コトラ（広報チーム） 
2023年 基本情報技術者試験での主な変更点とは？
CBT方式と通年試験化の導入
2023年4月から、基本情報技術者試験はCBT（Computer Based Testing）方式が導入され、通年試験化されました。これにより、受験者は試験日程が年2回から年間を通じて自由に選択できる形式に変更され、自分の都合に合わせて受験計画を立てやすくなりました。また、試験会場となるCBTテストセンターも全国各地に設置され、受験環境が大きく向上しました。
試験区分の名称変更: 科目Aと科目B
試験区分についても2023年から変更が行われ、従来の午前問題と午後問題が「科目A」と「科目B」に名称変更されました。これにより、試験の目的や内容ごとの整理が明確化され、受験者が試験構造を理解しやすくなりました。科目Aは基礎知識を問う形式、科目Bは応用力や実務能力を重視する形式と、それぞれの特性が強調されています。
午後試験内容の刷新と必須問題の導入
午後試験、つまり科目Bの内容にも大きな変更が加えられました。従来の選択問題形式を廃止し、全ての問題が必須となる形式に改定されました。また、問題は大問形式から小問形式へ変更され、多岐にわたる知識が問われる内容に変わっています。これにより、試験範囲がより広範囲にわたり、実務に直結するスキルを幅広く備えることが求められています。
プログラミング言語選択の廃止と新たな試験内容
以前の試験では午後試験でプログラミング言語を選択する形式が採用されていましたが、2023年の範囲変更に伴い、この選択制が廃止されました。これに代わる新たな試験内容として、プログラミングの基本的な仕組みを問う問題や、DX（デジタルトランスフォーメーション）社会に即したスキルを評価する問題が登場しています。これにより、プログラミング経験の有無にかかわらず、全受験者が同じ基準で評価される形となりました。
試験時間や形式の変更点
試験時間も全体的に短縮され、従来の300分から190分へと大幅に変更されました。科目Aの試験時間は150分から90分へ、科目Bは150分から100分へとそれぞれ削減されます。また、科目Aの問題数は80問から60問に減少し、科目Bでは逆に5問から20問に増加しています。このような変更に伴い、新たに導入されたIRT（Item Response Theory）方式によって、公平かつ効率的な採点が可能となっています。
新シラバスと範囲変更: DX人材を意識した内容へ
DX化を推進する人材向け内容へのシフト
2023年の基本情報技術者試験では、新しいシラバスの導入により、DX（デジタルトランスフォーメーション）を推進する人材を育成するための内容に大きくシフトしました。これに伴い、従来のシステム開発や運用管理の知識に加え、AIやデータ利活用といった新技術の理解が求められるようになりました。この変更により、ITエンジニアだけでなく、ビジネス全体におけるデジタル活用を支える人材がターゲットになっています。
情報セキュリティの重要性と必須化
情報セキュリティ対策の重要性が増している現代のニーズに応じて、基本情報技術者試験では情報セキュリティの内容が全受験者にとって必須になりました。これには、個人情報保護、クラウドセキュリティ、そしてサイバー攻撃への対応力といった領域が含まれています。この改定を通じて、広範囲なセキュリティ知識が現場で直ちに適用できる水準まで求められるようになっています。
データ構造とアルゴリズムへの重点強化
データ構造とアルゴリズムに対する試験問題も新シラバスでは強化されています。特に実務においてデータ処理能力の重要性が増していることから、受験者に対して効率的なプログラム設計や計算量の理解が要求されています。この変更は、基礎的なコンピュータサイエンスの知識がDX時代においても変わらず重要であることを反映しています。
実務に即した問題出題の増加
従来の試験では理論的または抽象的な内容が中心でしたが、今回の改定では実務的な観点からの問題が増加しました。例えば、業務プロセスに関連するシステム設計や、チームでの課題解決を意識したシナリオ問題が加わっています。このような問題は、特に現場ですぐに活用できるスキルを重視しており、受験者に実践的な力を試す機会を提供します。
旧シラバスとの違い比較
