コトラ（広報チーム） 
第1章：サステナビリティとは？基本知識を押さえよう
サステナビリティの定義とは？
サステナビリティとは、持続可能性を意味し、「現在の世代が将来の世代のニーズを損なうことなく、自分たちのニーズを満たすことができるような社会の成り立ち」を指します。環境・社会・経済の3つの視点からバランスを図ることが求められ、これによって長期間にわたり人類と地球が共生できる基盤を構築することが目指されています。
なぜサステナビリティが重要なのか？
サステナビリティが重要視される理由は、地球規模での環境問題や社会的課題が深刻化しているからです。気候変動や生物多様性の喪失、資源の枯渇といった課題に直面している現代では、これらを緩和し持続可能な未来を築くためには、個人、企業、政府がそれぞれサステナビリティを意識した行動を取ることが必要です。これによって、環境保全だけでなく、より公平で持続可能な社会を目指せます。
SDGsとの関係
サステナビリティの概念は、SDGs（Sustainable Development Goals）とも深い関連があります。SDGsは、2015年に全ての国連加盟国が採択した持続可能な開発目標のことで、17の目標と169のターゲットから構成されています。これにより、人類や地球に対する持続可能な取り組みが具体的に示され、例えば、気候変動対策、教育機会の向上、貧困削減などが含まれています。SDGsは、多くの企業や自治体がサステナブルな取り組みを進める際の指針にもなっています。
サステナビリティとESG投資の違い
サステナビリティとESG投資は混同されがちですが、異なる側面を持っています。サステナビリティは広義な概念で、社会全体の持続可能性を追求する指針として環境・社会・経済全てを含みます。一方で、ESG投資は投資分野の話であり、環境（Environment）、社会（Social）、企業統治（Governance）の観点で優れた企業を選定・支援する投資手法を指します。ESG投資は、サステナビリティを具体的な行動に結びつけた一形態とも言えるでしょう。このように、それぞれが別の役割を持ちながら、共に持続可能な未来を目指しています。
第2章：初心者が押さえておくべき重要用語5選
カーボンニュートラルとは？
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量が実質的にプラスマイナスゼロとなる状態を指します。具体的には、二酸化炭素（CO2）などの排出量を削減するとともに、森林整備やカーボン・オフセットといった方法を用いて相殺することが目指されます。2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標は、多くの国と企業にとって重要な課題となっており、脱炭素社会への移行に向けた取り組みが活発化しています。この用語はサステナビリティの基本概念として欠かせないものです。
サーキュラーエコノミーの概念
サーキュラーエコノミーとは、資源を効率的に利用し、その価値を可能な限り長く維持することを目的とした経済モデルを意味します。従来の「使い捨てる」モデル（直線型経済）とは異なり、廃棄物を可能な限り削減し、再利用・リサイクルすることで資源の循環を促進します。このアプローチにより、環境負荷を軽減しながら経済活動を持続可能な形で運営することを目指します。ヨーロッパを中心に政策が進められており、サステナブルな暮らしに関心のある方にとって今後理解を深めるべき重要用語といえるでしょう。
スコープ1・2・3とは？
スコープ1・2・3は、企業が排出する温室効果ガスを分類するためのフレームワークです。これは、温室効果ガス排出量を「直接排出」と「間接排出」に分けて包括的に把握するための基準です。スコープ1は企業自身が排出する直接的な温室効果ガス（例えば工場の燃料燃焼）、スコープ2は購入した電力や熱の使用に伴う間接的な排出、スコープ3はサプライチェーン全体での間接排出を指します。この基準を理解することで、企業がサステナブルな取り組みを進める上で、どの領域で環境負荷を減らすべきかを明確にすることができます。
パリ協定の概要
パリ協定は、2015年に採択された地球規模の気候変動対策条約です。この協定では、世界共通の目標として「産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑え、さらに1.5℃以下を目指す」ことが掲げられています。そして、この目標を実現するために、すべての締約国が温室効果ガスの削減目標を設定し、自国の取り組みを強化することが求められています。また、発展途上国への支援や気候変動への適応策も重要なテーマとして扱われています。パリ協定は各国政府だけでなく、民間企業や個人においてもサステナビリティへの理解を深め、行動を促す枠組みとなっています。
