事業会社への転職の実態
コンサルタントの一般的な年収
コンサルタントは、他業種と比べても年収水準が高く、昇進とともに報酬は着実に上がっていきます。若手でも500万〜800万円程度、経験を積んで役職が上がるにつれて900万円台、さらに1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
しかし、プロジェクト単位で成果を求められる環境であるため、長時間労働やタイトなスケジュールは避けにくく、責任の重さも年次とともに増していきます。
そのため、一定の年収水準に到達した段階で、働き方とのバランスを見直す人も少なくありません。報酬と労働時間、プレッシャーなどのバランスを重視し、事業会社への転職を検討するケースも見られます。
事業会社への転職後の年収変化
コンサルタントが事業会社に転職する場合、年収は下がるケースが一般的です。
たとえば、30歳前後のシニアコンサルタントが転職した場合、1,000万円近い年収から600万円台まで下がるなど、300万〜400万円程度のダウンになることもあります。一般的には100万〜200万円程度の減少を想定することが多いものの、実際はそれ以上に下がるケースも珍しくありません。
ほかにも、戦略コンサルタントとして1,000万円超の年収を得ていた人が、国際開発分野へ転じて約4割ダウンとなるケースや、外資系ファームで900万円だった年収が、大手広告会社への転職によって3割程度下がるといった例もあります。
転職を検討する際は、年収の下がり幅とその後のキャリアの伸びの両方を見据えて判断することが重要です。
コンサルタントが転職を選ぶ理由
理由① 事業の当事者として関わりたいため
コンサルタントが事業会社への転職を選ぶ背景の一つに、事業の当事者として関わりたいという思いがあります。プロジェクトごとに外部から助言する立場ではなく、自ら意思決定に関わり、その結果に責任を持つ立場で仕事をしたい、というものです。
また、関わる範囲を広げたいというニーズもあります。コンサルティングでは特定のテーマについて分析や提案を行うことが中心になります。一方、事業会社では、企画を立てるだけでなく、実行に移し、進捗を見ながら改善していくところまで担います。自分の関与した施策が現場でどう動き、どんな結果につながったのかを継続的に追える点に魅力を感じる人も多いです。
さらに、中長期的に一つの事業や組織に関わりたいという考えもあります。短期間でプロジェクトを渡り歩くのではなく、同じ事業に関わり続け、組織やプロダクトの変化を追いながら経験を積みたいという人もいます。
理由② キャリアアップのため
コンサルタントとして培った分析力や課題整理のスキルは、事業会社でも企画立案や業務改善、事業推進といった場面で活かすことができます。それらのスキルを活かしながら、事業会社では実行や改善まで担うことになります。
加えて、組織のマネジメントや社内調整といった業務にも携わることで、より実務に踏み込んだ経験を積むことができます。将来的には、事業責任者やマネージャーとしてのキャリアにつながる可能性も出てきます。

転職時に注意すべきポイント
年収ダウンのリスク
コンサルファームから事業会社へ転職する際、最も注意すべき点が年収ダウンです。コンサルタントはもともと給与水準が高いため、同じ年次で比較した場合でも、事業会社では提示額が下がるケースが多く見られます。
年収ダウンの理由は、報酬の決まり方の違いにあります。コンサルファームではプロジェクト単位で高い付加価値を提供することが求められるため、その分報酬も高く設定されています。一方、事業会社では役職や等級に応じた給与テーブルがベースとなるため、前職の年収がそのまま反映されるとは限りません。
また、転職先の業界や企業規模によっても差が出ます。成長中の企業や専門性の高いポジションでは比較的高い水準が提示されることもありますが、未経験領域への転職やポテンシャル採用の場合は、一定の年収ダウンを前提に検討しましょう。
長期的なキャリアプランを練る