新しいシラバスと旧シラバスを比較すると、その違いは明確です。まず、従来の試験では、ITエンジニア個人の技術的な基礎力が評価の中心でしたが、新しい試験ではDX人材を育成することを目的に、チームでのビジネス価値創造やデジタルツールを活用した問題解決が重要視される傾向にあります。また、出題内容でもAIやクラウド技術などの新しいトピックが含まれ、現代のITトレンドを反映した範囲変更が行われています。
試験形式の変更による受験者への影響
便利になった通年試験予約システム
2023年の基本情報技術者試験では、大きな変更点として通年試験化が挙げられます。この変更により、従来のように年2回実施されていた試験が、受験者が自由に試験日を選べる形に進化しました。CBT方式を採用したことで、全国のCBTテストセンターで年間を通じて実施される仕組みとなり、スケジュール調整がしやすくなりました。また、再受験が可能になるタイミングも柔軟性が増し、不合格の場合、30日経過後に再受験ができるようなリテイクポリシーが適用されています。これにより、多忙な社会人や学生でも計画的に受験に臨めるメリットが生まれました。
受験戦略の変更: 科目ごとの対策方法
試験形式の変更に伴い、受験戦略にも変化が求められています。新制度では、試験の区分が「科目A」「科目B」に分類され、従来の午前試験にあたる科目Aは基礎知識が重視され、午後試験にあたる科目Bでは応用力が試されます。科目Aでは出題数が80問から60問に減少したため、幅広い範囲を効率よく学ぶ短期集中型の学習が重要とされています。一方で科目Bでは、小問形式の問題が増えたことから、実務に即した応用力を鍛える必要があります。各科目に特化した勉強計画を立てることが、合格への鍵と言えるでしょう。
問題難易度の変化と予想される合格率
試験形式の刷新により、難易度にも変化が見られます。IRT（Item Response Theory）を用いた採点方式が採用されたため、問題ごとの難易度がスコアに反映され、公平性が確保されています。その結果、従来は合格率が20〜30％程度だったのが、2023年以降は50％以上に大幅上昇しています。しかし、これは試験が簡単になったわけではなく、むしろ問題のバランスが調整されたため、学習内容に適切に取り組むことが求められる状況といえます。
受験者体験談から見る実際の影響
通年試験化後の基本情報技術者試験に挑戦した受験者の体験談によると、多くの受験者が試験日程を自主的に調整できる点に利便性を感じているとのことです。特に、平日でも受験が可能となったことで、試験前の学習時間を自分自身のライフスタイルに合わせて計画できるようになったという声が挙がっています。一方、小問形式の導入により時間配分に苦労したという意見も見られ、試験本番での効率的な進行が重要であると指摘されています。
新形式への慣れが試験対策の鍵
2023年からの基本情報技術者試験では、試験形式に慣れることが合格のポイントになっています。特にCBT方式を初めて経験する受験者にとっては、コンピュータ上での模擬試験や練習問題に取り組むことが、新試験形式へ対応するために欠かせません。また、小問形式問題が増えた科目Bに関しては、過去問題を活用しながら時間内に解答を終わらせる練習を継続的に行う必要があります。こうした取り組みによって、新制度の特徴を理解し、自分のペースで学習を進めることが重要です。
勉強法の最適化: 新形式に対応するためのアプローチ
科目A試験: 基礎知識の効率的な習得法
科目A試験では、主に基本情報技術者試験の基礎知識が問われます。改定後は試験時間が90分に短縮され、出題数も60問に減少しました。そのため、効率的に習得し、短時間で解答できる能力が求められます。
まず重要なのは、基本情報技術者試験の範囲変更に対応した最新版のシラバスを確実に把握することです。特に、新たに重視されるDX関連の知識や情報セキュリティの分野を重点的に学ぶことがポイントです。また、公式で配布されているサンプル問題や公開問題を利用し、試験形式に慣れておくことが効果的です。時間管理を意識しながら、過去問を解いて実践的な訓練を行うのもおすすめです。
科目B試験: 応用力を鍛える勉強法
科目B試験では、考える力や応用力が重視されます。改定により5問の大問形式から20問の小問形式へ変更されたため、より幅広い分野に対応できる基礎知識の活用力が求められます。
勉強法としては、新試験形式に即した問題集やプラクティス教材を繰り返し解くことが有効です。データ構造やアルゴリズムの重要度が増したため、これらに関連する問題の実践的練習が必須となります。また、AIやDXの基礎的な知識など新たに追加された範囲を意識的に学ぶことも忘れないようにしましょう。
