初心者でも安心！今さら聞けない債券投資の基礎と始め方【2024年最新版】

投稿日 2023年12月11日
更新日 2025年12月11日
著者コトラ（広報チーム）
カテゴリー金融業界

はじめに

債券投資とは何か？

債券投資とは、国や地方公共団体、企業といった発行体が資金を調達するために発行する「債券」を購入する投資方法です。投資家は債券を購入することで、発行体にお金を貸し、その見返りとして定期的に利子を受け取り、満期日（償還日）には額面金額（元本）が返済されます。

債券は、あらかじめ利子や償還日が決められているため、将来の収益を予測しやすいという特徴があります。この点は、価格変動が大きい株式投資とは異なり、比較的安定した運用が期待できるため、投資初心者にも取り組みやすい金融商品と言えるでしょう。

本記事の目的と読者層

本記事では、「債券投資に興味があるけれど、何から始めたらいいか分からない」「安定的に資産を増やしたいけれど、リスクは避けたい」といった悩みを抱える投資初心者の方に向けて、債券投資の基礎知識から具体的な始め方、失敗しないためのポイントまでを詳しく解説します。

2024年の最新情報も踏まえ、債券投資のメリット・デメリット、種類、選び方、購入方法などを分かりやすく説明することで、読者の皆様が安心して債券投資を始められるようになることを目的としています。

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債券投資の基礎知識

債券の仕組み

債券は、国や企業などが資金を借り入れる際に発行する「借用証書」のようなものです。投資家が債券を購入すると、その発行体にお金を貸し付けることになります。債券の主な仕組みは以下の通りです。

利子（クーポン）の受け取り: 債券を保有している間、定期的に（例えば年1回または年2回）決められた利率に基づいて利子が支払われます。
元本（額面金額）の償還: 満期日（償還日）を迎えると、投資した元本が額面金額で返済されます。

このように、債券は利子と元本の返済時期や金額があらかじめ決まっているため、将来のキャッシュフローが見通しやすいのが特徴です。

債券の種類と特徴（国債・社債・地方債など）

債券は、発行体や利払いの方法、発行地域などによって様々な種類に分類されます。

発行体による分類
公共債: 国や地方公共団体、政府関係機関などが発行する債券です。
- 国債: 国が発行する債券で、国の信用力を背景に安全性が高いとされています。個人向け国債は1万円から購入可能で、元本割れのリスクが抑えられている点が初心者におすすめです。
- 地方債: 都道府県や市町村などの地方自治体が発行する債券で、地域の公共事業などに使われます。国債に次いで安全性が高いとされます。
民間債（社債）: 民間企業や金融機関が発行する債券です。発行企業の信用力によって利回りが異なり、公共債よりも利回りが高い傾向がありますが、信用リスクも相対的に高くなります。
外国債券（外債）: 外国の政府や企業、国際機関などが発行する債券です。高金利が魅力ですが、為替変動リスクやカントリーリスクを伴います。
- ソブリン債: 外国政府や政府機関が発行する債券。
- クレジット外債: 外国の民間企業が発行する債券。
利払い方法による分類
利付債: 定期的に利子が支払われる一般的な債券です。
- 固定利付債: 利率が償還まで一定の債券。
- 変動利付債: 市場金利の変動に合わせて利率が変わる債券。
割引債（ゼロクーポン債）: 利子の支払いがなく、額面金額より低い価格で発行され、償還時に額面金額との差額が利益となる債券。

利回り・リスク・価格変動の関係

債券投資において理解すべき重要な要素が「利回り」「リスク」「価格変動」の関係です。

利回り: 投資元本に対する年間収益の割合を示します。債券の収益性を比較する際に重要な指標となります。同じ利率の債券でも、購入価格によって利回りは変動します。
リスク: 債券投資には、主に以下のようなリスクが存在します。
信用リスク（デフォルトリスク）: 発行体が財政難や経営破綻に陥り、利子や元本が支払われなくなるリスク。
価格変動リスク: 市場金利の変動などにより、債券の市場価格が変動するリスク。満期前に売却する場合に発生します。
為替変動リスク: 外貨建て債券の場合、為替レートの変動によって円換算した際の価値が変わるリスク。
流動性リスク: 市場での取引量が少なく、売却したいときに希望する価格で売却できないリスク。
途中償還リスク: 発行体の都合により、満期前に債券が償還されるリスク。
価格変動と金利の関係: 債券価格は市場金利と密接に連動し、一般的に逆相関の関係にあります。つまり、市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が低下すると債券価格は上昇します。これは、新たに発行される債券の利回りが市場金利を反映するため、既存の債券の魅力が相対的に変化するためです。

