点以上、IELTS 7.0以上がトップスクールを目指す上での目安です。
- 対策: リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能をバランス良く鍛える必要があります。ビジネス英語に特化した対策も有効です。
- GMAT/GRE: MBAプログラムで学ぶための基礎学力や適性を測る試験です。GMATはMBAに特化した試験で、GREはより広範な大学院で利用されます。
- 目標スコア: GMAT 650〜700点以上が目安ですが、トップスクールでは700点以上が求められることもあります。
- 対策: 数学能力、言語能力、分析的思考力、論理的小論文の4セクションで構成されています。英語力に加え、これらの分野の対策に十分な時間を費やす必要があります。
書類対策（志望理由書・研究計画書・推薦状など）
出願書類は合否を左右する重要な要素です。
- 志望理由書（Personal Statement/Essay）: MBAを志望する理由、なぜその大学院を選んだのか、MBA取得後のキャリアプランなどを具体的に記述します。自身のこれまでの経験とMBAでの学びがどう繋がるのかを明確に示しましょう。
- 研究計画書: 入学後に研究したいテーマや内容、その背景、先行研究、研究方法などを詳細に記述します。自身の問題意識と、それをMBAでどう深めたいのかをアピールします。
- 推薦状: 会社の上司や大学時代の恩師など、自身の能力や人間性を客観的に評価してくれる人物に依頼します。通常2通求められることが多く、英文での提出が一般的です。早めに依頼し、内容について打ち合わせを行うことが重要です。
- 履歴書（CV/Resume）: 自身の学歴、職歴、資格などを英語で簡潔にまとめます。MBAプログラムによっては職務経験が2〜3年以上求められることがあります。
- 大学の成績証明書（GPA）: 大学時代の成績を証明する書類です。海外MBAではGPA（Grade Point Average）が重視される傾向にあります。
書類作成のコツと注意点
- 自己分析の徹底: 自身の強み、弱み、キャリア目標、MBAで何を学びたいのかを深く自己分析することで、説得力のある書類を作成できます。
- 具体性: 抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードや成果を盛り込みましょう。
- 一貫性: 志望理由書、研究計画書、推薦状など、すべての書類で一貫したメッセージを伝えることが重要です。
- 添削: ネイティブスピーカーやMBA受験経験者、予備校のカウンセラーなどに添削してもらうことで、質を高めることができます。
面接対策
面接は、出願書類では伝えきれない自身の熱意や人間性をアピールする場です。
- 国内MBAの場合: 面接時間は15〜20分程度で、事前に提出した志望理由書や研究計画書の内容を中心に質問されます。「志望動機」「研究テーマ」「修了後のキャリア計画」など、自身の考えを明確に伝えられるように準備しましょう。
- 海外MBAの場合: 面接時間は30〜60分程度で、オンラインでの1対1形式が一般的です。英語でのコミュニケーション能力も評価されます。「なぜMBAを受験するのか」「なぜこの大学院なのか」「入学後にクラスにどう貢献できるか」といった質問に答えられるように、英語でロールプレイングを行うなどの練習が有効です。
勉強方法と仕事・生活との両立
社会人がMBA取得を目指す上で、効率的な勉強方法と仕事・生活との両立は大きな課題となります。
独学・予備校利用それぞれのメリット・デメリット
- 独学:
- メリット: 費用を抑えられる、自分のペースで学習できる。
- デメリット: 情報収集に時間がかかる、学習の方向性が合っているか判断しにくい、モチベーション維持が難しい、出願書類の添削や面接対策が不十分になりやすい。特に英語力や経営学の知識が少ない場合は、独学での合格は非常に難しい場合があります。
- 予備校利用:
- メリット: 効率的な学習カリキュラム、専門家による個別指導（書類添削、面接対策）、最新の情報提供、学習仲間との交流、モチベーション維持しやすい。
- デメリット: 費用がかかる。
効果的な学習計画と勉強スケジュール
MBA受験の勉強は長期戦です。計画的に進めるために以下の点を意識しましょう。
- 全体像の把握: まずは受験に必要な科目やタスクの全体像を把握し、入学までのマイルストーンを設定します。
