コトラ（広報チーム） 
中小企業診断士2次試験の概要
2次試験とは？1次試験との違い
中小企業診断士試験は1次試験と2次試験に分かれており、それぞれ異なる目的と内容を持っています。1次試験はマークシート形式で経済学や財務・会計、企業経営理論などの知識を問う多肢選択式です。一方、2次試験は筆記試験と口述試験で構成され、実践的なケーススタディを通じて中小企業診断の具体的な能力を評価されます。このため、1次試験が中小企業診断士としての基礎知識を測る出発点であるのに対し、2次試験はその知識をどう応用できるかを判断するステップといえます。
試験の目的と位置づけ
中小企業診断士2次試験の目的は、単に知識を暗記しているかを問うものではなく、実際の中小企業に対する経営診断や助言を行う能力を測ることにあります。この試験では、事例問題を通じて多角的な視点で課題を分析し、改善案を提示するスキルが求められます。国家資格として認定される中小企業診断士は、企業経営の現場で即戦力として活躍する専門家の役割を担うため、この2次試験はその資質を見極める重要な位置づけにあります。
試験に必要な知識とスキル
中小企業診断士2次試験に合格するためには、単なる知識の習得だけでなく、実際に問題を解決する能力が不可欠です。筆記試験では、企業経営や財務分析、マーケティング戦略などの実務に基づいた知識を応用する力が試されます。また、課題に対して論理的かつ説得力のある解答を構築するスキルも重要です。さらに、口述試験では自己の意見を的確に伝えるプレゼンテーション能力も求められます。
筆記試験と口述試験の特徴
2次試験の筆記試験は、各事例ごとに80分間という限られた時間内で答案を作成する形式です。ここでは、与えられた事例を基に問題点を見つけ出し、解決案を提案する能力が評価されます。一方、口述試験は筆記試験合格者のみが受験でき、主に筆記内容に関連する質問に対して受け答えを行います。この試験では、診断士としてクライアントへ的確に説明するためのコミュニケーション力が問われます。
合格基準と評価ポイント
中小企業診断士2次試験の筆記試験において合格するためには、全ての事例において高得点を取る必要はありませんが、事例ごとに満点の60%以上の得点が求められます。さらに、総合得点が基準に達しない場合は不合格となるため、偏らずバランス良く得点を稼ぐことが重要です。また評価ポイントとしては、課題を正確に把握する分析力、具体的で現実的な解決策を提示する提案力、そして論理構成の的確さや分かりやすさなどが挙げられます。一方で、口述試験では、人間性やコミュニケーション能力もチェックされる点が筆記試験とは異なる特徴です。
2025年中小企業診断士2次試験のスケジュール
試験日程と申込期間
2025年の中小企業診断士2次試験の筆記試験は、例年通り10月下旬の日曜日に実施される予定です。具体的な日程は試験実施機関である日本中小企業診断士協会連合会から公式に発表されます。また、申込期間については、1次試験合格発表後の9月上旬から9月下旬までの約3週間程度となっています。具体的なスケジュールを早めに確認し、申込忘れのないよう注意が必要です。
試験当日のタイムスケジュール
筆記試験当日は、例年以下の時間で試験が進行します:
– 事例I: 09:40～11:00（80分） – 事例II: 11:40～13:00（80分） – 事例III: 14:00～15:20（80分） – 事例IV: 15:50～17:10（80分）
昼休憩や科目間の空き時間を有効活用し、次科目への準備を進めることが重要です。また、時間を厳守し、開始30分前には指定された試験会場へ到着するよう心掛けましょう。
試験会場の分布と注意点
中小企業診断士2次試験は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7都市で実施されます。受験者は、申込時に希望会場を選択する必要があります。移動時の不安や試験当日の効率的な行動を考慮して、自宅や宿泊先から近い会場を選ぶことを推奨します。
