役員報酬ゼロ円でもOK?節税&リスクを徹底解説!

役員報酬ゼロ円の基本事項

役員報酬をゼロにすることは可能か?

役員報酬をゼロ円に設定することは可能です。法人と役員の間では委任契約が結ばれるため、雇用契約のように必ず報酬が必要という規定はありません。そのため、役員報酬なしの状態でも法的には問題ありません。しかし、役員報酬は会社の経費計上にも影響するため、ゼロ円とする場合でも慎重な検討が必要です。

役員個人と法人に与える影響

役員報酬をゼロ円とすることにより、役員個人と法人の双方にさまざまな影響が及びます。まず、役員個人にとっては所得がなくなるため、生活費や社会保険料の負担が問題となる可能性があります。一方で、法人にとっては役員報酬を支払う必要がない分、資金繰りが楽になるメリットがあります。ただし、この方法を選択すると、金融機関における信用や融資審査に影響が出る場合もあるため注意が必要です。

会社法や税法が求める条件とは

役員報酬をゼロ円とする際には、会社法および税法で規定されている条件に留意する必要があります。例えば、会社法では役員報酬の決定を株主総会や取締役会の決議を通じて行うことが求められています。また、ゼロ円の役員報酬に変更する場合でも、適切な時期に議事録を作成しておくことが必要です。税法上では、法人税の観点から、合理的でない役員報酬の設定が問題視される場合もあるため、税理士に相談することを推奨します。

役員報酬をゼロにする際の手続き

役員報酬をゼロ円にする手続きでは、まず株主総会や取締役会での決議を行う必要があります。この際、議事録に報酬をゼロ円と設定する旨を記録します。また、法人設立から3ヶ月以内に役員報酬の設定を届け出る必要があり、後から変更する場合でも同様の手続きが求められます。手続きの際には、役員報酬なしによる法人税や社会保険への影響について事前に検討しておくことが重要です。

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役員報酬ゼロ円のメリット

経営初期の資金負担を抑えられる

会社設立直後や経営初期では、収入が安定せず手元資金が限られているケースが多くあります。このような状況では、役員報酬をゼロ円にすることで、会社の資金を節約し運転資金に回すことが可能です。役員報酬なしで会社の利益を内部留保すれば、経営基盤を整える助けとなります。特に新しい会社やマイクロ法人では、無報酬を選択することで資金繰りを健全に保つことができるでしょう。

社会保険料の負担軽減

役員報酬を設定すると、それに基づいて社会保険料が発生します。しかし、役員報酬をゼロ円にすることで、その分の社会保険料を抑えることが可能です。役員報酬なしの場合でも一定の要件を満たす場合は社会保険に加入する必要がありますが、報酬額が低ければ保険料の負担が最小限に抑えられます。初期の経営では、この負担軽減が大きなメリットとなることがあります。

収支が不安定な場合に有効な選択肢

会社経営がまだ安定していない段階では、役員報酬をゼロにすることで支出の予測が立てやすくなります。収益が予測困難な場合でも、役員報酬なしという選択をすることで柔軟に経営計画を立てることができ、必要に応じて他の出費に回せる資産を確保できます。赤字の状況でも負担を軽減できるため、経営の立ち直りに専念しやすくなります。

定期的な報酬支給が不要の柔軟性

役員報酬なしを選択することで、定期的な支給義務から解放され、柔軟な資金運用が可能になります。役員に対して報酬を支払わないことは、法的に問題がなく、会社の意思決定に応じて自由に設定できます。そのため、経営状況を見ながら役員報酬の有無を調整することで、効率的な資金管理が実現できます。この柔軟な運用は特に経営初期のスタートアップ企業にとって有効な戦略です。

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懸念されるデメリットとリスク

役員個人の生活費への影響

役員報酬を「0円」に設定する場合、役員個人の生活費に大きな影響を及ぼす可能性があります。報酬なしで生活を維持するためには、他に収入源が必要です。例えば、個人的な貯蓄や別の収入が十分であれば問題は少ないですが、そうでない場合は生活費の不足が生じる可能性があります。また、長期的な視点で見ても、収入がない期間が続けば生活設計や自己資金計画に影響を及ぼすおそれがあるため、事前にしっかりと計画を立てる必要があります。

年金や保険への将来の影響

役員報酬がゼロの場合、給与所得がないため年金や健康保険料の支払いにも影響が出る場合があります。具体的には、厚生年金の受給額が将来減少する可能性が高まります。また、役員報酬がない場合でも役員としての社会保険料の加入義務はあるため、支払うべき保険料が発生することがあります。そのため、役員報酬を無報酬にすることで一時的にコストが抑えられたとしても、長期的には老後の生活や医療費の準備に悪影響を及ぼす可能性があることを理解しておく必要があります。