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債券投資のメリットとデメリット

債券投資が初心者に向く理由

債券投資は、以下の理由から投資初心者におすすめの金融商品と言えます。

安定した収益性: 満期まで保有すれば、あらかじめ決められた利子が定期的に支払われ、元本も償還されるため、収益の見通しが立てやすいです。株式のように価格の大きな変動に一喜一憂することなく、計画的な資産形成が可能です。
比較的高い安全性: 国債や信用力の高い企業が発行する社債は、デフォルトリスクが低いとされています。預貯金より高い利回りを期待しつつ、リスクを抑えたい場合に適しています。
分散投資に活用できる: 株式とは異なる値動きをする傾向があるため、ポートフォリオに債券を組み入れることで、全体のリスクを低減し、安定性を高める効果が期待できます。

債券のリスクとその管理方法

債券投資にはメリットがある一方で、いくつかのリスクも存在します。これらのリスクを理解し、適切に管理することが重要です。

信用リスク: 発行体の信用力が低下すると、利子や元本の支払いが滞る可能性があります。
管理方法: 債券の「格付け」を確認しましょう。格付け機関が発行体の信用力を評価したもので、BBB（Baa）以上が「投資適格債」とされ、比較的信用力が高いとされています。初心者はまず投資適格債から選ぶのがおすすめです。
価格変動リスク: 市場金利の変動により債券価格が変動し、満期前に売却すると元本割れする可能性があります。
管理方法: 基本的に満期まで保有することでこのリスクは回避できます。また、償還までの期間が長い債券ほど金利変動の影響を受けやすいため、自身の運用期間に合わせて債券を選ぶことが大切です。
為替変動リスク: 外貨建て債券の場合、為替レートの変動によって円換算後の価値が変動します。
管理方法: 為替ヘッジ付きの金融商品を選ぶか、複数の通貨に分散投資することでリスクを軽減できます。

他の金融商品と比較した債券の立ち位置

債券は、株式や預貯金など他の金融商品と比較して、以下のような立ち位置にあります。

預貯金との比較: 預貯金よりも高い利回りが期待できますが、元本保証がないためリスクは高くなります。
株式との比較: 株式投資よりもリスクは低い傾向にありますが、その分、大きなリターンは期待しにくい「ローリスク・ローリターン」の特性を持ちます。株式が企業のオーナーとなる出資であるのに対し、債券は企業や国に資金を貸し付ける形であり、利子や元本の返済が約束されている点が異なります。

債券は、リスクを抑えつつ安定した収益を目指したい投資家にとって、ポートフォリオの中核をなす「守りの資産」としての役割が期待できます。

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債券投資の始め方

債券投資の購入方法（証券会社・ネット証券・銀行など）

債券投資を始めるには、以下の金融機関で口座を開設し、商品を購入するのが一般的です。

証券会社: 国債、社債、外国債券など幅広い種類の債券を取り扱っています。特に、社債や外国債券は証券会社でしか購入できない銘柄が多いです。ネット証券であれば、オンラインで手続きが完結し、手数料も比較的安価な場合があります。
銀行: 主に国債や、一部の地方債・社債などを取り扱っています。
郵便局: 個人向け国債などを購入できます。

多様な債券を検討したい場合は、商品ラインナップが豊富な証券会社を選ぶのがおすすめです。

債券投資までの具体的なステップ

債券投資を始めるまでの基本的な流れは以下の通りです。

証券口座の開設: 債券を取り扱う証券会社などで口座を開設します。オンラインでの申し込みが手軽です。
購入資金の入金: 債券を購入するために、証券口座に十分な資金を入金します。
投資する債券を選ぶ: 証券会社のウェブサイトなどで債券のラインナップを確認し、自身の投資目的やリスク許容度に合わせて銘柄を決定します。この際、「格付け」「利回り」「償還までの期間」などを参考にしましょう。
債券の購入手続き: 選んだ銘柄の購入手続きを行います。新発債の場合は募集期間が決まっているので注意が必要です。
注文結果の確認と利子の受け取り: 注文が正しく処理されたかを確認し、保有期間中は定期的に利子が証券口座に自動入金されます。