コンサルタントが事業会社へ転職する際に重要なのは、自分の経験をそのまま伝えるのではなく、「事業会社でどう活かせるか」に置き換えて整理することです。スキルをもとに、どのように意思決定に関わり、どんな成果につなげてきたのかまで踏み込んで説明する必要があります。
また、ポジションの見極めも重要です。コンサル出身者は企画職や経営企画を志望するケースが多い一方で、企業によっては実行フェーズや現場に近い役割を求められることもあります。入社後のギャップを減らすためにも、業務範囲や期待されている役割を事前にすり合わせておきましょう。
さらに、自分のキャリアの軸をどこに置くのかも整理しておきたいポイントです。専門性を深めるのか、事業全体を見られる立場を目指すのかによって、選ぶべき企業やポジションは変わってきます。コンサルでの経験を起点に、どの領域に踏み込んでいきたいか、プランを練っておきましょう。
事業会社への転職成功事例
年収アップを実現した事例
コンサルファームから事業会社への転職は、必ずしも年収ダウンにつながるとは限りません。実際、144件の転職事例のうち約4割が年収アップを実現しています。
年収が上がるケースとして多いのは、コンサルで培ったスキルがそのまま事業の中核業務に直結する場合です。たとえば、経営企画や事業企画といったポジションで、数値管理や戦略立案の経験が即戦力として評価されるケースや、新規事業の立ち上げフェーズでプロジェクト推進の経験が求められるケースなどが挙げられます。
また、企業側の採用背景も影響します。組織を急拡大している企業や、新規事業に投資しているタイミングでは、外部から即戦力人材を採用するために、前職と同等かそれ以上の年収を提示することもあります。特に、マネージャークラス以上でチームを率いる役割を期待される場合は、年収レンジが一段上がる傾向があります。
安定した職場環境
事業会社に転職するメリットの一つは、働き方の前提が大きく変わる点にあります。コンサルファームではプロジェクト単位で業務が動き、繁忙期と閑散期の差が大きくなりがちですが、事業会社では自社の事業運営に合わせて業務が進むため、スケジュールの見通しが立てやすくなります。
また、評価方法にも違いがあります。コンサルでは短期間での成果やプロジェクトごとの評価が重視される一方、事業会社では継続的な業務への貢献や、組織の中での役割が評価に反映される傾向があります。短期的なアウトプットだけでなく、長く関わる中での成果が見られる点は大きな違いです。
さらに、組織内でのポジションや役割が比較的固定されているため、キャリアの見通しを立てやすい環境でもあります。異動や昇進のルートがある程度想定できることで、自分がどの領域で経験を積んでいくのかを考えやすくなります。
今後の転職市場の展望
コンサル業界の動向
コンサル業界ではここ数年、案件の内容や採用環境に変化が見られています。DXや業務改革といったテーマは引き続き需要があるものの、企業側の内製化が進み、従来のように外部コンサルへ丸ごと委託するケースは減りつつあります。
また、ファーム間の競争も激しくなっており、案件獲得や人材確保の面で差が出やすくなっています。特に中堅以下のファームでは、案件の安定性やアサイン状況にばらつきが出るケースも見られます。こうした環境の変化を受けて、事業会社へ軸足を移すことを検討するコンサルタントも増えています。
事業会社での需要の変化
事業会社におけるコンサルタント出身者の需要は、ここ数年で広がりを見せています。特に、DX推進や業務改革といったテーマでは、課題整理から施策設計までを担える人材が求められており、コンサルでの経験がそのまま活かされる場面も増えています。
加えて、単なる企画立案にとどまらず、プロジェクトを前に進める役割への期待も高まっています。社内の関係者を巻き込みながら施策を実行し、進捗を管理していくポジションでは、コンサルで培った推進力や調整力が評価されやすい傾向があります。
事業会社側でもコンサル出身者を前提としたポジションは増えてきています。一方で、ポジションや企業によっては年収が下がるケースもあるため、その点はよく検討してキャリアを選択しましょう。
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