法人税負担が増えるリスク

役員報酬をゼロにすることで、法人税負担が増えるリスクも懸念されます。法人の利益から役員報酬を支払うことは、経費として認められるため課税対象所得を減少させる効果があります。しかし、役員報酬を支払わない場合、法人の利益がそのまま課税対象となるため、結果的に法人税が増加する可能性があります。この点は特に資金繰りを重視する場合には慎重に検討すべき重要な要素となります。

銀行や投資家の評価への影響

役員報酬がゼロの場合、銀行や投資家の評価に影響を与える可能性があります。銀行が融資を判断する際、役員報酬がない決算書を見て「収入源が不透明」「事業の安定性に不安がある」といった懸念を抱くことがあります。同様に、外部投資家が事業に投資する際も、役員報酬ゼロに対して慎重な姿勢を見せることがあります。これらの信用面でのリスクを回避するためには、役員報酬ゼロの背景や資金の流れを明確に説明できる資料を用意することが有効です。

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役員報酬ゼロ円を選択する際の注意点

税理士と相談し最適な判断を

役員報酬をゼロ円にするかどうかを判断する際は、税理士に相談することが重要です。特に「役員報酬なし」にすると、法人税や所得税、また社会保険料の負担など様々な要素が関係してきます。税務や法律の観点から適切な判断をするためにも、専門家の意見を取り入れることで不利な状況を避けることができます。また、会社の経営状況や将来的な資金計画も併せて相談すると、より現実的で負担の少ない選択が可能となります。

事前に資金計画を見直す

役員報酬をゼロにする前に、会社全体の資金計画を見直すことが必須です。役員報酬を設定しない場合、法人に資金が残ることで経営の安定につながる反面、役員個人の生活費や必要な支出をどのように補うのかを考慮しておく必要があります。また、金融機関や取引先からの評価にも影響するため、資金計画は信頼の観点からも綿密に検討する必要があります。特に、経営初期の企業では、融資や投資の可否に直接関わるポイントですので慎重に判断しましょう。

議事録や法的整備を忘れない

役員報酬をゼロ円にする場合、必ず議事録を作成し株主総会で承認する手続きが必要です。これは会社法で求められているルールで、手続きが不十分だと、後々の税務調査や監査で問題視される可能性があります。そのため、役員報酬ゼロ円を決定する場合は正式に書面化し、適切な方法で記録を保管してください。また、この手続きは会社が一定の信頼性を保つためにも欠かせないものです。

適切な時期で見直しを図る

役員報酬をゼロ円に設定した場合でも、状況に応じて定期的な見直しを行うことが重要です。例えば、会社の経営が安定して利益が確保できたタイミングや新たな融資を受ける際に、役員報酬を再設定することで法人税の節税や取引先との信頼関係の維持が可能になります。また、見直しのタイミングが遅れることで、役員個人の社会保険や将来の年金に悪影響が及ぶ場合もあるため、タイムリーな判断を心がけましょう。

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管理と運用の成功事例

スタートアップ企業の活用事例

スタートアップ企業では、創業当初の資金繰りを重視して役員報酬をゼロに設定するケースが少なくありません。この戦略により、初期の運転資金を会社の成長に振り分けることが可能となり、短期間での事業拡大を実現した企業もあります。例えば、IT系のマイクロ法人では、役員報酬なしで運営することで、開発費用やマーケティングに資金を集中投下し、他社との差別化を図ることができました。また、役員が初期段階で自身の生活費を自己資金でカバーすることで、法人利益を最大化し、その結果、金融機関からの融資審査にも通過しやすい実績を構築することができた事例もあります。

資金繰りの優先度を高めた事例

新たに会社設立をした際に、役員報酬をゼロにすることで、資金繰りに余裕を持たせた事例もあります。例えば、小規模な飲食業を立ち上げたある経営者は、役員報酬なしの形で開始し、最初の半年間は売上の全額を原材料費や設備投資、広告宣伝費に回しました。その結果、初期運営でキャッシュフローを安定化させることに成功し、早期の返済スケジュールで融資の負担を軽減できました。このように役員報酬ゼロ円の選択肢は、経営初期における柔軟な資金管理を可能にするメリットがあります。

デメリット回避に成功した方法

役員報酬をゼロにすることで生じる可能性のあるデメリットを適切に回避した事例もあります。一例として、役員が他に収入源を確保することで、個人の生活費問題や金融機関からの信用問題を解決した企業があります。この場合、事前に事業計画を慎重に練り、資金繰りの全体像を把握することで、融資審査でも透明性の高い説明が可能となりました。また、将来的な役員報酬の引き上げを視野に、株主総会や議事録の整備を徹底し、税法や会社法への適合性を確保した点も成功要因といえます。結果として、長期的な信頼性を損なうことなく、役員報酬ゼロの体制で会社の成長を支えることができました。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

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