「ランサムウェア」って何?「標的型攻撃」との違いをわかりやすく解説!

ランサムウェアとは?

ランサムウェアの定義と基本的な仕組み

ランサムウェアとは、その名の通り「身代金(Ransom)」と「ソフトウェア(Software)」を組み合わせた用語で、金銭目的のサイバー攻撃手法の一つです。具体的には、悪意のあるプログラムがコンピュータシステムを感染させ、内部のファイルやデータを暗号化して利用不能にします。攻撃者は復旧のための鍵を渡す代わりに、被害者に対して暗号解読のための身代金を要求します。この攻撃は、不特定多数を対象とした無差別型攻撃から、特定の企業や個人を狙った標的型攻撃まで多岐にわたります。

ランサムウェアの目的と主な攻撃手法

ランサムウェアの主な目的は、金銭的な利益を得ることにあります。攻撃者は被害者の重要情報を人質に取ることで、金銭を引き出そうとします。最近では「Ransomware as a Service(RaaS)」という攻撃ビジネスモデルも登場しており、技術的な知識がない攻撃者でも簡単にランサムウェア攻撃を実行できる環境が整っています。

攻撃手法としては、主に以下のような方法が用いられます:

  • フィッシングメール:悪意あるリンクや添付ファイルでの感染。
  • リモートデスクトッププロトコル(RDP)の悪用:脆弱なセキュリティ設定を狙った侵入。
  • 脆弱性のあるソフトウェアの利用:ゼロデイ攻撃など。 これらの手口は、無差別型のばらまき攻撃と、特定のターゲットを狙った標的型攻撃のいずれでも使用されます。

身代金の要求から復旧プロセスまでの流れ

ランサムウェアの攻撃プロセスは次のような流れで進行します:

  1. 感染:被害者のデバイスやネットワークがランサムウェアに感染します。感染経路としては、メールの添付ファイル、リンククリック、または脆弱性の悪用が多いです。
  2. データ暗号化:ランサムウェアが起動し、デバイス内の重要なファイルを暗号化します。これにより、ファイルの利用が不可能になります。
  3. 身代金要求:データ復元のために、特定の金額(主に仮想通貨として支払いを要求される)が提示されます。要求メッセージは、画面に表示されることが一般的です。
  4. 支払いの是非:被害者は要求された金額を支払うかどうか選択します。一部のケースでは、支払ってもデータが復旧されない場合があります。
  5. 復旧:復旧にはさまざまな方法がとられます。具体的には、暗号を解く鍵を獲得するか、バックアップを利用してデータを復元します。攻撃者が関与しない場合、暗号化解除が難しいケースが非常に多いです。

ランサムウェアの被害事例

これまでに多くの組織や個人がランサムウェアの被害を受けてきました。2018年のアトランタ市に対する攻撃では、「SamSam」というランサムウェアが使用され、市の公共機関が機能不全に陥る大規模な被害が発生しました。また、特定産業を狙ったランサムウェア「SNAKE(Ekans)」はエネルギー産業や製造業に多大な損害を与えたことが知られています。

さらに、2020年には日本国内外で200以上の組織が被害を受け、特に標的型攻撃が顕著に増加する傾向が確認されました。これらの事例は、ランサムウェアの被害が企業や公共機関だけでなく、一般的な個人や中小規模事業者にまで広がっていることを示しています。

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標的型攻撃とは?

標的型攻撃の定義と特徴

標的型攻撃とは、特定の組織や個人を狙った高度なサイバー攻撃を指します。この攻撃は無差別に広がるランサムウェアとは異なり、攻撃者が明確な目的を持ってターゲットを選定することが特徴です。例えば、大手企業や政府機関、研究機関など、高度な情報を取り扱う組織が狙われることが一般的です。その結果、標的型攻撃ではターゲットに合わせた巧妙な攻撃手法が用いられるため、発見や防御が難しくなっています。

なぜ特定の組織や個人が狙われるのか?

標的型攻撃の背後には、攻撃者が特定の情報や資産を奪取しようとする意図があります。例えば、企業秘密や顧客データ、高度な技術情報などが主なターゲットとなります。また、一部の攻撃は金銭目的ではなく、競合を弱体化させたり、特定の組織の評判を失墜させることを狙う場合もあります。一方、標的型ランサムウェアのように金銭と情報の両方を目的とする攻撃も増加しています。このような攻撃は、事前にターゲットの情報をリサーチし、効率的に成功するよう設計されている点が特徴です。

標的型攻撃に用いられる主な手法

標的型攻撃では、フィッシングメールやゼロデイ攻撃などの手法が多用されます。フィッシングメールは、ターゲットがよく利用する企業や人物を装い、メールのリンクや添付ファイルを開かせる手口です。一方、ゼロデイ攻撃は、未発見のソフトウェアやシステムの脆弱性を利用します。さらに、高度な攻撃では、スピアフィッシングや偽装されたウェブサイトを利用して特定の個人を狙う技術も用いられます。これらの手法が併用されることで、攻撃の成功率を高めています。