また会場ごとに設備や環境が異なるため、寒暖差や筆記環境に備えて、必要な持ち物を準備しましょう。周辺の交通機関や混雑具合も確認しておくと安心です。
受験料と申込方法
2025年の2次試験受験料は17,800円（非課税）となっています。申込は日本中小企業診断士協会連合会の公式サイトで行われ、必要事項を入力の上、受験料を所定の方法で支払う形で完了します。申込後に送られてくる受験票は試験当日に必要になるため、大切に保管しておきましょう。
スケジュール作成時に注意すべきこと
中小企業診断士2次試験のスケジュール作成においては、筆記試験日の約1〜2週間前までに過去問題や模擬試験を含む実践的な対策を終えるよう計画を立てることが推奨されます。試験直前は新たな情報を詰め込むよりも、既存の知識を整理し、苦手分野の最終確認に時間を割くと良いでしょう。
また、試験会場へのアクセスや当日持参する必要があるアイテムなど、試験当日の準備も考慮しながら計画を立てましょう。しっかりと準備することで、本番で緊張を最小限に抑えることができます。
中小企業診断士2次試験の試験対策方法
事例ごとの重要ポイントと攻略法
中小企業診断士2次試験は、合格のために各事例に特化した攻略法を身に付けることが鍵です。試験では、事例I（組織・人事）、事例II（マーケティング・流通）、事例III（生産・技術）、事例IV（財務・会計）の4つが出題されます。それぞれ異なるテーマについて深い理解が求められるため、分野ごとに異なるアプローチが必要です。例えば、事例Iでは組織診断の観点から、経営課題に対する適切な提言を行うスキルが重要です。一方で事例IVでは、財務諸表を読み解き、定量的な分析を基にした的確な提言が求められます。
攻略の第一歩として、まずは各事例の出題傾向を把握するとともに、解答に必要な基本概念を押さえましょう。その上で、実際の試験では設問の指示に従い、解答を簡潔にまとめる練習を積み重ねることがポイントです。
過去問題の活用法
過去問題は、中小企業診断士2次試験の対策に欠かせないツールです。試験では過去の出題形式やテーマが参考にされることが多いため、過去問題を通じて試験の特徴を把握することが有効です。また、実際の試験環境に近い状態で演習することで、試験での回答の流れや時間配分を体感できる点も大きなメリットです。
活用時のポイントとして、まずは過去3〜5年分の問題を解き、出題傾向を掴むことから始めましょう。そして、自己採点後は解答例と照らし合わせて、正答の根拠を確認しましょう。特に、間違えた問題や正答が不明瞭な問題については、関連知識やスキルを補完することで次回以降の失敗を防ぐことができます。
模擬試験と時間管理の重要性
中小企業診断士2次試験において、模擬試験は本番に向けた総仕上げの機会です。特に重要なのは、試験終了までの限られた時間内で解答を完成させる時間管理スキルを体得することです。筆記試験は各事例に80分が割り当てられており、この中で問題の読解、解答の整理、記述を行わなければなりません。
模擬試験では、過去問題や試験予想問題を制限時間内に解答する練習を繰り返しましょう。この際、各事例への配分時間を試行錯誤し、自分に合った時間管理法を確立することが重要です。また、模擬試験の復習時には、書いた回答の質を見直し、過不足の有無を確認することで解答力を高めましょう。
学習計画の立て方のコツ
効率的に中小企業診断士2次試験の対策を行うためには、具体的な学習計画を立てることが不可欠です。まずは試験までの逆算スケジュールを構築し、日々の学習内容を無理のない範囲で設定しましょう。学習の初期段階では、各事例ごとの基礎知識を固めることを重視し、次に過去問題を活用した応用練習へ移行する流れが基本となります。
また、学習の進捗を定期的にチェックし、必要に応じて計画を見直す柔軟性も重要です。注意点として、事例分析や模擬試験など「手を動かす学習」にも時間を割くことを意識しましょう。ただ知識を詰め込むだけではなく、それを試験形式に応用できる実践力が求められます。