第3章：日常生活で活用できるサステナブルなヒント
再生可能エネルギーを選ぶ
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力など自然界にあるエネルギーを利用し、枯渇の心配がないクリーンなエネルギーのことを指します。このエネルギーを選ぶことで、温室効果ガスの削減や脱炭素社会の実現に貢献できます。例えば、家庭用の電力契約を再生可能エネルギーを主に供給するプランに変更する方法があります。さらに、地域によっては自治体や企業が推進するグリーンエネルギープログラムを活用することもできます。日常生活の中で選択肢を意識するだけで、サステナブルな社会に一歩近づくことができるのです。
地産地消の取り入れ方
地産地消とは、地域で生産された食材や製品を地域内で消費することを指します。この取り組みは、輸送による二酸化炭素排出量を削減できるだけでなく、新鮮で安全性の高い食材を手に入れることができ、地域経済の活性化にもつながります。例えば、地元の農産物直売所を利用したり、地域で育てられた野菜や果物を意識して選んだりすることで、個人レベルでも簡単に始められます。また、地産地消の考え方は「食」の分野だけでなく、地域の工芸品やリサイクルによる製品購入にも活かせます。身近な選択が、よりサステナブルな生活に繋がるのです。
フェアトレード製品の活用
フェアトレードとは、発展途上国の生産者と適正な取引を行い、公正な賃金を確保しつつ労働環境の改善や地域の持続可能な発展を目指す制度です。コーヒーやチョコレート、綿製品など、フェアトレード認証を受けた商品が多く展開されています。これらを選ぶことで、消費者として環境や人権問題に配慮し、グローバルな責任を果たす行動ができます。また、フェアトレード製品は環境負荷が低いプロセスで生産される場合が多く、サステナビリティの観点から見ても選ぶ価値があります。ぜひ、買い物の際にフェアトレードマークをチェックしてみてください。
第4章：企業とサステナビリティの関わり
CSRとサステナビリティの関係性
CSR（企業の社会的責任）とサステナビリティは密接な関係があります。CSRは、企業が社会や環境、経済に与える影響を考慮しながら事業を行うべき責任を指す概念です。一方、サステナビリティは、持続可能な社会の実現を目指す広範な目標を指します。この2つは、企業活動において調和を図るべき重要な指針といえます。CSRの実践はサステナビリティの目標達成に寄与するものであり、社会課題の解決や環境保護への貢献を通じて企業価値を向上させる役割を果たしています。多くの企業において、CSR活動を実際にサステナブルな形で実践することが求められています。
企業のサステナブル経営事例
企業がサステナブル経営を実践する例は年々増えています。一つの具体例として、日本の大手自動車メーカーが掲げるカーボンニュートラル目標があります。この企業では、電気自動車やハイブリッド車の開発を進めることで温室効果ガスの排出削減を実現しています。また、リサイクル素材の活用やサーキュラーエコノミーを取り入れたビジネスモデルを構築する企業も見受けられます。さらに、再生可能エネルギーの利用拡大を推進する企業は、持続可能なエネルギー利用を柱とした戦略を明確に打ち出しています。これらの事例は、企業がフィールドを越えて積極的にサステナブルな未来に貢献している証といえるでしょう。
Bコープ認証とは？
Bコープ認証とは、社会的課題の解決や環境保護に真剣に取り組んでいる企業に対して付与される国際的な認証です。この認証は、単なる利益追求を目的とせず、ステークホルダー全体の幸福を追求する企業の倫理的な経営姿勢を評価しています。Bコープ認証を取得するためには、ガバナンス、環境への配慮、地域社会への貢献などの厳格な基準をクリアする必要があります。このため、Bコープ認証を取得した企業は、サステナビリティに対する誠実な取り組み姿勢を示しているといえます。この認証は特に、消費者がエシカル消費を推進する際の指標としても注目されています。
グリーンウォッシュを防ぐには
グリーンウォッシュとは、持続可能性への取り組みを過剰にアピールしたり、誤解を招く表現で実態以上に環境意識を高く見せる行為を指します。このような行為は消費者の信頼を損なうだけでなく、サステナビリティ用語や取り組み全体の価値を低下させるリスクがあります。グリーンウォッシュを防ぐためには、透明性の高い情報開示が重要です。具体的には、自社の活動や製品が具体的にどのように環境や社会に貢献しているのかを、数値やデータで明確に示す必要があります。また、第3者機関の認定を受けることで信頼性を高めることも有効です。企業が本当に持続可能な社会の実現に向けて行動しているのか、消費者や投資家は慎重に情報を精査することが求められます。