意外と知らない!役員の種類とそれぞれの役割を徹底解説

1. 役員とは?基本的な定義を確認

役員の定義と法律上の位置付け

役員とは、企業の経営に関わる重要な意思決定を行い、その責任を負う立場の人を指します。法的に言うと、会社法上で定められた「機関」の一部として働き、主に取締役、会計参与、監査役の3つの役職が該当します。これらの役職は単なる従業員とは異なり、企業運営や監査に直接関与し、株主やステークホルダーへの説明責任を果たす重要な役割を担っています。

役員と社員の違い

役員と社員では、その法的立場や責任範囲に明確な違いがあります。社員は企業との雇用契約に基づき、指示に従って職務を遂行します。一方、役員は雇用契約ではなく、委任契約に基づき経営を任される立場です。この委任関係により、役員は経営の意思決定を行う権限と責任を持ちます。例えば、企業役員は労働基準法による労働時間の制約を受けず、報酬の支払いも「給与」ではなく「役員報酬」という形になります。

役員の契約形態とその特徴

役員は通常の従業員と異なり、企業との契約形態は「委任契約」によって成り立っています。この契約形態では、役員は自らの判断と責任の下で職務を遂行します。そのため、労働時間の拘束がない代わりに、従業員に比べて大きな責任を負います。また、報酬についても労働の対価ではなく、経営の成果に基づく点が大きな特徴です。一方、社会保険や雇用保険といった福利厚生の適用は、役職や条件によって異なる場合があり注意が必要です。

株主総会での選任・解任方法

役員は、株主総会の決議によって選任・解任されるのが一般的です。特に取締役や監査役については、株主の意見を反映しながら経営意思を決定する機関であるため、その選任手続きは慎重に行われます。選任された役員の任期は原則として2年ですが、非公開会社の場合は定款で最長10年まで任期を延長することが可能です。解任に関しても株主総会の決議が必要であり、その際には具体的な手続きが会社法で定められています。

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2. 役員の種類と役割の違い

取締役の役割と業務内容

取締役は企業の経営を担う重要な役職であり、役員の中でも特に多くの責任を負っています。具体的には、会社の業務執行に関する意思決定や、中長期的な経営方針の策定を行います。会社法により、株式会社の設立時には最低1名以上の取締役を設置することが義務付けられているため、取締役の存在は企業運営において不可欠です。また、取締役会を設置している場合には、個別の業務執行だけでなく、取締役全体で合議制に基づく経営戦略の決定も行います。

監査役の役目とは

監査役は、企業の経営が公正かつ適切に行われていることを確認するための重要な役割を持ちます。具体的には、取締役が行う業務執行や、会計参与によって作成された計算関係書類の監査を担当します。特に、取締役が法令や定款に基づいて経営を進めているかどうかを監視し、企業のガバナンスを強化する役目を果たします。また、大会社や公開会社では監査役の設置が義務付けられているため、このポジションは企業の規模に応じて必要性が非常に高いと言えます。

会計参与の特徴と役割

会計参与は、取締役と並んで業務を共同監督する役員として設置されるポジションです。主な業務は、計算関係書類の作成およびその監督を行うことで、企業の財務情報が適正かつ正確であることを保証します。この役職には税理士や公認会計士などの会計専門家が就任することが一般的であり、企業の財務基盤を支える要として重要な役割を果たします。正確な情報に基づいて意思決定が行われることで、企業運営のリスクを軽減することができるのです。

執行役員と取締役の違い

執行役員は、社内用語として役員の一種と見なされることが多いですが、会社法上の役員としての位置付けはありません。取締役が経営方針の意思決定を行うのに対し、執行役員はその意思決定に基づき実際の業務執行を担当するポジションです。例えば、取締役会が策定した戦略を現場でどのように実行するか具体的に指揮を執るのが執行役員の役割です。このような違いにより、経営と現場の橋渡し役として執行役員が位置づけられるケースも多いため、役割の明確化が重要となります。

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3. 社内用語として使用される役職とその実態

会長、副会長、社長の位置付け

企業役員の中でも、会長、副会長、社長といった役職は、法律上の明確な定義がないものの、企業の経営において重要な役割を担います。一般的に会長は、企業のトップとして全体の方針決定や対外的な交渉を担い、特に象徴的な役割を果たすことが多いです。一方、副会長は会長を補佐する立場で、必要に応じて会長の業務を代行することがあります。社長は、企業の実務的な運営を指揮する役割を担い、取締役で構成される取締役会の中核として、日常的な意思決定や全社的な運営指示を行います。ただし、これらの役職は特に大企業において慣習的に使用されることが多く、会社の設立形態や規模によりその実態は異なる場合があります。

専務、常務、部長といった役職の違い

専務、常務、部長などの役職も、法律上では「役員」ではなく基本的には社内用語として位置付けられます。専務や常務は一般に、取締役の中でも特に重要な業務を担当し、代表取締役や社長に次ぐ意思決定権を持つポジションとされています。専務はより戦略的な業務に注力し、常務は具体的な実務や運営方針の推進役としての性格が強いです。一方、部長は社員内での役職であり、特定の部門の責任者として指揮を執ります。これらの役職の配置や役割分担は企業ごとに異なりますが、それぞれの役割を明確にすることで、現場の業務がより円滑に進むよう設計されています。