試験本番で有効な時間配分術
試験本番では、限られた時間内に効率的に問題を解くスキルが重要です。新試験では科目Aが60問を90分、科目Bが20問を100分で解く形式となっているため、1問にかける時間を事前に計算し、それを意識しながら練習すると良いでしょう。
特に科目Aでは、難易度が低い問題を優先的に解答し、時間配分を調整することが戦略の鍵となります。一方、科目Bでは、問題の取捨選択を的確に行い、得意分野から先に解くのが効果的です。このように問題をスピーディかつ正確に解答する力を磨くことが、得点アップに繋がります。
オンライン教材や模擬試験の活用
近年は、オンライン教材や模擬試験の利用が主流になりつつあります。基本情報技術者試験の新形式に対応したデジタル教材を利用することで、自分の弱点を効率良く克服することが可能です。
模擬試験では、本番さながらの環境でタイムマネジメントの練習ができます。また、理解が不足している分野を確認するために復習機能が充実した教材を活用すると、知識の定着が早くなります。このようなツールを日常的に利用しながら、試験に必要なスキルを効率よく身につけましょう。
試験対策に役立つおすすめ書籍とツール
基本情報技術者試験に対応する書籍やツールは数多くありますが、特に新形式や範囲変更に対応した最新版を選ぶことが重要です。「基本情報技術者試験対策用問題集」や「新試験形式攻略ガイド」といったタイトルの教材がよく選ばれています。
また、プログラミング言語選択の廃止に伴い、新たに設問で重視される分野を学習できる参考書もおすすめです。加えて、アプリやWeb上の問題演習ツールを活用することで、移動中や隙間時間にも学習を進めることができます。
今後の基本情報技術者試験: 将来の展望
IT人材育成を担う試験の役割の変化
基本情報技術者試験は、長年にわたってIT業界のエントリーレベルのスキルを認証する試験として注目されてきました。しかし、2023年以降、試験の範囲変更がDX人材の育成を強く意識した内容に改定されることで、その役割も進化しています。これからは、単なる基礎知識の確認だけでなく、新しい技術やトレンドに対応できる即戦力の人材を育成することが重要視されるようになります。この改定により、IT人材全体を底上げしていく基盤としての試験の役割がより明確になっています。
新技術・トレンドへの対応をどう進化させるか？
基本情報技術者試験の新シラバスでは、AI、データ活用、情報セキュリティといったDX時代に求められる知識が強化されています。このような範囲変更により、試験は時代に即した内容へと進化しました。今後も、クラウドコンピューティングやIoTなど新技術が普及する中で、試験内容がどのように反映されるのか注目されています。受験者にはこうした最新技術を基盤にしたスキルが問われるため、試験の進化はIT業界全体の成長とも密接に関わるものとなっています。
受験者層の広がりと試験の将来像
試験がCBT方式で通年化されたことや、受験資格に特に制限がないことから、基本情報技術者試験の受験者層は広がると予想されています。これまでのITエンジニア志望者に加えて、異業種から転職を目指す人や、DX人材としてスキルアップを目指す社会人にも受験が推奨されるようになりました。これにより、試験がより多様なバックグラウンドを持つ人々に開かれ、IT全般の素養を持つ人材を増やす役割が強まります。
他の情報処理試験との連携と相互作用
基本情報技術者試験は、応用情報技術者試験など、他の情報処理試験と密接な関連性があります。今回の変更を受けて、基本を固めた受験者が次のステップとして応用試験や高度試験に進む流れがより明確になるでしょう。また、試験制度の改定やシラバスの改変に伴い、他の試験との内容に重複や相互補完関係が強化されることも予測されます。これにより、情報処理技術者としてのスキル向上の道筋が整備されていくのではないでしょうか。
基本情報技術者試験の価値を再定義する
基本情報技術者試験はこれまで初学者向けの資格として位置付けられてきましたが、今回の範囲変更や出題形式の刷新により、試験の価値が再定義されつつあります。特に、DX人材を評価する要素が追加されたことで、「未来を見据えたITスキルの証明書」としての重要性が増しています。これは、企業が即戦力となる人材を見極める基準として試験を活用するだけでなく、受験者自信にとってもスキルセットのアピールポイントとなります。今後、基本情報技術者試験の意義や位置付けはますます高まるでしょう。
