パソナグループの概要と女性活躍支援の歴史
創業当初からの女性活躍推進への取り組み
パソナグループは、創業時から女性の社会進出を応援する取り組みを積極的に進めてきました。同社は、女性が働きやすい環境を整備し、キャリア形成を支援することを事業の柱の一つとして掲げています。創業当初から、女性がライフステージに応じた選択肢を持ちながら、長期的に活躍できる仕組みづくりを構想していました。
具体的には、女性が出産や育児を経てもキャリアを中断せずに続けられるよう、柔軟な働き方を推進するとともに、復職後も安心して働けるサポート体制を整えています。これらの取り組みによって、パソナは「女性が働きやすい企業」としての信頼を築き上げてきました。
「えるぼし」認定など外部評価の獲得
パソナグループは、その女性活躍支援の取り組みが高く評価され、「えるぼし」認定の最上位クラスを取得しています。「えるぼし」とは、女性活躍推進法に基づき、企業の女性従業員の活躍状況を評価する制度で、最も高い基準をクリアした企業に対して認定が行われます。
また、同社はさまざまな外部機関からも高い評価を受けており、ランキングや表彰などでその実績を示しています。これらの評価は、パソナが単なる施策推進にとどまらず、具体的かつ実効性のある結果を出していることの証ともいえるでしょう。
女性管理職比率47.8%を達成するまでの歴史
パソナグループの女性管理職比率が47.8%という高水準に達している背景には、長年にわたり蓄積してきたノウハウと、着実に実行してきた政策があります。同社は、女性管理職の採用支援やキャリア開発を一貫して進めており、女性社員の持つ可能性を最大限に引き出すことを目指してきました。
例えば、女性向けのキャリアプログラムや、復職後の支援を中心とした研修などを早い段階から導入し、女性社員同士のネットワーク形成や情報共有を促進しています。また、採用プロセスでは性別に偏らず人材を公正に評価し、女性が管理職候補として採用後も成長できる環境を整えています。
これにより、パソナグループでは女性社員が管理職に就くまでのキャリアパスが明確化され、働きがいやモチベーションが醸成される結果となっています。これらの持続的な努力によって、現在の高い女性管理職比率が実現しました。
パソナにおける女性管理職を支える環境と制度
働きやすい職場を実現する柔軟な働き方支援
パソナグループでは、女性管理職の比率向上を支えるために、柔軟な働き方支援を積極的に推進しています。リモートワークや時短勤務、フレックスタイム制度など、多様な働き方を選択できる環境を整備することで、子育てや介護といった家庭の事情を抱える社員でも無理なくキャリア形成が可能です。また、育児や家族の事情に配慮した働き方を認めるだけでなく、キャリアアップを目指す社員への支援も行うことで、全社員が働きやすい職場を実現しています。
企業内保育園と学童保育などの育児支援制度
パソナグループは、育児中の女性社員を支援するための具体的な施策として、企業内保育園や学童保育を提供しています。特に、企業内保育園の保育料については無償化を実施しており、社員が安心して仕事と育児を両立できる環境づくりを進めています。また、夏休み期間には南青山のオフィス内で学童保育を実施し、2022年には390人もの子どもたちが利用しました。これにより、女性管理職として活躍するママ社員がさらに増える基盤を支えています。
女性社員同士のロールモデル形成
パソナグループでは、女性管理職の成長を支えるために、女性社員同士でのロールモデル形成を大切にしています。例えば、復職後1〜2年の女性社員向けに開催される「IDOBATA会議」では、お互いの情報交換やキャリアに対する相談が行われ、現役女性管理職からのアドバイスを受けられる貴重な機会となっています。また、先輩社員によるキャリアの共有や、女性管理職をテーマとしたリアルイベントの開催など、多様な交流の場を通じて、女性社員が未来のビジョンを描きやすい環境づくりを進めています。
データで見るパソナの女性管理職比率向上の秘訣
採用から育成までのシステム化
パソナグループでは、女性管理職の採用から育成に至るまで一貫したシステム化を進めています。採用段階では、女性が求める働き方やキャリアを見据えた求人票の作成や、求職者との密なコミュニケーションによるマッチングに注力しています。たとえば、入社前に具体的なキャリアパスを提示することで、スムーズな活躍を支援する体制を整えています。また、採用後には研修やスキル開発プログラムを通じて、女性管理職候補者の能力向上を図っています。これらの取り組みによって、女性管理職への安心感と信頼感を醸成しているのが特徴です。
公正な評価制度が引き出すモチベーション
公正な評価制度も、パソナの女性管理職比率向上の重要なポイントです。従業員一人ひとりの成果と能力を正当に評価する仕組みを構築しており、性別を問わない公平性が確保されています。評価基準は明確に示されており、透明性の高い評価プロセスが、管理職を目指す女性社員のモチベーション向上につながっています。また、定期的なフィードバックを通じて、自身のキャリア目標や課題を明確にし、次のステップに進むための指針を得ることが可能です。こうした環境が、女性管理職の増加を後押ししています。
独自のキャリア開発プログラムの内容とは
パソナグループでは、女性社員が管理職を目指すための独自のキャリア開発プログラムを展開しています。その中でも注目されるのが「Women’s Advanced Program」で、女性幹部候補者を対象とした合宿型のマネジメント研修です。このプログラムでは、リーダーシップスキルや戦略的思考を育むカリキュラムが実施されており、多くの女性社員が自らのキャリアをデザインする力を身につけています。また、同僚や先輩との情報交換やディスカッションを通じて、ロールモデルを形成する場にもなっています。こうした取り組みにより、女性管理職の育成が加速しています。
今後の展望と女性活躍推進に向けた課題
2025年の目標と具体的施策
パソナグループは、2023年に女性管理職比率47.8%を達成しましたが、さらなる目標として2025年までに50%を超えることを掲げています。この目標を達成するため、女性管理職候補者に対する採用支援や育成策をより一層強化しています。その具体的施策として、2024年9月に「Women’s Career Successチーム」を設立予定であり、ハイクラス女性の転職支援サービス「Be myself for Women’s Career」を開始します。このサービスは、女性管理職やキャリア形成を目指す求職者に向け、企業と求職者をつなぐ橋渡しを実現するものです。
女性リーダー育成の新たなプログラム
パソナグループは、より多くの女性が管理職として活躍できる社会を目指し、さまざまなリーダー育成プログラムを展開しています。特に注目されるのが2021年にスタートした「Women’s Advanced Program」です。これは、兵庫県淡路島にて行われるマネジメント強化を目的とした合宿型の研修であり、企業の女性幹部候補に向けた内容となっています。この研修では、女性同士のロールモデル形成を促進し、参加者が抱える課題を共有・解決する場を提供しています。さらに、復職直後の女性社員を支える「IDOBATA会議」や、キャリア相談を重ねた個別プランも充実しており、これらの取り組みが女性リーダーの成長を後押ししています。
他企業や社会への波及効果
パソナグループの女性活躍推進の取り組みは、他企業や社会全体にも大きな影響を与えています。特にその実績とノウハウは、多くの企業が自社のダイバーシティ(DE&I)施策を見直す際の参考となっています。また、ハイキャリア女性の転職支援プログラムや採用ブランディングの手法は、女性管理職比率が低い業界や企業においても応用可能なモデルケースとなっています。さらに、女性管理職を増やす動きは、女性活躍促進法の行動計画策定義務が広がる中で、ジェンダー平等社会の実現に寄与するものであり、パソナによる社会への影響力は今後も増していくでしょう。