伝統的な仕組み VS ブロックチェーン:海外送金の「新常識」を考える

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これからの金融業界において、自身の専門性をどこに定着させるべきか。時代の転換期を敏感に捉え、模索されている方も多いのではないでしょうか。特に海外送金の分野は、今まさに構造的な変革期を迎えています。

現在の海外送金とブロックチェーン送金の「決定的な違い」

現在の主流である海外送金は、複数の銀行が「バケツリレー」のように情報を繋いでいく「コルレス銀行(対応銀行)」という仕組みに基づいています。これに対し、ブロックチェーンを活用した送金は、ネットワーク参加者が情報を瞬時に共有する「分散型」の仕組みを特徴としています。

項目従来の海外送金(コルレス)ブロックチェーン送金
送金速度数日(中継銀行を経由するため)数秒〜数分(24時間365日稼働)
コスト高コスト(中継・為替手数料等)大幅に低減(中間搾取の最小化)
透明性追跡が困難な場合があるリアルタイムでのステータス確認が可能

このような利点があるブロックチェーンによる海外送金ですが、仮想通貨関連企業だけが取り組んでいるわけでは有りません。メガバンクや大手金融機関においても、この革新的な仕組みを自社サービスへ統合すべく、専門組織を組成する動きが加速しています。

ブロックチェーン送金が直面している「3つの課題」

「それほど合理的であれば、なぜ一足飛びに普及しないのか」という疑問を抱かれるのは、実務感覚として非常に正当なものです。社会実装に向けては、依然として解決すべき複数の障壁が存在します。

  1. 法的規制およびアンチ・マネー・ローンダリング(AML)への適合
  2. スケーラビリティ(膨大なトランザクションの処理能力)の確保
  3. 価格変動(ボラティリティ)リスクの管理

まず、「法的規制への対応」についてです。国ごとに異なる金融規制の整合性をいかに確保するかは、技術的課題以上に複雑なテーマです。自由な価値移転を促進しつつ、不正送金や犯罪収益移転を防止する「守り」のガバナンス構築が不可欠となります。

次に「スケーラビリティ」です。世界規模の決済需要を遅延なく処理するためには、インフラとしてのさらなる高度化が求められます。そして「価格変動リスク」の観点から、送金過程での価値毀損を防ぐべく、円やドル等の法定通貨に連動した「ステーブルコイン」の活用が議論の中核を担っています。

そして、実務上で最も注視されているのが「価格変動(ボラティリティ)リスクの管理」です。ビットコインに代表される暗号資産は価格変動が激しく、送金プロセス中に資産価値が大きく毀損するリスクを孕んでいます。この課題を解決すべく、法定通貨と価値が連動する「ステーブルコイン」の活用が、現在、世界的な議論の中核を担っています。

2026年、進展する海外送金の「新しい取り組み」

こうした課題を背景に、海外送金分野では着実な社会実装が進んでいます。

その象徴的な動きが、「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」です。各国の中央銀行が発行するデジタル通貨を相互に接続する「マルチCBDC」プロジェクトが世界各地で進展しています。2026年現在、日本においても免税還付の仕組みにステーブルコインを導入するなどの実証実験が進行しており、デジタル通貨は私たちの経済活動において極めて身近な存在になりつつあります。

コンサルティングの現場においても、こうした「制度設計」や「規制対応」を主導できる人材へのニーズは、かつてないほど高まっています。必ずしもエンジニアリングのスキルを必須とするわけではありません。新しい技術をいかに既存の社会システムに適合させ、ルールを再定義するか。その局面で求められているのは、高度な金融知識とプロジェクト推進力に他なりません。

金融×ブロックチェーン領域で求められる人材

最後に、本領域で市場価値を高める人材像について言及します。

技術革新が進展するなかで、需要が急増しているのはエンジニアだけではありません。新たなサービスを創出する過程において、ビジネス・技術・法務の各側面から複雑な課題を紐解き、事業を前進させられる人材は極めて高く評価されます。「既存のパラダイムをどう変革すれば新技術を導入できるか」を論理的に提言できる能力は、コンサルティングファームや金融機関のDX部門において戦略的な資産となります。

一方で、ブロックチェーンの特性を理解した上で、銀行内部の既存システムやコンプライアンス基準に精通している人材は圧倒的に不足しています。全ての領域を網羅するプロフェッショナルは希少であり、転職市場においても経験者は極めて限定的です。

したがって、事業戦略、プロジェクトマネジメント、プロダクト開発、あるいはコンプライアンスの実務経験をお持ちであれば、ブロックチェーン領域での直接的な経験がなくとも、十分に参画が可能です。

本領域におけるプレイヤーやポジションは多岐にわたります。キャリアの新たな可能性を模索されている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

東秀幸

エグゼクティブコンサルタント

担当業界:
銀行、ノンバンク、証券、ファンド業界、その他近接業界の金融関連
実務経験:
筑波大学第三学群基礎工学類卒。地域金融機関へ入行後4年間営業店で勤務。その後1年間メガバンクへ出向し法人新規開拓をメインに取り組む。出向解除後は人事部で主に新卒およびキャリア採用を9年間担当。