- 目標スコアの設定と現状分析: TOEFL/IELTS、GMATなどの目標スコアを設定し、現状のスコアとのギャップを明確にします。
- 逆算と期間設定: 出願時期から逆算して、各科目の学習期間や書類作成の期間を具体的に割り振ります。英語のスコアメイクは特に時間がかかるため、早期から始めることが重要です。
- 柔軟な調整: スケジュールはあくまで目安であり、仕事の状況や学習の進捗に応じて柔軟に修正していく心構えが大切です。
- 予備校の活用: 予備校の無料相談などを利用して、個別の学習計画についてアドバイスをもらうのも良い方法です。
社会人のための両立のコツ・時間管理法
働きながらMBAを目指す社会人にとって、時間管理は非常に重要です。
- スキマ時間の活用: 通勤時間や休憩時間など、短時間でも集中して学習できるスキマ時間を有効活用しましょう。スマホアプリやオンライン教材が役立ちます。
- 学習の習慣化: 毎日決まった時間に学習する習慣を身につけることで、モチベーションに左右されずに継続できます。短距離走ではなく、マラソンを走るイメージで取り組むことが大切です。
- 優先順位付けと集中: 仕事や家庭のタスクと学習の優先順位を明確にし、集中できる時間帯を確保しましょう。
- 家族や職場の理解: 家族や会社の同僚、上司にMBA受験の意向を伝え、理解と協力を得ることが重要です。特に家庭を持つ方は、家族のサポートなしでは継続が難しい場合があります。
- 道具への投資: 高性能なPCやタブレット、裁断機など、学習効率を高めるための道具に投資することも有効です。
モチベーション維持のポイント
- 明確な目的意識: 「なぜMBAを取得したいのか」「MBAで何を成し遂げたいのか」という目的意識を常に持ち続けることが、困難を乗り越える原動力になります。
- 短期目標の設定: 長期目標だけでなく、毎週の学習目標や月ごとの進捗目標など、達成可能な短期目標を設定し、達成感を積み重ねていきましょう。
- リフレッシュ: 適度な休息や趣味の時間を取り入れ、心身のリフレッシュを心がけましょう。無理をしすぎると燃え尽きてしまう可能性があります。
- 学習仲間との交流: 予備校やSNSなどを通じて学習仲間と交流し、情報交換や励まし合いを行うことで、モチベーションを維持しやすくなります。
合格者体験談・成功事例
ここでは、国内および海外のMBAに合格した人々の体験談から、具体的な学習方法や工夫を紹介します。
一橋大学MBA合格者の体験談
一橋大学MBA（経営管理プログラム）の合格者は、研究計画書を最重要視し、5月中に一度形を作ることを目標にしていました。アカデミックな筑波大学に合わせて準備を行い、そこから他の大学の形式に合わせて修正するスタンスをとっていたようです。小論文や面接は試験日の2週間前〜1ヶ月前を目処に準備を開始していました。勉強時間は、業務時間後や週末に集中し、趣味や運動、家事などで気分転換を図りながらバランスを取っていました。独学よりも予備校を利用することで、時間的・心理的な負荷が大幅に軽減されたと感じています。
早稲田大学MBA合格者の体験談
早稲田大学MBA（夜間主総合）の合格者は、7月に受験を決意したため、当初は経営学の知識がほとんどない状態でした。そこで、まずアガルートの経営学基礎講座で知識をインプットし、それをベースに研究計画書を作成しました。研究計画書に目処が立った時点で小論文対策を開始しています。学習時間の確保は、リモートワークを活用し、仕事の前後の朝晩に1日2時間程度を目標に勉強していました。研究計画書は、先行研究のインプットに加え、自身の課題意識をどのように伝えれば効果的かを整理する時間に多くの労力を費やしました。小論文対策では、読む力と書く力の両方が求められることを痛感し、反省点として挙げています。
その他国内主要大学（慶應、一橋、グロービス等）の体験談
- 慶應義塾大学ビジネススクール（KBS）: EMBA（エグゼクティブMBA）は、実務経験15年以上の管理職を対象とし、金曜夜間と土曜のみの通学で修了可能です。ケースメソッド学習が中心であり、実践的な経営判断能力を養うのに最適とされています。
- グロービス経営大学院: 日本最大規模のオンラインMBAであり、動画配信だけでなくディスカッション形式の授業も充実しています。働きながら実践的な学びを得たい社会人に人気です。
- 中央大学大学院戦略経営研究科: 学生の約6割が40代以上であり、中高年の学び直しを積極的に受け入れているMBAです。