標的型攻撃の被害事例

標的型攻撃の影響は、世界中で深刻な問題となっています。例えば、2020年には多くの大手企業が攻撃を受け、数百万ドル規模の損害を被ったと報告されています。また、特定産業を狙った攻撃ではランサムウェアの一種である「SNAKE(Ekans)」が話題となりました。この攻撃では、被害者の機密情報が奪取されるだけでなく、公開される被害も確認されています。さらに、政府機関が標的となったケースもあり、その結果、国全体のインフラ機能が大きく損なわれる事態も発生しています。このように、標的型攻撃は個々の組織を超えて社会的な影響も及ぼすため、高度な対策が求められています。

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ランサムウェアと標的型攻撃の違い

攻撃の目的の違い

ランサムウェアと標的型攻撃は、どちらもサイバー攻撃の手法ですが、その目的には明確な違いがあります。ランサムウェアは主に金銭の要求を目的としており、被害者のデータを暗号化して身代金を要求します。一方、標的型攻撃は特定の組織や個人を狙い、その機密情報を盗むことや業務妨害を目的としています。例えば、ランサムウェア攻撃では、「身代金」としての金銭的利益が第一目標ですが、標的型攻撃では、知的財産や重要な情報の流出が目的となるケースが多い傾向にあります。この違いが、それぞれの攻撃手法を理解する際の重要なポイントとなります。

無差別型攻撃と標的型攻撃の比較

ランサムウェアは、不特定多数を対象にばらまき形で実行される無差別型攻撃の一例として知られています。このような攻撃では、多くの対象に感染を試みることで、少しでも多くの身代金を得ることを狙っています。一方、標的型攻撃は特定の企業や個人をピンポイントで狙います。このような攻撃は、綿密なリサーチや詳細な計画が伴うため、全体的に成功率が高い特徴があります。無差別型攻撃と比較すると、標的型攻撃では攻撃者が目的達成のために長期間かけて準備を行う場合があり、より高度な技術を使用する傾向があります。

ランサムウェアと標的型攻撃が交錯するケース

近年では、ランサムウェアと標的型攻撃が交差するケースが増加しています。たとえば、「標的型ランサムウェア」と呼ばれる手法では、一見無差別的に見えるランサムウェア攻撃を特定の組織に向けて実行し、その被害をより深刻化させることが主な目的です。このような攻撃は、重要なデータを暗号化しながら、さらに盗み出した情報の公開をちらつかせることで、被害者を一層追い詰めてきます。これらの交錯した手法は、攻撃側の計画性や手口の高度化を示しており、被害者に与える影響も複合的になっています。

それぞれの攻撃が与える被害の特性

ランサムウェアは、被害者のデータを暗号化しアクセスを不能にすることで、即座に業務が停止するという直接的な影響を与えます。これにより、企業の信用失墜や多額の復旧コストが発生します。一方、標的型攻撃は、重要な情報や知的財産が流出することで、競争力の低下や長期的なビジネスへの悪影響を引き起こすケースが多いです。また、両者に共通するリスクとして挙げられるのが、社会的信用を損なう点です。特に標的型攻撃では、情報漏洩による損失が後から顕在化するため、問題解決には時間と労力を要することがあります。

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ランサムウェア・標的型攻撃に対する対策

基本的なセキュリティ対策

ランサムウェアや標的型攻撃から自分たちの情報を守るためには、基本的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。まず、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことが基本です。定期的なアップデートを行うことで、セキュリティホールの悪用を防ぎやすくなります。また、強力なパスワードの設定や、多要素認証の導入も効果的です。さらに、信頼できないメールのリンクや添付ファイルには注意し、不審な動きがあった場合は速やかにIT担当者に報告することも予防策の一つです。

企業で導入すべき防御策と教育プログラム

企業では、組織全体でのセキュリティ対策を強化する必要があります。具体的には、ランサムウェア対策ソフトや侵入検知システム(IDS)の導入が効果的です。さらに、従業員に対する教育プログラムを継続的に実施することで、標的型攻撃の手口やランサムウェアの危険性への理解を深めることができます。例えば、定期的なセキュリティ啓発トレーニングや模擬攻撃を行い、従業員の意識向上を図ることが重要となります。

ランサムウェア・標的型攻撃を防ぐ最新技術

近年では、ランサムウェアや標的型攻撃を防ぐ最新技術が登場しています。その一つが人工知能(AI)を活用した検知技術です。AIは日々進化するサイバー攻撃パターンを学習し、従来のセキュリティソフトでは気付けない異常な挙動を早期に察知できます。また、データを安全に保管するためのエンドポイントセキュリティ技術やクラウドバックアップの導入も有効です。特定の産業を狙うランサムウェアの脅威に対しては、業界特化型のセキュリティ対策も検討すべきです。

小規模組織や個人でもできる実践的な予防法

中小規模の組織や個人においても、ランサムウェアや標的型攻撃に備えることは可能です。まずは、重要なデータを定期的に外部デバイスやクラウドサービスにバックアップすることを習慣化するべきです。また、ウイルス対策ソフトの導入と、セキュリティ設定を強化したメールサービスの活用も推奨されます。さらに、怪しいメールやリンクを開かない、アクセス制御を徹底するなど、日常的に注意深く行動することでリスクを軽減できます。これらの取り組みはコストを抑えながらも、効果的な予防策となります。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)

金融、コンサルのハイクラス層、経営幹部・エグゼクティブ転職支援のコトラ。簡単無料登録で、各業界を熟知したキャリアコンサルタントが非公開求人など多数のハイクラス求人からあなたの最新のポジションを紹介します。