「みなし役員」として扱われるケース

企業役員に関連するもう一つの重要な概念として、「みなし役員」があります。みなし役員とは、法的には取締役や監査役ではないものの、実質的な経営意思決定や代表権を持つ者として位置付けられる場合を指します。具体的には、社内における地位や権限が極めて高い社員、例えば執行役員や部門責任者などが対象となることがあります。みなし役員に該当する場合、通常の社員とは異なる税務や社会保険の取り扱いが行われるため、企業および本人ともに注意が必要です。また、みなし役員の範囲は曖昧な場合があるため、その定義や実態をしっかり把握しておくことが重要です。

常勤役員と非常勤役員の役割と違い

企業役員には、常勤役員と非常勤役員の2種類があり、それぞれ異なる役割を果たしています。常勤役員は、企業の業務にフルタイムで携わり、日常的な業務運営や意思決定に深く関与することが求められます。一方、非常勤役員は基本的に特定の会議や重要事項の意思決定に参加することが主な役割であり、業務に日常的に関与する頻度は少ないことが一般的です。そのため、非常勤役員には社外取締役や外部から招聘された専門家が多く含まれる傾向があります。企業の経営環境や方針に応じて常勤・非常勤役員を適切に設定することが、全体の経営効率を高めるための鍵となります。

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4. 役員の責任と重要なポイント

経営戦略の意思決定における責任

企業役員は、経営戦略の意思決定において重要な責任を負っています。取締役会での議論や決議を通じて、企業の中長期的な方向性を定め、それを実現するための具体的な施策を策定します。この意思決定が企業の業績や成長に直接影響を与えるため、役員には幅広い知識と経験、そして適切な判断力が求められます。特に、競争の激しい市場環境では、迅速かつ確実な対応力が重要となります。

法的リスクと責任範囲

企業役員は、会社法や各種関連法規に基づき、厳格な法的責任を負っています。たとえば、会社法第423条では「忠実義務」や「善管注意義務」が規定されており、役員がその義務を怠った場合には損害賠償責任を問われる可能性があります。また、取締役として独断で重要な方針を決定し、結果的に企業に損害を与えた場合も責任対象となり得ます。そのため、役員には常に法律の遵守と説明責任を果たす姿勢が求められます。

役員報酬と税務上の注意点

役員報酬は、社員の給与とは異なる性質を持っています。報酬額は株主総会で承認される必要があり、その金額や算定方法についても透明性が求められます。また、税務上の観点では、役員報酬は損金算入の可否に細かい条件が付いているため、適切な処理が必要です。例えば、定期同額給与の要件を満たしていない場合、報酬が損金不算入となる可能性があります。税務リスクを抑えるために、税理士などの専門家の指導を受けながら管理することが重要です。

役員退任後の責任や制約

役員が退任した場合でも、一定の責任が残るケースがあります。たとえば、役員在任中に行った業務執行において法令違反や不適切な行為があった場合、退任後であってもその責任を問われる可能性があります。また、競業避止義務など、退職後一定期間における行動制限が課されることもあります。役員としての責任や制約は退任後も一定程度続くため、辞任時にはこれらを理解し、必要に応じて専門家と相談することが推奨されます。

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5. 役員体制がビジネスに与える影響

企業の成長を支える役員の重要性

企業役員は、経営の重要な意思決定を行い、会社の成長を支える柱となる存在です。その役割は単に業務を遂行するだけでなく、企業のビジョンや目標を設定し、経営戦略を策定する点にあります。また、役員が適切な判断を迅速に行うことで、市場競争において優位性を確立し、企業価値を高めることが可能です。特に、取締役や社外取締役が果たす透明性やガバナンスへの貢献は、ステークホルダーからの信頼を得るうえで重要です。

適切な役員選任の基準例と基準設定

役員選任は、企業の経営基盤を確立するための重要なプロセスです。株主総会で選任される役員には、専門的なスキルや経営経験を持つ人物が選ばれることが求められます。選任基準の例としては、業界の深い知識や豊富な実績、さらには倫理観やリーダーシップ能力などが挙げられます。また、外部からの視点を取り入れるために社外取締役を迎えることも有効です。企業が持続的かつ安定的な成長を目指すためには、こうした多角的な視点から適任者を選出する仕組みが欠かせません。

役員の役割分担による効率化

役員がそれぞれの専門性を生かし効率的に業務を遂行するためには、役割分担が重要です。例えば、取締役は経営の意思決定と会社運営を総括し、会計参与は財務や会計に特化して対応します。一方で、監査役は内部監査を通じて経営の透明性を担保します。このように明確な役割分担を設けることで、役員間の連携が強化され、経営資源の最適配分が実現されます。また、スケールメリットを生かすために、業務執行の責任を執行役員に委ねることも企業の効率化に寄与します。

今後求められる役員のスキルとは

現代のビジネス環境は、デジタル化やグローバル化の進展によって、役員に求められるスキルも多様化しています。特に、データ分析やDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する理解は、これからの企業役員に必要不可欠なものとなっています。また、グローバルな視点を持ち、海外市場や異文化への対応力を高めることも重要です。それに加え、ガバナンスやリスク管理のスキルも求められます。企業がダイナミックな変化に対応するためには、役員がこうした多岐にわたるスキルを兼ね備えることが重要でしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。