- 明治大学大学院グローバルビジネス研究科、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科: 起業や事業承継に特化したカリキュラムが充実しており、同じ志を持つ学生との人脈形成が可能です。
海外MBA合格者の声
海外MBA合格者は、MBA留学の準備に約2年間の計画を立てることが一般的です。最初の1年間はTOEFLやGMATのテスト対策に集中し、次の1年間で大学院調査、エッセイ、履歴書などの出願書類準備を進めます。特に英語力のスコアメイクには個人差が大きいため、早期からの準備が必須です。1stラウンドでの出願を目指し、早めにテストスコアを確保することが推奨されます。
受験に役立った工夫・参考になったポイント
- 予備校の活用: 独学では難しい出願書類の添削や面接対策、専門知識の習得において、予備校のサポートが非常に役立ったという声が多く聞かれます。
- 徹底した自己分析: 「なぜMBAが必要なのか」「将来何をしたいのか」を明確にすることで、説得力のある書類作成や面接でのアピールに繋がります。
- 柔軟なスケジュール管理: 仕事やプライベートの状況に合わせて、学習スケジュールを柔軟に調整する力が求められます。
- 情報収集: 志望校の入試要項だけでなく、説明会への参加や卒業生の体験談を聞くなど、多角的に情報を集めることが重要です。
- 諦めない気持ち: 長期にわたる受験準備期間の中で、困難に直面しても諦めずに努力を続ける強い意志が成功に繋がります。
よくある悩み・質問と解決策
MBA受験において多くの人が抱える悩みや疑問について、解決策とともに解説します。
受験に必要な学力・準備期間は？
- 学力:
- 国内MBA: 大学卒業以上の学歴が必須。一部の大学院では実務経験を重視し、学力試験がない場合もあります。小論文や面接対策として、経営学の基礎知識は必須です。
- 海外MBA: 学士号取得に加え、GMAT/GREといった適性試験のスコア、TOEFL/IELTSといった英語力のスコアが求められます。大学の成績（GPA）も重要視されます。
- 準備期間:
- 国内MBA: 一般的に3〜6ヶ月程度の準備期間が必要ですが、英語試験がある場合は1年以上かかることもあります。
- 海外MBA: TOEFL/GMAT対策に1年、出願書類準備に1年と、合計で2年程度の準備期間を見込むのが一般的です。
失敗しやすい落とし穴とその回避法
- 不十分な自己分析: 「なぜMBAが必要なのか」が不明確だと、志望理由書や面接で説得力に欠け、不合格の原因となります。
- 回避法: 徹底的な自己分析を行い、キャリア目標とMBAの関連性を明確にしましょう。
- 英語スコアの未達: 特に海外MBAでは、TOEFL/IELTS、GMAT/GREのスコアが足切りラインとなることがあります。
- 回避法: 英語学習は早期から始め、目標スコア達成まで継続的に取り組みましょう。予備校の活用も有効です。
- 出願書類の質が低い: 質の低いエッセイや研究計画書は、審査官に強い印象を与えられません。
- 回避法: 専門家による添削を受け、自身の強みや独自性を最大限にアピールできる書類を作成しましょう。
- スケジュール管理の甘さ: 長期戦となるMBA受験では、計画通りに進まないことが多々あります。
- 回避法: 余裕を持ったスケジュールを組み、進捗状況に応じて柔軟に調整できるように準備しましょう。
40代・働きながらでも合格できる？
はい、40代・働きながらでもMBA合格は十分に可能です。
- 国内MBA: 国内MBAの多くは平日夜間や土日に開講されており、仕事を続けながら通学できます。実際に国内MBAの在校生には40代、50代の社会人も多く、例えば中央大学大学院戦略経営研究科は、学生の約6割が40代以上です。
- 働きながらの学習のコツ:
- オンラインMBAの活用: 自宅で自分のペースで学べるオンラインMBAは、仕事との両立に特に有効です。
- 家族や職場の理解: 周囲の協力を得ることで、学習時間を確保しやすくなります。
- 効率的な時間管理: スキマ時間を活用し、学習を習慣化することが重要です。
ただし、40代・50代でMBAを取得する目的は明確にしておくべきです。「起業・事業承継」「役員への昇進準備」など、具体的なキャリアプランがある場合はMBAが非常に有効ですが、「特定スキルの学び直し」が目的であれば、MBAが最適とは限らない場合もあります。
最新MBA受験トレンド・難易度
- 国内MBAの難易度上昇: 近年、国内MBAの志願者数は増加傾向にあり、人気大学院の倍率は上昇しています。企業の高度経営人材へのニーズの高まりや、ビジネス環境の変化に対応するためのキャリア構築の選択肢としてMBAが注目されているためです。