初心者向けの債券商品と選び方

投資初心者には、リスクが比較的低く、仕組みが分かりやすい以下の債券商品がおすすめです。

個人向け国債: 日本国が発行し、元本割れリスクが抑えられています（※日本国が財政破綻しない限り）。最低金利が保証されており、1万円という少額から購入できるため、初めての債券投資に最適です。
債券型の投資信託（またはETF）: 運用のプロが複数の債券を組み合わせて運用する商品です。少額から多様な債券に分散投資ができ、リスクを軽減する効果が期待できます。NISAの成長投資枠の対象となる商品もあります。

債券を選ぶ際のポイントは以下の3点です。

安全性は「格付け」でチェック: BBB以上の「投資適格債」を選ぶようにしましょう。
収益性は「利回り」でチェック: 利率だけでなく、購入価格を含めた実質的な収益力を示す「利回り」で比較検討しましょう。
投資期間は「償還までの期間」でチェック: ご自身のライフプランに合わせて、いつまでに資金を使いたいかを考慮し、償還までの期間が適切な債券を選びましょう。

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債券投資で失敗しないためのポイント

分散投資の重要性

「すべての卵を一つのカゴに入れるな」という格言があるように、投資において分散投資は非常に重要です。債券は株式とは異なる値動きをする傾向があるため、株式と債券を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを低減し、安定性を高めることができます。

資産の分散: 株式、債券、不動産など、複数の資産クラスに投資することでリスクを分散します。
銘柄の分散: 一つの発行体に集中せず、国債、社債、地方債など、複数の債券に投資することで、特定の銘柄のリスクを軽減します。
地域の分散: 国内債券だけでなく、外国債券にも投資することで、カントリーリスクを分散させ、投資機会を広げることができます。

金利・インフレ動向の考え方

債券投資において、金利やインフレの動向は重要な判断材料となります。

金利と債券価格: 市場金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇するという逆相関の関係にあります。特に長期債ほど金利変動の影響を受けやすいため、金利が上昇局面にある場合は注意が必要です。
インフレと債券: 物価が継続的に上昇するインフレ局面では、金利も上昇しやすくなる傾向があります。これにより、保有する債券の価格が下落したり、受け取る利子の実質的な価値が目減りしたりする可能性があります。

2024年現在、世界的にインフレが収束に向かい、主要中央銀行が利下げに転じる可能性が議論されています。このような環境下では、利回りの低下が債券価格を押し上げる可能性があるため、債券投資家にとって好ましい状況と言えるかもしれません。

信用リスクの見極め方と回避策

債券投資における最大の注意点の一つが信用リスク、つまり発行体が債務不履行に陥るリスクです。

信用リスクの見極め方:
格付けの確認: 民間の格付け会社が発表する「格付け」は、発行体の信用力を示す重要な指標です。AAAからDまでランクがあり、BBB（Baa）以上が投資適格債とされています。
発行体の財務状況: 企業の社債であれば、その企業の業績や財務状況をしっかりと確認することが大切です。
回避策:
投資適格債の選択: 初心者は、まず信用力の高い投資適格債を選ぶのがおすすめです。
分散投資: 複数の発行体の債券に分散投資することで、特定の 발행体での債務不履行による影響を軽減できます。
国債の活用: 日本国債のような信用度の高い国の債券は、比較的安全な投資先として検討できます。

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債券投資に関する最新トピックス（2024年版）

2024年の債券市場動向と展望

2024年の債券市場は、世界的なインフレの収束とそれに伴う中央銀行の金融政策の転換が大きなテーマとなっています。多くの主要中央銀行が利上げサイクルを完了し、今後は利下げに踏み切る可能性が高いと見られています。

利回り低下トレンド: 政策金利の低下に伴い、債券利回りも低下傾向にあり、債券価格は上昇する可能性が指摘されています。特に、FRB（米連邦準備制度理事会）が利下げを開始する前には、国債の利回りが低下し、価格が上昇する傾向が歴史的に見られます。
待機資金の流入: これまで高金利の短期金融商品に滞留していた多額の待機資金が、金利低下に伴い債券市場に還流する可能性があり、これが債券価格を押し上げる要因となることも期待されています。