口述試験への準備と心構え
口述試験は、筆記試験合格者のみに課されるステップであり、実質的には最終確認としての役割を果たします。試験では、筆記試験で出題された事例を基にした質問がされ、その解答に対して適切な説明を行うことが求められます。
準備としては、筆記試験での解答や事例分析を振り返り、自分の考えや回答内容を論理的に説明できるようにすることが大切です。また、面接形式の試験であるため、受け答えの練習や、試験官の質問意図を汲み取るスキルも合わせて磨いておきましょう。
心構えとしては、過度に緊張せず、自分の経験や知識に基づいて自信を持って回答することが重要です。口述試験は不可となるケースが少ない反面、軽視してしまうと失敗につながることもあるため、準備を怠らないようにしましょう。
試験本番に向けた準備と心得
持ち物チェックリスト
中小企業診断士の2次試験当日に持っていくべきものは、事前にしっかり確認しておきましょう。まず、受験票は絶対に忘れてはいけません。また、筆記試験では鉛筆や消しゴムといった筆記具が必須ですので、余分に準備しておくと安心です。時計も重要なアイテムです。試験会場によっては時計の持ち込みが制限される場合もあるため、事前に規定を確認してください。さらに、必要であれば飲み物や軽食を用意しましょう。ただし、食べ物は試験時間外に取ることを心掛け、周りの受験生に配慮する気持ちも持ちたいものです。加えて、万が一に備えて、会場までの地図やスケジュール表を携帯しておくと安心です。
試験1週間前の過ごし方
試験1週間前には、必要な準備を重点的に進めるとともに、心身のコンディションを整える時間を確保しましょう。この時期は新しい知識を詰め込むよりも、過去問題を見直すことで答案作成の流れを確認し、筆記試験での解答スピードの向上に取り組むことが大切です。また、試験当日のタイムスケジュールや交通手段についても改めて確認し、行動に無理がないかをチェックしてください。生活リズムを整え、十分な睡眠を取ることも重要です。体調管理に気を付けながら、本番に備えた準備を進めましょう。
試験当日のトラブル対策
試験当日に想定外のトラブルが発生することもありますが、事前に準備しておくことで冷静に対応できます。まず、試験会場までの交通手段は予め確認し、早めに家を出るようにしましょう。万が一遅延が発生した場合に備えて、予備ルートを用意しておくと安心です。また、小雨程度であれば耐えられるように、折りたたみ傘や防水バッグなどを用意しておくと便利です。筆記試験中に具合が悪くなった場合には、近くの試験監督に早めに相談してください。さらに、持ち物の忘れ物を避けるために、前日にチェックリストを使って点検しておくことをお勧めします。
メンタル管理と集中力の維持
2次試験では長時間集中力を保つことが求められるため、試験前からメンタルの安定を意識しておくことが重要です。筆記試験を効率的にこなすためには、受験に向けたポジティブな意識を持つことが求められます。日々の学習で積み上げた努力を信じ、過度な緊張を避けるようにしましょう。例えば、試験前日はゆっくりとリラックスできる時間を確保し、試験本番に向けて気持ちを整えてください。当日は、「できる範囲でベストを尽くせば良い」と自分を励ますようにし、特定のミスを引きずらない姿勢が重要です。
試験後の振り返りと次へのステップ
試験後は一息つく時間も大事ですが、筆記試験で気付いた改善ポイントや学びを振り返りましょう。例えば、解答に自信が持てなかった問題や時間が足らなかった事例があれば、記憶が鮮明なうちに記録しておきましょう。その後、口述試験に進む場合には、筆記試験の内容を再度確認し、口頭で明確に説明できるよう準備を進めることが大切です。また、万が一今回の試験に合格できなかった場合にも、次回へのステップを前向きに踏み出すために、改めて学習計画を見直し、目標を設定することが必要です。中小企業診断士試験は長期的な挑戦ですので、常に成長を意識して取り組むことが大切です。