- オンラインMBAの普及: コロナ禍以降、オンラインMBAプログラムが国内外でさらに普及し、働きながらMBAを取得しやすい環境が整ってきています。
- 国際認証の重要性: 国内外問わず、国際認証（AACSB、AMBA、EQUIS）を取得しているビジネススクールの価値は高まっており、スクール選びの重要な基準となっています。
予備校・参考書・おすすめ情報
MBA受験を効率的に進めるために、予備校や参考書、その他役立つ情報を活用しましょう。
国内MBAに強い予備校・人気講座の比較
国内MBA受験対策に特化した予備校は、出願書類の添削、小論文対策、面接対策など、個別のサポートを提供しています。
- アガルートアカデミー: 国内MBA試験対策に特化した講座を提供しており、出願書類の添削や面接対策、経営学の基礎講座などが充実しています。多くの合格者を輩出しており、特に研究計画書の作成指導に強みがあります。
- その他: 各予備校が提供する無料説明会や体験講座に参加し、自分に合った指導スタイルやカリキュラムを選びましょう。
おすすめの入試対策本・教材リスト
- 経営学基礎:
- 『ゼミナール経営学入門（新装版）』伊丹敬之、加護野忠男（日本経済新聞出版）
- 小論文対策:
- 『国内MBA受験の小論文対策―基礎知識マスター編』飯野一（中央経済社）
- 『国内MBA受験の小論文対策―実践的合格答案作成編』飯野一（中央経済社）
- 研究計画書・志望理由書対策:
- 『改訂新版 国内MBA受験のための研究計画書の書き方』鄭龍権（晶文社）
- 面接対策:
- 『国内MBA受験の面接―大学院のタイプ別FAQ』飯野一（中央経済社）
- 英語対策（TOEIC）: 目標スコアに応じたTOEIC対策の教材を活用しましょう。
- GMAT/GRE対策: 各試験の公式ガイドや問題集、専門の教材を利用します。
予備校・コンサル選びのポイント
- 実績: 合格実績や受講生の声を参考にしましょう。
- 指導内容: 自身の苦手分野や必要なサポート（書類添削、面接対策、英語対策など）に合わせて、充実した指導を受けられるかを確認します。
- 担当カウンセラーとの相性: 長期にわたる受験準備を支えるパートナーとなるため、信頼できるカウンセラーを選ぶことが重要です。
- 費用: 予算に合った料金体系であるかを確認し、必要に応じて奨学金制度なども検討しましょう。
無料説明会・サポート情報
多くの予備校では、無料のMBA説明会や個別相談会を実施しています。これらに積極的に参加することで、最新の情報収集や自身の状況に合ったアドバイスを得られます。また、無料資料請求で提供されるガイドブックや体験講義も、受験準備の第一歩として非常に有用です。
まとめ
効率的なMBA受験のために
MBA受験は、自身のキャリアを大きく左右する重要な挑戦です。国内MBAと海外MBAそれぞれの特徴を理解し、自身のキャリア目標、費用、期間、英語力、学習スタイルに合わせて最適なプログラムを選択することが成功の第一歩となります。 志望校が決まったら、出願時期から逆算して綿密な学習スケジュールを立て、筆記試験、出願書類、面接といった各対策を計画的に進めましょう。特に社会人にとっては、仕事や家庭と学習の両立が大きな課題となるため、効率的な時間管理や周囲の理解と協力が不可欠です。
この記事の活用方法と次のステップ
本記事で解説した情報を参考に、まずは以下のステップを踏んでみてください。
- 自己分析を徹底する: 「なぜMBAが必要なのか」「MBA取得後に何をしたいのか」を明確にしましょう。
- 国内外MBAの比較検討: 国内と海外のMBAのメリット・デメリットを比較し、自身の目標に合った方向性を定めます。
- 志望校の絞り込みと情報収集: 複数のスクールについて、カリキュラム、国際認証、ランキング、卒業生のキャリアなどを詳しく調べ、候補を絞り込みます。
- 無料説明会・個別相談の活用: 予備校やビジネススクールが開催する無料の説明会や個別相談会に積極的に参加し、疑問点を解消しましょう。
- 学習計画の立案と開始: 出願時期から逆算し、英語力、経営学の知識レベルに応じた具体的な学習計画を立て、準備を開始します。
MBA取得は、経営に関する体系的な知識だけでなく、論理的思考力、課題解決能力、そしてグローバルな視点と人脈を得る貴重な機会です。ぜひこのガイドを最大限に活用し、あなたのMBAへの挑戦を成功させてください。