新商品の傾向・人気のある債券ファンド

2024年においては、多様なニーズに応える債券商品が登場しています。

外国債券の注目: 日本が低金利である一方、海外には比較的高金利の国が多く、外貨建て債券が魅力的な投資機会として注目されています。特に米国債は、依然として魅力的な利回り水準を維持しています。
債券型投資信託・ETFの活用: 個人で直接購入が難しい多様な債券に少額から分散投資できる債券型投資信託やETFは、引き続き人気の投資商品です。運用のプロが銘柄選定や配分を行うため、初心者でも取り組みやすいというメリットがあります。
個人向け社債の増加: 個人投資家向けの社債発行額が増加しており、金利上昇局面においては、預金よりも高い利回りを求める個人投資家のニーズに応えるものとして注目されています。

債券投資におけるESGやサステナビリティの話題

近年、投資の世界全体でESG（環境・社会・ガバナンス）やサステナビリティへの関心が高まっており、債券市場も例外ではありません。

グリーンボンドなどの増加: 環境問題や社会貢献に資するプロジェクトの資金調達のために発行される「グリーンボンド」や「ソーシャルボンド」といったサステナビリティ関連債券が増加しています。これらの債券は、投資を通じて社会貢献をしたいと考える投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
ESG評価の重要性: 発行体のESGへの取り組みが、債券の信用力評価や投資判断に影響を与えるようになってきています。ESG要素を考慮した債券投資は、長期的な視点でのリスク軽減や安定的なリターンにつながると考えられています。

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債券投資をさらに深めたい人のために

債券投資に役立つ情報源やツール

債券投資に関する情報を得るための主な情報源やツールは以下の通りです。

証券会社のウェブサイト: 各証券会社が取り扱っている債券の銘柄情報、利回り、格付け、償還日などの詳細を確認できます。初心者向けの解説コンテンツも充実しています。
金融情報サイト: ブルームバーグなどの金融情報サイトでは、債券市場のリアルタイムデータやニュース、アナリストの分析などを確認できます。
財務省のウェブサイト: 個人向け国債に関する最新情報や、債券市場に関する統計資料などが公開されています。
日本証券業協会: 投資に関する基本的な知識や注意点、市場の仕組みなど、投資家保護の観点から情報を提供しています。
格付け機関のレポート: ムーディーズ、S&P、R&Iなどの格付け機関が発表するレポートは、発行体の信用力を判断する上で参考になります。

参考書籍・ウェブサイト

債券投資についてさらに深く学びたい場合は、以下の種類の情報源を参考にすると良いでしょう。

投資入門書: 債券投資だけでなく、資産運用全般の基礎を学べる入門書は、体系的な知識を身につけるのに役立ちます。
専門誌・ウェブメディア: 日経マネーなどのマネー誌や、金融機関が運営する投資情報メディアでは、最新の市場動向や専門家による分析、具体的な投資戦略などが紹介されています。
ファイナンシャルプランナー（FP）への相談: 自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、中立的な立場からアドバイスを受けたい場合は、IFA（独立系ファイナンシャルアドバイザー）などの専門家への相談も有効です。

よくある質問とその答え

Q: 債券投資は本当に「意味がない」のでしょうか？
A: 債券投資は株式投資のように短期間で大きなリターンを狙う商品ではありませんが、安定した利子収入や元本償還の確実性（発行体が破綻しない限り）といったメリットがあります。特に、リスクを抑えつつ計画的に資産を形成したい方、分散投資を考えている方にとっては非常に有効な選択肢です。低金利の日本では利回りが物足りなく感じるかもしれませんが、外貨建て債券や信用リスクを考慮した選択で、預貯金以上のリターンを目指すことも可能です。
Q: 債券投資は少額から始められますか？
A: 個人向け国債であれば1万円から購入可能です。また、債券型の投資信託やETFであれば、100円や数千円といった少額から多様な債券に分散投資できます。
Q: 満期前に売却することはできますか？
A: 多くの債券は満期前に売却して現金化することが可能ですが、その際は市場価格での取引となるため、購入時よりも価格が下がり元本割れとなるリスクがあります。個人向け国債は発行から1年が経過すれば、元本割れのリスクなしで中途換金できますが、中途換金調整額が差し引かれます。